激ロック×HMV&BOOKS online vol.124

GENRE：PUNK ROCK, SKA ROCK
王道を磨き上げるパンク・ロック・アルバム
アニメ・タイアップ曲を含む、メジャーでの初アルバム。攻撃的なドラムにノイジーなギター、高揚感溢れるホーンとシンガロングで駆け抜けるTrack.1に始まり、重厚なグルーヴで踊らせる凶暴なスカ・チューンTrack.2、すでにライヴの鉄板曲となっているTrack.4、5などのアンセムが連投される。初のタイアップTrack.3はHEY-SMITH印全部盛りのキラーチューンで、お茶の間にスカ・パンクの、また6人が奏でるエネルギーを一撃で知らしめる曲となったが、アルバムもまた初めて触れる人の心と身体をダイレクトに揺さぶり、そしてこれまで作品を追ってきた人にも鮮やかに、ソウルフルにバンドの弛まない姿勢を伝える。十数年培ってきた、自分が信じるいい曲を作る、最高のライヴをするという真ん中がブレていないことを大音量で轟かせている。
吉羽 さおり【ライター推薦】

GENRE：LOUDROCK
TRiDENTの新たな挑戦！豪華アレンジャーの色が強く打ち出された2ndミニ・アルバム
もはや手がつけられないほどに、彼女たちは暴れ倒している。自らに発破を掛けるような「KICKASS」から始まる今作では、前作『D-X』からの流れで堀江晶太（PENGUIN RESEARCH）、DAIDAI（Paledusk）、Koji Hirachiといった面々がまたもアレンジャーとして参加しているのだが、その一方で「エンドロール」では新たにUVERworldのプロデューサーとして知られる平出 悟が敏腕を振るいTRiDENTを新境地へと導いている。来年2月12日にはツアー・ファイナルとして自身最大キャパであるZepp Shinjuku (TOKYO)公演も控えているなか、TRiDENTが今ここまでのことをバンドとしてやり切ったことは、必ずや彼女たちの血肉となっていくはず。思いつくまま、自由に音と対峙することを体得した者はきっと強い。
杉江 由紀【ライター推薦】

GENRE：LOUDROCK
“最強”を謳うガールズ・バンド RAISE A SUILEN
メンバーそれぞれに焦点を当てたミニ・アルバム完成！
“BanG Dream!（バンドリ！）”発の“最強”を謳うガールズ・バンド RAISE A SUILENの新作は、メンバー5人に焦点を当てた楽曲で構成されるバンド初のミニ・アルバムだ。サビにドロップを取り入れることでバンドの新境地を感じさせる「Apocalypse」から始まり、大胆に曲調が変化していく「TWIN TALE」や猛々しい「STRAY CERBERUS」など、個性的なRASメンバーを体現したような楽曲が本作には揃う。いわゆるキャラソンの枠を超えた、バンドとしてのDNAを色濃く感じる“RASなりのキャラソン”集に仕上がった。RASメンバーやストーリーを知ったうえでこのミニ・アルバムを聴けば歌詞にさらなる深みも出てくるし、本作で彼女たちのことを知ってから旧譜を聴いていくのもいいだろう。
宮�ｱ 大樹【ライター推薦】

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GENRE：LOUDROCK, POP ROCK
“生き抜くことの美しさ”に焦点を当てた新アトラクション！
自らのアイデンティティを正面から心得ることにより、拓ける未来はきっとある。平等、公平、公正。それらは似ているようで明らかな違いを持つ言葉たちだが、今作の収録楽曲たちを通じてべびきんの描き出す“生命”というものの正体は、表面上ではロマンチックな装いを見せつつも実にリアルにしてシリアス。そして、生まれながらに飛べない鳥と呼ばれるペンギンを題材とした表題曲の秀逸なウィンター・ソングとしての風合いは、鬼転調の事実をまるで感じさせない仕上がりぶりが素晴らしい。また、愛の美しさを歌った「ハナムコペンギン」、燃ゆる命と熱き鼓動を感じさせる「AWAKING BEAT」（※B typeのみ収録）も、それぞれに高い完成度を誇る。今作には映画“もののけ姫”で言う“生きろ、そなたは美しい”の言葉が似合いそうだ。
杉江 由紀【ライター推薦】

