Thursday, December 24th 2015
2015年も早や第4コーナー。
急成長ハロウィン、そのどぎつい大団円により今年はさすがにいらっしゃらないだろうと思っていたら・・・しっかりおいでなすったクリスマス・シーズン。世知辛い時代ではありますが、こんなときこそ浪漫溢れるジャズでゆったりと暖&幸をとりましょう。
気になる最新リリース・アイテムから玄孫の代まで聴き継がれていくであろう超定盤まで、クリスマスにまつわるジャズ・アルバムを集めてみました。
2015年最新リリース
マリオ・ビオンディ 大ヒット聖夜作の新録入りスペシャル盤
Mario Biondi 『Very Special Mario Christmas』
スモーキーなバリトン・ヴォーカルと、上品にしてオトコ臭いフェロモン漂う国民的イタリアン・ソウルシンガー、マリオ・ビオンディ。ワム!の「Last Christmas」、クリス・レアの「Driving Home For Christmas」、ダニー・ハザウェイの「This Christmas」、またアース・ウインド&ファイアーとのデュエットによる「After The Love Has Gone」などを収録し、2013年にリリースされ好評を博した自身初となるクリスマス・アルバム 『Mario Christamas』に、新録3曲「Santa Claus Is Coming to Town」、「Please Come Home for Christmas」、「Happy Xmas (War Is Over)」を追加したニューヴァージョン。さらにゴージャスになって登場!
ベノワとモンハイトによる心温まるクリスマス・アルバム
David Benoit / Jane Monheit 『Believe』
米西海岸を代表するコンテンポラリー・ジャズ/フュージョン・ピアニスト/コンポーザー、デヴィッド・ベノワとNYの実力派女性シンガー、ジェーン・モンハイト、今夏にリリースされた『2 In Love』に続くコラボレーション作品第2弾は、フルート奏者ティム・ウェイスバーグとオール・アメリカン・ボーイズ・コーラスを交えた心温まるクリスマス・アルバム☆
J-JAZZシーンの若き闘犬たちによるフレッシュなクリスマス・ジャズ・パレード
V.A. 『T5JAZZ Records Presents: Jazzy Christmas / Peaceful 2』
T5Jazz Recordsが素敵なオトナたちに贈る、シンプルでジャジーな極上のクリスマス・スタンダード・オムニバス『Jazzy Christmas:Peaceful』の第2弾!小沼ようすけ(g)、宮川純(p,key)、鈴木央紹(sax)、類家心平(tp)、大槻KALTA英宣(ds)といったJ-JAZZシーンを牽引するT5Jazz Recordsオールスター・メンバーが参加し、また楽曲ごとにアレンジを担当。聴き慣れたクリスマス・スタンダードが、若きスーパー・ミュージシャンたちによるジャジー・サウンドで生まれ変わります。高音質Ultimate HQCD仕様。
12月来日! 不滅のベイシー・サウンドで聖夜にスウィンギン♪
Count Basie Orchestra 『Very Swingin Basie Christmas』
カウント・ベイシー・オーケストラ結成80周年にて初のクリスマス・アルバムをリリース。19人編成のバンドに、ゲスト・ヴォーカルとして、ジョニー・マティス、レディシ、カーメン・ブラッドフォードなどを迎えて定番のクリスマス・ソングの数々をスウィンギーに演出。さらに エリス・マルサリス(p)やプラス・ジョンソン(sax)らも参加。楽団のレギュラー・トランペッター、スコッティ・バーンハートがディレクションを、ドラムのグレッグ・フィールドがプロデュースを務めている。
オランダのピアノ名手ロブ・ヴァン・バヴェル レギュラートリオによるクリスマス・アルバム
Rob Van Bavel 『Christmas Three』
各種レア本掲載盤でも知られるオランダの人気ピアニスト、ロブ・ヴァン・バヴェル率いるトリオによるストレート・アヘッドなピアノトリオ・クリスマス・アルバムが登場。おなじみの聖夜スタンダード曲に加えて、オリジナル・ブルースも収録。クリアなタッチとリリカルな音色に酔いしれる一枚です。
”オルガン・トルネード”バーバラ・ディナーリン ニコラ・コンテpro.のソウルフル・クリスマス
Barbara Dennerlein
『Christmas Soul』
『Straight Ahead』、『That's Me』といったENJAリーダー作でもおなじみのドイツの女流オルガン奏者バーバラ・ディナーリン。久方ぶりにシーンの最前線に戻ってきた彼女の最新作は、ニコラ・コンテのプロデュースによるクリスマス・アルバム。マイルス・デイヴィス「Blue Christmas」やおなじみの聖夜曲を文字通りソウルフル&スウィンギーにプレイ。その二コラやジャイルス・ピーターソン肝煎りの実力派シンガー、ザラ・マクファーレンもゲスト参加。
この季節のラブ・アフェアーをムーディに演出。
Kim Waters 『My Gift To You』
1989年のデビュー以降、自己のソロ活動のほか、ジェフ・カシワ&スティーヴ・コールとのサックス・パックなどでも活躍するベテラン・スムースジャズ・サックス奏者キム・ウォータース。『Home For Christmas』以来21年ぶりとなるホリデイ・アルバム。持ち前のメロウなアーバン・サウンドから繰り出されるクリスマス・ソングの数々でこの季節のラブ・アフェアーをムーディに演出。
2015年のジャズ・クリスマス・コンピ本命盤
V.A.
