ルセ&レ・タラン・リリク/サリエリ:歌劇『タタールの大王キュブライ』(2CD)
2025年05月01日 (木) 17:00 - HMV&BOOKS online - クラシック

200年以上忘れ去られてしまったサリエリのオペラが、
ルセ&レ・タラン・リリクの最高演奏で復活!
ルセ&レ・タラン・リリクのサリエリ・プロジェクト、待望の最新盤は『タタールの大王(カン)、キュブライ』。キュブライとはフビライ、カンはハン、つまりモンゴルを舞台にしていると見せかけて、実はピョートル大帝への批判や宮廷への風刺が込められた作品です。当時の政治状況から検閲の対象となり初演さしとめとなったこの作品は、その後上演されず、そのまま忘れ去られてしまいました。サリエリの熱烈な擁護者であるレ・タランス・リリクとその指揮者クリストフ・ルセの最高の演奏で、オリジナル版での復活が実現しました!
サリエリの『タタールの大王(カン)、キュブライ』(1788年)の台本を手掛けたのはジョヴァンニ・バッティスタ・カスティ。ダ・ポンテのライバル的存在でした。サリエリのオペラで当時大センセーションを巻き起こした『トロフォニーの洞窟』はカスティの台本によるものでした。そしてその後もう一作の共同作業を経て、サリエリはカスティをリブレッティストにすると決めたのです。2人の共同作品はその後ひとつも舞台にかけられることがなかったことは想像もしなかったでしょう。また実際にこの作品の台本が仕上がってきたとき、サリエリはボーマルシェと組んだ『タラール』にかかりきりで、カスティの気を悪くさせたりもしていました。
宮廷の役人が陰謀を企て、自分の息子は隣国の王女に結婚を拒否されるほど間抜けで、挙げ句の果てにはイタリア人冒険家カップルが国の伝統に干渉してくるこの作品は、モンゴルを舞台にしているように見せかけて、描かれているのは実際にはヨーロッパの王宮、とりわけロシア皇帝の宮廷です。ヨーロッパにおける啓蒙主義の真の精神に則り、著者たちが提起した中心的な問題は、権力者が国土に対する責任にどう対処するかということでした。しかし、ロシアは神聖ローマ皇帝ヨーゼフ2 世の同盟国であったため、1787年のオーストリア・トルコ戦争勃発後に完成したこの作品の初演は取りやめとなり、上演されることはありませんでした。その結果、コメディア・デラルテの喜劇を取り入れながら痛烈な風刺を持つ、18世紀で最も珍しいオペラのひとつは、200年間もの間忘れ去られていたのです。
この作品のエキゾチックな風景は、風刺的で批評的な内容の隠れ蓑にすぎません。カスティが描く登場人物は当時の喜歌劇のスタンダードとは根本的に異なっています。タイトル・キャラクターは啓蒙的な君主の理想像ではなく、冷酷な独裁者、専制的で好色、独断的な支配者として描かれています。礼儀作法に欠け、タバコを吸い、酒を飲み、暴言を吐き、常に侮辱と罵声を浴びせる。自由奔放な男には浄化も罰さえもないので、観客の道徳的満足は必然的に満たされないままです。キュブライの粗野な性格は、サリエリが支配者の怒りの爆発を音楽的に表現するために用いる、より大きな音程の跳躍と高音の高揚感に表れています。一方、彼と彼の取り巻きたち〜ボッツォーネ、メンマ、そして熱心すぎる司会者オルカーノ〜は、言葉の急速な滝のような流れ、軽快なジングシュピール風のパッセージで、キュブライとは区別して描かれています。『キュブライ』はピョートル大帝とその宮廷に対する風刺であり、貴族と聖職者に対する批判も散りばめられていることがわかります。(輸入元情報)
【収録情報】
● サリエリ:歌劇『タタールの大王(カン)、キュブライ』全曲
ミルコ・パラッツィ(バス/キュブライ)
アニチオ・ツォルツィ・ジュスティニアーニ(テノール/ティムール)
マリー・リス(ソプラノ/アルツィーマ)
アネアス・フム(バリトン/ポセガ)
ファビオ・カピタヌッチ(バリトン/オルカーノ)
ジョルジョ・カオドゥーロ(バリトン/ボッツォーネ)
アナ・キンタンス(ソプラノ/メンマ)
ロランヌ・オリヴィア(ソプラノ/リピ)
ナミュール室内合唱団
レ・タラン・リリク
クリストフ・ルセ(指揮)
録音時期:2024年7月4-7日
録音場所:フランス、ラ・セーヌ・ミュジカル
録音方式:ステレオ(デジタル)
収録時間:78分+83分
世界初録音
19件中1-19件を表示
表示順:
※表示のポイント倍率は、ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。