【特集】 祝”フル”リユニオン!フェイセズ RHINOボックスセット
Sunday, August 30th 2015

情報筋によれば、いよいよロッド・スチュワートが合流した”フル”リユニオンが実現するというフェイセズ。9月5日、前立腺がん研究や啓発活動を行なっている団体「Prostate Cancer」が主催するポロ・クラブでのチャリティ・イベント、その「Rock 'n' Horsepower」セットに登場するというお知らせが先日ロッド本人からアナウンスされた。
今年1月にロッドの70歳のお誕生日会で束の間の再結成は果たしたものの、公の場での本格的なライヴ・パフォーマンスとなると、1975年11月のUSツアー以来実に40年ぶり。ロニー・レーンはおろか、ここ数年バンドの再結成に腐心し、その日が来ることを誰よりも待望していた盟友イアン・マクレガンを失ったことは喪失感に堪えないが、残された3人(特にロッド)が「彼らの魂と同化するときは今しかない」と決断したことには素直に拍手を送りたい。
多くのフォロワーを生んだ業界きっての飲んだくれバンドがロックンロールの真髄を見せつける!・・・だなんてあまりにも浅薄な惹句すぎてゲンナリしてしまうが、少なくともロッド、ウッディ、ケニー自身が心底楽しんで演奏している姿を見たいと願う世界中のフェイセズ・ファンは、つまらない業界仕掛けの”ロック不文律”に振り回されることのないヘルシーでハッピーな再結成ギグを待ち望んでいるのだ。孫に「おじいちゃんカッコよかったよ」と乗せられるロッドやロニーを想像したいではないか。そして声を大にして言おう。ミック・ハックネルでもない、ポール・キャラックでもメラニーCでもないんだ、と。
2009年以降、散発的に行なわれた再結成ギグがどれだけ茶番めいていたかを蒸し返すことはフェアではないが、いずれにせよフェイセズは9月にフル・リユニオンを果たす。その前哨戦とばかりに、RHINOから、こちらもお待ちかねの、オリジナル・アルバム4枚の最新リマスタリング+未発表ボーナス+レア音源ボーナスディスクを詰め込んだ豪華なボックスセットが出るというのだから、我々フェイセズ・ファンはこれ以上ない実りの秋を迎えることになりそうだ。
さて、そのボックスセット。2010年に国内盤リリースされた”クラフトマンシップ”全開の紙ジャケ再発にこそ及ばないものの、『馬の耳に念仏』に付属の特大ポスター、『Ooh La La』の切込み×差し込み=オヤジ可動ジャケと”カンカン娘”のゲートフォールドは、今回も同発のアナログLPでしっかり再現されているのは嬉しいところ。また、各アルバムには、レアなアルバム未収録曲、アウトテイク、ライヴ音源などがボーナスとして収録され、さらに別皿でボーナスディスクが付くという至れり尽くせりな内容に。
シングルAB面曲、各種BBCセッション音源、NME誌の『Ooh La La』プロモーション用ソノシートに収録されていた「Dishevelment Blues」などは、マックの監修で2004年に発売された4枚組ボックス『Five Guys Walk Into A Bar』でも聴くことはできたが、時系列に沿った形で、またリーズナブルプライスで手に入れることができるのはファンにとってはありがたいことだ。欲を言えば、バンドのラスト・レコーディング(1974年)となった未発表曲「Hi-Heel Sneakers / Everybody Needs Somebody To Love」、「Gettin' Hungry」、「Rock Me」、「Open To Ideas」なども何とかネジ込んでほしかったところだが、まぁ贅沢は言うまい。
ふと回りを見渡せば、フェイセズ・チルドレンと呼べるようなロックンロール・バンドがめっきり少なくなってきた昨今、ある種時代の流れに逆らうかのように盛り上がってみせるのは、ロック・リイシュー市場のお約束か否か? とにもかくにも解散から40年、しかもリユニオン直前という恰好のタイミングにひとはしゃぎしない手はない。
今年1月にロッドの70歳のお誕生日会で束の間の再結成は果たしたものの、公の場での本格的なライヴ・パフォーマンスとなると、1975年11月のUSツアー以来実に40年ぶり。ロニー・レーンはおろか、ここ数年バンドの再結成に腐心し、その日が来ることを誰よりも待望していた盟友イアン・マクレガンを失ったことは喪失感に堪えないが、残された3人(特にロッド)が「彼らの魂と同化するときは今しかない」と決断したことには素直に拍手を送りたい。
多くのフォロワーを生んだ業界きっての飲んだくれバンドがロックンロールの真髄を見せつける!・・・だなんてあまりにも浅薄な惹句すぎてゲンナリしてしまうが、少なくともロッド、ウッディ、ケニー自身が心底楽しんで演奏している姿を見たいと願う世界中のフェイセズ・ファンは、つまらない業界仕掛けの”ロック不文律”に振り回されることのないヘルシーでハッピーな再結成ギグを待ち望んでいるのだ。孫に「おじいちゃんカッコよかったよ」と乗せられるロッドやロニーを想像したいではないか。そして声を大にして言おう。ミック・ハックネルでもない、ポール・キャラックでもメラニーCでもないんだ、と。
2009年以降、散発的に行なわれた再結成ギグがどれだけ茶番めいていたかを蒸し返すことはフェアではないが、いずれにせよフェイセズは9月にフル・リユニオンを果たす。その前哨戦とばかりに、RHINOから、こちらもお待ちかねの、オリジナル・アルバム4枚の最新リマスタリング+未発表ボーナス+レア音源ボーナスディスクを詰め込んだ豪華なボックスセットが出るというのだから、我々フェイセズ・ファンはこれ以上ない実りの秋を迎えることになりそうだ。さて、そのボックスセット。2010年に国内盤リリースされた”クラフトマンシップ”全開の紙ジャケ再発にこそ及ばないものの、『馬の耳に念仏』に付属の特大ポスター、『Ooh La La』の切込み×差し込み=オヤジ可動ジャケと”カンカン娘”のゲートフォールドは、今回も同発のアナログLPでしっかり再現されているのは嬉しいところ。また、各アルバムには、レアなアルバム未収録曲、アウトテイク、ライヴ音源などがボーナスとして収録され、さらに別皿でボーナスディスクが付くという至れり尽くせりな内容に。
シングルAB面曲、各種BBCセッション音源、NME誌の『Ooh La La』プロモーション用ソノシートに収録されていた「Dishevelment Blues」などは、マックの監修で2004年に発売された4枚組ボックス『Five Guys Walk Into A Bar』でも聴くことはできたが、時系列に沿った形で、またリーズナブルプライスで手に入れることができるのはファンにとってはありがたいことだ。欲を言えば、バンドのラスト・レコーディング(1974年)となった未発表曲「Hi-Heel Sneakers / Everybody Needs Somebody To Love」、「Gettin' Hungry」、「Rock Me」、「Open To Ideas」なども何とかネジ込んでほしかったところだが、まぁ贅沢は言うまい。
ふと回りを見渡せば、フェイセズ・チルドレンと呼べるようなロックンロール・バンドがめっきり少なくなってきた昨今、ある種時代の流れに逆らうかのように盛り上がってみせるのは、ロック・リイシュー市場のお約束か否か? とにもかくにも解散から40年、しかもリユニオン直前という恰好のタイミングにひとはしゃぎしない手はない。
『1970-1975: You Can Make Me Dance Sing Or Anything』 (5CD)
フェイセズの4枚のオリジナルアルバムの最新リマスター盤とボーナスディスクの5枚組ボックスセットが登場。
ボックスセットに含まれているアルバムは『The First Step (1970)』、『Long Player (1971)』、『A Nod Is as Good as a Wink…to a Blind Horse (1971)』、『Ooh La La (1973)』で、それぞれのアルバムに未発表ヴァージョンのボーナストラックが収録されている。
