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【特集】 ストーンズ・カヴァー列伝 2013 [後編]

ROLLING STONES STORE

2013年1月16日 (水)


「転がる石は苔むさない」
2013年その結末やいかに?

 『GRRR! ローリング・ストーンズ・グレイテスト・ヒッツ』、『チャーリー・イズ・マイ・ダーリン』、『クロスファイアー・ハリケーン』。無事是名馬の結成50周年に照準を合わせた”三種の神器”が見事ハーモナイズ。あまつさえ昨年末のメモリアル助走ギグ、雀百まで踊り忘れず大成功。転石党はすこぶる豊潤な年末年始を迎えられたことでしょう。しかし同志よ、牧歌に彩られたノスタルジアが最新カラーに上塗りされるのは、むしろここからだ。「転がる石は苔むさない」。さてデビュー50周年を迎える2013年、その結末やいかに?




 『GRRR! ローリング・ストーンズ・グレイテスト・ヒッツ』

50周年を飾るローリング・ストーンズ、約7年ぶりの新曲「ドゥーム・アンド・グルーム」、「ワン・ラスト・ショット」までもが収録された最強のオールタイム・ベスト。デラックス・エディションには、デビューから現在までの全キャリアから厳選された50曲を。さらにスーパー・デラックス盤には、厳選80曲に未発表のデモ音源5曲+BBCでの貴重なライヴ4曲を収録したボーナス7”EPをセットで。



 『チャーリー・イズ・マイ・ダーリン』

ローリング・ストーンズ最初期の姿を捉えた一本。1965年9月のアイリッシュ・ツアーを追った短編ドキュメンタリー・フィルムにして、ブライアン・ジョーンズがリーダーを務めていたバンド最初期の姿を捉えた貴重な映像作品。スーパー・デラックス盤には、未発表音源を含む2SHM-CD+10"EPをセット。



 『クロスファイアー・ハリケーン』

ローリング・ストーンズの50年の軌跡を完全網羅した決定版ドキュメンタリー映像。監督のブレット・モーゲン、プロデューサーのヴィクトリア・ペアマンらが、未公開を含む数千時間の映像、数万枚の写真、数十曲の未発表テイクを含む膨大な音源から選りすぐった驚愕作品。





中山康樹・著 「ローリング・ストーンズ全曲制覇」
最新ベスト・アルバム『GRRR!』収録の新曲2曲を加えた「全509曲」を1曲ごとに徹底分析した、唯一無二のストーンズ・ガイド!





本家では明るみにならなかった
”陰”または”影”の部分に踏み込める場合も

 大変長らくお待たせしました。ズルズル茫々で年跨ぎを犯してしまった、針小棒大・転石カヴァー特集の後編です。70年代以降の楽曲カヴァーに関しては、そもそもの分量が心許なく、また正直うだつが上がらないものが多いことからも、無念、、進退これ窮まる・・・と思いきや、探せばあるもの。廃盤・未CD化の秘宝を躊躇なく投入し整えたひとかどの上玉ラインナップに、図々しくも手盛りの称賛やむこと知らず。

 ストーンズに限った話ではないが、カヴァーに関しては賛否色々あることでしょう。愛おしき妙味がある一方で付いて回るある種の虚空感。それこそが「もののあはれ」なるしみじみとした情趣の世界と取るか否か。むしろ、本家では明るみにならなかった曲の”陰”または”影”の部分に踏み込める場合も間々あるのでは? と勝手に解釈すれば、カヴァーと言えども実に奥深いものに・・・。

 [後編] では、サエキけんぞうさん、中山康樹さん、お二方のカヴァー十傑リスト〜覚書も公開中です!



アルバム『スティッキー・フィンガーズ』収録曲で、USではシングル・カットもされた、滋味深きバラードの逸品。当時キースと親交の深かったカントリー・ロックの創始者、グラム・パーソンズが惚れ込み、自身のバンド、フライング・ブリトウ・ブラザーズで先に発表した。

Sticky Fingers from 『Sticky Fingers』
1971年発表。自らが設立したローリング・ストーンズ・レーベルからの第1弾にして、ミック・テイラーが全編に参加した初のスタジオ・アルバム。「ブラウン・シュガー」「ビッチ」「ワイルド・ホース」他、ストーンズ全盛時の才気煥発を閉じ込めた紛れ無き傑作。


凡百のカウボーイ・ソングから脱却してこその

Unplugged from
Alicia Keys 『Unplugged』 (2005)

本家を超えた超えないのレベルで話を進めるのはかなり野暮。だが、数多ある荒馬カヴァーの中で、それが許されているのは唯二つ。グラム・パーソンズ版と、このアリシア版。当初は、デュオ相手のゲストとしてキースの出演も検討されたそうだが、むしろアダム・レヴィーン(マルーン5)との共演によって、この曲が失いかけていた若やかなソウル・フィーリングをしっかりと取り戻すことができたのではないだろうか。ダニー・ハサウェイ&ロバータ・フラックな? いや、これこそチャカ・カーン&スティーヴン・ビショップ、あるいはブレンダ・ラッセル&ボビー・コールドウェルな黒く白い情感の襷がけ的想起による・・・これ以上は言うまい。とにかく鳥肌モノのブルー・アイド・ソウル名演としか表現できない。凡百のカウボーイ・ソングから脱却してこその。


高貴なる神獣スレイプニルを現代に蘇らせる

Antologie from
Solveig Slettahjell 『Antologie』 (2011)

女流シンガーによる荒馬に名演多し。殿堂入りとなる上掲のアリシア版以外にも、ノラ・ジョーンズ(ティム・リースの転石プロジェクトより)、シャルロット・マーティン、レイチェル・Z、サラ・ジェーン・モリス、スーザン・ボイルなど、ゼロ年代以降もかなり充実したカヴァーが出揃うことはご承知のとおり。こちらは、ノルウェーのジャズ・シンガー、スールヴァイグ・シュレッタイェルによるカヴァー。恐ろしく憶えづらい名前だが、歌唱は一級品。ノーザンライトのような、そのあまりにも幻想的で透明感に溢れた唄声で、高貴なる神獣スレイプニルを現代に蘇らせる。



