【全曲解説】Are Square『Let's Go To Eat Crab's Club』
2025年02月28日 (金) 18:00
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全曲解説テキスト by Maru(Vo) KAYA(Gt) 上田カズアキ(Ba)
1. Super Sonic
永遠にすら感じる人生の中で、感情を突き動かされるほどに美しい時間はいつも一瞬で過ぎ去ってしまう。『今』という刹那の膨大な積み重ねが100年余りのこの命に
なるのなら、これから先はできるだけ多くの美しさを、その瞬間にしか生まれないエネルギーを重ねて一生を作っていきたい、という思いから曲を作り始めた。
『super sonic』という単語は『音を超える』という意味を持つが、自らが発する音、バンドとして発する音のその先にあるのはいつも、喜び、慈しみ、悲しみ、怒り、
その他生きていて生まれてくる様々な感情であり、そんな僕たちの発するスーパーソニックが、聞いている誰かの美しい時間を作ることができたら素敵なことだと思う。
音よりも先に感情が届く、そんなバンドでありたい、人間でありたいという願いを込めて作った一曲。(Maru)
2. BANG!!!
コロナ禍に書いた歌詞にメロディをつけ、バンドの曲として昇華している。
当時はライブハウスだけでなく、街も、家も、電車の中も、学校も、行くところ全てに靄がかかったような息苦しさを感じ焦燥感に駆られてこの歌詞を
書いた。ステージの上でスパークしたいという行く当てのない感情を曲という形でアウトプットすることでしか、心身の整合性をとる術がなかった。
ちょうどその頃セッションイベントでカズ君、KAYA君、Hikageと出会い、演奏を聴いて、何かを撃ち抜かれた気がした(爽快)
あーこの人たちもかますべき時を待っている人たちなんだなぁとか、俺がボーカルならもっとかませるのになーとか、客席の中で漠然とそんなことを考え
ていた。実際に自分もその中でセッションをしていくうちに、この気持ちは徐々に確信に変わり、半ば強引にメンバーに誘った。めちゃくちゃ電話したり
LINEしたり、相当しつこかったと思う、多分死ぬほど焦っていた。誰かと一緒に音楽をやったことなど一回もなかったけれど、ここが俺のかますべき場所、
かますべき時なんだと本気で思ったし、おそらく今後も思い続ける。過去の、今の、そして別の未来の自分の想定を超えるために音楽をやっている。新た
な景色を、刺激を求めて音楽をやっている。素直な感情を言葉に、音に乗せることで自分を好きでいるために、幸せになるために音楽をやっている。
誰のためでもなく自分のために。側からみれば自己満で身勝手な考えかもしれないが、この曲を聴いた人、ライブで見た人がそんな俺たちの姿を見て自分
のエゴに嘘をつかず、それぞれのステージで命を燃やそうと思えるような、人生の起爆剤的な曲でありたいと思っている。(Maru)
3. カミナリバナ
この曲は2023年2月頃にメンバーに初めて聴かせて、そこから暫くの間あっためていました。最初期は2022年10月頃制作に取り掛かり、まだまだ曲が少ない中で、
他の曲に負けないパッションを求めると同時に「Are Squareには何ができるのか」を模索し、僕たちのプレイの中にある特性や個性を詰め込みながらもより聴きやすい
曲作りを目指しました。1st EPの発表後、じゃあ次はどれを出そうかってタイミングで皆にデモをいくつか聴いてもらった中で、割と早い段階でこの曲に決まりました。
デモの時点でメロディラインは完成していましたが、初期のバッキングトラックはもっと荒削りでライブの中でよりセッション感も出せるような形にしてて、その感じも
すごく好きだったけどその後レコーディングまで1ヶ月半ほどの期間があり、そこに向けてアレンジをしていく中でMaruから歌詞が送られてきてその歌詞を読みながら
制作を進めていくと、段々この曲の聴こえ方や印象が変わってきたんです。Maruが歌詞の中で伝えたいことを大切にしながら、「Are Square」として対等にひとつの
グルーヴを作り出す。この曲はその方が似合ってるなっていうか、そのほうがカッコ良いって。基本的にAre Squareの曲を作る時は、「ライブでいかに化けさせられるか」
という部分もかなり大切にしながら作っていて、それはメンバーが持つポテンシャルを信頼しているからでもあり、どんな面白い音を聴かせてくれるの?っていう