ボーナスディスクには、アルバム未収録のシングル「Pool Hall Richard」(1973年)、テンプテーションズ・カヴァーとなる「I Wish It Would Rain」の1973年リーディング。フェスティバルでのライヴ音源、ポール・マッカートニー「Maybe I'm Amazed」カヴァーのスタジオ・ヴァージョンなどが含まれる。
ボックスセットに含まれているアルバムは『The First Step (1970)』、『Long Player (1971)』、『A Nod Is as Good as a Wink…to a Blind Horse (1971)』、『Ooh La La (1973)』で、それぞれのアルバムに未発表ヴァージョンのボーナストラックが収録されている。
ボーナスディスクには、アルバム未収録のシングル「Pool Hall Richard」(1973年)、テンプテーションズ・カヴァーとなる「I Wish It Would Rain」の1973年リーディング。フェスティバルでのライヴ音源、ポール・マッカートニー「Maybe I'm Amazed」カヴァーのスタジオ・ヴァージョンなどが含まれる。
『First Step』 (1970)
スティーヴ・マリオット脱退後のスモール・フェイセズに、ロッド・スチュワート(この時点ですでにMercuryでのソロ活動を並行している)とロン・ウッドが加わった、新生“フェイセズ”としての70年1stアルバム。曲が書けるソングライター2人の加入により、個性を生かしたヴァラエティ豊かなサウンドが開花。さらに、底なしの酒飲み2人がもたらした功績は、間違いなくルーズでワイルドなロックンロール・マナー。また、「Wicked Messenger」での幕開けも、熱心なディラン信者の2人のアイデアだろう。ちなみに、”Small”を外したバンド名は、リリース直後に決まったもので、アメリカの初回プレスLPには、”Small Faces”のままジャケットにクレジットされており、今回はもちろんその初回盤ジャケを採用!ボ・ディドリー「Mona」カヴァーなど5曲をボーナストラックとして収録。
- 01. Wicked Messenger
- 02. Devotion
- 03. Shake, Shudder, Shiver
- 04. Stone
- 05. Around The Plynth
- 06. Flying
- 07. Pineapple And the Monkey
- 08. Nobody Knows
- 09. Looking Out The Window
- 10. Three Button Hand Me Down
-
Bonus Tracks
- 11. Behind The Sun (Outtake)
- 12. Mona - The Blues (Outtake)
- 13. Shake, Shudder, Shiver (BBC Session)
- 14. Flying (Take 3)
- 15. Nobody Knows (Take 2)
『Long Player』 (1971)
71年発表の2ndアルバム。ケニー・ジョーンズのドタバタ・ドラムに身悶えする「Bad 'N' Ruin」から返品・交換不可のフェイセズ節全開。70年に行なわれたフィルモア・イーストにおける実況録音を変則的に収録。ポール・マッカートニーの「Maybe I'm Amazed」では、ロニーとロッドがバーごとに入れ替わり見事な共唱を聴かせる。また、観客を巻き込むライヴの熱気をそのまま伝えた「Feel So Good」でのロニーの繊細なギター・プレイは見事としか言いようがない。「Sweet Lady Mary」は、フェイセズ史上最高に美しいバラード。ロニーのスライドが厭世に響く、ストーンズ・ヴァージョンを習作としたロバジョン「Love In Vain」ライヴカヴァーなど5曲をボーナストラックとして収録。
- 01. Bad 'N' Ruin
- 02. Tell Everyone
- 03. Sweet Lady Mary
- 04. Richmond
- 05. Maybe I'm Amazed
- 06. Had Me A Real Good Time
- 07. On The Beach
- 08. I Feel So Good
- 09. Jerusalem
-
Bonus Tracks
- 10. Whole Lotta Woman (Outtake)
- 11. Tell Everyone (Take 1)
- 12. Sham-Mozzal (Instrumental - Outtake)
- 13. Too Much Woman (For A Henpecked Man) [Live - Fillmore East, New York 11/10/70]
- 14. Love In Vain (Live - Fillmore East, New York 11/10/70)
『Nod Is As Good As A Wink...To A Blind Horse』 (1971)
71年発表の3作目となる、邦題『馬の耳に念仏』。ルーズな持ち味が身上の彼ららしいロックンロール・サウンドや、ミディアム・バラードなどが堪能できる傑作。ロン・ウッドのギターとイアン・マクレガンのキーボード、ロニー・レーンとケニー・ジョーンズのリズム隊によるグッド・アンサンブル。そして、ロッド・スチュワートのしゃがれ声。フェイセズの残した、ルーズにレイドバックしたR&Rサウンドの最高沸騰点。そのフォロワー的バンドが、ストーンズ以上に目標とするのも十分頷ける、”永遠の二番手”ならではの哀愁とズル剥けの交配の記憶。ジャケを見ればすべてが判る。数多く流通している彼らのBBCセッション音源から「Miss Judy's Farm」、「Stay With Me」の2曲をボーナストラックとして収録。
- 01. Miss Judy's Farm
- 02. You're So Rude
- 03. Love Lives Here
- 04. Last Orders Please
- 05. Stay With Me
- 06. Debris
- 07. Memphis
- 08. Too Bad
- 09. That’s All You Need
-
Bonus Tracks
- 10. Miss Judy's Farm (BBC Session)
- 11. Stay With Me (BBC Session)
『Ooh La La』 (1973)
73年発表、グループ最高のセールスを記録した作品。アナログ時代、ジャケットの顔の目とアゴの部分が動くという仕掛けも話題に。ソロで活躍していたロッド・スチュワートのお陰もあってか、アメリカでのライヴも盛況だったフェイセズは、本作発表後にロニー・レーンが脱退、元フリーの山内テツなどを迎えてライヴを行うが、ソロ・キャリア華々しいロッドが、グループとしての活動に必然性を見出せなくなったことを理由に活動を休止。75年にフェイセズは解散した。地下盤『Ooh La La Sessions』収録で有名な各種リハーサルテイクやロッド自身のお気に入り「Jealous Guy」カヴァーなど6曲をボーナストラックとして収録。
- 01. Silicone Grown
- 02. Cindy Incidentally
- 03. My Fault
- 04. Borstal Boys
- 05. Fly In The Ointment
- 06. If I'm On The Late Side
- 07. Glad And Sorry
- 08. Just Another Honky
- 09. Ooh La La
-
Bonus Tracks
- 10. Cindy Incidently (BBC Session)
- 11. Borstal Boys (Rehearsal)
- 12. Silicone Grown (Rehearsal)
- 13. Glad And Sorry (Rehearsal)
- 14. Jealous Guy (Live - Reading Festival, Reading, UK 8/25/73)
- 15. Flags And Banners
