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2015年5月15日 (金)

ベルリン・フィル&HMV提携サイト
 ベルリン・フィル関係ニュース

ベルリン・フィル次期首席指揮者選挙は、結果なし。再選挙は1年以内
 5月11日に行われたベルリン・フィルの首席指揮者を決定するオーケストラ団員総会は、結果なしに終わりました。総会は、当日の朝10時にスタートしましたが、難航。予想時刻をはるかに超過した21時30分に、マルティン・ホフマン(ベルリン・フィル・インテンダント)、ペーター・リーゲルバウアー(コントラバス/オーケストラ代表)、ウルリヒ・クネルツァー(ヴィオラ/オーケストラ代表)、オラフ・マニンガー(ソロ・チェロ/メディア代表)、スタンリー・ドッズ(第2ヴァイオリン/メディア代表)の5名が記者団の前に姿を現し、首席指揮者が決定しなかったことを発表しました。リーゲルバウアーによれば、1年以内に再び選挙が行われる、ということです。
 この総会には、ベルリン・フィルの123人の選挙権を持つ団員が参加。選挙の間は外部とコンタクトを持つことが禁じられ、文字通り缶詰の状態で議論と投票が行われました。リーゲルバウアーのステートメントと質疑応答の内容は、以下のビデオと全訳をご覧ください。

ベルリン・フィル公式ウェブサイト
団員総会直後、オーケストラ代表による記者へのステートメント、質疑応答全文
ペーター・リーゲルバウアー(コントラバス)
5月11日21時30分(於:イエス・キリスト教会前)

「皆さん、ずっと待っていてくださってありがとうございます。今日は本当に長い1日でした。我々にとってもです。オーケストラ団員総会は、11時間続きました。建設的な、とても良い議論が行われましたが、残念ながら我々は最終的に、結論を出すことができませんでした。何回か投票が行われましたが、ひとりの指揮者に合意することができなかったのです。病欠となった唯一の例外を除いて、投票権のあるすべての団員が集まりましたが、結果は得られませんでした。我々は、この選抜のプロセスを今後も継続します。そして新しい選抜は、1年以内に行われます。質問はありますか?」

どんなお気持ちですか。

「ハッピーではありません。しかし我々が今日議論した指揮者は、有名な人たちばかりです。ですので、意見が分かれたということも、ご想像いただけると思います。そうした状況を考えると、我々にとっても、このような結果になったことは、必ずしも大きな驚きではありませんでした。また、今日得た経験と知識をもとに、今後1年のうちに最終的な結果に達することができるだろうと思っています」

1年以内、というのはどういう意味ですか。1年後に選挙がある、ということですか。それともその前に決定する可能性もある、ということでしょうか。

「我々は、この選挙のプロセスを今後、ずっと続けます。そして度々オーケストラ団員総会を行い、その場でも議論します。しかし実際の選挙 は、おそらく1年経ってから具体的な日程を決めて行うことになると思います(注:翌日、この日程について「選挙は今後数ヵ月の間にも行わ れ、最長で1年以内に決定する」と訂正された)」

指揮者の方々は、ベルリン・フィルが決定しなかった、ということで、マイナスを蒙ることになるのではないですか。

「そうなるようなことがあれば、我々としても悲しいことですが、今日我々が議論した指揮者の方々は、今後も客演し続けてくれると思います。私はそれについては心配はいらないと思っています」

今日決まらなかったのはともかく、これからの数ヵ月で何が変わるんですか。

「それは、オーケストラ内部で考え方がどのように発展してゆくか、ということと関係しています。1年間の間に、様々な指揮者と演奏会を行いますし、それによって新しい認識が生まれるでしょう。同時に(今日議論したことが)、時間を置くことによってより成熟し、それによって最終的な結論に至るのではないかと思います」

ひとりの指揮者に決定するためには、全体の何割の評を獲得しなければならないのですか。

「我々は非常に高い割合を設定しています。しかし、具体的な数は申し上げることはできません」

首席指揮者自体、必要なんですか。

「我々は、この選挙をまず“首席指揮者が必要か”という問いでスタートしました。それはしかし、ほとんどすぐに、ほぼ全員の“イエス”で一致しました」

首席指揮者になる確率が高い候補者というのは、具体的にいたんですか。

「より具体的な議論の対象となる候補者は何人かいました。この方々は、今後も候補者として議論の対象となります」

電話はできましたか。

「いえ。参加者は誰にも電話できない決まりでした」

全体の雰囲気はいかがでしたか。

「皆建設的でした。険悪な雰囲気はまったくありません。我々の議論で核心だったのは、我々がベルリン・フィルという団体に今後期待するものが何か、ということです。オーケストラの内部ではこの点について、(皆さんを始めとするプレスや世間一般と同様に)様々な異なった意見がありました。今から重要なのは、様々な意見を一致させることです」

今日はこの後、どうしますか。

「とても疲れたので、休みたいですね。ただ、途中で食事はありました。ですから、まったく休憩がなかったわけではありません。この会見が終わったら、ちょっと一杯やりたいです(笑)」

