HMVインタビュー: Reflection

2007年5月8日 (火)

☆『Music Bizarreness』発売記念インタビュー!



UKの伝説的レーベル<CLEAR>からワールドワイドにデビューを飾った天才的日本人ユニット Reflection。11年余りの歳月を経て、セカンドアルバムの奇蹟的リリースが遂に実現!!

谷口一郎・賢治の兄弟ユニットであるReflectionは、竹村延和主宰のレーベル、<Lollop>から94年にデビュー以来、質の高いプロダクションで、spiritual vibesSilent Poetsなどと並び、日本のクラブミュージックの黎明期に重要な足跡を残したアーティストです。そんな作品リリースのタイミングでReflectionのお二人にお話を伺うことが出来ました!
  ↑こちらはジャケットの見開きであり、その元となった原画。  



Interview with Reflection


公に作品を発表しない長い期間を経て、今回セカンド・アルバム『music bizarreness』のリリースが実現した経緯をまずは教えてください。

谷口一郎(以下:I): アルバム制作が終りを迎えつつあった2000年代のはじめ以降、リリースも念頭において制作を進める一方で、音楽活動を創造性を失わず続けていくことへの限界を感じはじめていました。2003年の夏に制作は終了していたのですが、その後長い間、公に作品を発表する意味を見い出せないでいました。そんな状態から今回リリースに至るまでの経緯を説明するのにはある程度の文字数を必要とするため、ここには書ききれませんが、アルバムに添付したライナーノーツに丁度このご質問への返答になるような内容を記述していますので、そちらをご参照ください。


アルバムの制作はいつ頃から、どのようにして始まったのでしょうか?

I: アルバム収録曲のうち最も古い曲を制作したのが1996年の夏です。例えばライブ のレパートリーとして用意したりと、最初は特にトータルなアルバムへの展望を持た ずに始めたと記憶しています。

谷口賢治(以下:K): 以前、所属していた<CLEAR>というレーベルで活動をしていた頃からライブでやっていた曲が、このアルバムに幾つも収められているのですが、97年末 にヨーロッパ・ツアーから帰ってきた頃から次のアルバムに向けての作業を開始しか けていました。しかし、間もなく<CLEAR>自体が消滅してしまったり、MetamaticsのLee Norisとのコラボレーションの制作に入ったり、いったん作業は中断した形になりま した。そのコラボが一段落した後ですぐにでも次のアルバムの制作に、普通なら淀み なく移行していたでしょうが、なかなか思うようには進みませんでした。その理由に ついて自分であれこれ分析しきれないのですが、メンタル面における要素が大きかっ たと思います。理由はどうあれ、とにかく音の細部を何度も何度も検討し直し、前に 進むことを忘れるくらい時間を掛けました。たった一音の音色の調整などに丸一日掛 けることもありましたし、偏執狂的状態というものだったかと思います。


お二人で制作をするにあたって、どういったやり取りを経て曲が生まれてくるのかを説明いただけますでしょうか?

I: リフレクションの共同作業で、特徴的なこととして、各人のプライベートな作業 を大切にしていることが一つ挙げられると思います。具体的には、どの曲もほぼ完成 の形までどちらかが一人で作業を続けます。一人でやっていて煮詰まってきた段階 で、もう一人が曲にさらに面白い要素やちょっとした展開を加えられないか試してみ ます。

K: ただ、全てがそうという訳ではなく、1曲目の「bizness trik」などは当初、僕 がドラムとオルガンのみのデータを兄に渡し、好きなようにやって貰ったものです。 「tricky game」、これは二人でスタジオ作業をしていたときに煮詰まってしまった ときがあって、半分 気分転換のつもりでマイク録りを始めて作ったものです。たま たま近くに民族楽器や短波ラジオがあったので、そのまま録りました。今後はこう いった生録音の要素は増やしていきたいです。




Reflection  『Music Bizarreness』
01. Bizness Trik
02. Chamber Music
03. Clockwise
04. Fading Shades
05. Tricky Game
06. Opto
07. Shaded Fades
08. Interruption
09. Watears
10. Decay
11. Song With No Name
12. I Think That I Think What I Think
13. Mechanic
14. Voices
15. Tricky Name






アルバムは長い期間に渡って録り溜められた音源が元になっているそうですが、最終的にアルバムとしてまとめる段階で、どのような点を重視されましたか?

K: 制作を開始してから余りにも長い時間が経過してしまったことについて、こう いった音楽のフォーマットで世の中に送り出すタイミングを逸した、と感じた時期がありました。それなら、この世界で埋もれてしまってもいいので虚飾のない、強い作品を作りたい、と強く意識しながら完成を目指しました。


アルバムのアートワークもたいへん美しく、内容ともよく合致していると思いましたが、デザインをされたcollect.applyとの関係を教えていただけますか? また、 アートワークについてはどんなリクエストをされましたか?