『Stray Singles & B-Sides』
アルバム未収録のシングルA面曲でキース・リチャードのことを歌った猥歌「Pool Hall Richard(玉突きリチャード)」、「You Can Make Me Dance, Sing Or Anything」をはじめ、シングルB面曲の「Oh Lord I'm Browned Off」(A面は「Maybe I'm Amazed」)、「Rear Wheel Skid」(A面は「Had Me A Real Good Time」)など一般的なシングルコレクションともいえそうな内容だが、絶頂期73年のレディング・フェスティヴァル音源「I Wish It Would Rain」やNME誌付録のソノシート音源「Dishevelment Blues」を収録しているあたりはさすがにファンのツボを心得ている。
- 01. Pool Hall Richard (2006 Remastered Single Version)
- 02. I Wish It Would Rain (With A Trumpet) (Live – Reading Festival, Reading, UK 8/25/73) (Remastered)
- 03. Rear Wheel Skid (Remastered Single Version
- 04. Maybe I'm Amazed (Remastered Single Version)
- 05. Oh Lord I'm Browned Off (Remastered Single Version)
- 06. You Can Make Me Dance, Sing Or Anything (2006 Remastered Single Version)
- 07. As Long As You Tell Him (Single Version)
- 08. Skewiff (Mend The Fuse) (Remastered Single Version)
- 09. Dishevelment Blues (Remastered Single Version)
その他の公式ベスト盤/ボックスセット
『Best -Snakes And Ladders』
解散直後の76年に発表されたベスト・アルバム。いわずもがなロッドは華やかなソロのステージへ舵をきり、ロニーは世界最強の称号を有する野獣の群れに仲間入り。わずか5年という短い活動期間ながら、世界各地に多くのフォロワーを生むこととなったフェイセズのロックの代名詞ともいえる12曲を収録。シングルのみでの発売となった「Pool Hall Richard(玉突きリチャード)」(キース・リチャーズのことを歌っている猥歌です)、「You Can Make Me Dance, Sing Or Anything」という2曲のLP未収録曲が目玉となっている。
[こちらの商品は現在お取扱いしておりません]
『Five Guys Walk Into A Bar』 (4CD)
2004年にリリースされたフェイセズの4枚組ボックス。アルバムからの既発曲に加えて、BBCセッション43曲、シングルB面曲、ライヴ・テイク、未発表曲、リハーサル・テイク、アウトテイクからなる全67曲。イアン・マクレガン自らが監修していることもあり、64ページの豪華ブックレットを含めて、ファンの喜ぶツボをしっかり心得ているディレクション。当初は2002年秋にリリースされるとアナウンスされていたのだが、収録が予定されていた「Ooh La La」のロニー・レーンがフェイセズ時代に歌ったレア・ヴァージョンのマスターが見つからず、その所在を突き止めているうちにリリースが大幅に遅れてしまったのだそうだ。
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2014年12月3日に69年の生涯を閉じたイアン・マクレガン。こちらでは、サエキけんぞう、THE NEATBEATSのMr.PANの両氏から寄せられた追悼文から、マックのスモール・フェイセズ〜フェイセズ〜ソロ活動の略歴とその功績を改めて振り返ってみたいと思う。
その死に際してロッドがコメントした「彼はフェイセズの真のスピリットを形づくった」という言葉にすべてが集約されているのかもしれない。ロッド、ウッディ、ケニー、そしてマックの4人によるフェイセズ再結成は残念ながら叶わぬものとなってしまったが、マックのスピリットは、彼らと、そしてフェイセズの音楽と共に生き続ける。誰からも愛された、最高にハッピーでグルーヴィなロックンロール・キーボード・アルチザンに捧げよう。
至高のロック・キーボード、イアン・マクレガンの偉業
サエキけんぞう
(ミュージシャン/作詞家/プロデューサー)
(ミュージシャン/作詞家/プロデューサー)
至高の「キーボードによるロック」を刻んだイアン・マクレガンが亡くなった。彼のスタイルは他に例を見ない。個性的、創造的なものだ。 イアン・マクレガンの音を全身で浴びたのは1990年の川崎クラブチッタ。多発性硬化症で車椅子だったロニー・レインを応援するライブ。舞台ソデで衝撃を受けたのは、ウーリッツアーエレピのアンプからの出音が完全に割れていたこと。不治の病に動くこともできずに歌うロニーに、神に届けとばかりの激しいピアノ音の嵐、璧のようなサウンドが、完璧なヴィジョンを伝えていた。ただの爆音ではなく、エレキギターによらず、キーボードだけで成立する精緻なロック・サウンドがそこにはあった。
そういえば吉祥寺で見たゾンビーズのロッド・アージェントのエレピも音が完全に割れていた。また後楽園球場のキース・エマーソンのハモンドもバギバギだった。その3人は、常にフルテン(レベル振り切り)、ディストーション(的)。60年代から続く英国ロックにおけるエレクトリック・キーボードの凄み、ギターに勝るサウンドヴィジョンだ。
バンドサウンドの妙を鍵盤の打ち音で伝える、そんなキーボード奏者は希である。ジョン・ロードはシロタマ(長音符)が多くグルーヴを出さない。エルトン・ジョンやイアン・スチュワート(ストーンズ)は、あくまで生ピアニストである。イアン・マクレガンは、打弦のニュアンスで微妙なグルーヴを操るロック・キーボードのパイオニアなのだ。その偉業の展開を年代を追ってみていきたい。
60年代の参加バンドはスモール・フェイセスである。ここではバンマスであるスティーヴ・マリオットのギターにサウンドを仕切られていたため、持ち味の出番は少なかった。しかし、才能の萌芽は、シングル「Tin Soldier」「Itchycoo Park」などに見られ、素晴らしい。特にシングル曲が良いため、イアンが参加しているイミディエイト時代のコンピがオススメ。「Darlings of Wrapping: Wharf Lauderette」が一押し。あるいは当時発売されたオリジナル・コンピレーション「The Autumn Stone」(1969)。60年代スタイル・キーボードの安定した演奏。炸裂する音色はすでに開花していたが、ギターが全てを支配するロックバンドではキーボードがいかに必要ないか?も思い知らされる。
サウンドの独裁者ともいえるスティーヴ・マリオットがハンブル・パイ結成のために去り、残りのイアンとベースのロニー・レイン、ドラムのケニージョーンズは3人でリハーサルを始めたという。
ヴォーカリストが抜けたスモール・フェイセスの3人に対し、大手レコード会社は興味を示さなかった。しかし彼らは地道な練習を重ね、演奏に熱が入っていった。キーボードのトリオ演奏。イアンのグルーヴが確立していったのだろう。そこにジェフ・ベック・グループから脱退したベーシスト、ロン・ウッドと、英ロック界から動向を最も注目されていたボーカリスト、ロッド・スチュワートが参加することになる。ベーシストは優秀なロニー・レインがいたため、ロン・ウッドはギターに回った。ジェフ・ベック・グループでカミソリのようなベース・プレイを見せたロンは、ギターにおいてはまったりとした味わい深いリフ・プレイを旨とするようになった。それがイアンの切り込むグルーヴとかみ合ったのだ。
