ヒップホップ史に残る事件Biggieと2Pacの死に迫ったドキュメンタリー

Friday, November 28th 2003

2002年のサンダンス・フィルム・フェスティバルで最も話題になった作品の一つがこの作品「Biggie & Tupac」だ。既に輸入VHSはりリースされていたが、全ヒップホップファン待望の日本版が登場だ！

ニック・ブルームフィールド監督が、Notorious B.I.G.ことBiggie SmallsとTupac Shakurの未解決の殺害事件に関する調査・制作したドキュメンタリー・フィルムであり、この映画はLos Angeles Times紙が“Who Killed Tupac Shakur?（Tupac Shakur殺害の犯人は？）”という記事を掲載してから3週間後に公開され全米で話題となった。

1996年9月6日、2 Pac(Tupac Shakur)はラスヴェガスで行われたマイク・タイソンとブルース・セルドンの試合を観戦後、シュグ・ナイト邸に立ち寄り、彼の経営するクラブへ行く途中であった。車に乗っていた2 Pacは、近付く白いキャデラックから降りてきた2人組の男に射撃される。そして1週間生死を彷徨い、遂に13日帰らぬ人となった。

一方、Notorious B.I.G.(Biggie Small)は、1997年3月8日、ロサンゼルスで行われた『Vybe』誌とQwestレコード主催のSoul Train Music Awardsの記念パーティからの帰り襲撃された。BiggieはChevy Suburbanに乗りながら通りに出てくる出席者を見ていたところ、通りかかったセダン車から発砲された数発の銃弾を受け死亡。3月9日、享年24歳であった。

当時この2つの未解決死亡事件はショッキングなニュースとして報じられ、様々なメディアが関連性を疑い検証した。そして「西vs東」という単なるラップバトルからギャング団が絡んだ抗争にまで疑惑は巨大化していった。

そして 昨年、Los Angeles Times紙が“Who Killed Tupac Shakur?”というセンセーショナルな記事を掲載し大きな波紋が広がる。故Notorious B.I.G.が2Pacの殺害に関し、ギャング団に報奨金を支払ったと報じたその内容に、Biggieの家族や多くのアーティストが怒りをあらわにした。 そしてその記事が掲載された3週間後、このドキュメンタリー「Biggie & Tupac」が、NYとロサンゼルスで公開されたという何とも皮肉な展開が待っていたのだ。

「Biggie & Tupac」は、'97年に起きたNotorious B.I.G.の殺害事件を取材していたブルームフィールドは、元捜査官Russell Poole氏とBiggieの母親、Biggieの弟分Lil' Ceaseら親しかった人々にインタヴューを行なった。 2 Pacに関しては彼の地元、さらに刑務所に収監されていたSuge Knightや彼の家族、事件を担当した警察官らをに取材を行っている。

この1本のDVDを見ただけで、2つの事件の真相が全て解明される訳ではない。Biggieと2 Pacが亡くなってしまった今、真実は闇の中だ。ただ、この類い稀なる才能を持つラッパー2人が、銃弾に倒れてしまった衝撃の事実を、私達リスナーはこのドキュメンタリーを通じて改めて痛感することになるだろう。