『ポーギーとベス』(1935年オリジナル版)
2006年7月11日 (火)
ガーシュウィン:歌劇『ポーギーとベス』全曲(1935年オリジナル版)
初演時(ブロードウェイ、アルヴィン劇場)のオリジナル版によるパフォーマンス、初CD化!
『ポーギーとベス』が初演されたのは1935年のこと。その公演はブロードウェイのアルヴィン劇場で行われて成功を収めましたが、実は、現行ヴァージョンとは異なった形で演奏されていたのです。このリハーサル時に使用されたガーシュウィンの書き込み入りスコアが発見され、そこに記されたガーシュウィンの指示に従って変更・追加された編集版を再現したのがこのディスクです。
1987年、音楽学者のチャールズ・ハムは、ガーシュウィンによる『ポーギーとベス』の編集(変更)に注目しました。彼は、1935年のブロードウェイ初演時にガーシュウィンがリハーサルで使ったスコアに書き残していた表記について調査した結果、そこでは、対話部分とアクションを短縮して、リピート部分をカットしていたことが明らかになったのです。また、第1幕のストリートでのお祭り場面に11の楽器編成によるバンドによるパフォーマンスを加えています。(このCDではテネシー州立大学バンドのメンバーが参加)
このオリジナル版は、現行の3時間を超える長大な作品をガーシュウィン自身の手で編集した短縮版であり、ガーシュウィン自身、この版で上演することをベストとしたとされています。対話(セリフ)部分やアクション部分を引き締めて反復を省略したことによって、音楽的充実度を高めることに成功したといえるでしょう。通常CD3枚分の長さを擁した長大な作品ですが、この録音は2枚にコンパクトに収まっています。
ここで歌っている題名役のパウエルとリスターは、2004年9月にオーチャード・ホールで行われた『ポーギーとベス』(東急文化村の15周年記念公演)に出演して好評を博しており、それぞれポーギー、ベス歌いとしての名声を欲しいままにしている逸材。そして、アメリカ音楽に精通したジョン・マウチェリーを指揮者に迎えて、まさに万全の『ポーギーとベス』演奏が登場したといっても過言ではありません。マゼール盤(DECCA)、ラトル盤(EMI)といった名盤に続く、久々の新録音の誕生です!
ガーシュウィン:歌劇『ポーギーとベス』全曲
(1935年オリジナル版)
アルヴィー・パウエル(Bs)
マルキータ・リスター(S)、
ニコル・カベル(S)
ロバート・マック(T)、他
ブレア少年合唱団
テネシー州立大学バンドのメンバー
ナッシュヴィル交響楽団&合唱団
指揮:ジョン・マウチェリー
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