バンド名を改め「フェイセス」となった5人組のアルバムはどれも必聴である。ホットで初々しいバンド・サウンドが聴かれる1st「First Step」 (1970)、2nd「Long Player 」(1971)は、ファン必聴である。最高のセールスを生み不朽の名作となったのは、3rd「A Nod Is As Good As a Wink... to a Blind Horse (邦題「馬の耳に念仏」)だった。大ヒット曲になった「Stay With Me」を中心に、イアンの個性であるキャラクター感満載のエレピ、オルガン・プレイが最高の音圧で迫ってくる。1曲目の「Miss Judy's Farm」でウッド、右イアンで繰り広げられるロックン・ロール・センスは、フェイセスの白眉だろう。ブギウギ調にカラフルに繰り広げられるフレージングのキュートさは、どうだろう?シャクるような打弦の歪んだ音色によって絶妙なニュアンスが醸し出されるのだ。リズム・ギターではけして出ないロック・グルーヴ。それはギターロックが出尽くした21世紀の今、魅力が増しこそすれ、減ることがない。4th「ウー・ラ・ラ」ではイアンはアコースティック中心でポップにまとめている。コンパクトになったのが惜しいが、泣きのメロディーが光る名盤。ロニー・レインが脱退し、我等が山内テツがベーシストとして参加したライブ盤「Coast to Coast: Overture and Beginners」では、イアンのアイデアあふれたプレイがまとまって聴ける。
日本のグラム・ロック・シーンを作りだしたサディスティック・ミカ・バンドの加藤和彦は、フェイセスをグラム・ロックの中に位置づけていた。もともとグラム・ロックはロックン・ロール・リバイバルとして始まった側面がある。オールド・スタイルなブギーをテンポを落として奏でることにより、ロックにグルーヴの概念をもたらし、50年代にはなかったリズムの複雑なニュアンスを作り出したのだ。
グラム・ロックは、先導したTレックス、あるいはデヴィット・ボウイ「ジギー・スターダスト」のようなミディアム・テンポのロックンロールを核とした。フェイセスのミディアム・ブギーも、まさにその範疇なのだ。70年代前半を彩ったロックの真ん中に、フェイセスがいた理由だ。そしてギターロックのTレックス、ボウイ、などにない個性をフェイセスが放てた理由は、イアンがいたから。特異な鍵盤にあった。
フェイセスと同時平行に制作されたロッド・スチュワートのソロ・アルバムにおけるプレイも見逃せない。初期2枚はロン・ウッドとイアンとのコラボによって作られているので、フェイセスの盤といっても過言ではない。特に2nd「Gasoline Alley」(1970)のフォークロアでいてダイナミックなサウンドは、時にフェイセスを凌ぐ。イアンの炸裂するプレイから生み出された。
1975年、ロン・ウッドがキース・リチャードからの熱烈なラブ・コールを受ける中、ロッド・スチュワートはソロ・アーティストとして渡米録音し「Atlantic Crossing」(1975)で大成功、バンド人生と別れを告げることになる。
フェイセスの実験性は、ロン・ウッドの2nd「Now Look」に引き継がれることになる。ロンとイアンを核に、ボビー・ウーマック(ギター、ボーカル)、ウィリー・ウィークス(ベース)、アンディ・ニューマック(ドラム)というリズム・セクションは強力無比で、グラム・ロックを経た新しいソウル・ポップスを創りだした。
ビリー・プレストンやスティーヴィー・ワンダーにない黒い鍵盤ロック・グルーヴがここにはある。相棒ロン・ウッドとの複雑な絡みは至高の高みを迎える。黒人音楽的だがニュアンスがはみ出るほど豊かで、悪ガキのようにエグい遊び心満載のエレキ・キーボード・プレイ。ロックならではの楽しさが完成形を迎える。70年代のロック=白人+黒人サウンドの最高峰となったのだ。
「Now Look」は類を見ないコクのあるサウンドを獲得するも、結局ロン・ウッドの前にも後にも同様の傾向のアルバムはない。
ファンの期待は、ロン・ウッドとキース・リチャーズによって結成されたニュー・バーバリアンズに集まった。イアンをキーボードに招いたこのバンドは、ロン・ウッドによる私家リリースの「THE FIRST BARBARIANS・LIVE FROM KILBURN」(WOODEN RECORDS、CD+DVD)がセミ・オフィシャル的に発売されている。ロン・ウッドの1st「 I've Got My Own Album to Do」発売後、ロン・ウッドと仲間達というコンセプトのこのライブは、「Now Look」と同様アンディ&ウィリーのリズムセクションである。ソウル風のリズムにイアンの冴えた演奏が楽しめるが、音は悪い。
その後、ベーシストにはスタンリー・クラークも招いたニュー・バーバリアンズの正式スタジオ・アルバムは制作されなかった。ライブ音源を聴くと、しだいにキースが傾倒するチャック・ベリー風ギターで2人して暴れるというコンセプトに変わっていく。ブギーの鬼であるキースのギターが悪いはずもないが、ギター中心のコンセプトは、イアンが脇役に徹することになった。
とはいえ、イアンはストーンズに一矢を報いた。ロン・ウッドが全面参加を開始したシングル「ミス・ユー」で決定的なグルーヴを打鍵した。チャーリー・ワッツの叩く実験的なディスコ曲であるこの曲は、ギターの役割が少なく、イントロからイアンの音色が支える。ミディアムのソウル風ロックといえば、イアンの独壇場なのだ。フェイセスで培われた魔法は、ここでチャートを制した。
1978年のストーンズ・ツアーに加わったイアンの際立ったプレイは、2014年発売のDVD「サム・ガールズ・ライヴ・イン・テキサス '78」で堪能できる。このツアーは、最もバンドとしての集中力とインパクト、カタルシスの高い演奏となった。飛び抜けてリズムが強靱なこのライブに、イアンが貢献していること大である。そしてイアンがついに自らの決定的なサウンドをソロで創り上げた。「Troublemaker」(1979)である。これは「Now Look」をさらにロック寄りに、地に足についた音にした傑作アルバムだ。ロン・ウッドに味わいが似ているが、よりビターな味わいでボーカルをじっくり聴かせる。ロニー・レインのソロ・アルバムはフェイセスのカントリーサイドを彷彿とさせるし、結局のところフェイセスはメンバーそれぞれのサウンドに引き継がれた。
続く「Bump in the Night」(1980)では、 Ian McLagan & the Bump Bandを本格的に始動させ、ベースには我等が小原礼(exサディスティック・ミカ・バンド)が参加。小原さん曰く、ストレスのないミュージシャンシップに満ちた現場だったそうで、ミカ・バンドをやるのと同じように演奏できたとのことだ。さらにコクのあるボーカルを聴かせるタイトなフェイセス風ロックの盤。ここではイアンはギターを好んで弾き、キーボード演奏はほとんど聴けない。 いわゆるメジャー的な展開は以上となる。その後もミニアルバム「Last Chance To Dance」に始まり、Ian McLagan & The Bump Band名義で「Best Of British」(2000、ロン・ウッドが出資) 「RISE & SHINE」 (2004)を発売し、どれもコクのある演奏を発揮している。
イアンの死に際し、ロッド・スチュワートは「僕は完全に打ちのめされている。イアン・マクレガンはフェイセズの真のスピリットを形づくった」とコメントした。これは、初期のギター・レスの状態でのフェイセス・リハーサルに、ブギーの魔法が宿っていたことを裏付けている。1900年代の初頭、米国で生まれたブギウギのルーツはピアノ演奏である。歴史的伝統にのっとり、イアンが作りだしたグルーヴが、バンド史に無比のサウンドを残した。キーボードによる貴重なアンサンブルは、ロックの未来への財産だ。
結局、2009年以降のフェイセス再結成に加わることなかったロッド・スチュワート。彼は、自分のための本当のグルーヴ=再結成フェイセスに参加しなかったことを、天国にいくまで悔やみ続けるに違いない。
サエキけんぞう選:イアン・マクレガン この5枚
- (1) Small Faces 「Darlings of Wrapping: Wharf Lauderette」
