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【特集】 ジョン・ホルト

Monday, February 2nd 2009

John Holt
ジョン・ホルト

 幼い頃から、数々のタレント・ショーに出演していたジョン・ホルトは、63年の初吹込みを経て、65年、タイロン・エヴァンス、ハワード・バレットとロックステディ・コーラス・グループ=パラゴンズを結成しました。ブロンディのデボラ・ハリーによる「夢見るNo.1」のカヴァーや、某・発泡酒のTVCFでも使用されたあの曲、「The Tide Is High」(CMは、ウェイリング・ソウルズのリメイク・ヴァージョでしたが)は、彼らがオリジナルであり、68年トレジャー・アイルからの傑作アルバム『On The Beach』に収録されています。

Paragonsの「On The Beach」

 ポップでキャッチー、加えて、どこかほのぼのとしたサウンド・プロダクションに、完璧なコーラス/ハーモニー・ワーク。60年代に数多存在したジャマイカのコーラス・グループの中でも、パラゴンズは、ズバ抜けた存在感を放っていました。

 そんなパラゴンズの特筆すべき点。それこそが、フロント・シンガーのジョン・ホルトの歌声なのであります。彼の甘くスムースな歌唱はもちろんのこと、グループ時代も含め、ドリフターズをはじめとした米国R&Bグループのフォーマットを積極的に取り入れたスタイルは、ジャマイカン・レゲエ国際化の一翼を担ったと言っても過言ではないでしょう。いやむしろ、インターナショナル・マーケットに向けた、真のクロスオーヴァー・ポップ・レゲエの開祖というのは、ボブ・マーリーでもジミー・クリフでもなく、何を隠そうこのジョン・ホルト(およびパラゴンズ)だったのではないかと、感じているぐらいなのです。

 ホルトは、70年のグループ脱退後、ソロ・シンガーに転向。同年、コクソン・ドッドのスタジオ・ワンからは『A Love I Can Feel』という素晴らしくソウルフルなアルバムを発表。翌71年には、バニー・リーのプロデュースのもと、シェップ&ザ・ライムライツのバラード・カヴァーとなる「Stick By Me」のビッグ・ヒットを飛ばし、ソウルフル・レゲエ・シンガー=ジョン・ホルトの名を確固たるものにしました。この「Stick By Me」を収録したオリジナル・アルバムというのは、『Holt』になるわけなのですが、なにぶんCD化されていないので・・・ベスト盤『Tide Is High -Anthology 1962-1979』、もしくは、この曲のムーディスクからの再演ヴァージョンを収録した『Time Is The Master』(73年発表)をどうぞ。また、本稿トップ・コラージュに掲げた『Still in Chains』は、同じく71年に、トロージャンからリリースされた1枚です。CDは、目下廃盤中とのことです・・・

三上寛じゃないよ。John Holtだよ。

 70年代、80年代と、その後もコンスタントに良作をリリースし、2009年、60歳を越えた現在も第一線で活躍し続けているホルト。”カヴァーズ・レゲエの帝王”、その真骨頂となる70年代後半のチャンネル・ワン作品の再発も待たれるばかりです。

 今回、デラックス・エディションで再リリースされる『1000 Volts Of Holt』(残念ながら、ドープなトロージャン・オリジナル・ジャケは不採用となりましたが・・・)は、そんな絶頂期にあったホルトの67年から72年の”甘い名唱”を、カヴァー曲を中心にたっぷりと楽しむことができる名編集盤(発表は73年)なのです。この「Volts Of Holt」シリーズは、後に「2000 Volts」(76年)、「3000 Volts」(77年)と第3弾までリリースされ、いずれもソウルフル・レゲエ・ファンの間ではマストな人気を博しています。

 すでに、『1000 Volts』をお持ちの方には、説明不要かも知れませんが・・・シャーリー・バッシーの「Never、Never、Never」、シャイライツの「Stoned Out of My Mind」、クリス・クリストファーソンの「Help Me Make It Through The Night」、ジェリー・ジェフ・ウォーカーの「Mr. Bojangles」、ロボの「I'd Love You To Want Me」、ロバータ・フラックの「Killing Me Softly」などなど、ナイス・カヴァーのオンパレード(そういう趣向の編集盤ですから)。