『Number 1 Jazz Christmas Album』
ヴィンス・ガラルディ、ビル・エヴァンス、ノラ・ジョーンズ、ダイアナ・クラール、アントニオ・カルロス・ジョビン、メル・トーメ、ジューン・クリスティ、さらには今年初来日を果たした話題のプッピーニ・シスターズ、5月にこの世を去ったブルース巨人B.B.キングなど、ジャズ、ボサノヴァ+@の新旧クリスマスソングをたっぷり25曲集めた究極の聖夜向けコンピレーションが登場です!価格もすこぶる魅力的☆
モダンジャズ
明るく柔らかなタッチで奏でられるクリスマス・ソングの数々
Beegie Adair 『マイ・ピアノ・クリスマス』 (2011)
ここ日本でもすっかりおなじみとなった、古き良き時代のアメリカを今に伝えるベテラン女流ピアニスト、ビージー・アデールのクリスマス・アルバム。カラフルなオーケストラやトリオによって明るく柔らかなタッチで奏でられるクリスマス・ソングの数々が、幸せな気分を運んでくる。衒いのない、包み込むようなピアノの調べがとても温かい。ボーナストラックには、J-POP史に残る山下達郎のクリスマス名曲「クリスマス・イヴ」カヴァーを収録。
クリスマス・ピアノ・ジャズ永遠の定番
Vince Guaraldi Trio 『Charlie Brown Christmas』 (1965)
リリカル且つファンキーな西海岸ピアニスト、ヴィンス・ガラルディが、モンティ・バドウィッグ(b)、コーリン・ベイリー(ds)とのトリオで吹き込んだ、クリスマス・ピアノ・ジャズ永遠の定番にしてピアノトリオの大名盤。元々は、1965年にアメリカCBS-TVで放映された「スヌーピーのメリークリスマス」のサウンドトラックとして制作されたもの。あらゆるジャズ・ミュージシャンがカバーする名曲「Christmas Time Is Here」の原曲も収録。本作には、オリジナルLP未収録曲(『チャーリー・ブラウンの休日』収録の「Great Pumpkin Waltz」、「Thanksgiving Theme」のモノラル版)を追加。
これぞ巨匠! 祝祭ムードは極めて高い!!
Michel Legrand 『Noel! Noel!! Noel!!!』 (2011)
ミシェル・ルグランの「これぞ巨匠!」と唸らずにはいられない、絢爛豪華な聖夜盤。レコーディングには、16人編成のビッグ・バンドと34名のオーケストラが参加と、祝祭ムードは極めて高い。世界中で歌い継がれてきたクリスマス・ソングの数々は、流麗なストリングスと緻密なアレンジと、どこを切っても安心二重丸のルグラン印。歌唱陣には、マデリン・ペルー、カーラ・ブルーニ、ジェイミー・カラム、ルーファス・ウェインライト、そしてイギー・ポップまでもが参加。彼らが一堂に会する書き下ろし新曲「Noel D'espoir」がスペシャル!
