注目のマイナー・ピアノトリオ 【4月3日掲載分】
Friday, May 2nd 2014
毎週各国より続々と投入されるピアノトリオ作品をまとめてご紹介。名手による堂々の新録から、小粒でもぴりりと辛い隠れ人気盤、レア本、ディスクガイド掲載の限定再プレス/再流通盤までよりどりみどり!
Michel Bisceglia 『Singularity』 
イタリア系ベルギー人ピアニスト、ミシェル・ビセリアによるトリオ最新作。哀愁漂う儚くも美しいピアノの旋律、M-3「Jasmine」のようなポジティヴで爽やかなサウンドなど、哀愁と美旋律が詰まったヨーロピアン・ピアノトリオの最高峰に仕上がっている。『SINGULARITY』リリース・ライヴの演奏をボーナス収録した「MY IDEAL」サイドをセットにした2枚組。
Michel Bisceglia (p)
Werner Lauscher (b)
Marc Lehan (ds)
Claudio Filippini 『Breathing In Unison』 
洗練と郷愁、都会的な音使いと牧歌的旋律・・・パラドックスが美しく成立するトリオ・サウンド。イタリア若手注目度No.1、クラウディオ・フィリッピーニ 絶好調のニュートリオ作。オープニングの瞬間からバンドのしなやかな勢いを感じさせ、全体的にポップなセンスに磨きがかかった演奏が続く。タイトル曲を筆頭に、イタリア人らしいメロディ感覚と牧歌的な雰囲気が印象的な一枚となっている。
Claudio Filippini (p)
Palle Danielsson (b)
Olavi Louhivuori (ds)
Peter Beets 『Portrait Of Peterson』 
名実ともにオランダを代表するピアニストとなったピーター・ビーツのオスカー・ピーターソンへのオマージュとなる2013年録音トリオ作品。リューベン・ロジャース(b)、グレッグ・ハッチンソン(ds)とニューヨークを代表する両者とのアンサンブルから繰り出されるリズムに、ブルージーかつ、軽やかで可憐さも魅力の旋律は終始絶好調。オリジナルに加え、ゴスペル・バラード「Hymn To Freedom」を含むピーターソン楽曲も収録。現代に継がれた”ピーターソン・サウンド”が響きわたる。
Peter Beets (p)
Reuben Rogers (b)
Greg Hutchinson (ds)
Luca Dell'anna 『Mana』 
ジャズ批評No.178、2014年3月号「ジャズ・オーディオ・ディスク大賞2013」銅賞作品☆ タン・ティエン『The Fourth Door』でその名を知らしめたピアニスト、ルッカ・デランナの最新ピアノトリオ作品が登場。その『The Fourth Door』で聴かれるセシル・テイラーやモンクを彷彿とさせる60年代アブストラクト的雰囲気は薄れ、洗練されたコンテンポラリー・ラテン・ピアノトリオとなっている。ラテンのリズムであるワウワンコ、ダンソン、ファンダンゴ、タンゴなど様々なスタイルやe.s.t.を彷彿させる演奏が楽しめる。
Luca Dell'anna (p)
Ivo Barbieri (b)
Israel Varela (ds)
David Gordon 『Speaks Latin』 
『Angel Feet』や『Second Language』など、Zah Zah Jazzよりの諸作で好評を得てきた英国の人気ピアニスト、デヴィッド・ゴードン。トリオ編成にて2012年に吹き込んだグルーヴィ&ソウルフルなラテン・ジャズ作品。全世界1000枚限定プレス。
David Gordon (b)
Jonty Fisher (p)
Paul Cavaciuti (ds)
Marialy Pacheco 『Introducing』 
弱冠19歳にしてキューバのコンペティション「JO-JAZZ」で優勝。2012年の「モントルー・ソロ・ピアノ・コンペティション」でもグランプリに輝き注目を集めたマリアリー・パチェーコによるピアノトリオをベースにした最新作がドイツのNEU KLANGからリリース。キューバンらしいポリリズム&パーカッシヴな演奏を存分に聴かせてくれます。甘く、そしてどこか乾いた感じがするラテン・テイスト・ピアノトリオ作品。ジャケも秀逸♪
Marialy Pacheco (p,vo)
Juan Camilo Villa (b)
Miguel Altamar (ds,per)
Andreas Lammel 『Novemberlieder』 
ピアニストのアンドレアス・ラメルを中心に、独ドレスデン大学の若者3人によって2009年に結成されたピアノトリオ作品。個人プレイよりも、個々のアイデアやモチーフを、メンバー全体で膨らませて、バンド全体のサウンドとして響かせていくという手法を重視、自然発生的なインタープレイを追及していくという彼ら独自の音作りが体感できる作品です。かといって決して内向的なテイストではなく、スリリングで外へ向かってエネルギーを放出するような開放的なベクトル。硬質でありながら独特のリリシズムを持ち合わせたピアノトリオ作品。
Andreas Lammel (p)
Rene Bornstein (b)
Florian Lauer (ds)
Andy Lumpp 『Mutation』 
1957年生まれのドイツのベテラン・ピアニスト、アンディ・ルンプのピアノトリオによる新作。コローニュの音楽大学時代には、リッチー・バイラークに師事したこともあるということからも分かるように、妥協のない硬質なインプロビゼーションを追求した作品。アヴァンで、観念的なサウンド志向は、聴きやすいとは言えませんが、真摯なドイツらしいピアノトリオ作品。
Andy Lumpp (p)
Heinrich Chastca (b)
Stefan Hoelker (ds)
