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100s(中村一義)との書簡インタビュー!

Tuesday, May 9th 2006


100s(中村一義)HMV独占、書簡インタビュー!!!!!!


レコード会社移籍第1弾
100s待望のセカンド・アルバム「ALL!!!!!!」リリース!!!!!!
そのアルバム全貌を解き明かすために
100s(中村一義)との
書簡インタビューに成功!!!!!!
ファンならずとも、全音楽リスナー必読です!!!!!!!


100s : 池田貴史(Key)、町田昌弘(Gt)、山口寛雄(Ba)、中村一義(Vo)、小野眞一(Gt)、玉田豊夢(Dr)

 レコード会社移籍後初、2ndアルバム『ALL!!!!!!』を完成させた100s。そのボーカリストであり、今回のアルバムの全楽曲(カヴァー曲を除く)の作詞&作曲を手がけた100s(中村一義)に、書簡インタビューを敢行いたしました!

 書簡インタビューとは、直接本人 と会い会話を交わしていくものではなく、はたまた、“メールでのQ&A”のような簡素かつ簡潔なものでもなく、言うなれば“往復はがき”のような形で、 中村一義本人に手紙を出して、それに中村一義本人が手紙の返事を出してくれたというような形になっているのです。それだけに、彼本人も、リラッ クスした質問ではよりフランクに、そして彼の奥底を突くようなへヴィな質問にはよりリアルに、という感じで、通常のインタビューでは味わえない読み応え のあるインタビュー・テキストに仕上がりました。故に、他の音楽媒体では決して語らぬような、『ALL!!!!!!』という作品の本質を、100s(中村一義)の本質を、より掴み取ることが出来るインタビュー内容になっています!

さあ、これは全音楽リスナー必読です!HMV ONLINE限定!100s(中村一義)とのスペシャル書簡インタビューです!


★A letter interview to 100s(中村一義)★
(書簡インタビュー作成 : 保坂壮彦)

●お久しぶりです!『ALL!!!!!!』リリースおめでとうございます!まずはこのアルバムを待ち望んでいたファンのみんなに一言お願いしま す。

「長らく、お待たせしました(笑)! 楽しんで下さい!」

●まずは、『ALL!!!!!!』制作期間中、メンバーの間で流行ったものや、おもしろエピソードなどがあったら教えてください!

僕は個人的に10年近く中国茶を飲み続けているんですが、今回はレコーディングや打合せ中に、プライベートスタジオの100st.(ひゃ くすた)でメンバーにも中国茶を振る舞っていたら、全員がハマリましたね。みんなの体調をうかがいながら、茶葉を選んでいれたりして。そこからメンバー の中で、ちょっとしたチャイナ・ブームが起こったりして、それは今回の『ALL!!!!!!』にも反映されています。

●シングル『希望』の時点から、100sの表記が誰かの手書きのようなロゴに変わりましたが、これはメンバーの手書きなのでしょ うか?それと、何か影響を受けたものなどあったのでしょうか?

「これは、今回ジャケットのデザインを手がけてくれたセブンスターズのデザイナーさんによるグラフティー・ロゴです。実際にフリーハンド で何パターンも書いてもらった中から選びました。今回の『ALL!!!!!!』の作品群と僕らの心持ちには、手書きのロゴが一番ぴったりきたんです。 」

●それでは2ndアルバム『ALL!!!!!!』についてお聞きしたいのですが、中村一義名義『ERA』 収録曲『ショートホープ』を彷彿させるような『M1.そうさ世界は』。故にかのweezerさえも彷彿させるようなパワーポップな楽曲になっていますが、今回、『ALL!!!!!!』を制作するにあた って、影響を受けたアーティスト、またはオマージュを捧げるアーティストがいたとするならば、どのようなアーティストになるのでしょうか?

「『ALL!!!!!!』のテーマだった『熱量』『勢い』といったところからか、今回の制作過程では、スタジオの中で、The Clashがよく流れていましたね。もちろん、ギターの小野ちゃんが一番多くかけていました(笑)。 」

●『M3.まんまる』は花火の唄ですよね。メンバー全員が毎年、花火大会を一緒に楽しんでいるという話を聞いたことがあるのですが、まさにその時の 光景を唄にしたのでしょうか?ならば、中村くんにとっての花火の魅力を教えてもらえませんか?あと、曲の終わりにちょいと面白いギミックが挿入されてい ますよね。あの灰皿は誰のもの?何処にあった灰皿なんでしょうか?

「花火大会は、100sにとって最重要の風物詩となっています(笑)。でも、ただ花火をめでているだけではなく、大事な場だったりするんです よ。去年も花火大会の後メンバーに、『ALL!!!!!!』に収録されている「あの荒野に花束を」を初めて聴かせて、そのまま打合せに突入みたいな(笑)。『まん まる』に入っているのは、100st.にあるガラス製の小さな灰皿を鳴らしている音ですね。これがまた、いい音するんです。

●『M6.シンガロング』を聴くと、どうしても、中村くんの師でもある、お亡くなりになられたおじいさんに投げかけているようにも聴こえ、はたまた おじいさんが中村くんに語りかけているようにも聴こえます。中村一義名義『100s』収録曲『セブンスター』をさらに激しく情熱的にしたような…。そこで、おじいさんから教わった数え切れない ほどの言葉の数々の中で一番印象に残っているもの、音楽活動で一番糧になっているものは?