女性指揮者は候補になりましたか。

「それは…」

ウルリヒ・クネルツァー(オーケストラ代表/ヴィオラ)「今回は候補に挙がっていません」

「…ああ、そうですか。反対のことを言わなくてよかった(苦笑)」

一度結果は出たけれども、選ばれた指揮者に電話して断られた、ということはありましたか。

「それはありません」

進む方向について意見が分かれて、対立したとは言えますか。

「オーケストラの内部では、楽団の将来がどうなるべきであるか、ということについて複数の意見があります。しかし私は、各メンバーが最終的に到達したい目標そのものは、あまり異なっていないのではないかと思います。問題は、そこへどうやって至るかでしょう」

記者発表の映像を観る
ベルリン・フィル2015/16年シーズンの予定が日本語でアップ
 4月28日に、ベルリン・フィルの2015/16年シーズンの予定が発表されましたが、これがデジタル・コンサートホールで日本語で読めるようになりました。目玉となるラトル指揮のベートーヴェン交響曲全曲ツィクルス、《ペレアスとメリザンド》、《トリスタンとイゾルデ》等のオペラ、様々な客演指揮者の演奏会情報を、ぜひご覧ください。

2015/16年シーズン・プログラムを日本語で見る

 最新のDCHアーカイブ映像

ネルソンスのマーラー「第5」
2015年4月25日

【演奏曲目】
HK・グルーバー:トランペット協奏曲《アリエル》
マーラー:交響曲第5番

トランペット:ハーカン・ハーデンベルガー
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:アンドリス・ネルソンス

 若手指揮者のアンドリス・ネルソンスが、ベルリン・フィルに今シーズン2回目の客演をしました。ネルソンスは、2010年のデビュー公演で成功を収めて以来、ベルリン・フィルとは定期的に共演を重ねてきました。前半の演目は、オーストリア人作曲家、HKグルーバーのトランペット協奏曲《エリアル》。1999年にロンドンで初演されたこの協奏曲は、グルーバーによると、空中からの2つの眺めを扱っています。エミリー・ディキンソンの「嵐の夜」という詩をモチーフにしたオーロラの下の想像上の風景に続き、「Gone Dancing」というタイトルを持つ後半では、別の惑星から臨むかのような眺めが描かれます。ジャズとダンス音楽の間を揺れ動くこのファンタジー豊かな作品のトランペットソロを、初演者でもあるハーカン・ハーデンベルガーが担っています。
 コンサートの後半はマーラーの交響曲第5番。この作品が1904年にケルンで初演された当時、作曲家は「これは誰にも理解できない、呪われた作品だ」と不満を言葉にしましたが、今日ではマーラーの作品の中で特に頻繁に演奏される人気曲の一つです。中でも第4楽章のアダージェットは、ルキノ・ヴィスコンティ監督による映画『ベニスに死す』に使われたことで世界的に知られるようになりました。ネルソンスとベルリン・フィルがマーラーの交響曲を共演するのは今回が初。ネルソンスの精緻でありながら豪快で、朗らかさに満ちた解釈が、感動を呼びます。

ネルソンスの演奏会をDCHで聴く

ヤンネルソンスとF・P・ツィンマーマンの共演
2015年5月10日

【演奏曲目】
バルトーク:弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽
ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第2番
ラヴェル:《ダフニスとクロエ》第2組曲

ヴァイオリン:フランク・ペーター・ツィンマーマン
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:マリス・ヤンソンス

 バルトークは「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」において、さまざまな音の色彩の関係性を密度の高いネットワークで結ぶことに成功しました。そこでは絶え間ない音の移行と唐突なコントラストが並列しています。楽器配置には空間のサウンド効果が意図されており、スコアによると、弦楽五部は指揮者の左右二手に分けて配置され、半円形の末端にコントラバス、そして舞台の真ん中に打楽器が置かれます。マリス・ヤンソンスが客演する今回の演奏会では、1937年に初演されたこのバルトークの代表作のほかに、ラヴェルのバレエ音楽《ダフニスとクロエ》から第2組曲が取り上げられます。ストラヴィンスキーはこの作品を「あらゆるフランス音楽の中で最美の一つ」と誉め称えました。
 2つの作品の間に並ぶのが、フランク・ペーター・ツィンマーマンがソロを務めるショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第2番。これはダヴィッド・オイストラフの還暦を祝って書かれた深い感情表現を持つ作品ですが、ショスタコーヴィチは彼の生年を1年間違って覚えていたため、1967年10月26日にモスクワで行なわれた初演の際、オイストラフはまだ59歳だったというエピソードが残っています。近現代を代表する作曲家の傑作を、名匠ヤンソンスの指揮でお楽しみください。

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 これからのDCH演奏会

ユジャ・ワンのベルリン・フィル・デビュー。指揮はP・ヤルヴィ
2015年5月17日(日)日本時間午前2時

【演奏曲目】
シューマン:序奏、スケルツォとフィナーレ
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番
ショスタコーヴィチ:交響曲第1番

