【インタビュー】GASTUNK

2021年06月05日 (土) 18:00

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フルアルバムとしては1988年作『MOTHER』 以来、約33年振りとなるニューアルバム『VINTAGE SPIRIT, THE FACT』をリリースする80年代パンク/ハードコア・レジェンド、GASTUNK のインタビュー!

ー2019年秋に前ドラマーであるPAZZが脱退しました。後任探しはどういう感じで進めたんですか?

TATSU:BAKIちゃんがやっているもうひとつのバンド=MOSQUITO SPIRALと、自分がやっているもうひとつのバンド=THE DEADROCKSで、一緒にライブをやったとき、GASTUNKの「ジェロニモ」を演奏したんだよ。そのときにドラムを叩いていたのが、THE DEADROCKSのドラムでもあるKEI。BAKIちゃんは何の違和感もなく歌っていたから、KEIの意思は分からないけど、彼ならGASTUNKの他の曲もできるだろうと。すでに2020年2月の名古屋のライブも決まっていたから、まずはサポート・ドラムで手伝ってくれと。話はそこから始まったのかな。

KEI:2019年10月ぐらいに「サポートで」と声を掛けられました。TATSUさんとはTHE DEADROCKSで一緒に活動もしているし、当然、GASTUNKの曲も前から聴いてはいました。ただ、自分がそれまでやっていたジャンルとは違うんですけど、だからこそ、おもしろそうだな、やってみたいなと素直に思いました。

ー実際にGASTUNKでリハーサルを始めたとき、どんな感触でした?

KEI:最初のリハーサルは、洪水の中に飛び込んだ感じで、かなり刺激的でした。BAKIさん、TATSUさん、BABYさんという3人の放つものが滝のように自分を刺激してきて、それに揉まれながら、自分自身が覚醒されていくような感覚。

BABY:そのリハーサルで俺はKEIと初めて音を合わせたわけだけど、素晴らしかった。これは鉄壁のリズム・セクションを組めると思ったからね。こんなに人生で嬉しかったことはないぐらいの感覚。KEIが来てくれてありがたかった。

KEI:4人で初めて音を合わせる前の話なんですけど、いろいろ想像して、一人で練習もしていたんです。その後はTATSUさんと二人でスタジオにも入りました。そのときすでにTATSUさんは「大丈夫そうだな」って感じになっていたんです。

TATSU:俺はそのときKEIに「自由に叩けよ」と言ったはず。なぜならGASTUNKは自由なバンドだから。PAZZのドラムを過剰に意識することもないし、自分を出せばいいって。

KEI:でもGASTUNKは、継ぎ足した秘伝のたれみたいなものが脈々とあるようなバンドなんです。音楽をやっていると、そういうところに敢えて飛び込んでみたいって意欲も、やっぱりあるんです。

ー2020年に名古屋でのライブ後に正式加入が決まったんですか?

BABY:みんなでいろいろ話し合って、もっと探そうかって案も出たんだよね。でもライブをやってみたら、KEIのサウンドが入ると、エネルギーも倍増して無敵になってしまったんだよ。そういう感覚があったから、今後も一緒にやろうと。

ーそしてGASTUNKが新ラインナップになって制作したのが、約33年ぶりとなるニュー・アルバム『VINTAGE SPIRIT, THE FACT』です。

BABY:アルバムを作ることを決めたのも、KEIの存在が大きい。KEIと音を出すといいバイブレーションがあって、これはもうアルバムを出すしかないだろうと。それまで溜まっていた曲も、メンバーそれぞれあったりして、アレンジのためのリハーサルをちょっとずつ始めていった感じ。

BAKI:アルバムを作ろうとなったのは、2020年2月ぐらいだったと思う。KEIが正式加入したとき、これなら作れるんじゃないかって。俺もGASTUNKの曲を作りたいと思ったし。そして4月、緊急事態宣言で世の中がシーンとしているとき、俺はずっと曲に向かっていた。10曲ぐらい作って、とりあえず3曲をバンドに持っていって。どういう方向にアルバムが向かうのか分からなかったから、なんとなくこれがいいかな、みんなとやったらいいかなというのを選んだ。

TATSU:俺は、日々、自然にインスピレーションが湧いて、曲という形にしている。そしてこれは自分のTHE DEADROCKSでやる曲、これは何かあったときに提供する楽曲など、分類に分けることもできる。でも行き場がなくてずっと溜まっていた曲もある。それこそ、GASTUNKでしかできない楽曲たちだった。

BABY:自分は今までにないパターンを考えていた。このリズムに、こういうファズ・ギターを入れるとか、その組み合わせのおもしろさ。そういうアイデアや、その前からやりたかったリズムもあったから。「Seventh Heavens Door」は、10年以上前にシングル「DEADMAN'S FACE」を作ったとき、実は原曲もあって、ようやく世に出せることになった。


ーアレンジはどういう形で進めたんですか?

