激ロック×HMV&BOOKS online vol.140

GENRE：LOUDROCK
新ベーシスト MINAと共に新章へ
モダンでラウドな初のフル・アルバムをリリース
昨年2024年12月に新体制始動を宣言したEast Of Edenが、それから3ヶ月足らずで放つ初のフル・アルバム『The First Eden - Seeds Of Hope』。制作陣にMEG（MEGMETAL）、丸山 漠（a crowd of rebellion／Gt）等新たなパートナーを迎えた楽曲たちは、よりモダンでヘヴィにビルドアップ。新メンバーのMINA（Ba）が多彩なフレージングで存在感を示すTrack.1「Shooting Star」、凄絶な和風プログレッシヴ・メタルコアのTrack.3「Darkside Lotus」は即効性十分だ。シーケンスやエディットも駆使しており、確かな技巧を持つ彼女たちが生演奏に固執しなくなったことは、逆説的に一塊の強固なバンドとしての進化を示している。
サイトウ マサヒロ【ライター推薦】

GENRE：SYMPHONIC METAL
花の散り際にこそ美を感じる大和心が息づく
Unlucky Morpheusのニュー・シングル
織田信長が没した後、天下統一を果たした豊臣秀吉が1594年に催したという吉野の花見。なんでもそこには徳川家康、前田利家、伊達政宗等名将たちが顔を揃えたらしい。このたび早春に発表されるあんきもの新曲「SAKURA chevalier」の歌詞中では、“騎士”という言葉が使われているものの、わびさびの香りに彩られた美旋律と、あんきもらしい劇的メタル・サウンドで綴られるのは、“誠の心”を求道するために闘う誇り高き者の姿だ。なお、カップリング「落花流水」は、2014年に発表された1stオリジナル・フル・アルバム『affected』収録曲の新録版。花の散り際にこそ美を感じる、大和心というものがここには確かに息づいている。
杉江 由紀【ライター推薦】

GENRE：LOUDROCK
和の旋律×BPM168のボム・ブラスト！
安倍晴明がモチーフの新作到着！
悪しき気は祓われ、やがて清き静謐へと返るだろう。“MUSIC THEME PARK”を標榜するBabyKingdomが、このたび音楽という形で描き出すのは平安時代の陰陽師にまつわる物語。昭和末期に日本で生まれたヴィジュアル・メタルの概念を、この現代においてたおやかな和旋律と激烈なボム・ブラストを用いながら新構築していくにあたっては、先輩である己龍 酒井参輝（痛絶ノスタルジック代弁第壱人者兼ギター）から伝承された技術を活かした部分も多々あったという。心洗われる「水天一碧」と雅びやかな「花鳥風月」も曲調こそ違えど趣深く、いずれも完成度を追求するあまり“真面目すぎる”ものになってしまったと語る彼等の、眼に宿る真摯さは眩しくもある。
杉江 由紀【ライター推薦】

GENRE：HARDCORE, MIXTURE
“JR CHUO LINE HARD CORE”バンド、ヱヰ十
リヴィング・レジェンド ラッパ我リヤとのコラボ曲収めたシングル
“JR CHUO LINE HARD CORE”バンドのヱヰ十が、ヒップホップ・シーンのリヴィング・レジェンドであるラッパ我リヤをフィーチャリング。シャウト・ヴォーカル＆3MCの濃密なマイクリレーを繰り広げる。毎年8月8日（＝ヱヰ十の日）の自主企画にて3年連続で共演していることもあってか、そのコンビネーションは盤石だ。楽曲全体を通して自在に重心を上下させることで一切の弛緩を許さずに乗りこなしている。とりわけ、タイトなグルーヴで、Mr.Qと山田マンによるいぶし銀なライミングの切っ先をさらに鋭く尖らせる、楽曲中盤の展開は文句なしにカッコいい。アングリー且つイーヴルに疾走し叩き落とす「同情」も収録。
サイトウ マサヒロ【ライター推薦】

GENRE：PUNK ROCK
結成30周年を迎えたBRAHMANのルーツと挑戦！
90年代以降の日本のロック史を語る上で欠かすことのできない存在、BRAHMAN。結成から30年、常にライヴ・シーンの最前線にいた彼等の神髄を見ることができるこの最新作は、まっすぐにルーツを見つめ直した内容となった。バンドがこだわりを持ち続けている民族音楽の要素や、サウンド以上に“パンクである”ことの意味、サウンドと精神面双方に研ぎ澄まされた30年の重みが感じられる。ルーツと言えば、少し意外なのは本作に収録されているMOTÖRHEADのカバー「Ace Of Spades」。原曲のアグレッションにBRAHMANの手癖が入って、不思議な程マッチした良カバー。こういった挑戦的な姿勢もまたこのバンドが錆びつかない理由なんだろうなと思う。
山本 真由【ライター推薦】