ピアノ:ユジャ・ワン
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:パーヴォ・ヤルヴィ

 2013年、中国人ピアニストのユージャ・ワンはベルリン・フィルの主催によるデビューリサイタルを行ない、目が覚めるような卓越したテクニックと響きのニュアンス感覚を聴衆に披露しました。そのワンが今回ソリストとしてベルリン・フィルと初共演を果たします。演目はプロコフィエフのピアノ協奏曲第2番。ヴィルトゥオーゾ風の色彩の鮮やかさと音楽的な深みが合わさったこの作品を、若きピアニストがどう料理するか注目されます。
 指揮者のパーヴォ・ヤルヴィは、2013年4月の客演で久々にベルリン・フィルにカムバックし、話題を集めました。今回指揮するショスタコーヴィチの交響曲第1番は、作曲家が19歳のときにレニングラード音楽院の卒業制作として書いたものです。プロコフィエフを手本にした跡が見られるこの作品には、反抗的な笑いと激情とが同居し、すでに後年のショスタコーヴィチの創作の特徴を見て取ることができます。1926年、ニコライ・マルコの指揮によって初演された本作は大成功を収め、ショスタコーヴィチは交響曲の新たな歴史を切り開いていくことになりました。交響曲の新しい形を試みたという意味では、シューマンの「序曲、スケルツォとフィナーレ」についても当てはまります。彼は当時流行していた「浅薄な序曲スタイル」に対抗する形で、この佳作を書き上げたのでした。シューマンにも熱い想いを寄せるヤルヴィの鋭敏な解釈でお聴きください。

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ノセダがベルリン・フィルにデビュー
2015年5月25日(月)日本時間午前3時

【演奏曲目】
ペトラッシ:パルティータ
R・シュトラウス:4つの最後の歌
チャイコフスキー:交響曲第4番

ソプラノ:アンゲラ・デノケ
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ジャナンドレア・ノセダ

 1877年に書かれたチャイコフスキーの交響曲第4番は、作曲家の個人的な事情が色濃く反映されています。この年の初頭、チャイコフスキーは資産家の未亡人メック夫人と手紙のやり取りを交わし、その中で夫人は作曲家に創作のための財政的な援助を約束しました。直後、チャイコフスキーは彼を崇拝していた女性と結婚をしますが、わずか数週間で破局を迎え、深刻な鬱に陥ったのでした。第1楽章冒頭の切羽詰まったようなファンファーレを作曲家が「運命の」主題と呼んだため、この交響曲は後にチャイコフスキーの「運命交響曲」として解釈されるようになりました。
 指揮をするのは、ジャナンドレア・ノセダ。1964年にミラノで生まれたこの指揮者にとって、今回がベルリン・フィル・デビューとなります。ノセダは長年マリインスキー劇場の首席客演指揮者を務め、現在はトリノ王立歌劇場の音楽監督の任にあります。さらに、BBCフィルハーモニックの名誉指揮者、イスラエル・フィルの首席客演指揮者の立場にあるなど、オペラとコンサートの両方の分野で国際的に活躍中です。今回の演奏会では、シュトラウスの4つの最後の歌のほか、2003年に亡くなった同国人の作曲家ゴッフレード・ペトラッシの作品が取り上げられるのが注目されます。ノセダが録音したペトラッシの合唱作品集は、2014年1月にBBCミュージック・マガジン賞にノミネートされています。なお、ベルリン・フィルは当コンサートを、昨年逝去したクラウディオ・アバドへの思い出に捧げます。

ノセダの演奏会をDCHで観る

 ドイツ発最新音楽ニュース

本コーナーでは、ドイツおよび欧米の音楽シーンから、最新の情報をお届けします。

ヤンソンスがバイエルン放送響の契約を延長
5月8日、バイエルン放送響は、マリス・ヤンソンスの首席指揮者契約を2018年から3年間延長することを発表した。ヤンソンスは以下のようにコメントしている。「バイエルン放送交響楽団及び合唱団と(当初予定されていた)2018年以降も、協力関係のもと、共に音楽活動を続けていけることをとても嬉しく思っています。バイエルン放送交響楽団及び合唱団は“素晴しい贈り物”です。この2団体は、音楽的にプロフェッショナルであることはもちろん、人間的にも磨かれており、私も一員として、今後を共に考え、活動していけることは幸せなことです。これからもバイエルン放送交響楽団及び合唱団とともに、ミュンヘン、バイエルン州のみならず世界各地の聴衆に素晴しい音楽を届けたいと思います」
 同楽団事務局長 ニコラウス・ポントは、以下のように談話している。「マエストロ・ヤンソンスと引き続き一緒に音楽活動を行いたい、という希望は、オーケストラの団員が実施した投票でもはっきり示されました。そしてマエストロが私たちの気持ちに応えて契約延長を受け入れてくださったことはオーケストラにとって大きな自信になりました。引き続き、この協力関係をもとに、充実した音楽活動を行うとともに、現在考えている数々のアイディアの実現に向け活動しきたいと思います」(写真:昨年の日本公演時の記者懇親会でのヤンソンスとポント©Peter Meisel)

次号の「ベルリン・フィル・ラウンジ」は、2015年5月29日(金)発行を予定しています。

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