セザリア･エヴォラ、初々しき初期録音

2008年12月10日 (水)

アフリカ、セネガルのヴェルデ岬のかなた大西洋上に浮かぶ小群島国カーボ･ヴェルデに生まれ、いまやその深い祈りのような歌声で世界中を魅了するシンガー＝セザリア･エヴォラ。

カーボ･ヴェルデはかつてポルトガル領であり、さらにブラジルなど植民地貿易の中継点として栄えたこともあり、その地の音楽はポルトガルのファドや初期のブラジル音楽の影響がうかがえます。
いわゆるポルトガルやブラジルの"哀愁""懐かしさ"を表す「サウダーヂ」と同義語である「ソダーヂ」感を大切にした、カボ･ヴェルデのモルナやコラデイラといった音楽を初めて世界に紹介したのが、このセザリア･エヴォラ。

1988年の1stアルバムの大ヒット以来、欧州では数十万枚の売り上げを誇るセザリア･エヴォラは、これまでに自身のアルバムを中心に、多くの世界的スタート共演をしてきました。ブラジルのカエターノ･ヴェローゾ、ジャキス･モレレンバウン、マリーザ･モンチ。キューバのチューチョ･ヴァルデス、オルケスタ･アラゴーン。アフリカのイスマエル･ロー、アメリカのボニー･レイットやアート･リンゼイなど豪華な顔ぶれ。また、グラミー賞ワールド･ミュージック部門ノミネートの常連でもあり、2003年の『Voz D'Amor』ではグラミーを獲得しています。

今回リリースとなる
『Radio Mindelo　ラジオ･ミンデロ　初期録音集』は、セザリアの貴重な初期録音集。
現在60歳を超える彼女が、20歳の頃に生まれ故郷であるミンデロ市のラジオ放送局"Radio Barlavento"の放送用にレコーディングした幻の音源です。
このうちの何曲かは45回転シングル盤としてカボ･ヴェルデでリリースされていますが、ほとんどが未発表のまま今日まで眠っていたもの。
その若々しさ、初々しさにも驚きですが、後年に特徴的な哀愁の節回しやフレージングがすでにはっきりと聴き取れ、このときすでに独自のスタイルを確立していたのにも驚かされます。



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