ローリング・ストーンズ・レコーズからの第1弾となったアルバム『スティッキー・フィンガーズ』からの先行シングルで、バンド全盛時の才気が詰め込まれた代表的なストーンズ風R&Rナンバー。全英2位、全米1位。

 from 『Sticky Fingers』
Sticky Fingers 1971年発表。自らが設立したローリング・ストーンズ・レーベルからの第1弾にして、ミック・テイラーが全編に参加した初のスタジオ・アルバム。「ブラウン・シュガー」「ビッチ」「ワイルド・ホース」他、ストーンズ全盛時の才気煥発を閉じ込めた紛れ無き傑作。



弘田三枝子あたりの唄なんか乗った日にゃ

ミスター・ドラム / ロウダウン from
ミスター・ドラムとザ・サウンド・マシーン
『ミスター・ドラム / ロウダウン』

(1971)


和モノの宝庫コロムビアから、転石党仰天のニッポン・ヘロイン奏楽。猪俣猛”らしき”ドラマーが率いる覆面ジャズロック・コンボによる洋物ヒット集になるのだが、これがなかなか硬派な出来栄え。イントロのギターリフなどあたかも。ここに弘田三枝子あたりの唄なんか乗った日にゃ、そこいらの新興ニューロックなど軽くいなしてしまいそうな勢いだ。この図太さとガッツ、果たして今のジャズにあるだろうか? ブルーワー&シップレイ、ハニー・コーンのカヴァーもイイゾ!


「ブラウン・シュガー」のB面として発表された後、アルバム『スティッキー・フィンガーズ』に収められた会心のロッカー。テクニカルな新ギタリスト、ミック・テイラーが、ここでは珍しくリフを担当している。

 from 『Sticky Fingers』
Sticky Fingers 1971年発表。自らが設立したローリング・ストーンズ・レーベルからの第1弾にして、ミック・テイラーが全編に参加した初のスタジオ・アルバム。「ブラウン・シュガー」「ビッチ」「ワイルド・ホース」他、ストーンズ全盛時の才気煥発を閉じ込めた紛れ無き傑作。



出たとこ勝負のショーケン語で一刀両断

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PYG
『Free With PYG』

(1971)

GSブーム去りし後、ふたりのスーパースターが魅せた、眩しき青春の掉尾。真夏の田園コロシアム、ジュリー vs ショーケン 90分1本勝負☆ ディープ・パープル、エルトン・ジョン、ランディ・ニューマンなどの舶来有名曲が矢継ぎ早に放り込まれる中、我々が注目すべきはやはり転石ナンバー。いずれもショーケンがねちっこく料理。中でも「ラヴ・イン・ベイン」のねちっこさには、チャー坊も「なにくそオレも」と燃えたハズ。本家69年のMSG公演あたりをしっかり研究したであろう「悪魔」もキレキレだが、本命は間違いなく「ヴィッチ」。フィーリング一発。出たとこ勝負のショーケン語でアバズレどもを一刀両断。社会が病む以前、けたたましさこそが健全なロックの象徴だった。


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67年にこの世を去ったソウル巨人オーティス・レディングに捧げられたメンフィスソウル・バラッド。ボビー・キーズとジム・プライスのブラス・セクション、ビリー・プレストンのオルガンが彩りを添える。 *ベスト盤『GRRR!』には収録されておりません。

 from 『Sticky Fingers』
Sticky Fingers 1971年発表。自らが設立したローリング・ストーンズ・レーベルからの第1弾にして、ミック・テイラーが全編に参加した初のスタジオ・アルバム。「ブラウン・シュガー」「ビッチ」「ワイルド・ホース」他、ストーンズ全盛時の才気煥発を閉じ込めた紛れ無き傑作。



『ビガー・バン』のアーシーな芳醇さに結実

Make Do With What You Got from
Solomon Burke
『Make Do With What You Got』

(2005)


蒼き日のストーンズ、特にジャガー/リチャードのケツを強烈に引っ叩いたのは、オーティスともうひとり、このキング・ソロモン。米国における黒人のソウル、白人のソウル(C&W)とを一緒くたにして体現できる度量と芸の奥深さ。もしやナッシュビルという地こそ彼らの理想郷のひとつだったのかもしれない。本作のプロデュースを手掛けたドン・ウォズにもロッキンソウル帝王学の何たるかが教え説かれ、ストーンズ虎の子のサザンソウル・バラッドが30余年ぶりに命を吹き返す。そしてそれは『ビガー・バン』のアーシーな芳醇さに結実。これ以上なく素晴らしい師弟関係ではないか。また遺作となった『Hold On Tight』では、ジャガー/リチャードが余生をかけてこの先突き詰めていくべきソウルやロックの本分に出会うことができる。



「ワイルド・ホーセズ」と同様、グラム・パーソンズとの交流から生まれたと言われているカントリー・ロック・チューン。イアン・スチュワートの軽快にスウィングするピアノも印象的。 *ベスト盤『GRRR!』には収録されておりません。

 from 『Sticky Fingers』
Sticky Fingers 1971年発表。自らが設立したローリング・ストーンズ・レーベルからの第1弾にして、ミック・テイラーが全編に参加した初のスタジオ・アルバム。「ブラウン・シュガー」「ビッチ」「ワイルド・ホース」他、ストーンズ全盛時の才気煥発を閉じ込めた紛れ無き傑作。



疲弊するドサ回り族の爛れた日常を

Roadsongs from
Townes Van Zandt
『Roadsongs』

(1994)


ふと長閑なカントリーロックにも聴こえるだろうが、リリックを詠めば一目瞭然、ドラッグで身を滅ぼした者に捧げし鎮魂歌であり・・・かと言ってそれは悲しみや救いを歌い込んだものでもない。ストーンズのみならず、ミュージシャン稼業に疲弊するドサ回り族の爛れた日常を描いているにしか過ぎず。言わば時代のロードソングだ。晩年のタウンズ・ヴァン・ザントによってダウンホーム・スタイルで綴られる本カヴァー。当時ドラッグとアルコールでボロボロになっていたザントは、やがて来る最期を見据えていたかのような温度のない語り口で ”死の花束” を自らに手向けてみせた。





