激ロック×HMV&BOOKS online vol.125

GENRE：LOUDROCK
念願のフェス出演を経て辿り着いた充実の14thシングル！
ゲームや劇場版作品で描かれていたバンド結成時の目標である大型フェスへの出演をリアル・バンドでも実現させ、さらに野外フェスへの出演をも経験し大きな成長を果たしたRoseliaが放つ14枚目のシングル。表題曲を一度聴けば、誰しもその場でライヴでの大合唱の光景が目に浮かぶだろう。圧倒的にライヴ映えする今後の代表曲を筆頭にしつつ、今のリアルなRoseliaの状況とも重なる葛藤を孕んだ「Call the shots」、曲調をガラッと変えつつもラウドなサウンドでバンドの芯の強さをも示す「Sunlit Musical」と、今のバンドが持つ多面性をわずか3曲の中で十二分に表現しきった。ゲームやアニメ、映画での展開に、コロナで不完全燃焼感もあったライヴ活動が追いつき、追い越していくことすら期待させる作品。
米沢 彰【ライター推薦】

GENRE：GOTHIC ROCK
メンバーそれぞれをテーマとした5曲をまとめたミニ・アルバム！
東名阪ツアーのタイトルに掲げた“forte”を改めて作品名に冠したミニ・アルバム。これまでの華やかで明るいイメージから一転、ダークなアプローチでメンバー5人それぞれの内面を掘り下げ、世界観を拡張する結果をもたらす意欲作になった。ヴァイオリンの響きがバンドのサウンドをけん引するスタイルは継承しつつ、各メンバーがフィーチャーされ歌詞も含めた楽曲全体でそれぞれのストーリーを描きだす手法からは、アニメやゲームに依存せずに、世界のピースを音楽で埋めていこうとする野心すら感じられる。こうしたアプローチを取れるところまで、バンドと活動の文脈がしっかりと確立されてきたという証左でもあるはず。同名のコンセプト・ライヴの予定も含め、さらなる進化への期待がここに示されている。
米沢 彰【ライター推薦】

GENRE：METAL
ヴォーカリストの違いで曲のまったく別の一面を見せるシングル！
優良資産は効果的に運用するほうがいいに決まっている。前作『Deathless Memories 2023』に引き続き、今作は2015年発表の1stフル・アルバム『A Light in the Black』（現在廃盤）に収録されていた楽曲の中から2曲を3パターンでリテイクしたものとなるが、それぞれヴォーカリストとオケの異なる「Winds of Fall (feat.KOKOMI)」と「Winds of Fall - Alternative ver. (feat.NANA)」については、明確な味わいの違いをぜひともお楽しみいただきたい。また、「Nocturnal Moon (feat.KOKOMI)」では今作をもってFATE GEARを脱退するとともに、残念ながら諸事情により音楽家としても引退するというキーボーティースト �K咲の奏でるゴス風味の強い鍵盤プレイは、ある種の置き土産であるとも言えよう。
杉江 由紀【ライター推薦】

GENRE：PUNK
抜群のポップ・センスと変わらぬパンク・アティテュード
広い音楽知識でポップとハードコアを同時に体現
2018年のメンバー脱退後初となる、約6年ぶりのアルバム。全曲の作詞作曲とプログラミングをヒダカトオル（Vo/Gt/Prog）が手掛け、サポート・メンバーと共に完成した今作には、形態が変わったことでヒダカのポップ・センスとパンク・アティテュード、そして広く深い音楽知識が存分に反映された。シンセを効果的に使ったハードコア・サウンドにポップなメロディが映えるTrack.1「1999」で始まり、憂いある優しい歌声で聴かせるTrack.3「u & i」、南米民族音楽に影響されたというTrack.8「Mardi-Gras」、クールでエモーショナルなTrack.11「All Falls Down」と幅広い全11曲が収録。最新型のTHE STARBEMSが詰まった、燃えて泣ける1枚です！
フジジュン【ライター推薦】

