アントニーニ&イル・ジャルディーノ・アルモニコ、バイエルン放送合唱団/カリッシミ:『ヨナ』、モンテヴェルディ:『アリアンナの嘆き』、他

2025年12月01日 (月) 18:00 - HMV&BOOKS online - クラシック


バイエルン放送合唱団がアントニーニの指揮で
ルネサンス後期から初期バロックのレパートリーに挑戦した興味深い1枚


「オラトリオの父」とされるジャコモ・カリッシミ[1605-1674]の『ヨナ』は『イェフタ』と並ぶ彼の代表作で、旧約聖書のヨナ書の内容を題材としています。鯨に飲み込まれて3日間過ごした後に吐き出されたヨナは、3日後に復活したイエスを思わせることからキリスト教の重要な預言者とされ、中世以後に彼を題材としたさまざまな芸術作品が作られました。カリッシミの作品は複数の語り手が物語を進め、ヨナ、神、船乗りが歌う内容で、海の嵐の様子を8声の合唱で表現するなど劇的な音楽となっています。ここでは、ヨナを演ずる美声のテノール、ハン・キュウウォンをはじめとするバイエルン放送合唱団所属のソリストたちが神に従うべきか葛藤するヨナの心理を描き出し、生き生きとした合唱とイル・ジャルディーノ・アルモニコの腕利きの器楽奏者たちもドラマを大いに盛り上げます。
 クラウディオ・モンテヴェルディ[1567-1643]の『アリアンナの嘆き』は、失われたオペラ『アリアンナ』の白眉となった歌を基にモンテヴェルディ自らが5声のマドリガーレに仕立て直した作品。英雄テセウス(テーゼオ)に見捨てられたアリアドネ(アリアンナ)の絶望を歌う音楽で、モンテヴェルディの苛烈なまでの表現力が炸裂する傑作です。現在では小規模の声楽アンサンブルで歌われることがほとんどであるこのマドリガーレを、比較的規模の大きい合唱団(ブックレット内の写真では総勢42名)の精緻かつ表現力豊かな歌唱で聴くことで新たなる発見があることでしょう。
 オルランド・ディ・ラッソ(オルランドゥス・ラッスス)[1532-1594]『聖ペテロの涙』は、イエスの裁判の時にイエスとの関係を否定してしまった弟子ペテロの深い懺悔を題材とする連作宗教的マドリガーレで、最晩年のラッソの信仰告白ともされる傑作です。一方『シビラの預言』は彼の20代の作品で、ジェズアルドを想起させるほど多くの半音階進行が用いられ、ラッソの作品中でも異彩を放つもの。バイエルン放送合唱団は両曲に見事なアンサンブルを聴かせます。
 古楽演奏の最前線で活躍してきた鬼才アントニーニにとってこれらのレパートリーは十八番であり、定期的に共演を重ねているバイエルン放送合唱団の実力を存分に発揮させています。
ジャケット絵画:ピーテル・ラストマン[1583-1633]「ヨナとクジラ」(輸入元情報)

【収録情報】
● カリッシミ:オラトリオ『ヨナ』


 ハン・キュウウォン(テノール/ヨナ)
 ケルシュティン・ローゼンフェルト(アルト/船乗り)
 ニコラス・リース(バス/神)
 マグダレーナ・ダイクストラ(ソプラノ/語り手)
 マライケ・ブラウン(アルト/語り手)
 アンドレアス・ヒルトライター(テノール/語り手)
 コルビニアン・シュラーク(バス/語り手)

● モンテヴェルディ:アリアンナの嘆き

● ラッソ:宗教的マドリガーレ集『聖ペテロの涙』より

 I. かの高潔なペテロは
 II. だが弓となった
 III. 3回、彼は誓って言った
 VI. このようにたとえ俗事に
 XI. 彼の涙は
 XII. その顔は死人のような
 XIII. 哀れな男は見た
 XV. 去れ、命よ、行け
 XVIII. 私の信仰がこれほど
 XX. わが主を否認するのは
 XXI. 見よ、人よ

● ラッソ:『シビラの預言』より
 プロログス
 ペルシアのシビラ
 キンメリアのシビラ
 クマエのシビラ

 バイエルン放送合唱団
 マックス・ハンフト
(オルガン、合唱指揮)
 イル・ジャルディーノ・アルモニコ(古楽器使用)
 ジョヴァンニ・アントニーニ(指揮)

 録音時期:2024年11月22,23日
 録音場所:ミュンヘン、プリンツレゲンテンテアター
 録音方式:ステレオ(ライヴ)

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