アルバム『メイン・ストリートのならず者』のオープニングを飾った屈指のジャンプ・ナンバー。日本でのみ1973年に“幻の来日記念盤”としてシングル・カット。今年サントリー“ストーンズバー”のCMに使われ、再びシングル化されたことも記憶に新しい。

from 『Exile On Main St.』
Exile On Main St. 1972年発表。「ダイスをころがせ」「ハッピー」「ロックス・オフ」他、ストーンズ特有のルーズでアーシーなフィーリングが絶妙の度合いで発揮されたRSレーベル第2弾。2枚組LPとして発表された当時の“ラフで散漫”との評価から一転、現在ではストーンズ最高傑作の1枚と位置づけられている。


もはや最もピュアな愛のカタチか?

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Pussy Galore
『Exile On Main St.』 [Cassette]

(1986)

掟破りのエントリー。悪名高き『ならず者』カヴァー・アルバムと言えば、ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンの前身、ワシントンDC伝説のガレージ・バンド、プッシー・ガロアによる86年発表のこちらを差し置いて他にはない。元々は500本限定の自主制作カセットテープでのみ販売されていた稀少音源。さてその中身なのだが、見事なまでの鬼畜ジャンク仕様で、「聴くに耐えない」「今までになく最高」と完全に評価を分かつ。音外しまくりは当然のことながら、ブツ切り、マッド・コラージュ、ファック連呼といった、逆に今やベタとも言えるデストロイ方法論をブッ込んだ、ガレージ極北とも言えるそのハチャメチャぶり。でもどこか憎めないのはなぜだろう? これこそ冒涜を通り越して、もはや最もピュアな愛のカタチか? 全転石党色んな意味で必聴。


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今やストーンズ最高傑作との呼び声も高いアルバム『メイン・ストリートのならず者』からの先行シングル。キース・リチャーズによる手練のリフと、チャーリー・ワッツによるタメの効いたドラミングが、ストーンズ特有のグルーヴを演出する。

from 『Exile On Main St.』
Exile On Main St. 1972年発表。「ダイスをころがせ」「ハッピー」「ロックス・オフ」他、ストーンズ特有のルーズでアーシーなフィーリングが絶妙の度合いで発揮されたRSレーベル第2弾。2枚組LPとして発表された当時の“ラフで散漫”との評価から一転、現在ではストーンズ最高傑作の1枚と位置づけられている。


「キングストンの兄ちゃんたちが俺らをリスペクト」

Shook Shimmy & Shake -The Anthology from
Owen Gray
『The Anthology』

(1973)


賽子カヴァーの最高得点は、リンダ・ロンシュタットのあのユルくアーシーなヴァージョンであるが、本家の”お気に入り”という点ではこちらに軍配が上がるかもしれない。JAのファウンデーション・シンガー、オーウェン・グレイが、クリス・ブラックウェルのプロデュースで吹き込んだロックステディ版。折りしもボブ・マーリーの全世界デビューによって、ロック業界全体がレゲエに熱い視線を送っていた時期。しかも本家は彼の地ダイナミック・サウンド・スタジオで山羊をレコーディング中。とくれば、ミックもキースもさぞかし鼻高々だったにちがいない。「キングストンの兄ちゃんたちが俺らをリスペクトしてくれてるんだぜ」。すっかりゴキゲンなキースのオーチョリオス邸では日がな大音量でスピンされていたとかいないとか。




黒人女性活動家アンジェラ・デイヴィスに捧げられた、マリンバやギロがトロピカルな味付けを加えるアコースティック・ナンバー。英米共にシングル「ダイスをころがせ」のB面に収録された。 *ベスト盤『GRRR!』には収録されておりません。

from 『Exile On Main St.』
Exile On Main St. 1972年発表。「ダイスをころがせ」「ハッピー」「ロックス・オフ」他、ストーンズ特有のルーズでアーシーなフィーリングが絶妙の度合いで発揮されたRSレーベル第2弾。2枚組LPとして発表された当時の“ラフで散漫”との評価から一転、現在ではストーンズ最高傑作の1枚と位置づけられている。


転石党も腰を抜かした、まさにツチノコ的逸品

All Over The World from
Wailing Souls
『All Over The World』

(1992)

ジャマイカ最高のコーラス・グループの一組 ウェイリング・ソウルズが90年代にメジャー大手と初契約を交わしリリースした、グラミー・ノミネート・アルバムから。JAコメディ・ムーヴィー『クール・ランニングス』のサントラに収録された「Picky Picky Head」などが当時話題となっていたが、まさかこんなところで烏木の大天使カヴァーに出くわすとは、草の根を分けて注意深くアチコチに目を光らせていた転石党も腰を抜かした、まさにツチノコ的逸品。冒頭イナタいドブロ・スライドに慄くも、ワンドロップ・アレンジとの相性の良さをすぐさま窺わせるナイスな仕上がり。ブ厚いゴスペル・コーラスにしても、やはり『ならず者』楽曲の世界観にどんぴしゃだ。テカテカしたサックスも悪くない。

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マーティン・スコセッシによるライヴ・フィルムの表題にもなったストーンズ流の本格ゴスペル。ビリー・プレストンの鍵盤、ヴァネッタ・フィールズ、クライディ・キングらのコーラスがムードを高める。 *ベスト盤『GRRR!』には収録されておりません。

from 『Exile On Main St.』
Exile On Main St. 1972年発表。「ダイスをころがせ」「ハッピー」「ロックス・オフ」他、ストーンズ特有のルーズでアーシーなフィーリングが絶妙の度合いで発揮されたRSレーベル第2弾。2枚組LPとして発表された当時の“ラフで散漫”との評価から一転、現在ではストーンズ最高傑作の1枚と位置づけられている。


スコセッシ先生にも是非聴いていただきたい

Shine A Light from
エマーソン北村
『Shine A Light』 [7"]