Jimmy Smith『Christmas Cookin'』 (1966)
オルガン・ジャズ巨匠ジミー・スミスの傑作クリスマス・アルバム。クウェンティン・ウォーレン(g)、ビリー・ハート(ds)とのトリオと、グラディ・テイト(ds)、ケニー・バレル(g)らが参加した豪華ビッグバンド演奏による録音。パーティを盛り上げるオルガンジャズ・クリスマスの賑やかさ、しんしんと降り積もる雪のようなバレルのギターの繊細な美しさ、その両面がたのしめる一家に一枚盤。
Duke Pearson『Merry Ole Soul』 (1969)
名プロデューサー/ピアニスト/コンポーザーのデューク・ピアソンがブルーノートに残した異色のクリスマス・アルバム。陽気なラテン・タッチの「ジングル・ベル」や可憐なジャズ・ワルツに変じた「きよしこの夜」などおなじみの楽曲が新たな魅力を見せる。意外と知られていないが、本編全9曲中7曲でアイアート・モレイラ(per)が参加。その企画性から、ブルーノート”幻の珍盤”としてもジャズ・コレクターの間ではつとに有名。
Louis Armstrong 『What A Wonderful Christmas』 (1997)
サッチモ・クリスマス盤にも色々あるが、入門編ということではこちらがお手軽か。「20th Century Masters -The Christmas Collection」からのベストで、ベニー・カーター楽団で歌った「Christmas in New Orleans」、ゴードン・ジェンキンス楽団で歌った「White Christmas」など、サッチモのクリスマス関連有名曲を概ねまとめて聴けるウレシイ一枚。
Herb Alpert 『Chirstmas Album』 (1968)
ハーブ・アルパート&ティファナ・ブラスならではのアメリアッチ・サウンドで踊ろう。バカラック作の「The Bell That Couldn't Jingle」、アルパートのヴォーカルがムーディに響く「The Christmas Song」、アカペラ・コーラスから一転ノリノリのジャズ・サンバになだれ込む「Jingle Bells」など、今も昔も楽しいクリスマス・ムードを盛り上げるには欠かせない一枚。営業DJsにもオススメ(ていうかもはや鉄板)!
Kenny Drew『Season's Greeting』 (1989)
ケニー・ドリュー没後20周年特別企画・限定紙ジャケ復刻。「ミスター・スタンダード」の異名をとったピアニスト、ケニー・ドリューが、ニールス・ペデルセン(b)、エド・シグペン / アルヴィン・クイーン(ds)とのトリオ、またはソロピアノにて1988〜89年に吹き込んだクリスマス・アルバム。オリジナルの「クワイエット・カテドラル」ほか、「ブルー・クリスマス」、「ホワイト・クリスマス」、「ジングル・ベル」などクリスマスの大スタンダードを鮮やかなジャズにアレンジした一枚。
Nils Landgren 『Christmas With My Friends V』 (2012)
ニルス・ラングレン、恒例のクリスマス・アルバムの第3弾。2011年12月19、20日、地元ストックホルムでのライヴを録音したもの。ドラムレスのトリオにサックスとニルスのトロンボーンとヴォーカル、そして、ジェシカ・ピルナス、イダ・サンドなどの独ACTを代表する女性ヴォーカリストが出演。お馴染みのクリスマス・ソングに加え、ジョン・レノン「イマジン」、ジョニ・ミッチェル「リヴァー」、スティーヴィー・ワンダー「想い出のクリスマス」なども収録。
L.A. Jazz Trio 『Piano Trio Christmas』 (2011)
ミニスカ・サンタのあんよにも釘付け必至。マンハッタン・トランスファーのシェリル・ベンティーン作品にもたびたび参加しているピアニスト、コリー・アレン率いるL.A.ジャズ・トリオによるクリスマス・アルバム。2008年のデビュー盤『明るい表通りで(Only The Sunny Side Of The Street)』でおなじみのスタンダードを軽妙洒脱、実に親しみやすくアレンジしていたトリオだけに、こうした聖夜曲の調理もお手のもの。ピアノトリオの本分に忠実ともいえるアドリブ〜インタープレイの妙を存分に生かした”納得”の内容に仕上がっている。
Carla Bley 『Carla's Christmas Carols』 (2009)
カーラ&夫君スティーヴ・スワロウと、パルティカ・ブラス・クインテットというドイツのブラス隊との共演。その結果が、意外や意外のクリスマス・アルバムに。カーラのピアノがそこまで全面に出ているわけではなく、また勿論、”前衛”と呼べるものではないのだが、緻密なアレンジやスワロウとの絶妙なやり取りによって築かれた荘厳で宗教的な世界・・・教会音楽という彼女のルーツを窺える意味でも多分に興味をそそられる一枚だ。
V.A. 『It's Christmas On Mack Avenue』 (2014)
絶好調デトロイトのジャズ・レーベル、マック・アヴェニューから登場したスペシャル・クリスマス・アルバム。ショーン・ジョーンズ(tp)、ティア・フラー(sax)、シリル・エイミー(vo)、ウォーレン・ウルフ(vib)、アーロン・ディール(p)、セシル・マクローリン・サヴァント(vo)らに加え、レーベルの顔役ともいえるクリスチャン・マクブライド(b)も参加。そのマクブライド・トリオによるJBカヴァー「Sanata Claus, Go Straight To The Ghetto」がとにかくカッコイイ!