GENRE：DEATH METAL, THRASH METAL
日本人ならではのエクストリーム・メタルを奏でる“川越の残虐王”兀突骨
激闘の証と飽くなき挑戦心を具現化した、約5年ぶりニュー・アルバム！
デス／スラッシュ・メタルに武士や日本の文化をテーマにした日本語詞を掛け合わせたサウンドを奏でる“川越の残虐王”の、約5年ぶり6作目となるアルバム。バンドの信念をスラッシーに示すTrack.1を皮切りに、ライヴ映えしそうなアグレッシヴさのTrack.3、ロックンロール・テイストが異色なTrack.4、ニューメタルを彷彿させるTrack.6など、新機軸も取り入れつつ兀突骨らしいエクストリームな音楽性を突き詰めた作風は抜群の安定感で、コロナ禍の混沌を生々しく描写したTrack.9、キャッチーでドラマチックなTrack.10は圧巻だ。20年以上に及ぶ激闘の証と、飽くなき挑戦心を具現化した作品で、近年の対バンで彼らを目にしたという本誌読者にもぜひおすすめしたい。
菅谷 透【ライター推薦】

GENRE：LOUDROCK, MIXTURE
あえての“食えなさ加減”を露悪的なほどに打ち出してくるマチルダの
食べ応え十分な1stフル・アルバム
孤独に病み、カネに惑わされ、色恋に翻弄され、酒やアレなモノに溺れ、あっさりと闇落ちしていく人々が蠢く新宿 歌舞伎町は、いつしかトー横と呼ばれる現代の渾沌を凝縮した場所となってしまったわけだが。かといって、何かに規制をかけてみたり、補助金を無駄打ちしたところで、そんなものはただの付け焼き刃でしかないということが、彼らの描くリード・チューン「新宿鮫」からは伝わってくる。KYOKUTO ROMANCEのRyuji（Ba）がコンポーザーとして参加している「トレパネーシヨン」の尖り方、ヤバい内容を派手な音で響かせる「バラバラ」、聴く者に生々しい真実を突きつけてくる「感動ポルノ」。無難にまとめることなく、あえての“食えなさ加減”を露悪的なほどに打ち出してくる彼らの煽り姿勢は野心的で面白い。
杉江 由紀【ライター推薦】

GENRE：LOUDROCK
何事においても天の邪鬼なヒッチコック
ミニ・アルバム『deep under』に詰め込んだ愛憎劇とは
冒頭を飾ったインスト曲を除く5曲中、4曲が“愛”をテーマにしている。ただし、何事においても天の邪鬼なヒッチコック。まして、サイコパスな傾向も見える八咫 烏（Vo）が書く歌詞だもの、通り一遍の“愛”のあり方などひとつとして記されていない。「恋のチャンス」や「メサイア」と、女性の目線で記した、愛するがゆえの感情が辿り着いた凄惨な悲劇。「涙終哥」には、愛した人に涙する男性の姿が記されているが、そこにもバッド・エンドゆえの涙の物語が語られている。歪んだ愛の姿を書いた「DEEP UNDER」。「タヒ」では、公共の場では憚られる言葉を叫び続けるなど、“好き”を突き詰めたがゆえの悲劇の物語がいろいろと詰め込まれている。2010年代のヴィジュアル系音楽の曲調が多いところも、当時のV系音楽好きの心を刺激する嬉しい要素だ。
長澤 智典【ライター推薦】