(1990)

もうこうなったら狙っていきまひょ。レゲエ・カヴァー、バックスクリーン三連発☆ じゃがたら、ミュートビートから、忌野清志郎&The2・3's、エゴラッピン、シアターブルック、キセルまで、数々のアーティストの名曲・名演を支えてきたキーボード奏者 エマーソン北村による忘れじのロックステディ版・行灯照射。カシオトーン製リディムの上で躍る、心の師ジャッキー・ミットゥ・スタイル全開のスウィンギー&ラヴリーなオルガンの音。ビーコン・シアターでニューヨークを照らそうと・・・いや、ボブ・マーリーの伝記映画「ルーツ・オブ・レジェンド」製作にいの一番で手を挙げたというスコセッシ先生にも是非聴いていただきたい。


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アルバム『メイン・ストリートのならず者』の収録曲で、キース・リチャーズが声変わり前の高音ヴォーカルで聴かせるタイトル通りのゴキゲンなロック・ナンバー。ステージでもコンスタントに取り上げられているキースの代表曲ともいえる作品。

Exile On Main St. from 『Exile On Main St.』
1972年発表。「ダイスをころがせ」「ハッピー」「ロックス・オフ」他、ストーンズ特有のルーズでアーシーなフィーリングが絶妙の度合いで発揮されたRSレーベル第2弾。2枚組LPとして発表された当時の“ラフで散漫”との評価から一転、現在ではストーンズ最高傑作の1枚と位置づけられている。

ロック社会における「ジェンダーイクオリティ」を超リアルに実感

Live From Central Park from
Sheryl Crow 『Live From Central Park』 (1999)

80年代初頭辺りまでストーンズ連中に絡んでいた女房・彼女以外の妙齢女性と言えば、妾でありグルーピーであり、そのほとんどが音楽とは無縁の下世話なタブロイド・ネタ要員であったことに概ね異論はないだろう。ただし、90年代に入るとその状況にも大きな変化が。二回りも年の離れた女史アクトたちが「アタシ、小さい頃からストーンズが大好きだったの」と澱みない笑みを浮かべて次々と大舞台に上がってくるものだから、連中だっていつまでも業界の腐りかけたマチズモに腰を掛けている場合ではなかった。つまりこの時代ストーンズは、彼女たちの登場により初めてロック社会における「ジェンダーイクオリティ」を超リアルに実感することができたのかもしれない。例えばそれは、このシェリル・クロウであったり。今や連中とステージを共にしてもそのオーラと威風に全く遜色はない。ついで妄想するに、「ロニーがペケになった場合のセカンド・ギタリスト最有力候補は彼女しかいない」と。ニューヨークのセントラル・パークで行なわれた彼女主催のベネフィット・コンサートから、キース、クリッシー・ハインドとのテレキャス三本締めでキメキメの「ハッピー」を。


どことなく ロニー『俺と仲間』のグルーヴに近似

I Came To Dance from
Nils Lofgren 『I Came To Dance』 (1977)

バカが付くほど正直でピュアなロックンロール野郎ニルス・ロフグレンにしては中々ヒネリの効いた幸福論好カヴァー。それもそのはず。ウォーネル・ ジョーンズ(b)、アンディー・ニューマーク(ds)という歴戦のファンキーリズム隊が16分音符フィールをしっかりと統制。本家には決して真似できないリズム・フィギュアをはじき出す。ナッピーなスライドが垂らし込められたり、どことなくロニー『俺と仲間』のグルーヴに近似しているということで、頑固な転石党のバイアス体質にもすんなりフィット?



アルバム『山羊の頭のスープ』からの先行シングルで、全米1位を記録したストーンズらしからぬ哀愁のバラード。効果的に配されたピアノやストリングスもウェットな気分を後押しする。日本でも人気のナンバーで、かつてドラマの主題歌にもなった。

Goats Head Soup from 『Goats Head Soup』
1973年発表。名曲「悲しみのアンジー」が収録されていることで知られるジャマイカ録音盤。ぼんやりとしたジャケット・デザインがとらえどころがないアルバムの雰囲気にマッチし、まったりとしたルーズな感触の音が味わえる作品に仕上がっている。


そのしわがれ声には、悲喜こもごもの大演歌が良く似合う

Lonley People from
Stereophonics 『Performance And Cocktails』 (Deluxe Edition) (1999)

ロッド・スチュワート直系、ケリー・ジョーンズのしわがれ声には、悲喜こもごもの大演歌が良く似合う。ここまでハマると、何だかコマ劇で森進一座長公演を観覧しているかのような風情だ。60年代末〜70年代初頭にかけてストーンズほか多くの英国ミュージシャンが米国の南部音楽を熱心に追いかけたように、彼らステフォも米国ならではの泥くさく豊潤なサザンハーモニーに魅せられ、徹底追及を繰り返したクチ。本アルバム、さらには2003年の『You Gotta Go There To Come Back』にそれが顕著だろう。ゆえにか? そのパフォーマンスに、同郷・同業の大御所たちから「つい昔の自分たちを思い出しちまう」という声も多数。


野太いバリトンで激しく切なく歌い泣き上げてこそカタルシスがある

Lonley People from
Ike Noble 『Lonley People』 (1984)

玉石混交、本曲のカヴァーも山ほどある。その中でも、ジュリーやヒデキのヴァージョンは我々のエキゾティシズムと愛国心を同時に満足させる仕上がりで掛け値なしに推したいところ。花田裕之、柳ジョージ版だって伯仲の間にあり。しかしここでは、アフロアメリカンによるコブシ回りまくり、オケ跳ねまくりの、謂わば反ヨーロピアニズムな精華をチョイス。音盤が入手しづらいのが難点だが、インディ・モダンソウル界隈では絶大な人気を誇る名人シンガー、アイク・ノーブルの「アンジー」などはいかがだろうか。バラッドは、野太いバリトンで激しく切なく歌い泣き上げてこそカタルシスがある。ウーマック&ウーマック版もよしなに。

