「NORTHERN EDGE」ライブレポート!
Wednesday, July 25th 2007
「NORTHERN EDGE」東京公演!
北端ROCKサーキットが東京に上陸!
2007年7月10日(火)、東京・代官山UNITにて、北海道内で不定期開催していた、北端ROCKサーキット “NORTHERN EDGE”が開催された。東京と札幌公演の2都市開催という規模で、当日の出演バンドは4バンド(※札幌公演はスモゥルフィッシュを含む5バンド)。北海道で根付いてきたイベントが東京にて遂に開催!ということである。しかしまあ、メンツが凄い。北海道にて長きに渡りロックの新基軸を切り拓き活動を続けているsleepy. ab、7月にメジャーから1stシングル『未完成ライオット』リリースし、今夏ROCK IN JAPAN FES.07出演が決定しているmonobright。『GO TO THE FUTURE』をリリースし、話題沸騰の“北海道の新種”サカナクション。限定リリースCDが話題のシュリスペイロフという布陣。この多種多様なアーティストから発せられる音楽が彩り豊かに交じり合っていく様が“NORTHERN EDGE”なのである。
まずトップ・バッターとして登場したのは、シュリスペイロフ。若々しいながらも、深みのある演奏力で早くもオーディエンスの空気を自分たちのモノとして行った。1曲目の「ドア」からラストを飾った「レインマン」まで。一筋縄では行かない変幻自在のビートと、叙情的な歌詞とメロディーが紡がれるメランコリックな楽曲を放つ彼等の音像からは、幾手あまたのロックバンドとは一線を画す捻くれ具合が滲み出ていた。ニューカマーとしての演奏力と円熟味さえも感じさせる楽曲構成の巧みなバランス感がとても心地よい。いずれ近い未来、再び東京という地に舞い戻り、更なる才能を開花させ、より飛躍を遂げるであろうという確信、期待が膨らんできたのは言うまでもない。
そして2番手に登場したのが、サカナクション。『GO TO THE FUTURE』というアルバムで開陳されたテクノ、ハウスという打ち込みビートと生音が混在した楽曲をどこまでライブで再現できるのか?という興味もあったが、そんな興味はいつのまにか興奮に塗り代わっていった。ド頭で演奏された「三日月サンセット」〜「インナーワールド」の流れを受けただけで衝撃。ドラム、ベースのリズム隊の類まれなる安定感に支えられ、飛び散るキーボードの音色、ギターのカッティング。そして、ただひたすらやみくもに演奏するわけではなく、キック一発、弦音一つ、鍵盤などなど、全ての音の強弱さえも巧みに操り、一音一音まで研ぎ澄ましながら突き進む彼等の演奏力は破格だ。そして燃えたぎるエモーションを際限なくフルスロットで熱唱するボーカルの山口一郎の佇まいが合いまって織り成される彼等の無尽蔵のライブパフォーマンスはすさまじい。途中挟まれた彼のMCにも現れていたバンドの興奮度。オーディエンスの熱度は想像以上のものであった。そして最終曲「白波トップウォーター」のイントロ。クリック音とキーボードの音色が奏でられ、ボーカルのメロディーが入り込み、サビの部分でビートとベースとギターが優しく入り込む。そして曲中盤からいきなり全てのパートが全速力で力強く鳴り響く。上がる上がる。踊らずにはいられなくなったオーディエンスが跳ねる跳ねる。そして最後にまた優しく、クリック音とキーボードの音色で締め括られるという、エンディング。完膚なきまでに構築された彼等のライブは、素晴らしい!の一言で集約してしまいたい。