フュージョン
今年の聖夜もコレで決まり!カールトン PLAYS クリスマス!!
Larry Carlton 『Four Hands & A Heart Christmas』
ラリー・カールトンが往年の名曲をたった一人で蘇らせた2012年の『Four Hands & A Heart』の続編ともいえる最新作は、聖夜曲の超定番をアコギとエレキ2本の多重録音で採り上げたスウィンギー&ソウルフルなクリスマス・アルバム。ロマンティックなムードはそのままに、スウィンギーなアップテンポにアレンジした「きよしこの夜」をはじめ、カールトンならではの美しい音色と歌心溢れた演奏にたっぷりと酔いしれたし♪
Bob James / Hilary James 『Christmas Eyes』 (2008)
ボブ・ジェームスと娘ヒラリー・ジェームスとの共演クリスマス作。クリスマスの定番曲を中心にしながら、ボブのオリジナル、またはヒラリーとその夫でもあり本作のプロデューサーでもあるケヴィン・ディシモネとの共作によるオリジナルなどが楽しめる。ヒラリーはそもそもジャズ畑を主戦場としていないこともあり、その”サラッと感”が持ち味のようだ。そういう意味でも、ナタリー・コールの「Christmas List」などを衒いなく歌い上げるところなどは好感度大。とまれ、ボブのアコースティック・ピアノの美しい音色に尽きる部分もあるかもしれない。
David T. Walker 『Wear My Love』 (2009)
近年精力的にリーダー・アルバムをリリースするデヴィッド・T・ウォーカー。ンドゥグ・レオン・チャンスラー(ds)、クラレンス・マクドナルド(p)、バイロン・ミラー(b)とのカルテット・レコーディングによるクリスマス・アルバム。「Santa Claus Is Comin' To Town」、「The Christmas Song」といった定番ソングを中心に、オリジナル曲(「Wear My Love」、「Holidays Are Mirrors」)も加えて構成された一枚。「White Christmas」など3曲では、バーバラ・モリソンをゲスト・ヴォーカルに迎えている。
Al Di Meola 『Winter Nights』 (1999)
超絶速弾きギター名人アル・ディメオラの心温まるアコースティック・クリスマス・アルバム。多重録音によるアコギ×2、パーカッション、キーボード、マルチストリングハープ、そしてロマン・フリンキフ(全15曲中10曲に参加)によるウクライナの民族弦楽器バンドゥーラが織り成す世界は静謐さこそあるもののどこか独特。スパニッシュ〜中近東〜インドに至る広大な大地を連想させるという声にもうなずける。おなじみのクリスマス・トラッドに、サイモン&ガーファンクル、ピーター・ガブリエルのカヴァー、インタールードを含む6曲のオリジナルから成っている。Telarcからのリリースということで音質は文句なし。
ジャズ・ヴォーカル
隠れた冬の名曲をしっとりと。心温まる聖夜の新定盤
Diana Panton 『ウィンター・キッス〜わたしのホリデイ』 (2012)
カナダの妖精ダイアナ・パントンがそのメロウ・ヴォイスで囁きかける、ファン待望のクリスマス・アルバム。アレサ・フランクリンで知られる「キッシング・バイ・ザ・ミスルトゥ」のボッサ・カヴァーからはじまり、お馴染みのクリスマス・ソング、アンリ・サルバドール「セ・ノエル・シェリー」、デイヴ・フリッシュバーグ「スノウバウンド」、そして、ヴィンス・ガラルディ「クリスマス・タイム・イズ・ヒア」などの隠れた冬の名曲をしっとりとカヴァー。これまでのクリスマス・アルバムとはひと味ちがう、心温まる冬の新定盤誕生。日本盤のみのボーナス・トラックとして、ランディー・ニューマン作のレア名曲「スノウ」収録。
ビッグバンドとの共演は卒倒必至のかっこよさ!
