ケント・ナガノ / シェーンベルク『ヤコブのはしご』&『地には平和を』
Wednesday, March 17th 2004
シェーンベルク『ヤコブのはしご』&『地には平和を』(2ヴァージョン)!
ハイブリッドSACD仕様で登場!
CD-ROMトラックには『ヤコブのはしご』全曲の音声連動手稿譜画像収録!
オラトリオ『ヤコブのはしご』
シェーンベルクの未完の大作といえば、『モーゼとアロン』が名高い存在ですが、この『ヤコブのはしご』も、作曲時期や未完成の理由は異なるとは言え、注目に値する優れた作品です。
『ヤコブのはしご』は1912年、作曲者38歳のときに構想が練られ始め、実際の作曲は1917年から1922年のあいだに、兵役による中断など含めて断続的におこなわれています。その後、1944年になって改訂の筆が加えられていますが、結局、全曲の完成をみることはなく、弟子のヴィンフリート・ツィリヒによる補筆作業により、ようやく第1部が完成されたというのがこの作品の成立事情です。
初演はまず冒頭部分が、1958年1月10日に、ハンス・ロスバウト指揮北ドイツ放送交響楽団&合唱団によっておこなわれ、補筆版初演が、1961年6月16日、ウィーン・コンツェルトハウス協会の第10回国際音楽祭で、ラファエル・クーベリック指揮ケルン放送交響楽団によっておこなわれています。
なにしろ、当初のシェーンベルクのアイデアでは、フルート20本を含む巨大オーケストラと、13人の独唱者、700人を越える合唱団、4群の別働アンサンブルを用いるという大がかりな編成が想定されており、それはまさにマーラーの『千人の交響曲』に匹敵する大規模なものでした。
実際のヴァージョンでは、そこまで大きな編成は要求されておりませんが、4群の別働アンサンブルという手法は実体化され、『交響的間奏曲』の最後では、ソプラノが左右に飛び交うなどとても面白い効果をあげています。
オーケストラは3管編成ですが、ピアノやチェレスタまで含んでおり、クラスターを思わせる轟音から透明なサウンドまで表現力はかなりのものとなっています。
台本は紆余曲折を経てシェーンベルク自ら書くこととなり、『旧約聖書』や、バルザックの『セラフィータ』終章「昇天」、ストリンドベリの『ヤコブの格闘』などからインスピレーションを獲得。この台本のみ1911年に朗読の形で初演がおこなわれ、1926年には他の台本類とあわせて『テクスト集』としてウニヴェルザールから出版。音楽が書かれることのなかった第2部の含まれた完全な形が収録されています。
筋書きは、人々の魂が、大天使ガブリエリの導きによって神のもとへ昇っていくまでを描いたもので、神智学説と人智学説の奇妙な混交に加え、バルザックやストリンドベリの神秘思想も交えて、「魂の非物質化」に至る道を、祈りや苦闘を織り込んだ形で表しています。
なお、台本を当初デーメルに依頼して断られた際に、デーメルは『生誕オラトリオ 創造の祝祭』という詩を、シェーンベルクに渡しており、一時はこれを第3楽章に、『ヤコブのはしご』を第4楽章に用いるという、合唱付きの超巨大交響曲(!)が構想されたこともありましたが、最終的には『ヤコブのはしご』を単独のオラトリオとする形に落ち着いています。
もしも交響曲の形で完成されていれば、編成面だけでなくマーラーの『千人の交響曲』と並ぶ巨大な信仰告白作品として位置付けられるのは確実でしたが、シェーンベルクはその後、『諸原理の死の舞踏』という独白劇など書くうちに、信仰に対する深い懐疑を抱くようになり、合唱交響曲の計画を放棄することとなってしまい、1922年にはオラトリオとしての『ヤコブのはしご』の作曲も中断してしまうのです。
当アルバムでは、ツィリヒ完成版を用いてシェーンベルクならではの宗教観を鮮烈に描き出しており、ディートリヒ・ヘンシェルによる鋭利な「ガブリエル」、サロメ・カンマーの寒気すらおぼえてしまうほどの「瀕死の男」などキャストも充実。ケント・ナガノの巧みな統率も実に見事です。
ちなみに「選ばれし者」のジェイムズ・ジョンソンは、ミヒャエル・ギーレンのアルバムに、「修道士」のクルト・アツェスベルガーはインバル盤(DENON 廃盤)にも参加していました。また、合唱のベルリン放送合唱団はギーレン盤とインバル盤の双方に参加しており、これが実に3度目ということになります。
『地には平和を(地上の平和)』
1907年、シェーンベルク33才のとき、無調時代に入る直前に書かれたこの作品は、無伴奏混声8部合唱のための8分ほどの短い作品ですが、平和を渇望するC.F.マイヤーによる印象的なテクストに付された不安定な調性の面白さゆえか、意外な(?)注目レパートリーともなっているようです。
