マドリード在住のイギリス人美女シンガー、レイチェル・ベントレーのデビューは、いきなりのクリスマス・アルバム。メリー・ホプキンスなど往年の英国ポップス歌姫達を彷彿とさせる清楚な歌声。殆どのナンバーがオーソドクスなスウィングやボッサ、スローバラードによるジャズ・アレンジだが、「In The Bleak Midwinter」など後半には、箏やパーカッションをフィーチャー。東洋風、アフリカ風などワールド・ミュージック・ライクな異色のアレンジで締め括られる。
High Note 発、ロマンティックで心温まる、そして楽しみに溢れたクリスマス・ソングの数々を優しいジャズ・ヴォーカルで包んでくれる2枚組コンピレーション。クリス・バーバー、コニー・エヴィンソン、ジュディ・アキン、クリス・ベネット、エレン&ベルント・マルクアートなど、日本ではあまり知られていないものの、実力は折り紙つきの女性シンガー(デュオ)ばかり23組。ゼロ年代以降の女性ヴォーカル・シーンを知るにも打ってつけ。
チャーリー・ヘイデンの愛娘と奇才ギタリストによるハートウォーミングなセッション。選曲も面白い・・・エリオット・スミス、フー・ファイターズ、コールド・プレイ、トム・ウェイツ。その中でも静かに輝きを放っているのは「Moon River」と「When You Wish Upon A Star」のスタンダード。
もうこれはタイトルからして冬の定番。こんなに地味で完璧なソフトロックもなかなか見当たらない。今年は色々とA&M作品が紙ジャケで復刻したが、久しぶりの登場に喜んだ人も多いはず。ロジャニコ「Drifter」も良いけど、ここでは「I'll Never Fall In Love Again」を聴きながらH.デヴィッドに合掌。
リリカル且つファンキーな西海岸ピアニスト、ヴィンス・ガラルディが、モンティ・バドウィッグ(b)、コーリン・ベイリー(ds)とのトリオで吹き込んだ、クリスマス・ピアノ・ジャズ永遠の定番にしてピアノトリオの大名盤。元々は、1965年にアメリカCBS-TVで放映された「スヌーピーのメリークリスマス」のサウンドトラックとして制作されたもの。あらゆるジャズ・ミュージシャンがカバーする名曲「Christmas Time Is Here」の原曲も収録。本作は、オリジナル・マスターから24bitリマスタリング。オリジナルLP未収録曲(『チャーリー・ブラウンの休日』収録の「Great Pumpkin Waltz」、「Thanksgiving Theme」のモノラル版)を追加した2012年最新リイシュー盤。
サッチモ・クリスマス盤にも色々あるが、入門編ということではこちらがお手軽か。「20th Century Masters -The Christmas Collection」からのベストで、ベニー・カーター楽団で歌った「Christmas in New Orleans」、ゴードン・ジェンキンス楽団で歌った「White Christmas」など、サッチモのクリスマス関連有名曲を概ねまとめて聴けるウレシイ一枚。
ハーブ・アルパート&ティファナ・ブラスならではのアメリアッチ・サウンドで踊ろう。バカラック作の「The Bell That Couldn't Jingle」、アルパートのヴォーカルがムーディに響く「The Christmas Song」、アカペラ・コーラスから一転ノリノリのジャズ・サンバになだれ込む「Jingle Bells」など、今も昔も楽しいクリスマス・ムードを盛り上げるには欠かせない一枚。営業DJsにもオススメ(ていうかもはや鉄板)!
トランペットはジャズの花形。しかも欧州仕込みの洒脱さにこのルックスがあれば、クリスマスはまさに ”稼ぎどき” 。クリス・ボッティと双璧を成す現代トランペッターの最高峰、ティル・ブレナーのクリスマス・アルバム。そのボッティほか、フランク・マッコム、ニューヨーク・ヴォイセス、イヴォンヌ・カッターフェルド、ベルリン・ドイツ交響楽団など豪華なゲスト陣を従えて、唄あり、ビッグバンドあり、オーケストラあり、様々なスタイルにて甘すぎず渋すぎずの演奏をキメる。独米グッド・ルッキン・ラッパ男子対決と相成った「Notes On Snow」を是非。
全編ソロピアノによるデイヴ・ブルーベック、76歳のときに吹き込んだクリスマス・アルバム。クラシックの素養をチラつかせながらも、しっかりとジャズのアドリブを展開し聴き手の高揚感を煽るあたりは、百戦錬磨の経験値と衰えることのないテクを併せ持つ大ベテランならではの妙技。「'Farewell' Jingle Bells」で一瞬スウィングするも、ほぼ全曲においてしっとり落ち着いたムードが味わえる。このほかTelarc モノでは、ジョージ・シアリング『Christmas With George Shearing Quintet』(1998年)などもオススメ。
近年精力的にリーダー・アルバムをリリースするデヴィッド・T・ウォーカー。ンドゥグ・レオン・チャンスラー(ds)、クラレンス・マクドナルド(p)、バイロン・ミラー(b)とのカルテット・レコーディングによるクリスマス・アルバム。「Santa Claus Is Comin' To Town」、「The Christmas Song」といった定番ソングを中心に、オリジナル曲(「Wear My Love」、「Holidays Are Mirrors」)も加えて構成された一枚。「White Christmas」など3曲では、バーバラ・モリソンをゲスト・ヴォーカルに迎えている。
米スムース・ジャズ界のトランペット貴公子クリス・ボッティのホリデイ・アルバムは、前評判どおりの伊達&セクシーな一枚。ビリー・チャイルズ(p)、アンソニー・ウィルソン(g)、ヴィニー・カリウタ(ds)、ピーター・アースキン(ds)ら磐石の布陣が強力バックアップする、ただ甘ったるいだけじゃない聖夜ジャズの祭典。ボッサ・アレンジの「Santa Claus Is Coming To Town」、ファンキーな「Little Drummer Boy」、多幸感いっぱいのポップ・チューン「I'll Be Home For Christmas」など、この聴きやすさこそが伊達男たる所以か? こちらは、2006年にジャケ新装+数曲入れ替えで発売されたリニューアル盤。