Diana Krall 『Christmas Songs』 (2005)
1998年の6曲入りミニ・アルバム『Have Yourself A Soulful Little Christmas』に続くダイアナ・クラール2作目のクリスマス集。トピックは、彼女にとって初となるビッグバンドとの共演。アンソニー・ウィルソン(g)のギターに導かれ、ジョン・クレイトン=ジェフ・ハミルトン・ビッグバンドのダイナミックなアンサンブルに乗ってスウィングしまくる冒頭「Jingle Bells」から早くもヒートアップ。ピアノ・ソロ、スキャットを交えながら盛り上り大会へと突入するあたりは卒倒必至のかっこよさ。スモール・コンボによる「The Christmas Song」、「White Christmas」では、彼女の細かい息づかいにたっぷりと酔いしれる。
ピアノデュオで贈るクリスマス・アルバム
Halie Loren 『Many Times, Many Ways - A Christmas Collection』 (2010)
新世代ジャズ・ヴォーカル・シーンにおいて一際注目度の高いヘイリー・ロレンが、マット・トレーダーとのピアノデュオで贈るクリスマス・アルバム。しっとりとした歌唱の中にあるわずかな翳りや渋みが、テクニック云々を超越した部分で聴く者の心を捉えて離さない。まだ20代だというのに大した表現力だ。「The Christmas Song」、「Winter Wonderland」といった定番曲もピアノデュオで耳にするとかなり新鮮。トレーダーのオリジナル・ソロピアノ曲「Sugar Cookies」、「From The Mouths Of Babes」も良いアクセントに。
今宵、”甘味”だけでは物足りない貴方へ
Jaimee Paul 『Christmas Time Is Here』 (2010)
ビージー・アデール完全バックアップの下、『At Last(邦題:シングス・スタンダーズ)』でデビューを果たしたジェイミー・ポール。リッチで艶のあるその歌声は、クリスマスのお供としても不足はない。いや、実に頼もしい。彼女のバックグラウンドとなるゴスペル、ブルース、ソウル系譜のふくよかさが染み出る。「若かりし日のエラ、あるいはビリー・ホリデイを想起させる」といった評判にも納得だが、それも表層的な亜流でないところにその凄みがあるのだろう。クリスマスに甘味だけを求める時代はとっくに終わった。ビージーも2曲に参加。
「四季ジャズ」完結編となるクリスマス作
Nicki Parrott 『Winter Wonderland』 (2012)
『さくらさくら』『サマータイム』『枯葉』に続く、ニッキ・パロットの「四季ジャズ」完結となるクリスマス作品。彼女のヴォーカル&ベースはもとより、実姉リサのサックスを全面にフィーチャーということで、しっとりとした肌触りの中に年の瀬特有の賑々しさなども感じさせてくれる。とかく、しっとり派には、「ブルー・クリスマス」、「クリスマス・タイム・イズ・ヒア」、「ホワット・アー・ユー・ドゥーイング・ニュー・イヤー・イヴ」などがオススメ。テナー御大ヒューストン・パーソンもゲスト参加。
Lisa Wahlandt 『Home For Christmas』 (2014)
ドイツ・ジャズ・シーンを代表する歌姫となったリザ・ヴァーラントが、ウォルター・ラング(p)、スヴェン・ファラー(b)らとのコラボでお送りするホリデイ・シーズンにぴったりのクールなユーロ・クリスマス・アルバム。ケイト・ブッシュのタイトル曲をはじめ、ジョニ・ミッチェル、ベン・ハーパー、トリ・エイモスなどの多彩なカヴァー、スタンダード、トラディショナルなどを幅広く。
Emilie-Claire Barlow 『Winter Wonderland』 (2007)
”歌姫大国” カナダでは、ダイアナ・クラールに負けずとも劣らぬ高い人気を誇るエミリー=クレア・バロウ。清楚なキューティ・ヴォイスとポップな作風でここ日本でもファンの多い彼女。クリスマス・アルバムでもその魅力をたっぷりと。「Santa Baby」、「Winter Wonderland」などの定番曲も、ひとたび彼女が歌えば甘く夢見心地のスペシャルなひとときに。『Mannequin』で知られるAORシンガー・ソングライター、マーク・ジョーダンとのデュエット「Baby, It's Cold Outside」もお見事。
Janet Seidel 『Hooray For Christmas』 (2004)
オールド・ファッション・スタイルと清々しくもコケティッシュな歌唱で心奪うオーストラリア・シンガー、ジャネット・サイデル。ボッサ・アレンジの「I'll Be Home For Christmas」、ウクレレに乗って軽やかに歌われる「Winter Wonderland」など、南半球に位置する彼の地ならではの ”真夏のクリスマス” ムードも随所に。ペギー・リー、ドリス・デイ、ブロッサム・ディアリーらによって歌われてきた古きよき聖夜ジャズ・ヴォーカルの伝統。それは、ジャネットの魔法によって再びエヴァーグリーンの輝きを取り戻す。
