グレイトフル・デッド 1973年名盤『Wake Of The Flood』50周年記念デラックスエディション - 未発表デモやライヴ音源を追加収録

1973年、バンドの創立メンバーの一人であり、由緒あるデッド・ファミリーの中核 ロン ”ピッグペン” マッカーナンの訃報、そしてドラマーのミッキー・ハートの一時的な脱退が続く中、バンド自身が新たに立ち上げたレーベル Grateful Dead Recordsからの第１弾作品としてリリースされたのがこの『Wake Of The Flood』だ。彼らの変化や成長、忍耐力や楽観主義が見事に表現された作品であり、キーボードのキース・ゴドショウとヴォーカルのドナ・ゴドショウを擁する新たなラインナップを紹介するアルバムともなった。

今作に収録されている「Eyes Of The World」「Stella Blue」「Mississippi Half-Step Uptown Toodeloo」は、アルバムに収録する前から半年以上をかけてステージでパフォーマンスをしながら組み立てていった楽曲であり、以降長きにわたりライヴのセットリストの定番ともなっている。

そんな『Wake Of The Flood』の発売50周年を記念して、最新リマスター音源に加え、新たに発掘された未発表音源を追加したデラックスエディションが登場することとなった。

リマスターを手掛けたのは、グラミー賞受賞歴を誇るエンジニア、デイヴィッド・グラッサー。全てプランジェントプロセスを経てレストアされ、スピード調整が行なわれたマスターテープをベースにリマスタリングが施されている。また、グレイトフル・デッドのレガシーマネージャーでありオーディオアーキヴィストのデイヴィッド・レミューがこの50周年記念エディションのプロデュースを務めている。

Eyes Of The World (Demo) [Official Audio]

CD２枚組のデラックスエディションには、「Eyes Of The World」「Here Comes Sunshine」の未発表デモ音源を収録。1973年初頭、グレイトフル・デッドが２月９日に公演を行なう直前にレコーディングされたこのデモ音源は、ロバート・ハンターと共に作っていた２曲の新曲をジェリー・ガルシアが歌い、演奏しているものだ。

おそらくジェリー・ガルシアはバンドの練習用にこのデモ音源を制作したと思われるのだが、その中でも特に「Eyes Of The World」は美しく、プリミティヴな雰囲気を持つ仕上がりとなっている。その後20年以上にわたってデッドの最も愛され、頻繁に演奏される曲の一つとなったこの曲のベースを垣間見せてくれる貴重な音源だ。

さらにデラックスエディションには、『Wake Of The Flood』発表直後の短いツアーの最終日のライヴ音源を収録したボーナスディスクも付属。1973年11月１日にシカゴはノースウェスタン大学のマクゴーメモリアルホールで収録されたこのセットは、「Weather Report Suite」から始まり「Mississippi Half-Step Uptown Toodeloo」で幕を閉じ、その間に最もクリエイティヴでインスパイアリングなジャムセッションとなる「Morning Dew〜Playing In The Band〜Uncle John's Band〜Playing In The Band」も披露されている。

はじめて『Wake Of The Flood』を聴いた時について、デイヴィット・レミューは次のようにコメントを記している。「デッドの素晴らしい楽曲の見事なアレンジにすっかり聴き入ってしまった。全てがクリアで存在感がある。収録されている楽曲とヴォーカルは落ち着いた雰囲気を携え、酸いも甘いもかみ分けたバンドの面々が、バンド結成から８年の間に経験したことを伝えているかのような１枚だ。さらに心を奪われたのは、新たに追加されたサウンドがすごく印象的である点だ。こうした貢献がなければ、このアルバムはこの姿にはなりえなかっただろう」。