アートや建築などのジャンルでも「進んでる」サンパウロより、ダニ・グルジェル周辺のミュージシャン、コンポーザー集団によって制作されたブラジル音楽を現在あるべき解釈で昇華させた1枚!ボサノヴァやサンバを軸にしながらジャズの要素も入った・・・まではよくある話ですが、何より冒頭でも触れた「今っぽさ」を強く感じる作品。サンバなイントロかと思いきやブッといベースが口火を切ってからグッとジャジーに変貌するM1「festa de santo」で、何ありそうと思わされてしまいます。続くM2「essa nao」では切れのあるリズム隊に耳を持っていかれるだけでなく、メロディラインも一度聴いたらしばらく残ってしまう類の面白い1曲。M5「sem morada」はアルバムの中でも一際異彩を放っていて、まるで北欧のピアニストでも引っ張ってきたような雰囲気で、一番ビッとしてます。極めつけのM7「tres tristes tropicos」一昔前のブラジリアン・フュージョンのような事を現代的なアレンジで嫌味なくこなしています。
バックのミュージシャン達もセンスが良く、聴き終えた頃にはこの集団の持つ勢いに魅了されてしまう様な、これからどんな動きを見せてくれるのか楽しみな作品。まさに現代人に聴いて欲しい良質なコンテンポラリー・サウンドの登場!
PICK UP!
Monte Carlo 76 / Marisela
ベックのツアー・ベーシストとして名を馳せ、またWorld音楽ファンの間ではSlowriderで御存知、D.Gomezによる新世代チカーノ・ユニットの2nd。緩さの中にサイケデリックを散りばめた幅広いリスナーに聴いてもらえる作品。程よくクール・ダウンしてくれるエレピの後ろでキリッとしたリズム隊が映えるM5「intoxicating」もお勧めですが、1曲目「mesmerize」のブリッジ部分で聴ける独特なドラマチックな展開は聞きもの。バリエーションに富んだ内容はラテン・ミュージックというよりハイレヴェルなポップスと言える、アルバム全体を通して満足してもらえる作品です。
Ingela Jansson / All These Choices
ロマン・アンドレンの作品にも参加していたスウェーデンの女性SSW、インゲラ・ヤンソンのデビュー作が登場。本作ではアンドレンがほとんどの曲のミックスを手掛けているのでファンの方は要チェック!内容は、ジャズとフォークを程よく混ぜ合わせたような曲で、なめらかに歌っているピアノのバッキングが洒落ていて印象的な「life goes on」や、北欧らしさがにじみ出ているワンダーランドな雰囲気の「your words don’t sing my song」。南米エレクトロにも通じる、フアナ・モリーナ好きの人にもアピールできるようなある種飛び道具といえる「talking eyes」あたりが気になります。他にもアンドレンの色が出ている「when I just want you」や「in a strong womans shoes」などの爽快なブラジリアン・ナンバーもあり、monte carlo〜同様幅広く聴いていただけるような内容です。