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エイミー・アレン、インタビュー

2008年1月30日 (水)

セクシー&キュート、アンニュイな雰囲気漂うボサノヴァ・チューンでリスナーを魅了するエイミー・アレン、ニュー・アルバム『L'inexplicable』を2月20日にリリース!。
ルーツとしてのジャズ、恋に落ちてしまった彼の地フランスとの出会い、そして愛するブラジル音楽〜ボサノヴァなどについて訊いた、スペシャル・インタビュー。

Aimee Allen

エイミー・アレン

 スタンダード・ジャズとAntonio Carlos Jobimのボサノヴァが中心だった2006年のデビュー・アルバム『Dream』に続く、NYが生んだ素晴らしき才能エイミー・アレンのセカンド・アルバム『l'Inexplicable(リネスプリカブル)』

1曲を除いたすべての曲がフランス語によるジャジーで、夢見るようにメロウなフレンチ・ジャズ〜ボサノヴァ・アルバム。

 ジャズに囲まれて育った幼少時代、敬愛するサラ・ヴォーンへの想い、フランス文化への憧憬、そして運命の渡仏・・・、について彼女に訊いてみた。



〜影響を受けた音楽、アーティスト〜



Q 幼い頃からジャズ好きな母親の影響でジャズに親しんできたというエイミーさんですが、どのようなアーティストを聴いていましたか?

Aimee Allen(以下Aimee) ママのお陰で私は生まれた瞬間からジャズに包まれて育ってきたの。私が成長した家庭の中には常に優れた音楽が流れていた。だからママにはとても感謝しているわ。少女期のサウンドトラックがジャズだったと公言できる私がどれほど恵まれていたかはきちんと認識しているつもり。今どきの青年層に、そんな素敵な環境下で育った人なんてほとんどいないことも知ってる。私はそのように知識を得て、作品を耳にしたアーティスト全員から影響を受けてきたと思うの。
 でもSarah Vaughanは私にとって特別な存在。彼女はとびきり優れたシンガーだと思う。もちろんElla Fitzgeraldもね。 Nancy Wilsonも、Carmen Mcraeも、Al Jarreauも。まだまだほかにも大勢いる。私は何度かAbbey Lincolnのライヴを体験する機会に恵まれたのだけれど、彼女はシンガーとしてばかりでなく、ソングライターとしても、またソウルフルに生きる一人の人間としても、深く深く観る者をインスパイアする女性よ。

Q 大学でアカペラ・グループに参加していたそうですが、どのような活動をしていましたか?どのような曲を取り上げていましたか?

Aimee 私は2つのグループに所属していたんだけど、いずれもメンバーは女の子だけよ。1つはジャズとスウィングだけを取り上げるグループで、もう1つはジャズやポップスを含む幅広いジャンルをレパートリーとしたグループでね。どちらのグループもニュー・ヘイヴンにあるイェール大のキャンパスで定期的に歌っていたのに加え、お声がかかればニュー・イングランドやニューヨーク・シティのほか、全米中の都市や海外へも出向いたわ。



〜憧れの地、フランスへ〜



Q その後、卒業されてからフランスへ渡ったそうですが、なぜフランスだったのですか? フランス語の勉強の為ですか?

Aimee 私は学校で選択したフランス語の授業が大好きだった。フランス語という言語の持つ響きが私の感性に働きかける。だからフランス文学も大好き。大学生のときに一学期間だけパリに短期留学する機会があったんだけど、到着した瞬間から、私はパリが自分のホーム・タウンだったみたいな親近感を抱いた。私はパリの街に恋してしまったの。パリの街も私の愛に応えてくれているような感覚さえ覚えた。でもそのときの私はほんの数カ月でアメリカへ帰らなければならなかった。どうしてももう一度パリでゆっくりと過ごしたかった私は、大学卒業を待って再度パリへ飛び、現地で仕事を始めたわ。私の元へレストランのピアノ・バーで歌う仕事が舞い込んできたのはその後のことよ。



〜ニュー・アルバム『l'Inexplicable』について〜




『l'Inexplicable』
  
エイミー・アレン『l'Inexplicable』
ヴィヴィド・サウンド NACD3248

Q 今回の新作『l'Inexplicable』についてお聞きします。アルバム・タイトルはどういう意味ですか?

Aimee "l'Inexplicable"とは言葉で説明することができないもの、という意味。たとえば超常現象のように、理由づけはできない、言葉も何もかも超越している、それでも疑う余地のないもの。これは私の音楽に対する考え方なの。音楽は言葉では言い表せないことまで表現できる、それでいて万人に解釈してもらえる。言葉では言い尽くせない、けれど否定し難いものよね。



Q 4曲目のアルバムと同タイトル曲のスキャットがとても印象的で素敵ですね。即興曲に聴こえますが、オリジナル・ナンバーでしょうか?

Aimee あれは私のオリジナル楽曲よ。コード進行もメロディーも私が書いたものなの。私が歌うメロディーを、ミーシャ・ピアティゴルスキーがピアノで上からなぞってるだけ。だから決してインプロヴィゼーションではないの。



〜名曲「Jardin d'Hiver」との出会い〜



Q 今回はフランス語のオリジナル曲や、Henri Salvadorで有名なフランスの「Jardin d'Hiver」を取り上げており、フランス語アルバムです。ひょっとしてこのようなアルバムを作る為にフランスへ行かれたのですか?