イベントも折り返し地点。3番手に登場が、この“NORTHERN EDGE”の中でも一番ロック度の高いバンド、monobright。いつもの白のポロシャツ、黒縁めがね、黒のスリム・ジーンズといういでたちで現れた彼ら。前出の2バンドの空気感を一掃するかのような怒涛のロック。まるで“ひとりAC/DCかい?”とまで思ってしまうほどの、桃野陽介(Vo)の爆発的パフォーマンス。それをさらに加速させるような演奏をしながらも、冷静沈着かつ度を越えないところでがっつりロールしていくメンバーの熱量。1発目の「紅色ver.2」からそれは最後まで完遂されていった。さらに、MCでの桃野の破天荒かつ奇天烈なキャラクターが濃密過ぎて、過ぎるからこそ爽快で、それも彼等の魅力だ。現時点での彼等の最高峰ナンバー「未完成ライオット」が演奏された瞬間の会場のボルテージはこのイベントの中でも最高潮であったのは間違いなし。確か、「未完成〜」を演奏する前に、“これが最後の曲です”と言っていたはずなのに、さらに「バラフライングリップス」「頭の中のSOS」という2曲を演奏しえた彼ら。もしかしたらこの場にて一同に会したバンドの中で今、一番勢いに乗っているバンドと言っても過言ではないはず。それは、オーディエンスの熱狂度からしても明らかで、自分たちがmonobrightであり、そのmonobrightを一ミリたりとも揺るがない強度で叩き出していた事実にも繋がることだ。
monobrightの熱狂度が会場から徐々にクールダウンしていく中、このイベントの大トリとして現れたのが、sleepy.ab。1曲目、「メリーゴーランド」が鳴り出した。まるで前出の全てのバンドの狂騒をなだめるような空気をもたらす。しなやかで、透明でありながらも、そのメロディーの端々から感じ取られる意志が染み渡る、ボーカル、成山剛の歌声はやはり唯一無二。デビュー当時に掲げられてしまった日本での“ポスト・レディオヘッド”という謳い文句に苛まされながら、アンダーグラウンドな音響系のバンドへシフトするでもなく彼らはここまで辿り着いた。北海道という壮大な広野を抱きながらも、白く冷たい空気を含む土地。そこで培ってきたものを彼らは内に秘め、燃えたぎる魂を衝動で吐き散らすのではなく、より楽曲を奥深いものにするために淡々と音を浮遊させる。その音が一つとなって、オーディエンス全てに降り注いだ。この静かなる快感。染み渡るミュージック。こんな感覚を感じられるバンドはそうはいない。「メロディー」で歌われる歌詞。それが生き生きとするために奏でられる、まさに、メロディー。このアンサンブルが最高潮に達した瞬間、彼等のライブは終わった…。いや、最後の最後にアンコール、「夢の花」があった。もうこの時点で、“NORTHERN EDGE”の全てを締めくくらんとする彼等の世界観が見事に開陳されていた。「夢の花」。全てのバンドが熱くそして抱き続けている思いがこの楽曲に集約されているといた。そして、sleepy.abというバンドが何故このイベントの大トリを飾ったのか?という理由さえも全てがこの1曲で解決されたのだった。
このイベントが始まる前に感じていたこと。“北海道”という出自の共通点がなければ決して顔を突き合せないだろうというぐらいの異色なアーティストの競合。それがどのように展開していくのであろうか?という不安と期待。言うまでもなく、終わった後に感じた感覚に当初抱いていた不安な要素は皆無だった。ただひたすら期待が増殖し、出演するバンド全ての演奏に引き込まれ、心も身体も持っていかれた。このような機会を与えてくれた、感謝の意を誰に伝えようか。無論アーティストであるのだが、せっかくだから、北海道という土地に敬意を表してみることにする。そこがなければ彼らは産まれなかったのだし、育たなかったのだし、“NORTHERN EDGE”さえも開催されることがなかったのだから。感謝、北海道。
(HMV 保坂壮彦)
SET LIST |
シュリスペイロフ 1.ドア |
サカナクション 1.三日月サンセット |
monobright 1.紅色ver.2
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sleepy.ab 1.メリーゴーランド |

