寺山修司実験映像ワールド

Friday, June 1st 2007

20世紀の映像詩人＝寺山修司のもっともシュールで、
アヴァンギャルドな映像作品を収録したDVD集
『寺山修司実験映像ワールド』！

※全て、16ミリフィルム作品

戯曲、ラジオ・ドラマ、詩、小説、評論など様々なジャンルで活躍し、
既成の概念を次々と打ち破った寺山修司の才能が、
もっとも発揮されたのは、実験映画でした。

彼が、「私の詩、私の暴力、私の猥談、私の名刺」と呼んだ、
実験映画たち。

DVDは、現存する彼のの実験映画をすべて収録しており、
なかでも、初ビデオ化となる『父』は、
1977年の初上映以来、永らく失なわれていた幻のフィルム。　

また、寺山修司本人が出演している貴重な短編
『記憶のカタログ』（監督：田中未知）や、
寺山修司の全作品に関わった森崎偏陸氏ら、
当時を知る人物よる、貴重なオーディオコメンタリーが、
特典として収録。

全16作品を4枚のDVDに収録し、通常の単品販売に加え、
特製ケース付きのDVD-BOXは、1,000セット限定！

4ラジオドラマCD関連記事→職業は寺山修司です

『コンプリートＢＯＸ』

vol.1～vol.4を網羅（特典含む）

特製ケース収納

『vol.1』

本編71分

特典　萩原朔美（『檻囚』編集、映像作家・演出家）による、
『檻囚』『ローラ』オーディオコメンタリー

『檻囚』

1962～69　11分

現存する寺山修司の最初の映画。

「この作品には、寺山さんのイメージの原型が
沢山散見される」（萩原朔美）

『トマトケチャップ皇帝(短縮版)』

1971　27分

ツーロン国際映画祭審査員特別賞受賞
カンヌ国際映画祭監督週間招待

抑圧されていた子供たちはユートピアをめざし、
一斉に蜂起し、大人狩りをはじめる。

「もう我慢ならない、権力の押しつけはごめんだ。
すべての親たちは、”大人狩り”の対象にするべきだ。」
（寺山修司）

『ジャンケン戦争』

1971　12分

皇帝と将軍の2人の権力者が互いを
罰するために、際限なく、ジャンケンをする。

「この映画は、因果律による反復ではなく、
ジャンケンという遊びによって、1つの状況が
永久反復していくことを企図した作品である。」
（寺山修司）

『蝶服記』

1974　12分

カンヌ国際映画祭監督週間招待

さえぎられた映画。眼は映写機で、
眼帯は、スクリーンなのではないだろうか？

「私が、この作品の中で企図したことは、
映写機からスクリーンまでの距離のあいだを、
何らかの形で、表現過程に組み込むことであり、
この”あいだ”の認識から、出発しよう、
ということであった。」（寺山修司）

『ローラ』

1974　9分　特殊スクリーン

ベナルマデナ映画祭特別賞受賞
ベルリン国際映画祭特別上映

スクリーンの中の女優たちに、
挑発された観客は、映画の中に飛び込む。

「いままで、スクリーンの中は禁じられた聖域として、
観客と別の世界に生きていたわけであるが、
ここでは観客がスクリーンの中へ入ったり出たり、
できるのである。」（寺山修司）

『vol.2』

本編94分

特典　森崎偏陸（『審判』助監督）による、
『審判』オーディオコメンタリー

『青少年のための映画入門』

1974　3分　3面マルチ上映

3台の映写機により投影される3つの異なるイメージ。

「いかなる筋書きにも縛られず、逆に意図的に
多くの筋書きが読み取れる映像を暗示させ、
強力な覗き趣味的なアピールを持っている。
この映画を見ると、映画のはかなさ、束の間の流れを、
強く意識させられる。」（トニー・レインズ）

『迷宮譚』

1975　17分　

オーバーハウゼン国際実験映画祭銀賞
カンヌ国際映画祭監督週間招待

スクリーンはドアである。
ドアの向こう側の世界は、無限に変わってゆく。

「以前から私は、スクリーンは白い四角な布ではなく、
ドアだと考えていた。開閉が自在のスクリーンは、
釘を打ちこむことも、鍵をかけることも可能であり、
同時に世界の出入り口をも暗示する。」（寺山修司）

