クレーメル、ブルネロ、クレメラータ・バルティカ/『ルートヴィヒを探して』

2020年09月04日 (金) 16:34 - HMV&BOOKS online - クラシック


クレーメル「ALPHA」に登場! ブルネロと組んだベートーヴェンへのトリビュート・アルバム

ベートーヴェン生誕250年を記念する、趣向を凝らしたアルバムがまた1つ誕生します。クレーメルとブルネロという2人の名手がタッグを組み、クレメラータ・バルティカと共に、名作とされる晩年の弦楽四重奏曲を弦楽合奏版で収録したという嬉しいもの。さらにはベートーヴェンに触発された近年の作品2つを収録し、楽聖の遺産が現代の私たちにどのような影響を与えているかを掘り下げるという、興味深いものです。
 アルバムのメインは何と言っても2曲の弦楽四重奏曲。ベートーヴェン最後のまとまった作品である第16番はブルネロの指揮による演奏。そして第14番はヴァイオリンを担当しながらのクレーメルの指揮となっています。いずれもクレーメルの念頭にはバーンスタインがウィーン・フィルと残した録音があったようですが、その濃厚な味わいとは違う、クレメラータ・バルティカらしい歌心と生き生きとしたフレージング、見通しの良いサウンドが、現在ならではのベートーヴェン像を感じさせる素晴らしい演奏に仕上がっています。
 冒頭に収録されているのは、モナコに生まれフランスでシャンソン歌手として活動したレオ・フェレ[1916-1993]による作品。革新的な思考を持った彼はベートーヴェンに深い共感を抱いていたようで、『エグモント』序曲に詞を付けていたり、『コリオラン』序曲を指揮する映像が残っていたりします。こちらに収録された作品は、弦楽四重奏曲第16番の自筆譜に書きつけられた「かくあらねばならぬか? かくあるべし!」という言葉がモチーフとなったもの。イタリア語でまくしたてるように語られるテキストは、「音楽はどこにあった? それは特別なところではなく、民衆の元にあるべきだ。ベートーヴェンはストリートにある!」といった内容。フェレ自身がオーケストラを指揮しながらアジる版や、ギターなどによる版がありますが、ここではイタリアの作曲家ヴァルター・シヴィロッティによる編曲版にフェレの声をかぶせています。
 ヴェネツィアの方言で「隠された音」を意味するタイトルのジョヴァンニ・ソッリマ[1962-]の作品は、ブルネロの師でありヴェネツィア出身だったイタリア弦楽四重奏団のチェリスト、フランコ・ロッシに捧げられたもので、彼が子弟によく語った「楽譜の中に隠された音に注意を向けなさい」がタイトルのモチーフ。1968年にトリノで刊行された、ベートーヴェンの未出版作品から走り書きまでを網羅した作品目録「ビアモンティ目録」の中からソッリマが見つけた宝のようなフレーズの数々を元に、チェロ・アンサンブルのために書かれました。ここでは弦楽合奏への編曲版にて収録しています。ベートーヴェンの発想を詰め込んだような、魅力的な曲想が次々と登場します。(輸入元情報)

【収録情報】
1. フェレ:『Muss es sein? Es muss sein!(かくあらねばならぬか? かくあるべし!)』(シヴィロッティによるチェロ、弦楽合奏と打楽器のための編曲版、レオ・フェレ自身の語りと共に)
2. ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第16番ヘ長調 Op.135 (弦楽合奏版)
3. ソッリマ:『NOTE SCONTE(隠された音)』(弦楽合奏版)より(I. レント/IV. レオポルト・カデンツァ/V. 赤い砂漠)
4. ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第14番嬰ハ短調 Op.131(弦楽合奏版)


 ギドン・クレーメル(ヴァイオリン、指揮:4)
 マリオ・ブルネロ (チェロ:1、指揮:2,3)
 クレメラータ・バルティカ

 録音時期:2019年10月(1-3) 2011年7月(4)
 録音場所:ドイツ、クロンベルク(1-3) オーストリア、アイゼンシュタット(4)
 録音方式:ステレオ(デジタル)