- (2) Faces 「A Nod Is As Good As a Wink... to a Blind Horse」
- (3) Rod Stewart 「Gasoline Alley」
- (4) The Rolling Stones 「Some Girls」
- (5) Ian McLagan 「Troublemaker」
ロックの架け橋役としても最高の功績者
MR.PAN (THE NEATBEATS)
英国が生んだ偉大なるロック・キーボーディスト、イアン・マクレガンが亡くなった。
ニック・ロウとのツアーが始まろうとしていた矢先だった。後を追うように、サックス・プレイヤー、ボビー・キーズも・・・60〜70年代のブリティッシュ・ロック・ファンにとってはダブル・ショックな訳で、彼等が支えたロックンロールの功績が再評価される事を願うばかり。
イアン・マクレガンは若い頃からセッション・ミュージシャンとして実力を発揮していて、60年代、ミュールスキナーズからスモール・フェイセスに加入。「モッズ」というジャンルの代名詞グループで、その後のUKロックへの影響は計りきれない。初期のデッカ時代ももちろん代表曲は多いが、その後のイミディエイト時代のアルバム、『オグデンズ・ナット・ゴーン・ブレイク』ではイアンとロニー・レーンの特徴がうまく表れている作品といえる(ちなみに90年のロニー・レーンの来日ツアーをイアンがサポートしている)。
スティーヴ・マリオットの脱退後、ロン・ウッドとロッド・スチュワートと共にフェイセスを始動。代表作である3枚目のアルバム、『馬の耳に念仏』に収録の「STAY WITH ME」は黄金の英国ロック・ナンバーで、イアンの奏でる”ウーリッツァー(電子ピアノ)”のイントロ・フレーズは永久保存されるべきものでしょう。
ロン・ウッドとの相性も良く、初のソロ作『俺と仲間』にも参加。2枚目の『ナウ・ルック』ではプロデュースも担当している。その流れでいけば、もちろんのこと、ローリング・ストーンズとの交流も深く、78年のヒット作でアルバム『サム・ガールズ』に収録の「ミス・ユー」でもプレイしている。翌年の79年には自身の初ソロ作『トラブル・メーカー』をリリース。2000年代からはイアン・マクレガン & ザ・バンプ・バンドで活動。他、ボブ・ディランやブルース・スプリングスティーン・・・と、数多いセッションを残したイアン。ロックの架け橋役としても最高の功績者として名を残すに違いない。
MR.PAN選:イアン・マクレガン この5枚
- (1) Small Faces 「Ogden's Nut Gone Flake」
- (2) Faces 「A Nod Is As Good As a Wink... to a Blind Horse」
- (3) Ron Wood 「I've Got My Own Album To Do」
- (4) The Rolling Stones 「Some Girls」
- (5) Ian McLagan 「Troublemaker」

『An Old Raincoat Won't Ever Let You Down』 (1969)
ロッドの記念すべき1stソロ・アルバム。邦題「ハンドバッグと外出着」。それまで所属していたジェフ・ベック・グループ的なハードロック風味と、後に参加するフェイセズ的ルーズ感覚、そして英国トラッドの香りが同居する意欲的な作品。ロニーはギター&ベースで全面参加し、イアン・マクレガンもキーボードで、さらには、ジェフ・ベック・グループからの盟友ミック・ウォーラーもドラムを叩いている。後世に残る秀逸カヴァー「Street Fighting Man」、マイケル・ダボ(マンフレッド・マン)作のバラード「ハンドバッグと外出着」など名曲揃い。
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『Gasoline Alley』 (1970)
フェイセズのメンバー全員が参加したロッドのソロ2ndアルバム。タイトル曲をはじめ、ディランの「Only A Hobo」、「Country Comforts」といったフォーク/トラッド・ベースの楽曲で聴けるロッドの味わい深い歌声が染み入る。そのフェイセズのライヴのオープニングを何度となく飾ったボビー・ウォマック&ヴァレンチノス・カヴァー「It's All Over Now」がロッドのMercury期の初シングルとなった。スモール・フェイセズ「My Way Of Giving」のカヴァーも収録。英オリジナルVertigo盤ジャケでの再CD化希望!
『Every Picture Tells A Story』(1971)
ロッドの名を一気に世界に知らしめた71年の出生作で、名作の誉れ高きアルバム。本作収録のシングル曲「Maggie May」は、アルバムともども英米にてナンバーワンとなった。このヒットの余波に乗る形で同年にシングル・カットされた「Stay With Me」もフェイセズ史上最大のヒットを記録。ロニーとの共作となる表題曲から、ディラン「Tomorrow Is a Long Time」、ティム・ハーディン「Reason to Believe」、テンプテーションズ「(I Know) I'm Losing You」各カヴァーまで、十八番のアコースティカルな作りとフェイセズに軸を戻したバンドサウンドが両価的に楽しめる一枚。
『Never A Dull Moment』(1972)
前作に続いて大ヒットを記録した72年の4作目。サウンド的にも前作の路線を継承、「Maggie May」の続編とも言うべき「You Wear It Well」、ジミ・ヘンドリックスの「Angel」など脂の乗り切った歌唱を聴かせる。「True Blue」はフェイセズのメンバー全員が揃ってレコーディングされた1曲で、この時期ソロとバンド活動との間にほぼ垣根がなかったことを示すかのように、フェイセズそのものの音に溢れている。後半の「I'd Rather Go Blind」、「Twisting' The Night Away」という2曲のR&Bカヴァーこそが今のロッドに繋がるルーツ。
『Smiler』(1974)
英国では3作連続の第1位を記録したMercury期最後となる74年の5thアルバム。恒例となったサム・クック、ボブ・ディランなどのカヴァーに加え、ポール・マッカートニー&リンダ作の「Mine For Me」、エルトン・ジョン作の「Let Me Be Your Car」というロッドのために書き下ろされた2曲も収録。本作発表後に、フェイセズはラスト・シングル「You Can Make me Dance」をリリースし解散。ロッドもワーナーへと移籍し、アメリカ市場をターゲットにした本格的なソロ活動へと入っていく。
『Coast To Coast Overture and Beginners』(1974)
「オレたちは、スタジオでは実力の半分も出せなかった」というロッドの言葉どおり、彼らの音はライヴ・ステージでこそ大きな破壊力を持っていた。バンド初の実況中継録音盤は、73年のLAアナハイム・コンヴェンション・センターとハリウッド・パラディアムでの公演の模様を収め、ロッドのソロ・ナンバーとフェイセズのナンバーを収録した意匠となった。各楽器の音をPAミキサーを通さずに、ステージ上のアンプやマイクからダイレクトに拾った生々しいまでの音とグルーヴが詰め込まれている。ベースは、ロニー・レーンの後任テツ山内。
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『Final Concert』
74年12月23日、ロンドンのキルバーン・ステイト・シアターで行なわれたコンサートの模様を収録。「ファイナル」とあるがこれは完全なる間違い。ロッドのソロ・レパートリーや「Take A Look At The Guy」、「I Can Feel The Fire」といったロニーのソロ曲で大半が占められており、ほぼ分裂状態にあったグループ末期の様子も見てとれる。「Twistin' The Night Away」では、キース・リチャーズが”ボーダーTシャツにヒョウ柄ジャケット”というありえない衣装で意気揚々と登場するから最高だ。同時期に出回っていたImmortal社「Live In London」も同内容。
