『コントロ−ル』特集

イアンカーティスはご存知？

ジョイ・ディヴィジョンという名を聞いてもぱっと浮かばない人も、ニュー･オーダーの前身バンドと聞けば納得するだろう。
そのジョイ・ディヴィジョンのヴォーカリストとして、短くも波乱の生涯を送った孤高の天才、イアン･カーティスの生涯を描いた衝撃の話題作、『コントロール』。

監督はU2、デヴィッド・ボウイ、ビョークらを撮り続けた世界最高のロック・フォトグラファー、Anton Corbijn（アントン・コービン）。 青春を失踪した天才アーティストの若さゆえのはかなさを、モノクロームの映像で見事に描きだす。ゆえにこの映画は「音楽映画であって音楽映画ではない」魅力を持っている。

イアンカーティスが乗り移ったようなステージシーンは必見！

1980 年5月18日、全米ツアー出発の朝、イアンは23年という短い人生に自ら終止符を打った。
ロック・スターとして激しくステージで歌う裏で、イアンは原因不明の痙攣、妻デボラと愛人アニークとの関係に悩む。自分自身を抑制（コントロール）できずに苦しむ天才アーティストの若さゆえのはかなさが観る者の魂をえぐる。

主人公イアンを演じるのは、新人のサム・ライリー。イライジャ・ウッド、キリアン・マーフィを抑えて 抜擢されたサムは、まさにイアンの生まれ変わりのような姿を魅せる。特にステージで歌う姿は、アントンコービンの素晴らしい映像力と合わさってまさに圧巻。

そして、妻デボラを演じるのは、『ギター弾きの恋』でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされたサマンサ・モートン。愛人アニーク役は、 『ヒトラー〜最期の12日間〜』のアレクサンドラ・マリア・ララ。音楽は、ジョイ・ディヴィジョンの残された メンバーが結成したニュー・オーダーが全面協力。ほかにデヴィッド・ボウイなど豪華アーティストの楽曲が満載。物語が進むにつれ、イアンの歌詞は悩める魂を切り取った言葉で紡がれ、観る者の心に切なく訴えかける。

アントン・コービン監督コメント

● 映画の主人公イアン・カーティスについて
「偉大な詩人。だからこそ今も多くの人が彼の音楽を聞いているのだと思う」

● 70年代のマンチェスタームーブメントについて
「当時は今のように娯楽がたくさんなかったため、音楽の比重が大きかった。 当時はジャケットを含めレコードを愛していた。70年代の音楽が自分にとって 意味があることで、ただただ好きだった」

● 映画監督としての次回作について
「音楽と関係ない作品、フィクション。ロックスターをドキュメンタリー的に 撮るのもおもしろいのではないかと思っているよ」

● 日本のファンへのメッセージ
「心を開いて映画のメッセージを感じとってほしい。出演者の演技も 素晴らしいので見て頂いて、心に残るような作品になるといいな」

平間至コメント
「ドキュメンタリーのような映画。音の作り方など全てにおいてものすごい リアル感を感じた。見た後に誰かと話がしたくなる素晴らしい映画」

『コントロール』予告編