挑戦状でもあったりして、僕自身も各パートのフレーズが、メンバーのライブでのテンション感で変化していくことを求めて作っているんですが、その中でも
『カミナリバナ』はセッション曲というよりも「歌」としての存在感のある曲に仕上げられたと思ってます。
ぜひともライブでは体を揺らして、飛び跳ねて、拳を掲げて、声を出して、お楽しみくださいませ。(KAYA)
4. Otherside
この曲は基本的には前向きで未来に向かっていくような曲です。『Otherside』とは今の選択をしなかった別の世界線のことであり、サビにあるどうだい?というのは別の世界線を生きる自分に問いを投げかけています。あちらの返答は歌詞には書いていませんが、こちらは最高だよと、つまりこれはとにかく大丈夫だから心配するな
という含みがあります。しかしあちらの返答をしたのも自分なので、おそらくしんどくても正直なことは言わず同じようなことを言ったんだと思います(笑)
なのでこちらは安心してそうかいと言える。つまり今の道を正しく信じて歩いていけます。どんな選択をした世界線でも平等に楽しいことも大変なこともあり、
楽な道がないことはお互いに知っているので、今の自分が無事ならばあっちの自分も無事にやってるだろうという想像です。しかし伝わって欲しい部分としては
もっとラフな部分です。とにかく大変なこともあるけど楽しくがんばってこう!っていう曲ですね。(KAYA)
5. Wasted Youth
この曲は、今現在悩みながら挑戦を続けるうら若き少年少女たちへの青春讃歌でもあり、音楽に限らず「今あなたが持つ悩みや苦しみ努力している日々は必ず未来に繋がるよ」というメッセージを込めています。その少年少女とはつまり過去の自分であり、そしてもちろん青春は現在進行形なので、今現在挑戦する熱意も無駄にしないぞという決意の意味も
込められています。当時は僕の覚悟を何も知らない人たちに、音楽なんて無駄だと一蹴されたり嘲笑の目で見られてしまうこともありました。音楽に人生を預けるなんて
「青春の浪費」だと言われてしまっていたんです。しかしそれから時が経ち今僕たちは音楽を作ってたくさんの人たちと関わらせていただいていて、それが生きる活力になっています。
タイトルのWasted Youthとは『青春の浪費』という意味であり、これには「ロックと共に青春を浪費」した僕たちがたくさんの人と繋がり音楽を通じて人生を謳歌していて、
あの頃「青春の浪費」だと言われてしまったことは決して無駄なんかじゃなかったぞ!と、当時言われて悔しかったことへの皮肉の意味も隠されています。(笑)
Dr.Hikageのイントロから入ってるフレーズが爆イケです。(KAYA)
6. アイマイナアイニ
この曲は僕が二十歳の時に書いたのですが実は8割がフィクションです。(笑)小説を書くように物語をイメージして、登場人物の「僕」の感情を想像しながら作詞した記憶があります。登場人物の「僕」というのは性別はどちらでもよくて明らかに脈がない異性への半ば諦めに近い恋心を少し陰鬱な音楽と共に表現しています。
1Aでは気分が浮かない朝から始まり、その日相手と会うのですが勝算がないことは分かっていて、そのためブリッジ部分ではヤケになり愛のない遊びの関係を続ける
人々を嘲笑し卑屈になってます。とりあえず、とりあえずで関係を進めようとするのですが「僕」の相手への想いはただただ一方的な感情で2Aの歌詞では会話が止まり、
音が止まりその瞬間に心臓が止まりかけたような気持ちになり、しかもお酒を飲んでるのは自分だけです。やばい!全くもって脈がない!その関係はもはや気まずくすら
なってしまっています。しかしアウトロ部分「曖昧な愛には戻れない」つまり「僕」にとって曖昧にしておきたかった想いはいつしか真剣な想いになってしまい絡まった
感情の網にとらわれたまま初めに戻る、というのが曲の流れです。報われないことが分かっていても、誰かのことを真剣に想ってしまっている
そんな人々に捧げたい曲です。(KAYA)
7. WE GOTTA RED HOT
愛とリスペクトを込めて……。音色も当時の香り漂う感じにしていただき、最高に心くすぐられる曲になりました。今回もガヤ芸人いや、「ガヤ職人」たちが超活躍してくれました。何気にギターソロ一番お気に入りかもしれません。(KAYA)
8. To The Destination
Rage Against The Machine / Red Hot Chili Peppers / Limp Bizkit / RIZE / LINKIN PARK / ONE OK ROCK 自分のルーツをこれでもかと詰め込んだ一曲。目的地へという