『Unplugged...And Seated』(1993)
アンプラグドならではの独特のアレンジでロッドの名曲の数々が蘇える。さらにロニーのゲスト出演という華も添えられ、「Every Picture Tells A Story」、「Stay With Me 」、「Maggie May」、「It's All Over Now」(未収録)が息を吹き返す。ロックの歴史を彩ったロッドとフェイセズの良き時代に束の間タイムスリップ。2009年には、当時未収録だった「Gasoline Alley」、「Forever Young」の2曲を追加、また初の映像化となるDVDを付属した究極のコレクターズ・エディションも登場した(現在廃盤)。
『Rarities』
Mercury期のヒット曲に、貴重な別テイク/別ヴァージョンなどを加えたコンピレーションで、これ以前に発売されたボックス『Rod Stewart Sessions 1971-1998』からイギリス時代のレア音源を選り抜いたものと言える。未発表となる70年のBBCセッション音源「Country Comforts」、「Maggie May」はフェイセズとしてのパフォーマンス。ここでの目玉は、ロッド、ロン、イアンの共作「Jodie」(「Oh, No Not My Baby」シングルのB面曲)と、のちにロンの1stソロに「Mystifies Me」として収録される、その初期ヴァージョン「Think I'll Pack My Bags」になるだろう。
『Ain't That Loving You Baby』
古くは『Vintage Collection』というタイトルで出回っていた、まだ無名だった時代のロッドの初期ソロ音源集。「The Day Will Come」、「Why Does It Go On」、「Shake」、「I Just Got Some」という当時全く話題にならなかったシングル曲の多くは、ブライアン・オーガー率いるトリニティがバックを務めているなど当時のブリティッシュ・ロック・コミュニティの人脈図の広さを窺い知れる。ジミー・リードの「Bright Lights Big City」、「Ain't That Lovin' You Baby」をはじめ、ビッグ・ビル・ブルーンジー、レッドベリー、ウィリー・ディクソンなどに夢中となっていたブルース/R&Bカヴァー小僧ロッドの快唱の数々。
『Truth』 (1968)
ヤードバーズを脱退したジェフ・ベックを中心に、ロン・ウッド、ミック・ウォーラー、そして、ショットガン・エクスプレスというバンドを抜けたばかりのところをベックが誘ったロデリック・デヴィッド・スチュワート(ロッド)という英吉利の若者4人が目論んだロックによる米国侵略絵巻の第1弾。レッド・ツェッペリンも模倣したというブルース・ハードロックの雛形的サウンドは、巧みで個性の強いベックのギターが全ての中心にあるが、ロッドのしゃがれ声、若き日のスタンリー・クラークを魅了したロニーの太いボトムがあってこそのものとも言えそうだ。
『I've Got My Own Album To Do』(1974)
ロニーのリッチモンド邸地下スタジオに何人ものミュージシャンを招いてベーシック・トラックが録音された、74年のソロ1stアルバム『俺と仲間』。本作制作前から、そのスタジオに頻繁に転がり込んでいたキースは、「ストーンズのメンバー以外のやつと長期間仕事をしたのはあれが初めてだったんだ。ていうのは、それまで俺にとってはストーンズがすべてだったからさ。自分の時間ってのがほとんどなかったし、誰か別のやつとやってみようなんて気になれなかったんだよ。でも、ロニーは気に入ったんだ。」と当時を振り返っている。その言葉どおり全11曲中8曲に参加し、「Sure The One You Need」ではリード・ヴォーカルもとっている。
『Now Look』(1975)
ストーンズの正式なツアー・サポート・メンバーとなった75年に発表したソロ2nd。前作で大車輪の活躍をみせたキースは今回3曲参加とやや控えめ。アンディー・ニューマーク、ウィリー・ウィークスらの参加もあるものの、ソウル・メイト、ボビー・ウォマックの共同プロデューサーとしての全面参加と楽曲提供(「If You Don't Want My Love」)がやはり目玉。ストーンズ本隊、ソロを含めた全作品の中でも最もソウルフル(ニューソウル的なフィーリング)な1枚と言えるかもしれない。カントリー・ロック・バンド、スワンプウォーターのカヴァー「Breath On Me」は、92年の『Slide On This』でも再録されている。
『Gimme Some Neck』(1979)
キースとの双頭バンド、ニュー・バーバリアンズ(名付け親はニール・ヤング)興行のきっかけともなった79年ソロ作。「Burried Alive」、「Come To Realise」、そしてボブ・ディランが提供した「Seven Days」の3曲にキースは参加しているが、ギターを弾いているのは「Burried Alive」のみで、あとは控えめなバッキング・ヴォーカルでのクレジットとなっている。「Seven Days」は、最終的にエリック・クラプトンとロニーのどちらかに上げることをディランは考えていたらしいが、その話が本当だとしたら、ロニーは、”グレイト・ギタリスト・ハント”に続く大金星をクラプトンから挙げたことになる。
『1234』(1981)
アンディ・ジョンズとの共同プロデュースとなった81年作。ボビー・ウォマック、カーマイン・アピス、チャーリ・ワッツ、アニタ・ポインター、ワディ・ワクテル(後にキースのX-ペンシヴ・ワイノウズに参加)ら多彩なゲストを迎えている。映画「Let's Spend The Night Together」のバンド・イントロダクションでのミックのMCでは、本作リリースにちなんでロニーを「1234!」と紹介しているのもちょっとしたトリビア。「Priceless」のアレンジはロッドが手掛けているだけあり、節回しがそれっぽい。タイトル曲や「Outlaws」といったシンプルなロックンロール・チューンでは、久々に手数の多いソリッドなベースも披露。ロニー画伯の絵は裏ジャケに登場。
『Live At The Ritz』(1988)
87年のクリスマスに行なわれた、ニューヨークの名門ライヴ・ハウス、リッツにおけるボ・ディドリーとのジョイント・ライヴ盤(発売当初は日本盤のみ)。「Road Runner」、「Crackin' Up」、「Who Do You Love」といったボの代表曲に加え、ロニーも「Ooh La La」、「Outlaws」、ストーンズの「Honky Tonk Women」、さらには、スライドによる必殺のインスト・メドレー(Around The Plynth〜That's All You Need〜Gasoline Alley〜Prodigal Son)をキメる。ボ御大は、「Money To Ronnie」という12小節ブルーズの書き下ろしの新曲も演奏。このガンスリンガーズは、88年には中野サンプラザなどで来日公演も行なっている。
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『Slide On This』(1992)
『Steel Wheels』で息を吹き返したストーンズでの多忙な日々がそうさせたのだろうが、前作から実に11年のインターバルを置いて発表された92年ソロ作。ハービー・ハンコック・グループやスティーヴィー・サラスとのニッケルバッグで活躍していたバーナード・ファウラーをメイン/サブ兼用のヴォーカリストとして招き、よりコンテンポラリーな地平で捉えたソウルフル・サウンドを展開。パーラメント「Testify」のカヴァーでは、その起用がぴしゃりと的中。当時の奥方ジョーに捧げた「Josephine」、ジェリー・ウィリアムス作のロックンロール「Show Me」、『Now Look』所収の再録「Breath On Me」などストーンズ本隊の好調ぶりがそのままソロ活動にも良い連鎖をもたらした充実作。じゃあ、なぜ廃盤!?
