寺尾聰、新レーベルであの名盤を...

2006年12月18日 (月)

寺尾聰がオトナ向けのエンターテインメントを創造する新レーベル"A&A"をエイベックス内に新設し、今後続々と新たな展開を行なっていくことが発表された。第1弾は寺尾自身が81年にリリースした名盤『Reflections』の2006年新録盤！

今回の寺尾聰のアルバム・タイトル『Re-Cool Reflections』の「リ・クール」というのは造語だと思われるが「新たに格好良く(クールに)なる」という意味なのだろうから、元になるものも格好良いものであったということで、まさにぴったりな表現といえる。

1981年に発売された「Reflections」は「SHADOW CITY」、「出航 SASURAI」、そして「ルビーの指環」というメガヒットシングルを収録し、165万枚を売り上げたモンスター･アルバムだ。この他の当時のミリオン・ヒッツ・アルバムは「Reflections」の売り上げには及ばない井上陽水の「氷の世界」しかない。

結局は80年代で一番売れたアルバムであった「Reflections」は、この中の「ルビーの指環」が当時のTV音楽番組で12週連続一位という記録を作ったり、3曲同時チャート・インという記録もあったりして、とにかく話題の絶えない作品だった。いまでもジャパニーズ・ポップスの金字塔としてその名を留めているこの作品は「名盤」と言って過言のない一枚だ。

さて、25年を経て新たに録音され『Re-Cool Reflections』と名づけられたこのニュー･アルバムには、前の作品と全く同じ曲目が、全く同じ曲順で収められているが、ポテンシャルはどうなのだろう。

実は正直、そのインパクトは前作の比ではないのだ。1曲目の「Re-Cool HABANA EXPRESS」から、強力なリズムにノックアウトされてしまう。ドラムにはフランク・ザッパ、スティング、ハービー・ハンコック等のサポートで知られるヴィニー・カリウタ、パーカッションは元ウェザー・リポートのアレックス･アクーニャ、ギターは今剛、ベースに高水健司、そしてキーボードには今回全曲のアレンジも担当した井上鑑という、日米の屈指のミュージシャンが集結している。

この生楽器の究極の演奏は、いまでこそ改めて評価されるポイントだろう。そしてヴォーカルがまた、圧巻。寺尾聰という個性が、俳優として、またナレーションなどで確固たるアイデンティティを築きあげてきた経験値と相まって25年前と変わらぬ、というより一層円熟味を増して音楽と絡み合っていく。これは間違いなく現代(いま)の楽曲だ。

最後に収められているボーナストラックの、往時のアレンジで演奏された「ルビーの指環1981」でさえ「新しく」聴こえるというのは、寺尾聰とミュージシャン達が「一緒にいい年月を過ごしてきた」という証であろう。当時を知る人、知らなかった人に限らず、必聴の一枚だ。

全曲試聴可！

M1.Re-Cool HABANA EXPRESS(WMA/Real)
M2.Re-Cool 渚のカンパリ・ソーダ(WMA/Real)
M3.Re-Cool 喜望峰(WMA/Real)
M4.Re-Cool 二季物語(WMA/Real)
M5.Re-Cool ルビーの指輪(WMA/Real)
M6.Re-Cool SHADOW CITY(WMA/Real)
M7.Re-Cool 予期せぬ出来事(WMA/Real)
M8.Re-Cool ダイヤルM(WMA/Real)
M9.Re-Cool 北ウィング(WMA/Real)
M10.Re-Cool 出航 SASURAI(WMA/Real)
M11.ルビーの指輪 1981(WMA/Real)