【連載】 黒木渚の 「無限草子」 (4) 黒木渚の 「無限草子」へ戻る

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2013年3月26日 (火)

昨年末、會田茂一/根岸孝旨/田渕ひさ子(bloodthirsty butchers)/斉藤祐樹(髭)らと共に制作した、九州地区限定で発売されたシングル「あたしの心臓あげる」が話題に。年明け早々には全国発売となるなど、今最注目のバンド“黒木渚”が3月20日に全7曲入りの1stミニアルバム『黒キ渚』をリリース。 その発売を記念し、ヴォーカルの黒木渚による連載がスタート。毎回、アルバム収録曲になぞらえた小説を黒木渚自らが執筆。アルバムの世界観に新たな角度から彩を添える7篇をお楽しみください。



第4回 「カルデラ」


今でこそ野良ですが、私は元はと言えば血統書付きのシャム猫です。
体は象牙色で、手足と尻尾の先は濃い茶色。
毛並みはなかなか美しいと自分でも自慢に思っていますが、以前飼い猫だった頃に片目をなくしてしまいました。

その頃私はとても裕福なお屋敷で飼われていました。
けれど、そこでの生活はとてもつらい思い出として私の中に残っています。

ご主人は、多くの財産に囲まれていたにも関わらず、ちっとも幸せじゃなさそうに見えました。
誰かと話せば必ず言い争いになっていたし、いつも誰かを憎んでいました。

そしてその反動か、私に対してもひどくあたる事が多かったのです。
ご主人の手がいつか私の額をなでてくれるのでは、と毎日願いました。
しかし、その手は暴力に呪われて、私を打つ為にしか使われることはありませんでした。

そしていつものようにご主人からの残酷な仕打ちを受けていたある日、私は片目を失ってしまったのです。


もう限界だと思いました。
お屋敷から出て行かなければ殺されてしまう。

由緒ある血統に、多少なりとも誇りを持って生きてきましたが、そんなものはもうどうでも良くなっていました。 寝る部屋が無くても、餌が貰えなくても、罵声とこぶしを浴びる日々よりはマシに決まっています。

そして今は山のふもとにある、この自然公園を自分の場所にして暮らしているという訳です。
はじめは餌の取り方も、その粗末な味にも馴染めず、大変苦労しました。
縄張りを争って初めて他の猫と喧嘩をしたりもしました。
けれど、最近では随分と野良も板について、割と平和に暮らしているのです。

そういえば、少し前に珍しい新入りがこの公園にやって来ました。
新入りは、ひどく痩せこけており、とてもみすぼらしい身なりでした。
何よりその新入りは珍しい人間の野良だったのです。

飢えの為か、寒さの為か、新入りは公園の木の根元にうずくまって動かなくなりました。

なんだかご主人にひどくやられた夜の自分の姿が浮かびました。
恐怖心と、それからまだ生々しい傷の残る目の疼きに、私は声を上げて鳴きました。

すると、新入りが少し身動きをしたのです。
頬を地面につけたまま、新入りは私を見ていました。

「カルデラ」

新入りはそう言いました。

「おまえも悲しいのかい?カルデラ」

そう続けて言うと、新入りは私とは逆に、声を殺して泣きました。
涙が止まった後も、ぽつぽつと私に話しかけて、朝も近くなったころに眠ってしまいました。
眠りに落ちる直前に、そっと手を伸ばし、私の額をやさしく撫でてくれました。

カルデラ、それは新入りが私に付けてくれた名前のようでした。

一体なんなのでしょう?私には聞き覚えのない言葉でした。

そして昨日、山登りの格好をした観光客が2人この公園を通り掛かった時のことです。

「この山の上でカルデラが見れるのね。」

確かにそう聞き取れました。
この山の上に、私の名前と同じ何かが在るのだと。

私はどうしてもその正体が知りたくなって、観光客の後をつけることにしました。
ごつごつとした山道を、夢中で登って行きました。
こんなに険しい道は初めてだったので、息も切れ切れでしたが、あきらめようとは全く思いませんでした。