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『Slide On Live』(1993)
来日公演も果たした『Slide On This』ツアーの模様を収めたライヴ・アルバム。同時期にロッドが『Unplugged...And Seated』をリリースしていたこともあって、それに掛けた「Plugged in and Standing」というお茶目なサブタイトルが添えられている。新作曲もそこそこに、「Flying」、「Silicon Grown」、「Stay With Me」といったフェイセズ時代の名曲に加え、自身が作曲を手掛けたストーンズ・ナンバー「Pretty Beat Up」(この時のツアーでは、「Black Limousine」、「It's Only Rock'n Roll」も演奏)、ソロ人気曲「I Can Feel The Fire」、「Am I Groovin' You」、「Seven Days」などを惜しげもなく、というか、うれしそうに披露。もちろんマックも参加。
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『Not For Biginners』 (2001)
前作『『Slide On This』』以来9年ぶりのソロ・アルバムは、98年に亡くなった母親に捧げられた一枚で、息子のジェシー・ウッド(g)や、娘のリア・ウッド(vo)もレコーディングに参加した、まさにロン・ウッド・ファミリーが手を取り合って作ったといえる内容。中でも、「Wake Up You Beauty」で聴ける父娘のデュエットが本作のコンセプトを象徴するハイライトと言えるだろう。また、ロニーの人柄と交友関係の広さを表すかのように、「King of Kings」にボブ・ディラン、「Interfere」にスコッティ・ムーアとDJフォンタナ、
さらに「R. U. Behaving Yourself?」には、ウィリー・ウィークス、アンディー・ニューマークがそれぞれ参加している。
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『I Feel Like Playing』 (2010)
ストーンズとしての多忙な活動に加え、ジョーとの離婚やアルコール依存症のリハビリなどすったもんだ続きだったプライベートを踏まえれば、『Not For Biginners』から9年というインターバルを置いてしまったのも無理はない。しかしここに届けられたのは、気心の知れた仲間を多数ゲストに迎えて制作された、誰もが待ち望んでいた純度100%のロックンロール・アルバム。キースのお株を奪うレゲエ・アンド・ロール「Sweetness」、ボビー・ウォマックが並唱する男泣きのサザンソウル・バラッド「I Gotta See」、「Am I Groovin You」直系のファンキー・アレンジで料理したハウリン・ウルフのブルース古典「Spoonful」、歌メロが素晴らしいメロウ・ミディアム「Catch You」など全12曲。
『Live From Kilburn』
74年、『俺と仲間』アルバム・リリース・ツアーを捉えた貴重な記録。ファースト・バーバリアンズという名は、後のニュー・バーバリアンズにちなんで後付けされた、本盤のリリース・タイトル用のもので、当時はそう呼ばれていたわけではない。アンディ・ニューマーク&ウィリー・ウィークスの鉄壁のリズム隊をバックに意気揚々とブギーするロニー、キース、マック、そして、ロッド。「Act Together」などでの千両役者そろい踏みの光景は何度観ても鳥肌モノ。マスターの痛みの関係で画質は粗悪だが、歴史的価値を考えて付属DVD(こちらはPAL方式)のリリースに踏み切ったロニー自身のレコード会社=ウッデン・レコーズ、あっぱれ!
『Buried Alive: Live In Maryland』
79年『Gimme Some Neck』のプロモーション・ツアー、そして、77年トロントで麻薬不法所持のために逮捕されたキースの執行猶予判決とともにチャリティ・コンサート開催を命じられたことに端を発したニュー・バーバリアンズ興行。その初公式音盤。79年5月5日の米メリーランド州ラーゴ公演を収録。2匹の野蛮人に、リズム隊にはスタンリー・クラークとミーターズのジョゼフ・モデリステ、そして旧知のボビー・キーズ。完璧なラインナップでギグは夜毎大盛況・・・とはいかなかった。スタンリーのスラッピングベース・スタイルとのアンフィット、興行プロモーションの不手際など、行く先々で混乱があったという。ただ、ストーンズ本隊以上の粗さと酒臭さで迫る楽曲には、ロックンロールの本質と凶暴さがストレートに宿っていると、今でも評価は高い。
『Mahoney's Last Stand』(1976)
ウッディとレーンがまだフェイセズに在籍していた『Long Player』から『馬の耳に念仏』までのレコーディング期に行なったセッション音源をまとめた1枚で、同名映画のサウンドトラック盤として76年に正式リリースされたアルバム。ロニーのスライド・ギターを大々的にフィーチャーしたインスト・ナンバーが中心となり、バックにもイアン・スチュアート(p)、ボビー・キーズ(ts)、ジム・プライス(tb)、ブラインドフェイスのリック・グレッチ(b)、ジェフ・ベック・グループからの盟友ミック・ウォーラー(ds)ら豪華な顔ぶれが並び、英国スワンプ・テイストたっぷりのレイドバック・サウンドを聴かせる。フェイセズ・ファンには「Tonight's Number」、スリム・チャンス好きには「Just For A Moment」がオススメ。
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『Anymore For Anymore』(1973)
バンドのブレインでもあったロニー・レーンが73年にフェイセズを脱退し、ウェールズの田舎町に住居を移し制作した初ソロ・アルバム。トラディショナルなフォーク、カントリーといったアメリカン・ミュージックへの憧憬と英国的な憂愁が同居した、土着的且つノスタルジックな1枚。ヒットしたソロ・デビュー・シングル「How Come?」こそ収録されなかったが、ロニーが書いたフェイセズ期の名曲再演「Tell Everyone」、フェイセズ在籍時代にすでに完成していたものの世に出ることのなかった「Anymore For Anymore」、プリミティヴなダンス因子を含む陽気で軽快な「Careless Love」、イアン・マシューズ版で知られる「Amelia Earhardt's Last Flight」など、ウェールズの片田舎で農業を営みながら制作したというロニーのこだわりがぎっしり詰まった、素朴で親しみやすい楽曲が並ぶ傑作。
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『Ronnie Lane's Slim Chance』 (1975)
前作とはメンバーを一新したスリム・チャンスでの2作目。ここでも「Stone」の再演や「Devotion」の改作「Tin And Tambourine」などフェイセズ期の自作佳曲を採り上げており、ゴリゴリのフェイセズ・ファンにとってもとっつきやすいところはあるかもしれない。しかしそれ以外は、前作以上にアーシーで、ロニーのアメリカーナ嗜好がより強く出ていると言える。チャック・ベリーの「You Never Can Tell」から、ファッツ・ドミノ「Blue Monday」、ファッツ・ウォーラー「I'm Just A Country Boy」、ディラーズのブルーグラス名曲「Single Saddle」、フランク・シナトラやビング・クロスビーの名唱でも知られるアメリカン・スタンダード「I'm Gonna Sit Right Down And Write Myself A Letter(手紙でも書こう)」まで好カヴァーが目白押し。