Dianne Reeves 『Christmas Time Is Here』 (2004)
グラミー賞4度受賞など輝かしい経歴を持つジャズ・ヴォーカルの最高峰ダイアン・リーヴスが2004年にブルーノートから発表したクリスマス・アルバム。ビリー・ホリデイやサラ・ヴォーンなどが築き上げたジャズ・ヴォーカルの世界を継承する主役の表現力豊かな歌唱はもちろん、グレゴリー・ハッチンソン(ds)、リューベン ・ロジャース(b)、ホメロ・ルバンボ(g)、ジョー・ロック(vib)、スティーヴ・ウィルソン(sax)ら脂の乗ったバックの演奏も素晴らしい。上質なメロウ・ワルツ「Christmas Waltz」を。
Traincha 『This Is The Season』 (2010)
ポップ・フィールドで活躍してきた人だけあって、スティーヴィー・ワンダー「Someday At Christmas」、「What Christmas Means To Me」、ジョン・レノン「Happy X'mas(War Is Over)」、ダニー・ハサウェイ「This Christmas」、そしてマライア・キャリー「Miss You Most(At Christmas Time)」など、選曲からしてその辺のジャズ・シンガーとはひと味もふた味も違う。プロデュースを手掛けるレオナルド・アムエドのギターとコーラスのみというシンプルなバッキングが功を奏し、トレインチャの本当の歌の巧さというものが際立っている。
New York Voices 『Let It Snow』 (2013)
ダーモン・ミーダー、ピーター・エルドリッジ、ローレン・キーナン、キム・ナザリアン。昨年結成25周年を迎えたベテラン・コーラス・グループ、ニューヨーク・ヴォイセス。世界的名門WDRビッグ・バンド・ケルンとの共演盤『Live With The Wdr Big Band Cologne』も話題を呼んだ彼らの初のクリスマス・アルバム。ミーダー曰く「2005年から録音する機会を伺っていた」というまさしく満を持しての一枚。アカペラ楽曲はもちろんこと、ドン・セベスキー、ホルヘ・カランドレッリ、ミッシェル・ウィアーらが手掛けたオーケストラ・アレンジでホリデイ・スタンダードの数々がフレッシュに甦る。
これでもかとばかりにグイグイとスウィングする痛快盤♪
Ella Fitzgerald 『Ella Wishes You A Swinging Christmas』 (1960)
女王エラの、もとい全てのクリスマス・アルバムの中で最もスウィンギン! オープニングの「Jingle Bells」、続く「Santa Claus Is Coming To Town」や「Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow!」、「Sleigh Ride」などなど、フランク・デヴォル・オーケストラの演奏に乗って、これでもかとばかりにグイグイとスウィングする痛快盤。世知辛い世の中において「クリスマスぐらいはこうでなくっちゃ!」と思わず膝を打つことウケ合い。録音は、かの名演『Mack The Knife - Ella In Berlin』と同じ1960年。つまり絶頂期の記録となる。退屈なワケがない。
『恋はボサノバ』と対極を成す?
Eydie Gorme 『Navidad Means Christmas』 (1966)
2014年8月に逝去したイーディ・ゴーメがトリオ・ロス・パンチョスとの共演で吹き込んだクリスマス・アルバム。同じくパンチョスとの共演では「アモール」、「キエン・セラ」といったスペイン語でのヒット曲も多い彼女だが、ここでも念を入れて、タイトルには「”Navidad”はクリスマスを意味している」と。静々としたクリスマス・スタンダードもしっかりと聴かせるが、「Navidad Y Ano Nuevo」のようなラテン気質全開の陽気な曲は、さすがといったところ。『恋はボサノバ』と対極を成すであろうラテンジャズ・クリスマスの決定盤。
Anita O'day 『Have A Merry Christmas With Anita O'day』
小粋なハスキーヴォイスで世のヴォーカル・ファンを虜にしたアニタ・オデイ。たっぷりとした声量や天才的なスキルがあるわけではないが、持ち前のジャズ・センス(といって正しいのか?)が皆に愛された。そんなアニタのクリスマス・ソングをまとめた編集盤で、以前『The Anita O'Day Xmas Album』というタイトルの自主レーベル・カセットで出回っていたものに「The Christmas Song」のライヴテイクが追加されての再登場。そのライヴは、1942年の音源ということで、ジーン・クルーパ楽団専属シンガー時代の貴重なマテリアル。
Patti Page 『Christmas With Patti Page』 (1955)