GENRE：LOUDROCK, PUNK ROCK
一時代を作り上げた3バンドの共演
共闘、ファイナルへ
HEY-SMITH、coldrain、SiMの3バンドによるムーヴメント“TRIPLE AXE”。単なる対バンではなく、信頼し合い、同時にライバルでもある特別な関係の3バンドがぶつかり合う場所、そんなイメージだったそのTRIPLE AXEが、2024年を1つの区切りとして締めくくられた。本作は、そのファイナル・ツアー幕張公演をドキュメンタリーと共に完全収録した映像作品だ。3バンドそれぞれの鬼気迫るライヴ・シーン、アツく語られたMC、そしてTRIPLE AXE名義の楽曲の貴重なライヴ・バージョン。音楽スタイルも出身地もバラバラな彼等を結び付けてきたライヴへのこだわり、音楽にかける情熱。その集大成となったラスト・ツアーに、胸が熱くなる。
山本 真由【ライター推薦】

GENRE：HARD ROCK
今年デビュー20周年を迎えるGRANRODEOの歴史を
3枚組全45曲の大ボリュームで届けるベスト盤
“Road to G20th”を掲げて駆け抜けた2024年を経て、今年デビュー20周年を迎えるGRANRODEOのベスト盤。数々のアニメ作品等を彩ってきたタイアップ曲を中心としたDISC1＆2、c/w曲を中心とした名曲揃いのDISC3と、彼等の20年の歴史が3枚組全45曲の大ボリュームで届けられた。またこれまでも主題歌を務めてきた“文豪ストレイドッグス”の新作ゲームとのタイアップが決定している、ミステリアスな雰囲気漂う「魔ガツ夜ハ青ナリ」と、昨年発表したe-ZUKA（Gt）のソロ・アルバム収録曲にKISHOW（Vo）がフルで歌詞を付けたバラード「HOPE for YOU」の2曲の新曲も収録。後者には原曲から引き続きファンの声が収められ、ライヴで共に歌えば感涙必至だ。
内堀 文佳【ライター推薦】

GENRE：LOUDROCK
効率ばかりが重視されがちな現代社会で
人間らしく“本能的に生きること”をテーマに据えたΛrlequiΩの新作
技術革新が進み、便利なツールがますます増えていく一方で、効率ばかりが重視されてしまいがちな現代社会。だからこそ人間らしく心を震わせること、“本能的に生きること”の重要性をテーマに据えた1曲を表題に、ΛrlequiΩが今年最初のシングルを発表。最近は暁の歌を聴かせる楽曲が多かったが、今作ではサウンド面でもそのテーマを体現するかの如く、まさに“命に血を通わせる”ために足を運ぶ場所であるライヴで存分に暴れられるような、アグレッシヴなナンバーに仕上がった。c/wも“生かされるより　生きていたいんだ”と歌う「「」 IN THE SHELL」、“心が求めるのは　便利や完璧さじゃない”と語る「バール」（※通常盤収録）と、一貫したメッセージが届けられている。
内堀 文佳【ライター推薦】

GENRE：INDUSTRIAL ROCK, POST-PUNK
90年代ヴィジュアル系の意思を令和の時代に受け継ぐ
作曲家／ヴォーカリスト 宙を中心としたバンド・プロジェクトの2nd EP
90年代ヴィジュアル系の意思を令和の時代に受け継ぐ、作曲家／ヴォーカリスト 宙を中心としたバンド・プロジェクトの2nd EP。前作EPや2ndシングルまではニュー・ウェーヴ〜エレクトロ色が強かったところ、本作ではよりダークでインダストリアルな方向性にシフト。SE「GATE1/6」から、静と動の緩急で心を掴むリード・トラック「HELLLLLLLL」、ビート感がクセになる「COME ON」、「DO U WANNA???」、クワイアがゴシックで耽美な雰囲気を増幅させる「=DiABOLiSM」と、コンパクトながら一気に作品の世界観に没入させる充実の内容だ。CD版のみ収録の、特にバンド・アンサンブルの存在感が前面に押し出された「TRICK-WORLD」も要チェック。
内堀 文佳【ライター推薦】