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”伸び盛り翁”ジャマルがまたしても!

Friday, August 16th 2013

アーマッド・ジャマル


アーマッド・ジャマルがまたしても! そんじょそこらのジャズ・ピアニストでは踏み込むことができない聖域にまで達してしまったかのようだ・・・


 かのマイルス・デイヴィスに「ジャマルほど”間”とダイナミズムに長けたピアニストはいない。俺のインスピレーションのすべての源なんだ」と言わしめたのは、かれこれ半世紀以上も昔の話。そんな語られ尽くされたエピソードをもってしなくとも、アーマッド・ジャマルのいっぽんどっこの強いピアニズムはしっかりと今に伝えられている。

 例えばジョナサン・バティストロバート・グラスパーといった最近の若い黒人ジャズ・ピアニストたちにしても、口々にジャマルからの影響下をもらしているそうだ。彼らの年齢を考えれば、もちろん「Swahililand」のようなヒップホップ・ネタからの間接的なシンパシーなども大きく作用しているのかもしれないが、逆に、彼らが声を大にしてリスペクトを送っているのが、ここ何年かのジャマルの好調ぶりに対して。

 つまり、音数の少ない独特の間を生かしたジャマル・スタイルを確立した名演「But Not For Me」に代表されるArgo期、あるいはImpulse!、20th Century期作品といった古典への盲目的な偏愛ではなく、年は違えど同じ時代を生き抜くジャズ・ピアニストの勇壮として、また泰然自若とした、そんなジャマルの温度ある姿にこそ彼ら若い世代は魅せられ刺激を受けている、ということになるだろうか。さしものマイルスの金言も効力を失いかけている21世紀ならではのリアリティだ。

アーマッド・ジャマル  ハツラツとした翁ほど清々しさを感じさせる存在はいない。2009年の『A Quiet Time』、昨年の『Blue Moon』、そしてこのたび届けられる『Saturday Morning』と、年を追うごとにそのハツラツとしたプレイにはさらなる躍動感がプラスされているかのようだ。しかしそこに“アンチ・エイジング”のような違和を感じることは決してない。あくまで内からにじみ出るエネルギーをナチュラルに鍵盤に託しているだけなのだ。ここへきての心技体の充実、ステキじゃないか。

 第55回グラミー賞にもノミネートされた前作『Blue Moon』は、80歳を超えてなお奇跡的なキレとパワフルなピアノでファンを躍らせてくれた、まごうことなき傑作だった。それまでほぼ無縁だった賞レースへの参戦も含めて、ある意味ジャマルの音楽人生の総決算的一枚になったのでは、と勝手に“まとめ”に入っていたのだが、そんなことは余計なお世話よとばかりのK点越えがここにはある。晩年期にある音楽家が自己レコードをサラリと塗り替えたという現実に何より興奮を抑えきれない。

 今年2月に、JazzVillageレーベルの本拠地フランスにてレコーディングされたこの『Saturday Morning』でジャマルは、そんじょそこらのジャズ・ピアニストでは踏み込むことができない聖域にまで達してしまったかのようだ。



『Saturday Morning: La Buissonne Studio Sessions』収録曲

  • 01. Back To The Future
  • 02. I'll Always Be With You
  • 03. Saturday Morning
  • 04. Edith's Cake
  • 05. The Line
  • 06. I'm In The Mood For Love
  • 07. Firefly
  • 08. Silver
  • 09. I Got It Bad And That Ain't Good
  • 10. One
  • 11. Saturday Morning (Reprise) radio edit

Ahmad Jamal (p) / Reginald Veal (b) / Herlin Riley (ds) / Manolo Badrena (per)

アーマッド・ジャマル



 オープニングから絶好調だからさぁ大変。遊び心満点の「Back To The Future」は、現トリオ+パーカッションでの緊密な関係性を笑いに満ちたスタイルで悠々と披露する。前作のオープナー「Autumn Rain」で溜飲を下げたリスナーに、再び今のジャマルの充実ぶりを伝える、陽気なグルーヴィ・ナンバー。

 神々しいまでの美しい光を放つバラード「I'll Always Be With You」で一旦呼吸を整え、リリカルなタイトル曲へ。瑞々しくもスケールの大きい楽想、温かく優しいメロディ、無垢な心が歌い飛び跳ねるようなソロは、漠然とながらジャマルの人間としての器の大きささえも感じさせる。絶妙に切り込むマノロ・バドレーナのパーカッションも最高だ。

 ゴリっとした独特のタッチを交えてユニークなテーマを打鍵する「The Line」「Firefly」共に、レジナルド・ヴィール(b)、ハーリン・ライリー(ds)、丁々発止キレキレのリズム隊がさらなる活気とスリルを呼び込む。マノロ同様、現在のジャマル・サウンドには欠かせない千両役者たちだ。名曲フレーズを混ぜこんだ「Silver」にしても、主役ピアノのコロコロと変わる表情が実におもしろい。

 本編オーラスの「One」においては、マイルスよろしく、やっぱりこの”間”がイイネと。タメか崩しか天然か。テーマのトリルは不思議な酩酊感を誘う。ジャマル・スタイルは、半世紀以上の時を経てさらに“いいさじ加減”でブラッシュアップされたのかもしれない。

 このアルバムの素晴らしさは言わずもがな。次のグラミーももしかして・・・なんて、ここまで多幸感に満ちハツラツとピアノを打つ翁を前にして、そんな小っちゃい話は言いっこなし。だって、ジャマルはまだまだ進化していくのだから。現行トリオで、久しぶりの来日公演を切に希望だ!



<了>





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Saturday Morning: La Buissonne Studio Sessions

Ahmad Jamal

Price (tax incl.): ¥3,740
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Release Date:05/September/2013

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2009年『A Quiet Time』も傑作です

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