BABY:スタジオに入って、ああでもない、こうでもないって。そこは以前と変わらないやり方。あと曲データをお互いに投げ合いながらも。

TATSU:アレンジで煮詰まることはないんだけど、絶対にスゲーのを作ってやると。周りの期待を裏切りたくないし、逆に期待を思いっきり裏切りたいとも考えていた。プレッシャーというより生きざまを映し出そうと思った。そこに全てを注ぎ込んだよ。

KEI:俺が見てて思ったのは、それぞれすごくバラエティに富んでいるデモなんだけど、スタジオに持ち寄って音を出した瞬間、GASTUNKになるみたいな。みるみるGASTUNKになっていく感じを目の当たりにできたのがおもしろかった。どんなジャンルの、どんなフレーズも、この3人がいて、塊になると、GASTUNKの概念みたいになっていく。何をやってもGASTUNKになるんだなと。

BABY:こっちも、KEIに自由にやってもらって、曲や音がよりおもしろくなることを期待していた。

BAKI:お手伝いさんじゃないからさ、もう。正式メンバーなんだから。

TATSU:KEIは俺らの期待に絶対に応えてくれると思っていたよ。

ー歌詞で書きたい欲求も、相当、溜まっていました?

BAKI:日々、書き溜めるタイプではないけどね。昔から環境だったり、世の中の雰囲気を常に受けて書いている。世の中に対する自分の考え方、バンドに対して、音楽に対する考えとか、結局、生きていてどういうことを思っているか。それはみんなと共通のものもあれば、俺だけ思っているものもあるんだろうけど。クオリティを上げたい一心だったよ。文字数を埋めただけの意味のない言葉や歌詞にしないように。分かりづらいものはあってもいいけど、漠然とでも何かを伝えたいから。キャッチしてほしいじゃん。

ー「Eighteen」は、ライブハウスに出始めた若いころもフィードバックさせています?

BAKI:そう。このご時世、ライブ活動もあんまりできないけど、いいもんをいっぱい感じたところだからね。自分なりのライブハウスへの熱い気持ち。世の中がこういう状況になっている今じゃないと、こういう歌詞は出なかったと思う。

ー最も格闘した歌詞は?

BAKI:ほぼ全曲、格闘しているよ(笑)。スルッと書けたのは少ない。「明日へ向かう夜を待つ」だけが、最初に思い浮かんだまんま。他のはいつもの感じで、いっぱい書いたのを短くしたり、2種類ぐらい書いたのを一緒にしたり。テーマとか何かしら取っ掛かりがあれば書けた。書くことに苦労はしていないよ。

TATSU:俺はBAKIちゃんの歌を聴くと、涙が出る。曲をミックスしているときも泣いたし、マスタリングが済んだ音源を家で聴いていても。BAKIちゃんはこんなことを思っていたのか、と俺にはもろにヒットするようなことばかりだよ。

BAKI:これまでのいろんな出来事も浮かぶよね。悔しさとかさ。途中で投げ出したわけではないけど、一度はちゃんとやめているバンドだし。だけど何10年も経って、まさか、みんなでアルバムを作ろうよなんて話になるなんてさ。始まりは商売じゃないから。こうやってやったら売れるとか、そんなことでGASTUNKをやってない。若い時と同じ情熱を向けることができる。KEIが入ってくれたことで、急に始まったんだよ。

TATSU:そう、だから生まれ変わった新しいバンドなんだよ、GASTUNKは。

BAKI:この20年間ぐらい、再結成して昔の曲をやるだけで、ある意味、満足もしていたよ。それを聴きたいというファンが来てくれていたし。ありがたかったし、嬉しかったよ。だけど、どっかでカッコ悪いと思っていたところもある。

TATSU:それにライブを毎回やるごとに、もう次はない状況かもしれないと。いつもそう思ってた。

BAKI:俺も、そう思っていた。夢のような話だよ、またアルバムを作れるって。

ーこうして話している現在、アルバムのマスタリングが数日前に終わったばかりです。どんな作品が仕上がったと感じています?

BABY:ビンテージでハイブリッドなアルバム。サウンドも曲も。

KEI:初めて自分の証明書のような1枚になったなと。それがGASTUNKで叩いている自分というのがすごくありがたいし、刺激的でもありますね。

BAKI:強力なバイブレーションが表現されている。違う個性がぶつかりあって、でも気持ちが一方向を向いたとき、想像をはるかに超えた力を発揮できる。一人ではできないことが成し遂げられている気がしたよ。奇跡の1枚だと思っている。

TATSU:もう…創ることはないと諦めていたGASTUNKの新作。喪失感と様々な状況下での想い、解散から抱えていた全ての感情はひとまず一つの形に出来たよ。これこそ、GASTUNKのFACT(事実)。そして、俺達に残されていた未来が楽しみで仕方がない。それに一番自由にギターを弾きまくれるバンドは、俺にとってGASTUNKだけだから。

■インタビュアー:長谷川幸信■


約33年ぶりのニューアルバム

初回限定盤

Vintage Spirit.The Fact

CD

Vintage Spirit.The Fact

GASTUNK

(1)

Price (tax incl.): ¥2,970

Release Date: 09 Jun 2021

Cannot order

通常盤

Vintage Spirit.The Fact

CD

Vintage Spirit.The Fact

GASTUNK

(1)

Price (tax incl.): ¥2,750

Multi Buy Price (tax incl.): ¥2,337

Release Date: 09 Jun 2021

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