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アルバム『山羊の頭のスープ』収録曲で、USでの2ndシングルとなったロック・ナンバー。70年代にストーンズと活動を共にしたビリー・プレストンによるクラヴィネットと、ブラス、ワウを効かせたギターがファンキーな味を出している。

from 『Goats Head Soup』
Goats Head Soup 1973年発表。名曲「悲しみのアンジー」が収録されていることで知られるジャマイカ録音盤。ぼんやりとしたジャケット・デザインがとらえどころがないアルバムの雰囲気にマッチし、まったりとしたルーズな感触の音が味わえる作品に仕上がっている。


残酷なまでに甘酸っぱい青春グラフティ

Live -Recorded Around The World from
Quireboys
『Live -Recorded Around The World』

(1990)


ストーンズというよりは、フェイセズ・チルドレンという形容が最もしっくりくる、80年代後半のロックンロール・リヴァイヴァルを牽引したクワイアボーイズ。同郷のドッグス・ダムール、あるいはガンズ・パスティーシュ全般などにも同じことが言えるのだろうが、「セックス・ドラッグ・ロックンロール」という今でこそ完全死語の三拍子を詞や音に練り込んだスタイルは、ニューウェイブの支配に対するバックラッシュによって生まれたものだと思えてならない。しかしそこで彼らが目指した前時代的なグラマラスや毒性というものは、ゼロ年代の幕開けと共に再度急速に求心力を失っていった・・・ ともすれば、二層のメモリー構造からなるこの「ハートブレイカー」は、残酷なまでに甘酸っぱい青春グラフティに他ならないのかもしれない。



同名アルバムからの先行シングルで、「たかがロックン・ロール、だけど好きなんだ」と歌われるストーンズのシンボリックな代表曲。まだフェイセス在籍中のロン・ウッドの自宅にて、ミックがデヴィッド・ボウイらを交えて録音したものがベースとなっている。

from 『It's Only Rock'n Roll』
It's Only Rock'n Roll 1974年発表。ギターのミック・テイラーが参加した最後のアルバムとなった本作では、彼のギター・テクニックを十分に堪能できる。タイトルどおりロックン・ロール色の強い仕上がりとなっている。



エンタメの極意と純朴なストーンズ愛をみた

Tina Live from
Tina Turner 『Tina Live』
(2009)

ミックやキースにとっての、永遠の姐さん。特にミックにとっては唄と踊りの師範代。姐さんの芸から見よう見まねで憶えたタイム感こそが、現在のストーンズの命綱だ。逆にティナにとっても彼らはいつまでもかわいい弟分であり、頼もしきロックの頂であり。莫大な借金を抱えようが、ダンナにドツキ回されようが、彼らの曲は触れればすべてが吹っ飛ぶペインキラー。即ちいつだってパワーの源。そんな絶倫ティナ姐さん、70歳にして敢行した芸能生活50周年記念ツアーの実況録音盤より、「ジャンピン」からの「イッツ・オンリー・ロックンロール」。バックアップ・シンガー、リサ・フィッシャーのほぼ独壇場になるのだが、転石コーラスの花形も務めるリサをここできっちりフィーチャーするというその心ニクイ演出に、エンターテイメントの極意、さらには純朴なストーンズ愛をみた。


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隠れた名曲が並ぶ『イッツ・オンリー・ロックンロール』の中でもひときわ光るアコースティック・バラード。クレジットこそオミットされているが、実際にはミック・テイラーも作曲・アレンジに大きく関与していると言われている。 *ベスト盤『GRRR!』には収録されておりません。

from 『It's Only Rock'n Roll』
It's Only Rock'n Roll 1974年発表。ギターのミック・テイラーが参加した最後のアルバムとなった本作では、彼のギター・テクニックを十分に堪能できる。タイトルどおりロックン・ロール色の強い仕上がりとなっている。



最終的に感動でいっぱい

Pinups from
Human Drama
『Pinups』

(1993)


ダークウェイヴの神バン、といってもヤングにはピンと来ないだろう。ザックリ言えば、インダストリアル〜ゴシック系の元祖チーム。ボウイ模倣のジャケからもお分かりのとおり、愛とユーモアをたっぷり盛って制作したヒューマン・ドラマのカヴァー・アルバム。ストーンズからこの隠れ名曲をチョイスするというその選曲センスにまずは感動。琴線を震わせる原曲の哀愁感の応酬は、屹然たるビートをカスタムした、ゴシック・オリジナリティむき出しのサッド・アコースティック仕立てに様変わり。その温度の低さにまた感動。とどめは、ジョニー・インドヴィナ特有のほつれたナルシスト歌唱とその吐息の漏れ具合。三たび感動だ。不覚とまでは言わないが、最終的に感動でいっぱいになってしまった。



アルバム『ブラック・アンド・ブルー』からの1stシングルで、ミック・ジャガーとニッキー・ホプキンスによるキーボードを軸にしたアーバン・テイストのバラード。セカンド・ギターはミック・テイラー脱退後の“Great Guitarist Hunt”に参加したウェイン・パーキンス。

from 『Black And Blue』
Black And Blue 1976年発表。よりファンキーでタイトになった、ロン・ウッド正式加入後の初アルバム。ギタリストのオーディションと平行して録音が進められたため、複数のギタリストが参加している。



白亜の美魔女、後世に伝えられるべき名唱

Satisfied from
Taylor Dayne 『Satisfied』
(2008)

メイシー・グレイやアンジー・ストーンあたりが唄っているのかと思いきや、何と白亜の美魔女によるそれだったのだから驚き。しかも、本作をリリースするまで第一線から十年ばかり退いていたということでショックも倍。オケ制作陣には、アレキサンダー・オニール、ビリー・ステインバーグの名も。80s好きには胸キュンだろう。かつてディスコ・ヒット「Prove Your Love」や「Tell It To My Heart」で一世を風靡したこのテイラー・デイン、とにかく巧い。スキルがあるシンガーに唄ってほしいストーンズ・カヴァーの筆頭・愚か者は、意外にも採り上げられることが少なく若干失望していたところだったが、これは後世に伝えられるべき名唱と呼べるだろう。心あるR&B勢よ、もっとグリマーズのソングブックを深く掘り下げてくれ。