「テネシー・ワルツ」のヒットで知られるパティ・ペイジ。1955年にマーキュリーからリリースされたクリスマスLP(51、52年に10インチ・リリースされていた楽曲含む)にボーナストラックを追加したデラックス盤。絶妙なフェイクを織り交ぜたハスキー・ヴォイスが、「Jingle Bells」、「Santa Claus Is Coming to Town」といったアップテンポ曲によく映える☆ 95年にCD化された際には収録されていなかったシングル「Little Donkey」ほか、彼女がホストを務める米TVショー「The Patti Page Show」から3曲、ラジオ放送音源「Christmas Greetings From Patti」など6曲を追加。
Blossom Dearie 『My New Celebrity Is You』 (1976)
バリバリのクリスマス・アルバムではないが、この季節に好んで聴かれることも多いブロッサム・ディアリーのメロウ&ソフトなウィンター・アルバム。そのキュートな歌声だけでなく、彼女自身が爪弾くエレピの音にも耽溺必至。クリスマス曲ほか、シャレたムードの表題曲や、ボッサ調の「Killing Me Softly With His Song」、デイヴ・フリッシュバーグのカヴァー「Peel Me A Grape」なども言うことなし! ロン・カーター(b)、グラディ・テイト(ds)、ヒューバート・ロウズ(fl)、トゥーツ・シールマンス(harmonica)らスモール・コンボによるアシストも絶妙。
Helen Merrill 『Christmas Song Book』 (1991)
”ニューヨークのため息” ヘレン・メリルが1991年に吹き込んだクリスマス・アルバム。オーケストラ入りの色彩感溢れるトラックとコンボをバックにしたジャズ・オケとの二本立てで、当時還暦を迎え円熟期にさしかかった貫禄の歌唱は、自在なスキャットやフェイクを駆使する「Let It Snow」などにおいて顕著。作者メル・トーメとのデュエットが幸福感を喚起する「The Christmas Song」、アート・ファーマーの淡々としたソロが効果的な「A Child Is Born」、柔らかなワルツ「Winter Wonderland」など、じっくりと聴き込みたい一枚だ。
Manhattan Transfer 『Acapella Christmas』 (2004)
世界最高峰のジャズ・コーラス・グループ、マンハッタン・トランスファー、デビューから約30年で意外にもこれが初となる全編アカペラによるクリスマス・アルバム。エンターテイメント性を全面に出して、聖夜をゴージャスにスウィングさせる点からも、シンガーズ・アンリミテッドとはまた別の魅力が満載。円熟のコーラス・ワークは、甘くムーディな「I'll Be Home For Christmas」でどうぞ。彼らにはもう一枚、トニー・ベネットらがゲスト参加している『Christmas Album』(1992年)というクリスマス作品もある。
Singers Unlimited 『Christmas』 (1972)
オスカー・ピーターソンとの共演で注目されていた頃に吹き込まれた、アカペラ・ジャズ・コーラスによるクリスマス・アルバムの金字塔。粋なアレンジ、美しいハーモニー、重厚なコーラス、シャープなリズム感、全てが完璧。「Have Yourself A Merry Little Christmas」以外は、古くから伝わるおなじみの賛美歌やトラッドなどが並ぶということもあり、コマーシャライズされていない厳かな雰囲気にもあずかれる。とはいえ、ただ単にしんみりしているわけではなく、「Deck The Halls(ひいらぎ飾れ)」など、聖なる喜びを爆発させるハッピー・チューンも満載。
ここ数年のジャズ・ヴォーカル聖夜企画盤では最もポピュラーな一枚
Michael Buble 『Christmas』 (2011)
ミニ・アルバム『Let It Snow』(2003年)に続く2011年、2作目のクリスマス・アルバム。プロデュースは、デヴィッド・フォスター。ここ数年のジャズ・ヴォーカル聖夜企画盤では最もポピュラーな一枚に挙げられるのではないだろうか。「White Christmas」では、シャナイア・トゥエインと、「Mis Deseos/Feliz Navidad」ではタリアとのムーディなデュエットを披露。また、「Jingle Bell」、「Blue Christmas」といった古典から、マライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス」までカヴァー曲のレンジも幅広く、新世代ジャズ・シンガーならではのフットワークの軽さもスマートに見せつける。オリジナル新曲「Cold December Night」も収録されている。
名唱「My Favorite Things」も収録
Tony Bennett 『Classic Christmas Album』 (2011)