意味のタイトルだが、これは目的地のみを気にしてただ上を見上げるだけの人生に対するアンチテーゼでもある。人生を小説に例えると、毎日毎日が旅の一ページであり、
誰も初めから最後のページを読もうとはしない。しかし小説と違うのは、前のページに戻って読み返すことは不可能であるということ。失敗して、つまずいて、
時に転ばされて、それでも無様に自分の足で立って、目的地にたどり着くために今目の前にある一瞬に全てをかける。生まれ持った命を、延ばすためではなく使うために
生きる。理不尽なこの社会で挫けそうになる自分の心を奮い立たせるために、そして、同じように立ち上がる勇気を持ちたい人の背中を押すためにこの歌詞を書いた。
ドラムの唸るような激しいビート、中間のベースソロ→ギターソロの流れが本当に好きで、楽器隊のレック中に独り興奮していた。
刺さる人にはめちゃくちゃ刺さる、かた濃い多めな一曲。(Maru)
9. SMASH
一番最初に世の中に出した一曲。進撃の巨人のOPにこの曲をはめると、最高に気持ち良いのでぜひお試しあれ。唯一ベースがルートを刻む曲で時折アクセントとしてスラップなど入れています。ポイントはAメロラップパートのベースラインで、ダークな雰囲気もありつつ、ドラムのタムとベースラインが絡まることによって民族的な
雰囲気に聞こえるイチオシのパートです。その後のBメロもガラッと雰囲気が変わって家系ラーメンにニンニクを入れたときと同じ感動が得られると思います。
お試しあれ。(上田カズアキ)
10. RIDE ON
この曲だけ上田が作曲しました。特にお気に入りなのはサビ前のパートで、Nothing's Carved In Stoneをめちゃくちゃに意識しており、レコーディング前までは割と
手数も多いパートだったのですが、ひなっち大先輩Likeにしてやろうと音数を抑えNothing's Carved In Stoneテイストに仕上げました。
サビはNirv……(上田カズアキ)
11. Holding My Breath
2年前くらいにギターと歌のみでデモを録って眠らせていた曲を今回バンドアレンジした。メロディは30分もかからずにできてしまい、歌いながら歌詞も気づいたら
できていた、あまり考え込まずに作った直感的な曲だと思う。今まで作った曲の中では初めてのラブソングであるが、自分の恋愛について歌うことがこれほど恥ずかしい
ことなのかとレックブースに入って初めて気づいたので、世のバンドマンに対する尊敬がより深まった。(Maru)
12. GLORY
この曲は音色で遊びました。クランチでストラトキャスターをハーフ・トーンにしたり、そこにMXRのPhase 90をかけて野生的なエフェクト感を足してみたり。
Cメロ部分ではややダークな雰囲気の展開があるんですけど、そこではFUZZトーンのギターフレーズからそのままソロに繋がるんですが、FUZZ踏みっぱなし
なんですよね。最高です。前日の夜からそこ録るのが楽しみすぎてワクワクしながら寝たんですが、その日夢のお告げで言われたんです。
“FUZZを踏め。そこにギターソロがあるなら。”と。GLORYはライブでもFUZZいっぱい踏めるしすごい良い曲です。(KAYA)
Are Square『Let's Go To Eat Crab's Club』
GENRE:MIXTURE, LOUDROCK
ラウドに、ファンキーにフロアを熱くする
八王子発のロック・バンド、Are Squareの1stアルバム
メンバーが主催していたセッション・イベントで出会った4人(リズム隊の2人はマキシマム ザ ホルモン2号店のオーディションで最終選考まで残った逸材)によって結成された、八王子発のロック・バンド、Are Squareによる初のフル・アルバム。彼等のルーツにあるRED HOT CHILI PEPPERSをはじめとした、ラップ・ロック的な凄まじいグルーヴでフロアを沸かす楽曲もあれば、バンドのスケール感を押し広げたアンセム「Super Sonic」や、メランコリックな空気を纏った「Otherside」に、王道ロック・バラードな「Holding My Breath」といった、多彩な表情を見せるメロディアスな楽曲も収録した。今後の期待にひたすら胸が高鳴る1枚。
山口 哲生【ライター推薦】
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