輝け！2007年 HMVオンライン大賞 - モダン・ジャズ 2位-10位

CD Live In Hamburg
E.S.T.(Esbjorn Svensson Trio)

前作『Tuesday Wonderland』が高い評価と共に大ヒットした、新世代ピアノ・トリオE.S.T.が、同作の発売記念ツアーを2006年に行いましたが、世界24カ国、20万人を動員した全100公演に及んだワールド･ツアーはソールド･アウト続出となりました。中でもハンブルグでの公演はその後、何ヶ月たっても尚観客がそのライヴについて語るほどの伝説的なものとなったそうです。本作はその模様を2枚に渡り収めた、彼らの初ライヴ・アルバムです。類稀な感性を秘めた彼らの表現を、ライヴという更にエキサイティングな場にて凝縮披露した熱狂の瞬間がここにあります。 (続きを読む)

CD Time & The Infinite
Adam Rogers

Criss Crossレーベルでの第4作となるギタリスト、アダム・ロジャースのアルバムは、これまでのカルテット、クインテットから脱却し、トリオ・フォーマットで臨んだまさに勝負の作品だ。ベースはこれまでのロジャース作品でおなじみのスコット・コリー、そしてドラムにはビル・スチュワートを迎えた、彼のギターを更にアグレッシヴに押し上げる原動力ともなっている。曲は「Without A Song」、「I Loves You, Porgy」、「Night and Day」、「Young and Foolish」といったスタンダードや、パーカーのナンバー、自身のオリジナルで構成され、エレクトリックとアコースティックを使い分けたギター・プレイを存分に聴かせてくれる。(続きを読む)

CD Golden Land
Andre Ceccarelli

フランスを代表するベテラン･ドラマー、アンドレ・チェカレリの、エンリコ・ピエラヌンツィ全面参加作品。エンリコ〜チェカレリといえば、2004年のDreyfus作品『Carte Blanche』での美しいコラボレーションがあまりにも印象的でしたが、本作でも、さすが！の一言。トリオによる冒頭曲でまず、このトリオの作品が匂うというもの。この筋のファンの方なら、この1曲で決まり！と言えましょう。美しいブラッシ・ワークに、繊細でニュアンス豊かなエンリコのピアノがソフトにフワリと舞うこの世界･･･。コンポーズもエンリコによるものであり、そこはまさしく比肩なきエンリコ・ワールドなのです。(続きを読む)

CD Migration
Antonio Sanchez

パット・メセニー・グループを支えるドラマーでもあり、ジョシュア・レッドマン・トリオを始め多数のアーチストから声がかかるアントニオ・サンチェスの初リーダー作品。クリス・ポッターに、デヴィッド・サンチェスという硬派テナー2人を迎えたカルテットを中心にしつつ、スペシャル・ゲストとしてパット・メセニー、チック・コリアが参加。このアルバムのためにメセニー自身が書き下ろしたナンバーは、リリカルかつ物語的センス溢れる演奏がとにかく素晴らしい。 (続きを読む)

CD Steppin' Out
Idea 6

前作『Metropoli』が、ここ日本でもクラブ・シーンを中心にスマッシュ・ヒットを記録。イタリアン・モダン・ジャズの再燃、そして、イタリアン・ニュージャズの登場で「新しい世代のための新しいジャズ」として世界で大きなムーヴメントになっている状況の中登場した、イタリアン・ジャズの至宝ジャンニ・バッソ（ts）、ディノ・ピアナ（tb）率いるイディア6の決定的とも言えるニュー・アルバム。1960年代（イタリアン・ジャズ・ルネッサンス）の上質なモーダル・ジャズが、まるで現代に蘇ったかのようだが、そこに古臭さは全く感じられず、むしろ新鮮そのもの。ジャズの普遍的な魅力とも言えるモダンな輝きに満ち溢れている。バッソ、ピアナらのインタビューやレコーディング・セッションなど、最高級イタリアン・ジャズを現代に伝える歴史的にも大変貴重なDVD付き。 (続きを読む)

CD Seasons
Pete Jolly

ヒップホップ・ネタとして一躍有名になったA＆Mレーベルのアブストラクト・ラウンジ・ジャズ人気盤の世界初CD化。長らく西海岸を舞台に活動を続け、洒落たセンスのよさと小気味良い抜群のスウィング感で、西海岸随一の実力者と謳われた白人ピアニスト、ピート・ジョリー。その彼が、エレピやオルガンをプレイし、ハービー・ハンコックのエクスペリメンタルや、70年代CTI系エレクトリック／フュージョン的な香りも漂わせるアルバム。 (続きを読む)

CD Plays Bossa Nova
白木秀雄

世界各国のジャズDJ達のウォントの声が後を絶たない「ニッポン・ジャズ」の大傑作にして、激レア盤がオリジナル・ジャケット仕様の紙ジャケで初CD化。同じ白木作品では、『祭の幻想』と並び、今もDJから熱い支持を受けるお宝盤。須永辰緒が「夜ジャズ」シリーズでも取り上げていた「Sayonara Blues」をはじめ、「Tico Tico」、「Groovy Samba」といったフロア対応のキラー・チューンが満載！「和ジャズ復刻」のThinkレーベル、いい仕事してくれます！ (続きを読む)

CD Beautiful Scars
Kip Hanrahan

キップ・ハンラハンおよそ5年ぶりのアルバム。ディープ・ルンバを牽引するマエストロ、エルネグロ・オラシオ・エルナンデス＆盟友ロビー・アミーン、“ジョルバ・ブエナ”のメンバーとして活躍するペドロ・マルティネス、ニューヨーク・サルサの重鎮、ミルトン・カルドナを中心とした無敵のパーカッション・チームが叩き出すリズムの洪水に飲み込まれること必至の、パーカッシヴでグルーヴィなNYラテン現在進行形。ラストを飾る「City Of Gold」では、キップ自らヴォーカルもとっている。さらにミーターズのレオ・ノセンテリや、ジャズ・ベーシストのスティーヴ・スワロウまで、豪華かつボーダレスなマエストロたちが、キップの詩情あふれる音楽を支えている！ (続きを読む)

CD Floratone
Floratone

ギターのビル・フリーゼル、ドラマーのマット・チェンバーレイン、プロデューサーのタッカー・マーティン＆リー・タウンゼントによるユニークなスタジオ・コラボレーション・チーム、フローラトーン。実験意欲に溢れたそのカッティング・エッジな音像からは、フリー・インプロ、ダブ、アンビエント、ブルース・ロックといった多種多様な音要素が絡まり合った独特のサウンドスケープが透けて見えてくる。「新しきジャズの指標を掲げる」といったような大義名分を押し付けるわけでもなく、むしろ難解さを感じさせずにどこまでも飄々としたフォームで、ダビーでヘヴィーなサウンドを響かせる。マイルス『Bitches Brew』、『On The Corner』のスピリットを受け継ぐ1枚と認定される日も近いはずだ。 (続きを読む)