時代のハイパー歌姫との共演盤など、今年もシーンを大いに賑わせた御大トニー・ベネット。こちらは過去4枚のクリスマス・アルバムの中からベネット本人が17曲ピック・アップしたクリスマス・アルバムの総決算。1968年録音のキャリア初の聖夜作『Snowfall』から、名唱「My Favorite Things」、「Winter Wonderland」、「I'll Be Home for Christmas」などをしっかりと収録しているのも嬉しいところ。未発表曲「What Child Is This」を追加した全18曲。
エンターテイメント・クリスマス・ジャズ本丸盤
Tony Bennett 『A Swingin' Christmas』 (2003)
老いて尚色気ムンムン。トニー・ベネットが、カウント・ベイシー・ビッグバンドやモンティ・アレキサンダー(p)の最高にスウィンギーな演奏を背にシャウトする、ダンサンブルなエンターテイメント・クリスマス・ジャズの本丸盤。「I'll Be Home For Christmas」、「My Favorite Things」、「Winter Wonderland」、「Santa Claus Is Coming To Town」、いずれも底抜けにスウィングし、どこまでもゴキゲンに歌い上げる。イタリア男子の美学ここにあり。バラードもフェロモン出まくり、腰砕け必至のメロウネス充満。トゥーツ・シールマンス(harmonica)、アンディ・シュナイツァー(ts)らもゲスト参加。
全てを包容すべくポジティヴな愛が横溢
Frank Sinatra 『フランク・シナトラ・クリスマス〜ホワイト・クリスマス、きよしこの夜』
アメリカン・ポピュラー・ミュージックの王道を聖夜に。バラード主体で世界中の恋人たちを濡らす、40代ホンモノの男の色気。クリスマス・スタンダードですら無双のシナトラ節でオリジナリティ溢れるものへと様変わり。ビング・クロスビー、ナット・キング・コール、ペリー・コモらと同様、一時代を築いた男の歌には、追随を許さない圧倒的な粋と、全てを包容すべくポジティヴな愛が満ち溢れている。今年の12月に生誕100年を迎える“ザ・ヴォイス"至極のクリスマス・ソング集。キャピトル期とリプリーズ期を網羅するこの季節にふさわしい一枚。
「The Christmas Song」の超名唱を収録
Nat King Cole 『The Christmas Song』 (1963)
フル・オーケストラをバックに数々の名曲を歌ったナット・キング・コール1963年のクリスマス・アルバム(Capitol原盤)がAudio Fidelity社よりハイブリッドSACDで再発。1946年にナットが吹き込んで一躍有名となった表題曲(メル・トーメ/ボブ・ウェルズ作)の再演や、「The First Noel」、「Joy to The World」、「Silent Night」など誰もが知っている聖歌をその艶やかで温かいベルベット・ヴォイスで歌い上げるベストセラー作品。
Bing Crosby 『White Christmas』 (1942)
「世界中で最も聴かれているクリスマス・アルバムとは?」と訊かれたら、往年のポピュラー〜ジャズ・ヴォーカル・ファンは真っ先にこのアルバムを挙げることだろう。第二次世界大戦中の1942年にオリジナル発売されてから70年、SP、LP、CD、本国盤から日本独自編集盤までフォーマットや収録内容を変えながら、現在も世界中で売れ続けている特大ベストセラー盤。心弾む明るいクリスマス・ムードを味わいたいという貴方、何を買おうか迷ったら、とにかくコレを! といっても概ね乱暴ではないだろう。
Al Jarreau 『Christmas』 (2008)
2008年にリリースされたアル・ジャロウ初のホリデイ・アルバム。00年代のジャロウと言えば、還暦を越えながらも、GRPやVERVEから『All I Got』、『Accentuate The Positive』、さらにジョージ・ベンソンとの『Givin' It Up』、ラブソング集『Love Songs』といった良質なアルバムを連発していた稔りのシーズン。6オクターブの音域から生み出される、キャッチーでリズミカルなヴォーカルが聖夜に優しく響く。「I'll Be Home For Christmas」、「The Christmas Song」にはテイク6がゲスト参加。
コンピレーション
『ブルーノートのクリスマス』 (1995)
原題の「Yule Struttin'」は、言うまでもなくソニー・クラークのアレに引っ掛けているわけだが、現代的には ”ミニスカ・サンタ” のおみ足にやはり軍配か。1995年、新体制となったBlue Note はちょうど ”新しいジャズの定義” を模索していた時期でもあり、よってそれまでの旧態依然としたカタログ音源オンリーで固めたオムニバス盤とは異なる、かなりフレッシュな顔ぶれが並ぶものとなった。スタンリー・ジョーダン、イリアーヌ・イリアス、ダイアン・リーヴス、ジョン・スコフィールド、ジョーイ・カルデラッツォ、ベニー・グリーン、リック・マーギッツァなど、彼らの当時の新録を中心とした内容は世界中で大いにウケた。チェット・ベイカー、カウント・ベイシー、デクスター・ゴードンらの古典曲も収録。
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