そして急に視界が開けた場所に出たのです。

「うわあ。綺麗ねえ。」

先ほどの観光客がため息まじりの歓声をあげました。
2人が見つめるその先に目を向けて、私はようやく知ることができたのです。

残された私の目と同じ、サファイア色をした美しい湖を。




黒木渚 『黒キ渚』 [2013年03月20日 発売]

2012年12月12日に九州限定でリリースした1st Single「あたしの心臓あげる」が全国のオリコンインディーズチャートで14位、有線インディーズチャートでは1位を獲得し話題となり、1月8日に同作品が全国発売となった黒木渚。注目度が高まる中、1stミニアルバム『黒キ渚』をリリース。 アイゴンこと會田茂一をサウンドプロデューサーに迎えた新作「骨」から、同じく髭のメンバーであるギタリスト斉藤祐樹を迎えた「クマリ」、根岸孝旨をサウンドプロデューサーに、田渕ひさ子をギタリストに迎えたライブ人気曲「カルデラ」、アマチュア時代の音源で廃盤となっていた「赤紙」、ギターボーカル渚が初めて人に書いた曲というピアノとボーカルだけで収録されている「砂金」など全7曲を収録。



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※特典の有無は商品ページにてご確認ください。



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【応募方法】対象商品ご購入後(商品出荷時)に、メールにて応募フォームのURLをお知らせ致します。
【購入対象期間】〜2013年4月19日(金)まで ※以前にご予約いただいた方も対象となります。
【応募対象期間】2013年03月19日(火)〜2013年04月26日(金)

※HMV ONLINE本サイト及びHMV MOBILEサイト以外からのご購入、非会員でのご購入は特典対象外となります(HMV Yahoo!店、HMV 楽天市場ストアでのお買い上げは対象外です)。
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※HMV ONLINE/HMV MOBILEでご注文頂いた場合、タイミングによっては対象期間を過ぎる場合がございますことをご了承下さい。
※当選は賞品の発送をもってかえさせていただきます。


収録曲

  • 01. あたしの心臓あげる
  • 02. クマリ
  • 03. 骨
  • 04. 赤紙
  • 05. エスパー
  • 06. カルデラ
  • 07. 砂金


【黒木渚 プロフィール】


黒木渚
黒木渚という名のバンド。2010年12月福岡にて結成。
崇高と低俗、汚れとイノセント、甘美と狂気、相反するものを同じ絶対値で歌う歌詞世界。全てを征服してしまうような凛とした渚の歌声。その世界を最大限に引き出そうとするエッジの効いた変幻自在のバンドサウンド。一つの演劇を見ているかのような独特の雰囲気漂うライブ。
2012年12月12日に処女作となる1st single「あたしの心臓あげる」を九州限定でリリース。大きな反響を受け1月8日から全国発売となり、これが10週連続でオリコンインディーズチャートTOP20にランクインのロングセラーとなる。同月22日には福岡VIVRE HALLで黒木渚独演会「ゆりかごあやし」を開催し、SOLDOUTの超満員。
3月20日に1st mini album「黒キ渚」リリース決定。全国各地アルバムツアーも決定している。

[関連リンク]
  黒木渚 オフィシャルサイト
  黒木渚 facebook
  黒木渚 公式Twitter(STAFF)






Live 情報

黒木渚 1st mini album 『黒キ渚』 RELEASE TOUR 「複合人格」

4/12(金)【東京】下北沢ClubQue ロックの夜明け presents「INCIDENT 13.04」
4/23(火)【愛知】名古屋APOLLO THEATER「本格派vol.2」
4/27(土)【福岡】薬院BEAT STATION 黒木渚 福岡独演会「黒キ渚」〜x∩X≠Φ〜
5/02(木)【京都】MUSE
5/03(金)【大阪】阿倍野ROCKTOWN
5/10(金)【北海道】札幌Spiritual Lounge
6/01(土)【東京】下北沢ClubQue 黒木渚 東京独演会「黒キ渚」〜x∩X≠Φ〜
※神戸・仙台など後日追加公演発表!詳細は公式HPまで。

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発売日:2013年03月20日
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シングル

あたしの心臓あげる

CDシングル

あたしの心臓あげる

黒木渚

価格(税込) : ¥514

発売日:2012年12月12日

  • 販売終了

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