GENRE：LOUDROCK
自分も知らなかった引き出しを開けたソロ1stミニ・アルバム完成！
2022年4月にMary's Bloodを活動休止して、同年6月にソロ・プロジェクトを本格始動させたEYEの1stミニ・アルバム。ピンクの髪に派手なクラブ・ファッションと、ヴィジュアル面だけ見ても大胆なイメチェンぶりに驚くが、“大胆に壊せ”の歌詞に覚悟や意気込みを感じる、クラブ／ハウス調のトラックに力強く色気溢れるヴォーカルを乗せたTrack.1、ハード・ロックな曲調にロック・ヴォーカリストの凄みを見せるTrack.2、切なく美しい歌声が胸を締めつける王道バラード・ソングTrack.3、プリミティヴで生命力溢れるダンス・チューンTrack.4、ソウルフルでグルーヴィなTrack.5と、自身も知らなかった引き出しを開けてくれたという色鮮やかな5曲を収めた、チャレンジ精神と可能性に満ちた1枚だ。ここからの飛躍が楽しみ！
フジジュン【ライター推薦】

GENRE：LOUDROCK, MIXTURE
“生涯を賭けた一枚 ダヴィンチも驚く最高傑作”
THE MADNAによる大いなる野望はここから始まる
ギラつく野心を隠さない姿勢が素晴らしい。派手な音の詰まったリード・チューン「極彩色」を聴いて感じるのは、彼らが“人に理解されずともやりたいことをやるんだ”というタイプとは、真逆のスタンスを持っているということ。つまり、彼らはハナから売れる気しか持っていないバンドであるのだろう。ただ、それでいて「完全世界」を聴くとTHE MADNAの正体は気骨どころか毒気まで持った猛者たちである、ということもよく伝わってくる。「SHINE」が英語読みだけでなく、別の読み方をしたときの意味まで孕んでいるあたりも興味深い。「極彩色」の“生涯を賭けた一枚 ダヴィンチも驚く最高傑作”なる一節は、掛け値なしに彼らの本音であるはず。THE MADNAによる大いなる野望はここから始まるのだ。
杉江 由紀【ライター推薦】

GENRE：ROCK
ロックンロールの夢とロマンが詰まったThe DUST'N'BONEZニュー・アルバム！
最先端の音楽ではない代わりに、ここには今の時代に失われつつあるものが多々詰まっている。それらはロックンロールの生み出した夢とロマン、そういったものにほかならない。「THOUSAND ROCK'N'ROLL」の中で歌われる“いつまで経っても 色褪せやしない／撃ち抜かれたまま ずっと一緒に居たよ”という詞は実に象徴的で、一度でもロックの響きに胸を撃ち抜かれてしまったことがある人ならば、誰もが共感できるところだろう。打ち込みとも切り貼りとも無縁な、生粋のロックンロールは今でもここに存在している。生のグルーヴが赤裸々すぎるほどのロックの音が聴きたければ、そこから夢とロマンを摂取したいのなら、存分に彼らのロックンロールを浴びるべし。この音を現在進行形の無形重要文化財に認定したい。
杉江 由紀【ライター推薦】

GENRE：PROGRESSIVE METAL, LOUDROCK
激しく美しく前衛的で実験的な、ulma sound junctionの“シネマティックコア”
沖縄県石垣島出身の幼馴染による4人組プログレッシヴ・ロック・バンドのメジャー1stフル・アルバム。“シネマティックコア”を自称し、予測不可能な展開と耳に残るメロディで、圧倒的世界観へ引きずり込む、彼らの楽曲たち。1曲目「Appetite」の痛烈なシャウトと轟音で心掴むと、ヘヴィにメロディアスに激しく美しく、壮大な物語を紡ぎ、めくるめく世界観を魅せてくれる今作は、アニメ“ラグナクリムゾン”のOPテーマ「ROAR」を含む全10曲が収録。十分すぎるキャリアと幅広い音楽性、圧倒的演奏力から生まれる多彩な表現と膨大な情報を惜しみなく詰め込んだ楽曲は、まさに映画を観てるようなスケール感と満足度があり、とにかく濃密濃厚。ラストの超大作「Protopterus」を聴き終えたときの打ち震える感動をぜひ味わってほしい。
フジジュン【ライター推薦】