もっとも、初演当時の合唱団の技術水準は低かったようで、無伴奏でこの作品の音程を保つことが難しかったらしく、4年後の1911年に、シェーンベルク自身によって、音程をとることを目的とした補助的な管弦楽伴奏を書き足したヴァージョンが書かれます。
当アルバムには、その両ヴァージョンが収録されているのですが、ケント・ナガノはその「補助的な」オーケストラ・パートを雄弁に扱うことによって、作品から濃厚な魅力を引き出すことに成功。ピュアな無伴奏合唱ヴァージョンとはまた違った雰囲気が興味深いところです。
アルノルト・シェーンベルク:
■『地には平和を』 op.13(管弦楽伴奏版:1911) 7:25
■オラトリオ『ヤコブのはしご』
ガブリエル:Ob rechts, ob links 10:36
ガブリエル:Gleichviel! Weiter! 0:21
指名された者:Ich suchte die Schoenheit 3:01
ガブリエル:Du bist immerhin zufrieden 1:17
扇動的な男:Geboten gehorchen 1:17
ガブリエル:Dies Entweder und dies Oder 0:41
奮闘する男:Alter Weisheit 2:58
ガブリエル:Gegen seinen und euren Willen 1:45
選ばれし者:Ich sollte nicht naeher 3:04
ガブリエル:Hier hast du Auge und Ohr 2:34
修道士:Herr, verzeich meine Ueberhebung! 2:29
ガブリエル:Wie du doch schwankst 2:48
瀕死の男:Herr, mein ganzes Leben 3:20
魂:Nahst du wieder dem Licht? 2:26
女声の高い声と魂(交響的間奏曲)5:53
■『地には平和を』 op.13(無伴奏合唱版:1907) 8:21
ディートリヒ・ヘンシェル(ガブリエル)
ヨナス・カウフマン(指名された者)
シュテファン・リュガマー(扇動的な男)
ミヒャエル・フォッレ(奮闘する男)
ジェイムズ・ジョンソン(選ばれし者)
クルト・アツェスベルガー(修道士)
サロメ・カンマー(瀕死の男)
ハイディ・マイアー(魂)
ベルリン放送合唱団
サイモン・ハルジー(合唱指揮)
ベルリン・ドイツ交響楽団
ケント・ナガノ(指揮)
2003年4月、ベルリン、N.L.G.スタジオ1におけるデジタル録音
プロデューサー:マーティン・ザウアー
エンジニア:トビアス・レーマン
編集:ルネ・メドラー
SACDレイヤー:DSDマルチ・チャンネル、2チャンネル・ステレオ
CDレイヤー:2チャンネル・ステレオ
CD-ROMトラック:『ヤコブのはしご』全曲の音声連動手稿譜画像収録(Windows & MAC, FLASH)

Choral and VocalLatest Items / Tickets Information
for Bronze / Gold / Platinum Stage.
featured item
Import
Die Jakobsleiter, Friede Auf Erden: Nagano / Berlin Deutsches.so, Etc
Schoenberg, Arnold (1874-1951)
Price (tax incl.):
¥3,247
Member Price
(tax incl.):
¥2,988
-
Deleted
%%header%%![]()
%%message%%

→特集ページ
Import
Christus Am Olberge: Nagano / Berlin Deutsches So Domingo: Orgonasova A.schmidt
Beethoven (1770-1827)
Price (tax incl.): ¥4,059
-
Deleted
%%header%%![]()
%%message%%

featured item
Import
Transcriptions: Nagano / Soloistsof Lyon Opera.o
Schoenberg, Arnold (1874-1951)
Price (tax incl.):
¥1,540
Member Price
(tax incl.):
¥1,340
-
Deleted
%%header%%![]()
%%message%%