Aimee Henri Salvadorによる「Jardin d'Hiver」のオリジナル・ヴァージョンがリリースされたとき、私はちょうどパリにいたの。他の皆の例に漏れず、私も即座にこの曲に心を奪われた…とてもシンプルなのに、見事に作り込まれた愛すべき作品だった。米国から来たばかりの私はサルヴァドールのことなど何も知らなかったけれど、「Jardin d'Hiver」がポピュラー音楽として大ヒットし

Henri Salvador

アンリ・サルヴァドール

たことをきっかけに、彼の長いキャリアと芸術性に興味を寄せることにもなったわ。このアルバムの制作に当たり、私たちはオリジナル曲に加えて、何か本質的にフランスを感じさせるような有名なシャンソンのカヴァーを収録したかったの。そこで私が選んだのがこの珠玉の名曲よ。サルヴァドールはフランスのシャンソン界を代表するアーティストでありながら、アメリカのジャズやブラジルのボサノヴァやカリブ海の音楽等、異文化を取り入れることにも積極的な人だから、今回の私の選曲はパーフェクトだったと思う。私のアルバムの方向性にぴったりだった。



Q ファースト・アルバム『Dream』ではスタンダード・ジャズの他に、ジョビンなどのブラジルの名曲を取り上げていました。今後ポルトガル語によるボサノヴァ・アルバムを作る予定はありますか?

Aimee 可能性としてはありだわ。ボサノヴァには心を動かされるもの。心だけじゃない!ボサノヴァを聴いたら私はじっとしていられないの…おのずと身体が動き出して踊らされちゃう。しかも、ボサノヴァにはタイムレスな輝きがあるわ。私の耳にはジョビンの音楽は決して古くならない。何度聴いても、ジョビンの秀逸のメロディーとハーモニはその都度私に新たな驚きをくれる。私がやること為すこと全て、ボサノヴァから何らかの影響を受けているということだけは確かよ。



〜ルーツであるジャズ、そしてジャズ歌手としての自分〜



Q 『l'Inexplicable』はほぼフランス語アルバムですが、ボサノヴァのニュアンスが自然と溢れています。自分ではボサノヴァ歌手とジャズ歌手、どちらだと思いますか? Aimee Allen

Aimee まず最初に言っておきたいのだけれど、私は自分の歌唱において、リスナーからどのように認識されてもそれなりに喜んで受け止める。私としては音楽的に自分に正直であり続けることだけを目指し、あとの判断は聴く人に任せるわ。事実として、今回のアルバムのコンセプトはそういったジャンルの枠を拡張することだったの。もちろん私の身体に染みついている音楽はジャズだし、私のルーツはジャズ、初めて恋した音楽もジャズだったから、私にとっての今回の試みは非常に興味深い道のりでね。これまでの私の守備範囲の外に踏み出すのは、恐怖心と解放感を同時に与えてくれる面白い経験だった。『l'Inexplicable』の音楽性は当然ジャズを核としているけど、明瞭なポップのテイストが効いてる曲も含まれてる。特にブラジリアン・リズムは顕著に感じ取れることだと思うわ。だけどアフリカ音楽やキューバ音楽からも影響を受けているのよ…アルバムに参加してくれたギタリストのリチャード・パドロンはキューバ人だもの。

 そして、言うまでもなく、全編をフランス語で統一した効果として、『l'Inexplicable』はある意味コンチネンタル・フィーリングの漂うアルバムになった。「Qu'est-Ce qu'on est bien ici」がボサノヴァであることは認めるけど、これはフランスのシャンソンへの私の個人的なトリビュート・ソングでもあるの。歌詞、つまり詩の部分はこの曲を構成しているその他の部分と同じくらい重要だから。とにかく、あなたの質問への答えをまとめるとするなら、リスナーが私の音楽を楽しんでくれる限り、彼らがどんなカテゴリーに私を括ろうと自由だわ。それでもボサノヴァを歌うとき、ジャズ以外のほかのあらゆるタイプの楽曲を歌うときにも言えることだけど、やはり私は明白なジャズの感性で曲を解釈することになると思う。それが真実ね。ここだけは変え様がない。私はそれだけ深くジャズから影響を受けてるの…ジャズは私の音楽の基盤だから、他の音楽的要素は全てジャズを土台に築かれる。そして、私はいつだってジャズ・アーティストだとみなされることを光栄に思う。だけど、それは今後私が他の音楽スタイルを頑なに拒むようになるという意味ではないわ。



〜大好きなブラジル〜ボサノヴァ・アーティストについて〜



Q 好きなブラジルのボサノヴァ・シンガー、アーティストはいますか?

Aimee これはとても難しい質問だわ。名前を挙げたい人が多すぎる。Joao Gilbertoに、Milton Nascimentoに、Ivan Linsでしょ、Elis Reginaの名も挙げておかなきゃ。私は彼女をとても尊敬してるの。彼女の多才さと、その身体にみなぎる途方もないエネルギーは桁違いよ。彼女の声は穏やかな“静”の表現でも、叫ぶような“動”の表現でも同等の説得力で聴く者に訴える。そしてあの完成度の高い歌唱スタイル。彼女は歌声を自在に操る達人ね。実際、好きな歌手は誰ですか?って訊かれたら、私はElis Reginaサラ・ヴォーンって答えることにしてるの。



Q 今後の活動について教えください。

Aimee すでに新作アルバムの制作に着手してるんだけど、まだまだ形にはなっていないわ。引き続き曲作りにいそしんで、できるだけオリジナル曲を収録したいと思ってる。



Q では、最後に日本のファンにメッセージをお願いします。日本にくる予定は?

Aimee 日本へ行って、あなた達みんなと会いたくてたまらないわ。




■取材協力・写真提供:ヴィヴィド・サウンド・コーポレーション

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