   2006年の再リイシュー時には、レア・ジャマイカン・ミックス含む8曲のボーナス・トラックを追加したものがリリースされ、ホルト・ファンを喜ばせてくれましたが、今回は、新たに19曲の未発表マテリアルを放り込んだ完全2枚組のフル・ヴォリューム盤で堂々登場なのです。もちろん、前述のジャマイカン・ミックス8曲も据え置き。全ロックステディ〜アーリー・レゲエ・ファンはもとより、全てのソウルフル・ミュージック愛好家の”うたごころ”中枢を手厚くもてなす1枚。北風吹き荒ぶ2月に到着です。




1000 Volts of Holt
------------------------------カヴァー楽曲を中心とした「Volts of Holt」シリーズの記念すべき第1作目。未発表マテリアルをディスク2に丸ごと収録した、ファン感涙の2枚組デラックス・エディション。




2000 Volts of Holt
------------------------------左項に続く「Volts of Holt」シリーズの76年発表の第2弾。スティーヴィー・ワンダー、バート・バカラック曲を素晴らしいお湯加減でナイス・カヴァー。因みに、ビートルズ・カヴァー「I Will」は、ジェイ・Z「Encore」のサンプリング・ネタ。



3000 Volts of Holt
------------------------------77年、「Volts of Holt」シリーズの第3弾。マンハッタンズ、デルズ、ウィリアム・ベルらのソウル小唄(もち、名曲!)を爽やか、且つエモーショナルにカヴァー。




A Love I Can Feel
------------------------------70年、スタジオ・ワンからのソロ初作。テンプテーションズ「I Want Love I Can See」の名カヴァーとなる表題曲は、サウンド・ディメンションの柔らかいバックとホルトの甘い歌声が生んだ、アーリー・レゲエ不朽の名曲。  




Further You Look / Dusty Roads
------------------------------73年の『Further You Look』と、74年『Dusty Roads』、トロージャンからの2枚の人気アルバムの徳用カップリング盤。前者は、ものすごくドープなジャケだが、「I'll Be There」、「I'll Always Love You」といった名カヴァーに思う存分蕩けることができる。



Time Is The Master
------------------------------ハリー・ムーディ主宰のムーディスクに吹き込まれた73年名盤。自身の大ヒット・シングル「Stick By Me」のセルフ・リメイクは、ムーディらしいストリングスをふんだんに取り入れたロマンティックな仕上がりに。




Just The Two Of Us
------------------------------82年、ルーツ・ラディックス演奏のチャンネル・ワン録音作。ビル・ウィザーズの名唱で知られる表題曲の他、カントリー古典「Let Your Love Flow」、「This Masquerade」など、シーンがコンピュータライズド期に突入したことを感じさせない、ある種の”頑徹ぶり”に脱帽。



In Symphony
------------------------------2001年、UKのジェットスターからリリースされたライヴ盤。ロイヤル・フィルハーモニック交響楽団との共演で、さらに、フレディ・マクレガーのゲスト参加もあり。「Stick By Me」、「Stealing」、「Tide Is High」をはじめとした2枚組全28曲。



Reggae Christmas Hits
------------------------------86年にトロージャンからリリースされたクリスマス・アルバム。この手のシンガーにはおあつらえ向きな定番企画・・・とは言うものの、凍えた体を優しく包んでくれるホルトの声は、やはりこの季節には傍に置いておきたい。




Tide Is High -Anthology 1962-1979
------------------------------タイロン・デイヴィスじゃないよ!ソロ代表曲、パラゴンズ楽曲に加え、ビヴァリーズ時代の初吹き込み曲「Forever I'll Stay」をも収録。まだまだCD化されていないオリジナル・アルバムも多い中、やはりこういったベストは必要。



The Best of
------------------------------トロージャンの名物アーティスト・ベスト・シリーズのホルト編。74年のシングル「Reggae From The Ghetto」を収録。





Treasure of Love
------------------------------77年に、バニー・リー制作、キング・タビー&プリンス・ジャミーのミックスで同名のアルバムもリリースされているが、こちらは全く別モノ。トレジャー・アイル音源を集めたベスト盤。







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