Marco Mezquida 『My Friend Marko』 
スペイン・ジャズの明日を担う逸材、マルコ・メスキーダのトリオ・アルバムが登場。すでにガブリエル・アマルガント、ジュリア・バジェ、ヌーノ・カンポスなどフレッシュ・サウンド・ニュー・タレント盤で才能を示してきたマルコ。リーダーとしてFSNTに登場するのは今回が初。1987年生まれの彼はまだ25歳。バルセロナの名門校ESMUCでアルベルト・ボベルやジュイス・ビダルに学び、たちまち人気ピアニストの座を獲得した逸材。どの曲も勢いに溢れた、注目すべきパフォーマンスの連続。
Marco Mezquida (p)
Marko Lohikari (b)
Carlos Falanda (ds)
Rafa Madagascar 『Secret Signals』 
スペインの若手ピアニスト、ラファ・マダガスカル率いるトリオの2009年録音作。コアがある力強いバウンド力を持ち、滑らか且つクリアな見通しの良いメロディを乗せて、縦横にリズムを揺らしながらも音が真っ直ぐに抜けてゆく絶妙のバランス。強靭さも柔らかさも絶えず伴う魅力的な楽曲がずらりと並んでいる。この肉感的フィーリングの豊かさは今後ますます円熟してゆくであろう、器の大きさを感じさせるピアノトリオ盤。
Rafa Madagascar (p)
Santi Colomer (ds)
Josep Colls (el-b)
Johan Clement 『Some Other Time』 
Baileo盤『From This Moment On』、『On Request』などでファンの間で人気の高い、オランダ出身、ベルギーを拠点に活動しているベテラン・ピアニスト、ヨハン・クレメント。持ち前の明快で歌心とスイングに満ちた味わい深いピアノが、全編を通して満喫できる王道ピアノトリオ盤。
Johan Clement (p)
Bart de Nolf (b)
Luc Vanden Bosch (ds, per)
Morten Schantz 『Unicorn』 
シゼル・ストームのCalibratedレーベルから、『Jazz Bar 2013』にも収録されたデンマーク・ピアニスト、モーテン・シャンツの最新トリオ盤。「今までに体感したことのないグルーブ感がいい。それはモーテンのピアノが素晴らしいから。彼のエモーショナル溢れるフレーズが次から次へと湧き出てきて、正直そこまでやってくれるか、という期待以上のものがあり、コーフンを禁じ得ない。ピアノ好きはお見逃しなく。」(JAZZ PERSPECTIVE編集長・山本隆 / ライナーより抜粋)
Morten Schantz (p)
Morten Ankarfeldt (b)
Janus Templeton (ds)
Ayi Solomon (per)
Belem Trio 『Karabash』 
オリヴィア・トルンマーをはじめ良質な作品をリリースするドイツのNEU KLANGからアグレッシヴなピアノトリオ「ベレム・トリオ」のデビュー・アルバム。メロディアス〜テクニカルなピアノトリオ、プログレ・ライクな変拍子、エレベによるパワフルなベースライン、ロマンティックなメロディが絡むスリリングな一枚。Diego Brancaccio (p)
Filippo Macchiarelli (el-b)
Luca Luzi (ds,per)
Alessandro Galati 『Seals』
イタリアン・ジャズ名門レーベル、V.V.J.のニューリリース。ビル・エヴァンス・スタイルを継承する叙情派として、イタリアの音楽誌『ムジカ・ジャズ』で絶賛されたピアニスト、アレッサンドロ・ガラーティのピアノトリオ作。スタンダードの「Cherokee」、「Softly As In A Morning Sunrise」、「So In Love」なども収録。なかでも、クラシカルなバラードになった「Cherokee」では、アレンジ・センスが光る。ECMを思わせる透明感溢れるサウンドは、ヨーロッパ・ジャズ・ファン必聴。
Alessandro Galati (p)
Gabriele Evangelista (b)
Stefano Tamborrino (ds)
Pietro Ciancaglini 『Second Phase』
イタリアン・ジャズ名門レーベル、V.V.J.のニューリリース。ハイ・ファイヴ・クインテットのピエトロ・チャンカリーニ(b)、ランディ・ブレッカーやボブ・バーグと共演した来たデイヴ・キコウスキー(p)、リオーネル・ルエケ・グループなどで活躍しているフェレンク・ネメス(ds)によるトリオ・アルバム。チャンカリーニのオリジナル曲に加え、「'S Wonderful」、「I Love You」といったスタンダード曲や、エヴァンスの名演でも知られる「Gloria's Step」も収録。リリカルなプレイと、3人のインタープレイが楽しめる。
Pietro Ciancaglini (b)
Dave Kikoski (p)
Ferenc Nemeth (ds)
Kekko Fornarelli 『Outrush』
2011年録音作『Room Of Mirrors』が好評を博した1978年イタリア・バーリ生まれのピアニスト、ケッコ・フォレナッレリの新作。今回も全編オリジナル・コンポジション。前作を踏襲したオリジナリティ溢れる作品となっている。アコースティック・ピアノをメインに、シークエンス的にシンセを薄っすらと被せるなどモダン・クリエイティブ溢れた現代ピアノトリオ・サウンドを創出。ピアノトリオ・ジャズに”サムシン・エルス”を求める方に推薦!
Kekko Fornarelli (p,synth)
Giorgio Vendola (b)
Dario Congedo (ds)
Roberto Cherillo (vo on M7)