『オマエはオレの孫なんだってよ。けどよぉ、なんか違うよなぁ。オマエはオレの親友だ。』

 


 

●今回リリースされたアルバムには、10曲ものPVが付いたものもリリースされました。その中でも100sが都会から離れていくという、情緒的な映像が 印象的な『M7.あの荒野に花束を』。中村一義名義『金字塔』収録曲『街の灯』さえも彷彿とさせるPV。実際、このPVが撮影された場所は何処なのでしょうか?なぜその場 所を選んだのでしょうか?

「この曲のPVは、100s全員で旅をしているロードムービーのような作品にしたいと思っていて、ディレクターの遠藤主任がロケ地をセレクトし てくれました。場所は長野県の上田市です。中学校では、個人カットで撮影していったので、順番待ちのメンバーは学内を散策したり、バレーボールをしたり 、日光浴したり、ゆったりと流れる時間を思い思いに過ごしていました。 」

●『M8.つたえるよ』を聴くと、前作『OZ』収録曲『光は光』に共通するような儚い思いを解き放つロマンチック、浪漫を感じ感極まってしまうのですが、こ のロマンチック、浪漫という感情を表現することは、得てして、永遠に叶わぬ儚ささえも伴ってしまい、夢物語に終わってしまうという現実的な諦念を逆に生 んでしまう怖さもあるかと思うのですが、それでも、中村一義、100sにとってそのロマンチック、浪漫というものを表現し続けることは音楽活動を続けていく にあたって必要不可欠な要素なのでしょうか?

「言葉にとらわれない。「ローマン」はそこからも始まります。だとしたら、100sには必要不可欠。」

●このアルバムの中で、『M9.蘇州夜曲』?『M10.ももとせ』の流れがとくに秀逸で。繰り返しこのアルバムを聴いても、やはりここで一番心を鷲掴みに されてしまいます。さて、「ももとせ」という言葉を辞書で調べると、“ひゃくねん。ひゃくさい。転じて、多くの年。長い年月。”という意がありますが、 ずばり、どのような意がこの『ももとせ』というタイトルにふさわしいものになるのでしょうか?

「『ひゃくねん。ひゃくさい。』ですね。100sメンバー&リスナーの音楽への志が百年経っても続いていることを願って名付けました。」

●アルバム最後に鳴り響く『M11.もしこのまま』の普遍的なラブソングを聴くと、中村一義名義『太陽』収録曲「いつも二人で」などの楽曲を喚起させられるとともに、それ以上に、性別や時空を超えたラブソングと して聴き手に染み渡ります…。改めて、総括という意味で、100sというバンドが、この『M11.もしこのまま』という曲まで到達し、『ALL!!!!!!』というアルバムを作り上げることができた現在の率直な感想を教えてもらえませんか?

「前作『OZ』のツアーが終わってから公私ともに本当にいろいろな出来事があったんですが、僕ら100sは『OZ』で培ったフィールドの上に立っ て、今作ではバンドとしてどんな音を鳴らすべきか、制作に入る前から全員で共通の景色を見据えてきました。そういう意味では『OZ』から地続きになってい る感があります。ただ、『OZ』は、トータル・コンセプトアルバムだったのに比べ、『ALL!!!!!!』は収録されている11曲全てが独立したコンセプトを持ってい るので、それらを総括できるタイトルは、まさに『ALL!!!!!!』しかなかったんです。とにかく、1曲1曲に込めたバンドの生命力こそがメッセージ、みたいな意 識で作りました。今の僕らの『すべて』がギュッと詰まっている作品です。 」

●最後に、『ALL!!!!!!』が完成しリリースされた今。ここまで辿り着いた今。中村一義デビュー10周年、デビューから10年経った 今。改めて、10年前の当時の自分に向けて、一言声をかけるとしたら?

『9年後、じーさん死ぬぞ。けど、そん時に初めてお前は出来上がる。色んな人の力を借りてな。楽しみにしとけや。』

●書簡インタビューお疲れ様でした!それでは今後の100sの意気込みを一言、お願いします!

「とりあえず、『ALL!!!!!!』のリリースと、それを体現する全国ツアーがあるので、意識はそこにフォーカスしています。まだその先のことは 全く考えていません。ツアーも毎公演、完全燃焼型なので、まずは体力づくりからですね(笑)。 」


★インタビュー文中にて紹介された作品リスト★

「光は光」収録アルバム。100sの記念すべき1stアルバム。6人のメンバーの個が凌ぎ合い、つばぜり合いながら構築された、100sの、ロックの表現の 極みを突き詰めた名作。 「セブンスター」収録アルバム。100sのアンセムとなっている「キャノンボール」と「新世界」を含めて、星3部作の1曲。『約束だもんな』と唄われ るフレーズは、亡きおじいさんとの契りでもある。 「ショートホープ」収録アルバム。100s結成前に、この曲で玉田豊夢、池田貴史と共演。くるりの岸田繁もパワーコードがんがんのギターでゲスト参加 した楽曲。 「いつも二人で」収録アルバム。中村一義の2ndアルバム。ほぼ一人で全ての楽器を宅録で演奏していた彼が一気に外に飛び出した作品。春夏秋冬、幸 溢れる、暖かな作品。 「街の灯」収録アルバム。中村一義のデビューアルバムであり、言わずもがな、日本のロックの歴史に永遠に刻まれるであろう名盤。