『疱瘡譚』

1975　31分

ベナルマデナ映画祭特別賞受賞
ベルリン国際映画祭特別上映

イメージが皮膚のように、伝染してゆく。

「映画『疱瘡譚』はイメージを皮膚の1面として、
とらえようとした実験映画である。（略）
私はスクリーンをではなく、イメージを、
”削る””割る””洗う”などしてみたいと思った。」
（寺山修司）

『審判』

1975　34分　特殊スクリーン

ベナルマデナ映画祭特別賞受賞
ベルリン国際映画祭特別上映

釘の映画。最後に観客がスクリーンに
釘を打ち込むことで、映画が終わる。

「これは、『釘の映画』である。釘の解釈学、
あるいは、1人の詩人による釘オロジーであり、
イメージの釘学大全でもある。」（岸田理生）

『vol.3』

本編106分

特典　かわなかのぶひろ（映像作家）と
鈴木達夫（『二頭女』撮影監督）による、
『二頭女─影の映画』オーディオコメンタリー

『消しゴム』

1977年　20分

シミのある映画。消しゴムで消すことのできる映画の試み。

「この映画は、記憶の修整の映画でもあるわけで、
時間の経過を通して、1人の老女の様々な過去が
よみがえってくる。」（寺山修司）

『マルドロールの歌』

1977年　27分

リール映画祭国際批評家賞受賞

『マルドロールの歌』を映像に翻訳し直した書物映画。
あるいは映像を読む試み。

「ロートレアモンの『マルドロールの歌』の一行づつの
フレーズを選択、解体し、イメージに置き換えてみる。
あるいはその文字を、水に浸してみる。
あるいはその文字のひとつひとつをナイフでえぐりとる」
（寺山修司）

『一寸法師を記述する試み』

1977年　19分

スクリーンの中の女優を撫で触ってみたい。
一寸法師がイメージを縛りあげる。

「この作品では、一寸法師に私自身の幼児性を仮託し、
同時に活動写真に対する素朴な好奇心をそのまま、
イメージ化したいとおもったのである。」
(寺山修司）

『二頭女─影の映画』

1977　15分

ベナルマデナ映画祭特別賞受賞
ベルリン国際映画祭特別上映

影が実在と入れ替わる。映画の影というのは、
影でありながら、表情を持っている。

「ここには現実と虚構、実在と幻想の関係に対する、
寺山君の考え方が隠喩化されているとみてよいでしょう。」
（松本俊夫）

『書見機』

1977　22分

読書における目と書物の間の
30センチの距離を、時間の回路として検証する。

「ここに登場するさまざまな本と本読みマシーンは、
さしずめ本の革命である。」（かわなかのぶひろ）

『父』※初ビデオ化

『vol.4』

本編75分

特典映像『記憶のカタログ』

監督:田中未知）　
出演:寺山修司

『トマトケチャップ皇帝オリジナル完全版』

1970　75分

後に『短編版』（27分）と『ジャンケン戦争』（12分）に
分割縮小された、ディレクターズカット版。

「およそ現実には起こりえない空想の出来事のように見えて、
実はこの現実のモラルや制度を無気味に揺さぶるものだった」
（松本俊夫）

プロフィール

1935年　青森県に生まれる。

54年に天才歌人として、歌壇にデヴュー。
以後、戯曲、ラジオ・ドラマ、詩、小説、評論を執筆。

60年に初めての短編映画『猫学/Catlogy』
（フィルム現存せず）を制作し、
67年には、演劇実験室「天井桟敷」を主宰し、
劇作家・演出家として活躍。

劇場映画『書を捨てよ町へ出よう』
『田園に死す』などとともに、
数々の実験映画の傑作を発表、国際的な評価を得る。

83年病没。

一歳　はじめての映画　
あけた瞼のあいだから
さしこむ剃刀の刃のような光　
太陽は私を射る最初の映写機だった

4ラジオドラマCD関連記事→職業は寺山修司です

4 寺山修司