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サエキけんぞうさんの場合

 ストーンズカバーといえば、やはりグループサウンズ(GS)だろう。オックスの「夜をぶっとばせ」。とにかくこれにつきるのです。気が抜けて仕事をする気がなくなるほど良い。日本語だというのがいい。沢田研二のザ・タイガースも全盛期のライブ・アルバム「オン・ステージ」では全12曲中5曲がストーンズ。自分達の曲より多い。このストーンズのメドレーをそのままカバーしたバージョンの切れっぷりが最高。テンプターズ盤もいきなり「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」で始まる。ショーケンのミックは癖が強くてよい。

 洋楽物では、ソウル実力派のカバーがやはり面白いです。ミックよりはるかに歌唱力があるわけですが、だからといってストーンズをしのぐ作品になるか?というとそういうわけでもない。しかし、オーティス、アレサ、そして後にミックと共演するティナ・ターナーと、魔神のようなシンガー達が歌うストーンズは、別の凄さが極まってる。ある意味「ブルー・アイド・ソウル」となる白人のカバーは、それぞれにノドが凄まじい人ばっかりで、前述の黒人魔神歌手達にも負けてない。やっぱりストーンズは本格派シンガーに受けるのだな、と思います。 不肖、私も「ストリート・ファイティング・マン」を「パール兄弟+白井良明」というメンバーでやらせていただいてます。元々、インド的な指向性がある楽器編成の同曲を、良明さんのシタールを全編にフィーチャーすることにより謎解きしました。しかも同曲はベース以外完全アコースティックであることを踏まえ、アコースティック編成でカバー。

サエキけんぞう(ミュージシャン/作詞家/プロデューサー)


サエキけんぞうのストーンズ・カヴァー ベスト 10

  • (1) 夜をぶっとばせ / オックス
  • (2) ローリング・ストーンズ・メドレー:エヴリバディ・ニーズ・サムバディ〜ペイン・イン・マイ・ハート〜アイム・オール・ライト / タイガース
  • (3) ジャンピン・ジャック・フラッシュ / テンプターズ
  • (4) (I Can't Get No)Satisfaction(Live at Monterey Pop Festival) / Otis Redding
  • (5) Honky Tonk Women / Ike & Tina Turner
  • (6) Jumpin' Jack Flash / Aretha Franklin
  • (7) Jumpin' Jack Flash / Leon Russell
  • (8) Sympathy For The Devil / Guns N' Roses
  • (9) Honky Tonk Women / Humble Pie
  • (10) ストリート・ファイティング・マン / パール兄弟+白井良明


当時NYに住んでいたミックがお気に入りのディスコ・サウンドを取り入れた、アルバム『女たち』からの先行シングル。全米1位。自身のファルセット・コーラスと、ビルのシンコペートするベースが雰囲気を出す一方で、シュガー・ブルーによるブルース・ハープが入るのがいかにもストーンズ。

Some Girls from 『Some Girls』
1978年発表。アメリカでは『メイン・ストリートのならず者』以降最大のヒットを記録。ディスコ・ナンバーの「ミス・ユー」やテンプテーションズのカヴァー「ジャスト・マイ・イマジネーション」など、ヴァラエティ豊かなラインナップだ。


すこぶる解像度の低い転石再構築に惜しみない賛辞を

Nephews from
UA 『Nephews』 (2005)

シビれて濡れた禁断の、揺れる景色のアイ・ミス・ユー。エタ・ジェイムスのふくよかさがナンボのもんじゃい。たとえ温度や湿度が低く目でも、視界良好サウンドグッド。それはなぜかと尋ねたら、UAおよびリトル・クリーチャーズによるすこぶる解像度の低い転石再構築にこそ、真の楽想的ポテンシャルの高さと音楽の明日への架け橋がある、から。本家がどう思うか知る由もないが、是非とも惜しみない賛辞を。


「ラヴ・イズ・ストロング」との相性も抜群

Full Time Love from
Ann Peebles 『Full Time Love』 (1992)

ハイの歌姫は元気だった。四十女のガッツをしかと見たり。しぐれブルース歌謡大殺界前夜、情念か悪あがきか、細胞フル稼動でむせび泣く女の恰幅は、局地的にでも多くのたそがれ族の胸を打ったに違いない。「I Can't Stand the Rain」の再演もそれなりに良いが、ハイライトはやはり「ミス・ユー」カヴァー。シュガー・レイ・ノーシアのブルースハープも五臓六腑に染みわたる。本家「ラヴ・イズ・ストロング」との相性も抜群で、繋げて聴くことをオススメしたい。

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アルバム『女たち』の収録曲で、USでは2ndシングルとしてカットされたソウル・バラード。リードとリズムを自由に行き来する、キースとロンのコンビならではのギターの絡みも存分に味わえる。

Some Girls from 『Some Girls』
1978年発表。アメリカでは『メイン・ストリートのならず者』以降最大のヒットを記録。ディスコ・ナンバーの「ミス・ユー」やテンプテーションズのカヴァー「ジャスト・マイ・イマジネーション」など、ヴァラエティ豊かなラインナップだ。


こういうやり手のカヴァーにハッとさせられたいもの

Rocksteady from
Big Head Todd & The Monsters 『Rocksteady』 (2010)

ここ2、3年においてベストとも言えるストーンズ・カヴァー。柔らかなアコースティック仕立てにつき、「東京EMIスタジオ極秘セッション」など本家が95年にプレイしていたヴァージョンを想い起こす人も多い? ロックの外盤を猛チェイスしている人でなければ日本ではそうそう目にする名前ではないかもしれないが、コロラドの折り目正しきブルース〜ルーツ・ロック継承型のこのグループ、本国ではかなりの人気を博している。また一昨年には、ロバート・ジョンスン生誕100周年の音頭を取り、そのトリビュート・アルバムまでリリースしている実力者。いつの時代でも、こういうやり手のカヴァーにハッとさせられたいものだ。それこそが音楽の輪の広がり。


