さらにもう1枚、その印象的なジャケットでも、このスジのジャズ・ファンを大興奮させるのが、60年代、アーチー・シェップ、アルバート・アイラーとの共演などでも知られるドラム奏者、ビーヴァー・ハリスが率いる、360ディグリー・ミュージック・エクスペリエンスの『From Rag Time To No Time』。
コルトレーン派、東海岸アフロ・ジャズの継承者として活動するハンニバル。78年に『Live In Lausanne』、『The Light』、79年に『Tribute』と都合3枚のアルバムをベイステイトに残し、そのいずれもが、主役トランペットの扇情的なハイ・トーンが耳にこびりつく激熱皿。早急のCD化を待ちたいところです。
日本のジャズ・クラシックを今日的な視点で再編集する『渋谷ジャズ維新』シリーズの第2弾。「現在の音楽シーンと連鎖するように、日本と海外の優れた音源の橋渡しとなるプロトタイプのレーベルとして、これからもずっと愛聴していくことでしょう。」と語るCalm入魂のベイステイト・セレクション。美しきミニマル・アフロ・フォーク、ゼンジル&マリオン・ブラウン「Peace Of Ground」を是非耳にしてほしい。
1975年の伊ミラノ・レコーディングによるBlack Saint盤。チャールズ・グリーンリー(tb,vo)、ビーヴァー・ハリス(ds,vo)のほか、デイヴ・バレル(p)も参加。詩の朗読を聴かせる「Song For Mozambique」など、一般的に「優しさをとりもどした」と評される1枚だが、なかなかどうして、「Hipnosis」での豪快なブロウは、60年代の「闘士」ぶりを窺わせる名パフォーマンスだ。
4 Warren Smith 『Composers Workshop Ensemble』
60年代からミンガスや、ザヴィヌル作品などに参加していたドラマー、ウォーレン・スミス率いるグループのStrata-Eastからの1stと2nd『We've Been Around』のカップリング盤(ジャケは2nd)。ジュリアス・ワトキンス(fh)、ハワード・ジョンソン(bs,tb)、ジョ二ー・コールズ(tp)を含む総勢8名の大所帯グループで、モーダルを軸としながらも、実に黒く、キレのいい演奏を聴かせる。スリリングな「Introduction To The Blues」がオススメ。
4 Sunny Murray 『Homage To Africa』
アイラー、シェップ作品でおなじみのフリー系ドラマー、サニー・マレイの69年仏BYG作品。シェップ(ts)、バレル(p)のほか、レスター・ボウイ(tp,flh)、ロスコーミッチェル(as,fl)、グレチャン・モンカーV(tb)ら総勢13名の前衛派達が一丸となる「Suns Of Africa」は、とにかく圧巻。
4 Kalaparusha Maurice Mcintyre 『Peace And Blessings』
1969年Delmark盤『Humility In The Light Of The Creator』が、レアグルーヴ方面で人気のマルチ・リード奏者、カラパルーシャ・モーリス・マッキンタイア。79年Black Saintからのカルテット録音となる本盤は、キング・アイ・モック(ds)、レオナード・ジョーンズ(b)、鉄壁のリズム隊をバックに、カラパルーシャと、ロンギニュ・パーソンの2管が開放的に咆哮する痛快作。