【訃報】アンドレ・イゾワールさん

Thursday, July 28th 2016

日本でもおなじみの名オルガニスト、アンドレ・イゾワールさん死去
バッハの偉大な解釈者、フランス・オルガン音楽の熱心な紹介者

来日公演でもおなじみだったフランスのオルガニスト、アンドレ・イゾワールさんが、自身の81回目の誕生日である7月20日に亡くなられました。
　イゾワールさんといえば、かつてカリオペ・レーベルで制作した数々のオルガンの優秀録音盤が人気を博したことでも知られており、最近はその音源がラ・ドルチェ・ヴォルタ・レーベルから復活して話題になっていましたし、NHK交響楽団と共演したサン＝サンスの交響曲第3番『オルガン付』ライヴ盤のリリースも記憶に新しいところでした。心よりご冥福をお祈りいたします。

【プロフィール】
1935年7月20日、サン＝ディジエの生まれ。セザール・フランク音楽学校にてオルガンをエドゥアール・スーベルビエルに、ピアノをジェルメーヌ・ムニエに師事。
　1952年、17歳でパリのサン＝メダール教会のオルガニストとなり、聖歌隊指揮者の仕事もこなしたイゾワールは、1967年にはサン＝セヴラン教会のオルガニスト、1973年にはサン＝ジェルマン＝デ＝プレ教会のオルガニストとなって活躍しています。
　その間、1965年にセント・アルバンス国際オルガン・コンクール(イギリス)で第1位、1966、67、68年には3年連続でハーレム国際オルガン・コンクールで優勝(オランダ)も果たし、国際的な演奏活動も展開するようになり、さらに1974年からは教育者としても後進の指導にもあたっていました。
　録音は約60にのぼり、フランス共和国大統領賞も獲得。パリのサン＝ジェルマン・デ・プレ教会の名誉オルガニストであります。
　イゾワールの素晴らしい演奏は、オルガン・ビルディングに対する深い知識にも支えられており、演奏技術のみならずストップ操作も常に抜群のセンスが光っています。
　1976年から1991年にかけて録音された「バッハ：オルガン作品集」は世界中で高く評価されていましたし、カトリック教会との深い結びつきで発展したフランス・オルガン音楽の熱心な紹介者としての力量を示した1970年代制作の「フランス・オルガン音楽の至宝」も実に魅力的なものでした。（HMV）