GENRE：LОUDROCK, POP ROCK
世界観の殻を破り、ありのままのluzを見せるニュー・アルバム！
2年ぶり、5枚目のアルバム。luzが心から信頼を寄せる堀江晶太（PENGUIN RESEARCH）とタッグを組み、“ダークファンタジー”がテーマの全13曲を完成させた。“さア 喰らえ 喰らえ ヒトモドキ”という絶大なインパクトを誇る1曲目の「MONSTER’S CRY」から、バラエティに富みながらもずっしりと響く楽曲ばかりが収められている。FAKE TYPE.作のエレクトロ・スウィングを見事に歌いこなした「Ruthless」。“奴隷 in 愚民!”という刺激的な歌詞のケンカイヨシ作詞作曲アレンジ「shall we!!?!?」。喪失を美しく描いた白神真志朗作の「贈花」。そして最後は、明るくストレートな「AMULET」で締めくくられる。一曲一曲に独立したエンターテイメント性がありながら、1枚を通してひとりの人間が葛藤し、突き抜けていく過程を描いたような物語も受け取れる力作。
高橋 美穂【ライター推薦】

GENRE：HIP-HOP, PUNK ROCK, MIXTURE
ヒップホップからポップ・パンクまで自由にジャンルを超越
シーンに新風を吹き込む、Rude-α（Vo）率いる注目バンドの1st EP
カリスマ的人気を誇るラッパー Rude-α（Vo）が、NO BRIGHT GIRLのQ汰（Gt）、元ACE COLLECTIONの奏（Ba）、元The Winking OwlのKenT（Dr）を率いて昨年スタートさせた新バンドが、1st EPを初のフィジカル盤として発売した。切れ味鋭い軽妙なライミングと駆け抜けるポップ・パンクが爽快なTrack.1、メジャーから独立したRude-α自身の今と覚悟を歌ったTrack.2などのロック・チューンから、大切な人を優しく包み込む甘くエモーショナルなナンバーTrack.6、家族や仲間への想いが乗ったリリックを爪弾くアコギが際立たせるTrack.7といったメロウなヒップホップまで、出自の異なるメンバーそれぞれの音楽性を織り交ぜロック・バンドの概念を超越。ラッパーならではの強いメッセージ性を武器に、バンド・シーンに新風を吹き込む。
中尾 佳奈【ライター推薦】

GENRE：LOUDROCK
“僕はそうだね うまくやってくさ”
DEZERTの真髄が詰まったメジャー1stアルバム！
真髄が詰まっていて、ひよってなどいるわけもない。メジャー・デビューの門出に「Hopeless」を、あえて1曲目に持ってくるのがDEZERTというバンドなのだ。今作では近年シングルなどで発表してきた曲たちも聴けるため、半ばベスト的な贅沢さも味わえるが……表題曲を筆頭とする新曲群たちも軒並み出色の完成度。個人的見解にはなるものの、DEZERTはかつてのTHE YELLOW MONKEYがそうだったように、いずれ異端の立ち位置から王道とされる領域に辿り着くバンドだと思えてならず、今作ではその予兆が音と詞のかたちですでに具現化されている印象がある。ラストの「ともだちの詩」で歌われる“僕はそうだね うまくやってくさ”との1節は、未来に向けたある種の宣言なのかも。
杉江 由紀【ライター推薦】

GENRE：ELECTRONICORE, LOUDROCK
『REVERBERATE ep.』ツアー最終日完全収録＆初USツアーのドキュメンタリー映像で
初心に帰る楽しさがパッケージされた映像作品！
『REVERBERATE ep.』を携えた“PassCode REVERBERATE Plus Tour 2023”の最終日、Zepp Shinjuku (TOKYO)公演を完全収録したライヴ映像に加え、9月に行ったPassCode初のUSツアー“PassCode US TOUR 2023 -GROUNDSWELL-”のドキュメンタリー映像を収録。コロナ禍を経て声出しなどの制限が解除されたツアーとなり、ステージの4人はもちろん会場も一体になってシンガロングし、観客の熱気で会場が煙るライヴ。約3年間、全員で歌える日を待っていたというエネルギーや喜びが詰まった映像だ。ハイボルテージなライヴ映像に対して、USツアーは、ダラス、NY、LAと大移動するハード・スケジュールだったが、海外での公演を楽しむ4人の素顔や無邪気にPassCodeを楽しむ海外のファンの姿が見える。両映像で、初心に帰る楽しさがパッケージされた。
吉羽 さおり【ライター推薦】