中村玉緒が勝新に口ごたえするかのようなありえない名調子

No Frills from
Bette Midler 『No Frills』 (1983)

リンダ版賽子と同様、ストーンズ・カヴァーを包括的に語る際に避けて通れないのがこの曲。ビルボ・チャート100位入賞というプチ殊勲もそうだが、何と言ってもミック本人がPVに登場しているということで、もはや身内の催事のように愛してやまない党員も多いことだろう。蓮っ葉な唄いっぷりで逆フェミニン作用を引き起こして良妻賢母をひっくり返すが如きその様は、まるで中村玉緒が勝新に口ごたえするかのようなありえない名調子だ。



脱力的なギターとコーラスをバックに、ミックがトーキング・スタイルのヴォーカルを披露する、アルバム『女たち』のクロージング・ナンバー。USでは3rdシングルとしてもカットされた。

 from 『Some Girls』
Some Girls 1978年発表。アメリカでは『メイン・ストリートのならず者』以降最大のヒットを記録。ディスコ・ナンバーの「ミス・ユー」やテンプテーションズのカヴァー「ジャスト・マイ・イマジネーション」など、ヴァラエティ豊かなラインナップだ。


本家の反逆精神に再び活力を

Time from
Richard Hell
『Time』

(2002)


78年のストーンズが、ニューヨーク・パンク勢から絶大なるプロップスを得ていた”であろう”ことは、こちらの特集ページでご確認いただきたいが、ヘルによる会心の「シャッタード」 同時期カヴァーは、不惑を目前に憔悴しかけた本家の反逆精神に再び活力を与えたことだろう。バックにはエルヴィス・コステロがギターで参加しているということだが、音質が粗すぎて判別は不能。なお本作は、過去にカセットテープで出回っていた音源に未発表テイクなどを加えた編集盤。 




パンク対抗楽曲がひしめく『女たち』において 一、二を争う”ファスト・ナンバー”。キースとロニーの唯一無比の絶妙なギター・コンビネーションも肝。 *ベスト盤『GRRR!』には収録されておりません。

 from 『Some Girls』
Some Girls 1978年発表。アメリカでは『メイン・ストリートのならず者』以降最大のヒットを記録。ディスコ・ナンバーの「ミス・ユー」やテンプテーションズのカヴァー「ジャスト・マイ・イマジネーション」など、ヴァラエティ豊かなラインナップだ。

単純明快なストーンズ愛だだ漏れ

ジュリー・ロックン・ツアー '78 from
沢田研二
『ジュリー・ロックン・ツアー '78』 [Cassette]

(1978)

2005年、一連の「ジュリー紙ジャケ復刻」リリースの際にCD化を企画されていたカセット・オンリーのライヴ音源。結果的に『比叡山フリーコンサート』、『沢田研二リサイタル』など、70年代のライヴ・タイトルはすべて復刻されることなく現在に至っている。アルバム・セールスに、ライヴ・ステージにケタ違いのスーパースターぶりを見せつけていたこの時期のジュリー。飛ぶ鳥を落とすその勢いに圧倒されるこちらのライヴ音源。「好きだからやってしまった」という単純明快なストーンズ愛だだ漏れの「ライズ」においては、自作のシックな日本語詞をぶつけるというスパークぶり。もう一本のライヴ・カセット『ジュリー・ロックン・ツアー '79』(こちらでは「ブラウン・シュガー」をカヴァー)共々、切に復刻を待ちたい!

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実験色の濃い同名アルバムを象徴する先行シングルで、4ビートのリズムと特徴的なベースラインで組み立てられたリズム・セクションが曲を引っ張る。大半がファルセットで歌われるミックのヴォーカルも異色。

from 『Emotional Rescue』
『Emotional Rescue』 1980年発表。候補曲75曲の中から10曲を厳選。時代を反映するように大胆なディスコ・サウンドを導入、さらにレゲエ、カントリーなど様々な音楽要素を取り入れた実験的要素の強い一作。


エゲつなさに欠けるきらいはあるが・・・

Hampton Winston / Salem '97 from
Phish
『Hampton Winston / Salem '97』

(2011)


2009年の『ならず者』ミュージカル・コスチュームで、世界中の転石フリークの度肝を抜いたフィッシュ。こちらはストーンズ・カヴァーもうひとつの本丸。マイク・ゴードンのファルセットは、ジャガーの男娼系お色気歌唱より真っ当で上品。それゆえエゲつなさに欠けるきらいはあるが、ソリッドでバウンシーなニューウェイヴ感は、さすが業師集団だけあって本家以上にその核心に迫り得ている。また後半、グルーヴがどんどん高揚していくあたりも当代髄一のジャムバンドの真骨頂。いつの日かミュージック・コスチュームで『サタニック・マジェスティーズ』をインプロ・ジャミンたっぷりに再現してほしい。



アルバム『エモーショナル・レスキュー』からの2ndシングル。オーソドックスなR&Rスタイルながら、ミュートを効かせたギターが、同アルバムの特徴である空間を生かしたサウンド作りとマッチしている。

from 『Emotional Rescue』
『Emotional Rescue』 1980年発表。候補曲75曲の中から10曲を厳選。時代を反映するように大胆なディスコ・サウンドを導入、さらにレゲエ、カントリーなど様々な音楽要素を取り入れた実験的要素の強い一作。


レゲエ・カヴァーにハズレなしという確信も

Classic Lovers Covers from
Los Cafres
『Classic Lovers Covers』

(2010)


こちらもニュー・ディスカヴァリー。YouTubeへの楽曲ポスト数からすると、本国周辺では中々の人気者と思われるアルゼンチンの20年選手レゲエバンド、ロス・カフレスの良質ストーンズ・カヴァー。ウェブ上どこを叩いてもスペイン語のサイトしか出現しないため、バンドの詳細なデータなどは現状判らずじまいだが、まずもって本カヴァーに関してはアレンジの良さと音の鳴りがすべて。転石レゲエ・カヴァーにハズレなしという確信も生まれた。レゲエ/ダブ〜ニューウェイヴ系ミックスCDのちょっとしたアクセントにも使えそう。