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『One For The Road』(1976)
76年、スリム・チャンスとしての最終作となる3rdアルバム。この当時、ダンサーや演劇チームなどを引き連れた ”ザ・パッシング・ショー”と名乗るドサ回りツアーで各地を回っていたレーン。そのことも窺えるアルバムのジャケット・カヴァーそのままに、アコギ、フィドル、マンドリン、ハーモニカを中心とした旅楽団による土臭いサウンドと、一層味わいを増したアンサンブルに心を奪われる。前作まではカヴァーが中心となっていたが、ここでは全曲がロニーのオリジナル(1曲共作)で構成。一切の装飾を排したアコースティック楽器による英国スワンプ、フォーク、ブルース、トラッド・・・フェイセズを脱退してまで実現したかったロニーの夢見てきた世界の集大成がここにある。ちなみにジャケットに移るメンバー後ろの大型バスは、16トラックを搭載したロニー・レーン・モービル・ユニット。
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『Live At Rockpalast 1980』
70年代末のロニーと言えば、多発性硬化症を発症し、また大寒波の襲来が原因で農場経営にもピリオドを打ったまさにどん底の時期。しかし現場復帰に向けてスリム・チャンスの元メンバーたちに加えて、エリック・クラプトン、ヘンリー・マックロウらの助力を得て(生前最後となる)ソロ・アルバム『See Me』を1980年に発表。健在ぶりをアピールした。本DVDは、同アルバム・リリース直後の80年3月3日にドイツのTV音楽番組「ロック・パラスト」放送用に行なったスタジオ・ライヴを収録。バックバンドにはイアン・スチュワートの姿も。ロニーのライヴをたっぷりと観れるというだけでも貴重な作品だ。
『Ooh La La: An Island Harvest』
スリム・チャンスのアイランド・アルバム(『Ronnie Lane's Slim Chance』、『One For The Road』)からのリマスター厳選曲に、未発表別テイク、初登場となる74年4月のBBCセッション音源を収録した2枚組ベスト。BBC音源は、「Last Orders」、「Tell Everyone」、「Debris」、「Ooh La La」などフェイセズ時代に書かれた名曲を交えたソロ転向直後のパフォーマンスということでかなり貴重だろう。コア・ファンには、「Ooh La La」と「The Porcher」の別テイクが何と言っても堪らない。
『Troublemaker』(1979)
”歌わずにいられなかった”イアンが、ギターまで弾き倒し、普段のキーボーディストとしての側面にとどまらない才能全開の作品に仕上がった1stソロ・アルバム。79年当時、ローリング・ストーンズ〜ニュー・バーバリアンズのツアーに参加していたこともあり、盟友ロン・ウッドに加え、キース・リチャーズも全面参加。十八番とも云える、ざっくりとしたギター・コンビネーションが展開されている。
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『Bump In The Night』(1981)
ボニー・レイットとのツアーやレコーディング参加でも知られるバンプ・バンド名義による81年ソロ2作目。ベースは、サディスティック・ミカ・バンドの小原礼、ドラムは、ビーチ・ボーイズ〜ラトルズで知られるリッキー・ファター、ギターはジョニー・リーシェル。マックならではの良く転がるピアノ・プレイは勿論、その味のあるヴォーカルも聴き応え十分。前作に引き続き、盟友ロン・ウッド、ボビー・キーズが参加。
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『Best Of British』(2000)
85年発表のEP『Last Chance To Dance』以来15年のインターバルを経て発表された2000年作(録音は98年)。プロデュースは、ルシンダ・ウィリアムスのバンドでおなじみのギタリスト、ガルフ・モーリックスで97年にこの世を去ったロニー・レーンに捧げられている。ロン・ウッドが3曲にギター&ヴォーカルで参加している他、ビリー・ブラッグ、ダムネイションズTXがゲスト参加。スタックスやモータウン影響下のグッドタイム・ソウル・フィーリングに溢れた一枚。「Hello Old Friend」は故ロニー・レーンに捧げられている。
『United States』(2014)
1994年以降、活動拠点をLAからテキサス州オースティンに移し活動していたバンプ・バンド。スクラッピー・ジャド・ニューコムら地元で活動する腕利きメンバーたちと共に気ままに音楽活動・制作を楽しんでいた。オースティンのライブハウス「Lucky Lounge」で毎週ギグを行ない、その様子はアルバム『Live At The Lucky Lounge』となって発表された。そのライヴ作に続く本作がマックの遺作となってしまったのは残念だが、ここには、過去の栄光にしがみつくことなく、自由気ままにプレイすることを楽しんだマックの音楽人としてのスピリッツがしっかりと刻み込まれている。
『Green Light』(1982)
マックのバンプ・バンドとボニー・レイットのジョイントによるタイトでブルージーなロックンロール・アルバム。ジョニー・リーシェル作品2曲を採り上げていたり、彼らの単なるバックバンドの粋を越えた一体感にロッド&フェイセズの姿をダブらせたリスナーも多かったことだろう。当時、商業的な成功を得ることはできなかったが、多くのロック・ファンの胸に残る忘れじの一枚となったはずだ。ボブ・ディラン「Let's Keep It Between Us」、NRBQ「Me And the Boys」、「Green Lights」の各カヴァーがとにかく最高! *商品詳細はワーナー「Original Album Series」(5CD)
『Face Dances』(1981)
78年、キース・ムーンの死亡により一時は解散まで噂されたザ・フーが、ケニー・ジョーンズを迎えて復活し、81年に発表したアルバム。キース・ムーンという大きな核を失い、バンド・アンサンブルなどでそれまでのマジカルなグルーヴ感が影を潜めてしまっているのは致し方ないものの、「You Better You Bet」などで顕著な、ケニーの決してテクニカルとは云えないが表情豊かなドラミングには、前向きな姿勢みたいなものを感じさせる。
『The Law』(1991)
91年、ポール・ロジャースとケニー・ジョーンズによって結成されたザ・ロウは、短い活動期間だったにもかかわらず良質なアルバムを残した。デビッド・ギルモア、ブライアン・アダムス、クリス・レア、ピノ・パラディーノらがゲスト参加し、「Laying Down The Law」は、ナンバーワンAORスマッシュ・ヒットとなった。本盤は、デラックス・エディションとして、ジョー・リアゴーソのリマスタリングが施されており、未発表曲の「That's When You Fall In Love」も収録されている。
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『Tetsu』(1972)
73年のフリー脱退後にロニー・レーンの後任ベーシストとしてフェイセズに参加することとなる山内テツの72年初ソロ・アルバム。イナタいブルース・ロックをベースに、井上尭之バンドの大野克夫(Key)、原田裕臣(ds)らがファンキーなかくし味をまぶす。ほか、76年の『ききょう』や山内テツ&グッド・タイムズ・ロール・バンド名義のライヴ盤が2012年に紙ジャケ再発されている。
クラシック・ロック注目リリース
ストーンズ『LIVE AT THE TOKYO DOME 1990』リリース!
キース・リチャーズ、23年ぶりのソロ・アルバム!
ビル・ワイマン新作国内盤発売決定!
ハンブル・パイ後期作品が紙ジャケット化!

