『SOPHIA LIVE 2022 “SOPHIA”』ライヴレポート

『SOPHIA LIVE 2022 “SOPHIA”』at 日本武道館

2022年10月11日、『SOPHIA LIVE 2022 “SOPHIA”』と銘打ったライヴが日本武道館にて開催された。この日本武道館という場所は、彼らが2013年8月、20周年を目前に無期限のバンド活動休止となる前に、最後のライヴを行った場所である。
あれから9年。彼らはどんな人生を歩んできたのか。変わらないもの、変わったものはなんなのか。この日を待っていたすべての者たちへの答えが、ここにはあった。それは結成当初から変わらぬオープニングSE「愛の讃歌」が流れ出した瞬間から、少しずつ身体中に染み渡り始めたのだった。
ここでは、そんな記念すべきSOPHIAの復活ライヴを振り返りたい。

結成当初から変わらぬオープニングSE「愛の讃歌」でライヴは幕を開けた。

▲Vocal 松岡充

「9年間も長い間みんなのこと待たせたけど、僕ら5人も離れてたけど、1人1人それぞれの現実に向き合ってた。歯を食いしばって必死に生きてた。ここにいる全員そうだろ？　ただいま！」
1曲目、「大切なもの」の途中で松岡充（Vo）が投げかけた言葉で気づく。時計の針が戻ったのではなく、無くしたと思っていたそれぞれの“大切なもの”は心の奥底で息を潜めていたのだ。それがSOPHIAとの“約束の場所”に解き放たれた気がした。
「Early summer rain」、「キミと揺れていたい」、「Eternal Flame」…どれも大切な曲ばかりだ。松岡のヴォーカルスタイルも、豊田和貴（G）、黒柳能生（B）、都啓一（Key）、赤松芳朋（Dr）のプレイスタイルも変わっていないことがうれしい。その表情には、年を重ねた分の優しさが刻まれている。

▲Guitar 豊田 和貴

曲間では事前に撮影されたインタビューがリハーサル映像とともに流され、メンバーそれぞれの想いが語られたり、彼らがデビューした1995年から起こった出来事と、その時の想いを写真と文字で綴っていく映像が流された。殊に記すべきは、デビュー年に起こった阪神淡路大震災である。ある日突然に突きつけられた現実に、彼らは否応なしに生死と向き合うこととなり、生きることの意味を問い続け、さらにはどう生きるか？と考え続けてきた。

▲Bass 黒柳 能生

そんな映像後に始まった「Like forever」は、大震災時に故郷への想いを込めて生まれた曲だ。続く「ALIVE」では松岡が心の叫びを露にしながら教えてくれた。生きることの意味は知らないけど“生きたい”と思うことの意味なら少しは唄えると――。それは、筆者も人生の旅の途中で気づいたこと。それをちゃんと言葉にしてくれていたことに、いまさらながら涙が溢れる。

▲Drums 赤松 芳朋

SOPHIAが楽曲をこの世に送り出したときからずっと、私たちはその歌に一喜一憂し、生きる勇気をもらってきた。彼らが紡いできた楽曲は、当時よりもさらに胸に刺さる。このとき、それを今の彼らが歌っていることに大きな意味があるということを実感していた。

▲Keyboard 都 啓一

「蜘蛛と蝙蝠」、「黒いブーツ 〜oh my friend〜」、「ビューティフル」と、人気曲が続く。そして…
「ここに咲くヒマワリたちに贈ります！」と、変わらぬ決め台詞から始まった「ヒマワリ」では、オーディエンスのほぼ全員が揺らす一面のヒマワリのみならず、プロジェクションマッピングで天井にも映し出されて日本武道館は壮観なヒマワリ畑に。メンバー5人とオーディエンスの笑顔も咲き誇っている。

空に突き抜けるような豊田のクリーントーン、黒柳の大振りで温かなベース音、真顔でひたすらに打ち込む赤松。流麗なピアノで魅了する都の激しい首振り、みな変わっていない。それを観ているだけで、また自然と笑顔になった。トークでもそうだ。天然の豊田にマイペースの黒柳。イジられ担当の赤松、都は松岡へのツッコミと、相変わらずの“寒ギャグ”でみんなを笑わせる。この不変の関係性にいつも和まされてきたのだ。

「この幸せなヒマワリ畑を観たからこそ言わなければ」と、松岡が語り始める。
「今日が終わったらまた必ず辛いことや哀しいことがやってくる。でも、想うんです。この年になると先に死んでいく人もいるけど、そういう人たちが“お前はまだ生きてるんだろ！　苦しめるし泣けるんでしょ？　私たちはもう泣けないんだよ”って。“だから俺の分も泣いて、俺の分も歌ってくれ”と言われている気がすごくします」
さらに世界中で起こっている不幸な出来事を憂い、涙声で訴えた。
「この先どんなことが起こっても、最後は人間として繋がれる笑顔で、優しさで、敵やと思ってた人を抱きしめてほしい。そんな世界になることを心から祈っています。その端っこに僕たちの音楽が存在して、みんなの背中を少しでも押すことができれば、本当に生きててよかったと思えるんじゃないかと…」

2010年には都が濾胞性リンパ腫を発症し、本人も死を覚悟したという。そこからさらに東日本大震災が起こり、活動休止となってからも新型コロナウイルス感染症の世界的流行、戦争、自然災害…とキリがない世の中だけれど、彼らは、“SOPHIAの旗は降ろさない”と宣言してくれた。なぜなら、“こんな世の中でも必死に生きる人々に勇気となる音楽を”届けるために。楽曲に込められた想いは年を重ねる毎に何倍にも増幅され続ける。これからもずっと。

この日彼らが見せてくれたものは、SOPHIAの決意表明と、“生きる”ことへの強烈なメッセージだった。

ラストソング「Believe」を歌う前に松岡が言った。「みんなの声、本当に聴こえてるよ。次に会えるまでに声が出せるようになっていますように。煽るけど声は出さないでください。こんなことを言う時代が来るとは思わへんかった」と。本当、マスクを外し、声を出せるライヴができる日も近い。
そういう意味でも、もしかしたら今後は観ることのできないおもしろい映像となっているのではないだろうか。 この復活ライヴで披露された全曲が収録されたBlu-ray＆DVD『SOPHIA LIVE 2022 “SOPHIA”』が3月29日に発売となる。
SOPHIAが繰り広げる世界観に身を投じ、音楽に酔い、トークに爆笑し、涙してほしい。今を生きている人へ贈る、最高の映像作品だ。

Text 三沢千晶

『SOPHIA LIVE 2022 "SOPHIA"』 Blu-ray・DVD 2023年3月29日（水）発売

約束の場所、日本武道館で9年ぶりの復活！
2022/10/11(火) に行なった SOPHIA LIVE 2022 "SOPHIA" 日本武道館公演の模様をBlu-ray & DVD化！

＠Loppi・HMV限定セット

※通常盤と、この限定セットでしか手に入らない5本のヒマワリ絵柄のフェイスタオル（サイズ（約）：340×840mm 予定）とのセットです。

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