中山康樹さんの場合

 10曲なんかすぐに選べるよ。そう思ったが8曲でピタッと止まった。そして思った。そうなのだ、ぼくが聴きたいストーンズのカヴァーは全部ストーンズがやっているのだ。「レット・イット・ブリード」も「悲しみのアンジー」も最高最新のヴァージョンが『ストリップト』に入っている(このアルバムは評判悪いけれど)。でもそういう意味ではなく、つまりセルフ・カヴァーではなくということはわかっているつもりだが、その場合でもぼくがカヴァーしてほしいと思っている人がまだカヴァーしているようで、していない。マリアンヌ・フェイスフルです。現在の彼女こそストーンズの最高のカヴァーを歌うことができる表現者ではないだろうか。このアンケートでは『ストレンジ・ウェザー』収録の「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ」を選んだが、希望をいえば『イージー・カム・イージー・ゴー』の声で全曲ストーンズ・カヴァー集をつくってほしい。きっとすごいものになるだろう。

中山康樹(音楽評論家)


中山さんのストーンズ・カヴァー ベスト 10 8

  • (1) (I Can't Get No)Satisfaction / Tania Maria
  • (2) Backstreet Girl / Steve Marcus
  • (3) As Tears Go By / Marianne Faithfull
  • (4) Out Of Times / Ramones
  • (5) Tumbling Dice / Linda Rondstadt
  • (6) Blue Turns To Grey / Andrew Oldham Orchestra
  • (7) Sympathy For The Devil / Sandie Shaw
  • (8) Paint It Black / Flamin' Groovies

 

アルバム『刺青の男』のクロージングを飾ったナンバーで、2ndシングルとしてもカットされた出色のバラード。遡ること8年前のアルバム『山羊の頭のスープ』制作時のアウトテイクを磨いて完成させた。

from 『Tattoo You』
Tattoo You 1981年発表。ライヴのオープニングを飾ることの多い「スタート・ミー・アップ」やミック・テイラー在籍時のアウト・テイクも収録。何より、エンジニアのボブ・クリアマウンテンによるシャープな音作りが活きている。ロニーがブルース・ハープを吹く「黒いリムジン」も聴きもの。


素朴さが実に心地良く、好感度大

Under The Influence from
Tony Lucca 『Under The Influence』 (2011)

80年代に入ると、カヴァー曲がグッと減ってくるのが悲しいところ。それでもこの「友を待つ」は、そのとっつきやすいメロディもあって昔も今もそれなりに採り上げられることが多い。イチオシすべくこのトニー・ルッカ版は、その素朴さが実に心地良く、好感度大。ゴリゴリのアイドルからシンガーソングライターへ脱皮した、L.A.の見た目草食系男子風の気さくなアンちゃん。出自以上に作る音楽は意外とストイックなものが多いと一部好事家に評判だ。ほか、90年代にヒップホップで青春を謳歌した者には、ブラザー・トゥ・ブラザーのヴァージョンも衝撃だったことだろう。また、公式リリースこそされていないが、パール・ジャムのライヴ版もかなりイイ。後者は、いずれネット通販限定盤などで”こっそり”陽の目を見そう。




キース必殺のリフが炸裂する、アルバム『刺青の男』からの先行シングルにして、ストーンズを代表する1曲。その起源は『ブラック・アンド・ブルー』制作時まで遡る。1989-90ツアーではオープニング、マイクロソフト社「Windows 95」のCMにも起用された。

from 『Tattoo You』
Tattoo You 1981年発表。ライヴのオープニングを飾ることの多い「スタート・ミー・アップ」やミック・テイラー在籍時のアウト・テイクも収録。何より、エンジニアのボブ・クリアマウンテンによるシャープな音作りが活きている。ロニーがブルース・ハープを吹く「黒いリムジン」も聴きもの。

一世一代のストーンズ・ナンバー狂い咲き

Ayer Hoy Y Siempre from
Jose Feliciano
『Ayer Hoy Y Siempre』 [DVD+CD]

(2003)

ホセ・フェリシアーノの1983年チリでのコンサートを収めた映像版より(当時はCD単体でのリリースもあり)。エレキを駆使し超絶技巧でアゲていく「スタート・ミー・アップ」はギター小僧も必見! グッと正面を見据えながらも、物凄い速さでネックを往来する仰天の運指スピード。ミック・テイラーも裸足で逃げ出すギターソロも神ならば、唄い弾きながらチューニングをしてしまうシーンはまことバケモノ。上気しまくったホセ、一世一代のストーンズ・ナンバー狂い咲き。


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スティール・ホイールズ/アーバン ジャングル・ツアーでオープニングSEにも使用。モロッコ・ミュージシャンを起用したワールド・ミュージック要素たっぷりの新機軸曲。マット・クリフォードによる大胆なシンセ・プログラミングも新鮮。 *ベスト盤『GRRR!』には収録されておりません。

 from 『Steel Wheels』
Steel Wheels 1989年発表。ミックとキースの関係が修復され、8年振りの大規模なワールド・ツアー(初の来日公演も実現)が行なわれるきっかけとなったアルバム。キースが相変わらずの渋い歌声を聴かせている。ビル・ワイマンが参加した最後の作品でもある。


何と「コンチネンタル・ドリフト」までを快演

セイリング・ストーン from
日野元彦 『セイリング・ストーン』
(1992)

「刺青」以降のカヴァー曲はまず存在しないと思っていたが、こんなところにあった。ヒノテルを兄に持つジャズ・ドラマー 日野元彦による世紀のジャズ版ストーンズ・ショウ。「サティスファクション」、「アンジー」あたりならまだしも、何と「コンチネンタル・ドリフト」までを快演しているというのだからスルーできない。本家に勝るとも劣らない妖しくスリリングな感触は、日野自身 『スティール・ホィールズ』 〜初来日公演に尋常じゃない興奮を憶えた証かもしれない。サイドのマイク・スターン(g)も、この時期 ”再生”を果たしたストーンズにドキドキしていたのだろうか? 色々と興味が尽きない一枚だ。

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