I: collect.applyのメンバーの一人が、リフレクションの1stアルバムをライセンス リリースした<CLEAR>レーベルのハル・ウデルで、<CLEAR>が活動停止して以降は、友人と して交流がありました。彼らは、暫く以前にロンドンを離れ、今は京都を拠点に活動 しています。アートワーク制作にあたっては、“自身が行っていることに集中して、 自身と制作対象との間にシンプルでダイレクトな関係を持つようにしてほしいこと、 そうやって制作したデザインは自然とこのアルバムが提示するアティチュードに合致 していくであろうこと”、以上の主旨を含んだメールを送って、基本的に自由にやっ てもらいたい意思を伝えました。 


楽曲制作において、特に大切にしていることはどんな点でしょうか?

K: 大切にしていることは、“まずさを隠さない”ということでしょうか。音楽、特 に近年の音楽は編集や調整が自在ですし、“上手く作られた物”が氾濫していると 思います。音楽だけではなく、社会的に行き交う物の殆ど(食品から非物質的商品ま で)が“上手く作られて”いると思います。ただ、これは我々の生活を便利にしては くれる一方で、負の側面や蝕まれる精神に関しては非常に見えにくくしてしまう。僕 らの音楽でも、やろうと思えば、耳目を引く派手な要素をコピーして当てはめ、飾り たてることも可能だったと思いますが、それは自らを欺くことになりますし、ひいて はリスナーに対しても、目に見えないウイルスを埋め込んでしまうことにもなると考 えています。 


ファースト・アルバム『The Errornormous World』をリリースされた当時と現在では、音楽に向かう姿勢や考え方について違いはありますか?


『The Errornormous World』(1996年・廃盤)

K: 基本的な姿勢は同じだとは思いますが、外に対する意識がだいぶ変わったと思い ます。表現が難しいのですが、穏やかになったと思います。

I: 『The Errornormous World』制作当時は、睡眠も食事もろくにとらないで、夢中に なって制作していたことを思い出しますが、そういった要素は、作品の中に残ってい くようで、アルバムを聴くと感覚にダイレクトに響いてくるのを感じます。後先のこ とを顧みないで、“夢中になってやる”ということは、最近、非常に大切なこととし て感じていることでもあります。




最近個人的に好んで聴かれているCD、または今作を制作中に良く聴かれたCDを3枚ほど挙げていただくことは出来ますでしょうか? 可能でしたらコメントもお願いい たします。

I:長かった制作期間中に聴いたもので、印象に残っているものを挙げます。それぞれ、特定の時期に繰り返し聴き込んだもので、自分の経験と密接にリンクしていたために、今でも特に印象に残っているものです。


谷口一郎セレクト 左から  1. Erik Satie (Roge,Collard) 『The Four Handed Piano』(廃盤) / 2. Jacky Terrasson & Cassandra Wilson 『Rendezvous』(1997年) / 3. Keith Jarrett/Gary Peacock/Jack Dejohnette 『Inside Out』(2001年)/ 4. Gavin Bryars 『Three Viennese Dancers』(1987年)  



K:長いこと新しいものは聴いていません。古いものですが、よろしいでしょうか。僕が中学生の時に出会った作品で、今でもよく聴く一枚です。あとはThis HeatとかThe Pop GroupAksak Maboulなど、長い時間が経過しても聴くものは限られてきますね。それから60年代後半のジャズもよく聴きます。


谷口賢治セレクト  1. 23 Skidoo 『Seven Songs』(廃盤)


では最後に今後の活動予定、展望などもし宜しければ教えていただけますでしょうか?

I: 返答になっていないと思いますが、予定や展望を持たずに、制作と生活を続けら れるようになれたら良いなと思っています。


ありがとうございました!


協力: corde



moxa

2007.7.16(mon)saloon (unit B3F)
open/start 18:00〜22:00
charge ¥1,500

live:
ichiro taniguchi (reflection)

dj:
白石隆之
LisM a.k.a. go hiyama

visual:
collect.apply

information
corde inc. 03-3462-7161 info@corde.co.jp
onsa 03-3462-7179 info@onsarecords.com
unit 03-5459-8630





<corde> 作品 左から  1. RATN 『J』(2005年) / 2. Karafuto 『Shift To The Other Time: Karafuto Live Mix At Unit 28.1.2006』(2006年) / 3. Cappablack 『Facades & Skeletons』(2006年)/ 4. Takayuki Shiraishi 『Time6328』(2006年) / 5. Gramm 『Personal Rock』(2007年)  




☆ 関連アイテムリンク 
>レーベル作品をリストでみる: <corde>
>レーベル作品をリストでみる: <soup-disk>

☆ 関連インタビューリンク 
42007年4月 Jan Jelinek(Gramm)
42007年2月 Inner Science
42006年11月 白石隆之
42006年10月 cappablack
>2006年8月 Karafuto(田中フミヤ)
>2006年8月 suzukiski
>2006年4月 Conflict

☆ 関連リンク 
><corde>オフィシャルサイト
><soup-disk>オフィシャルサイト

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