女王エラの、もとい全てのクリスマス・アルバムの中で最もスウィンギン! オープニングの「Jingle Bells」、続く「Santa Claus Is Coming To Town」や「Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow!」、「Sleigh Ride」などなど、フランク・デヴォル・オーケストラの演奏に乗って、これでもかとばかりにグイグイとスウィングする痛快盤。世知辛い世の中において「クリスマスぐらいはこうでなくっちゃ!」と思わず膝を打つことウケ合い。録音は、かの名演『Mack The Knife - Ella In Berlin』と同じ1960年。つまり絶頂期の記録となる。退屈なワケがない。
一面の銀世界をバックに歌姫が雪合戦。いいジャケだ。しかも定番ソング一切ナシ。全て、アーノルド・ミラー&コニー・ピアース夫妻によって書き下ろされたオリジナル曲ということで、ジューン・クリスティ作品の中でもとりわけ人気が高い。彼女のハスキー・ヴォイスは、夏(『Something Cool』)には一服の清涼剤となり、冬には人肌の温かさを感じられる辛口の熱燗のような存在になり得るということ。「Winter's Got Spring Up It's Sleeve」など、好バラード目白押し。
バリバリのクリスマス・アルバムではないが、この季節に好んで聴かれることも多いブロッサム・ディアリーのメロウ&ソフトなウィンター・アルバム。そのキュートな歌声だけでなく、彼女自身が爪弾くエレピの音にも耽溺必至。クリスマス曲ほか、シャレたムードの表題曲や、ボッサ調の「Killing Me Softly With His Song」、デイヴ・フリッシュバーグのカヴァー「Peel Me A Grape」なども言うことなし! ロン・カーター(b)、グラディ・テイト(ds)、ヒューバート・ロウズ(fl)、トゥーツ・シールマンス(harmonica)らスモール・コンボによるアシストも絶妙。
”ニューヨークのため息” ヘレン・メリルが1991年に吹き込んだクリスマス・アルバム。オーケストラ入りの色彩感溢れるトラックとコンボをバックにしたジャズ・オケとの二本立てで、当時還暦を迎え円熟期にさしかかった貫禄の歌唱は、自在なスキャットやフェイクを駆使する「Let It Snow」などにおいて顕著。作者メル・トーメとのデュエットが幸福感を喚起する「The Christmas Song」、アート・ファーマーの淡々としたソロが効果的な「A Child Is Born」、柔らかなワルツ「Winter Wonderland」など、じっくりと聴き込みたい一枚だ。
新世代ジャズ・ヴォーカル・シーンにおいて一際注目度の高いヘイリー・ロレンが、マット・トレーダーとのピアノデュオで贈るクリスマス・アルバム。しっとりとした歌唱の中にあるわずかな翳りや渋みが、テクニック云々を超越した部分で聴く者の心を捉えて離さない。まだ20代だというのに大した表現力だ。「The Christmas Song」、「Winter Wonderland」といった定番曲もピアノデュオで耳にするとかなり新鮮。トレーダーのオリジナル・ソロピアノ曲「Sugar Cookies」、「From The Mouths Of Babes」も良いアクセントに。
オールド・ファッション・スタイルと清々しくもコケティッシュな歌唱で心奪うオーストラリア・シンガー、ジャネット・サイデル。ボッサ・アレンジの「I'll Be Home For Christmas」、ウクレレに乗って軽やかに歌われる「Winter Wonderland」など、南半球に位置する彼の地ならではの ”真夏のクリスマス” ムードも随所に。ペギー・リー、ドリス・デイ、ブロッサム・ディアリーらによって歌われてきた古きよき聖夜ジャズ・ヴォーカルの伝統。それは、ジャネットの魔法によって再びエヴァーグリーンの輝きを取り戻す。
ポップ・フィールドで活躍してきた人だけあって、スティーヴィー・ワンダー「Someday At Christmas」、「What Christmas Means To Me」、ジョン・レノン「Happy X'mas(War Is Over)」、ダニー・ハサウェイ「This Christmas」、そしてマライア・キャリー「Miss You Most(At Christmas Time)」など、選曲からしてその辺のジャズ・シンガーとはひと味もふた味も違う。プロデュースを手掛けるレオナルド・アムエドのギターとコーラスのみというシンプルなバッキングが功を奏し、トレインチャの本当の歌の巧さというものが際立っている。
”歌姫大国” カナダでは、ダイアナ・クラールに負けずとも劣らぬ高い人気を誇るエミリー=クレア・バロウ。清楚なキューティ・ヴォイスとポップな作風でここ日本でもファンの多い彼女。クリスマス・アルバムでもその魅力をたっぷりと。「What Are You Doing New Year's Eve?」、「Santa Baby」、「Winter Wonderland」、「Little Jack Frost」などの定番曲も、ひとたび彼女が歌えば甘く夢見心地のスペシャルなひとときに。『Mannequin』で知られるAORシンガー・ソングライター、マーク・ジョーダンとのデュエット「Baby, It's Cold Outside」もお見事。
1998年の6曲入りミニ・アルバム『Have Yourself A Soulful Little Christmas』に続くダイアナ・クラール2作目のクリスマス集。トピックは、彼女にとって初となるビッグバンドとの共演。アンソニー・ウィルソン(g)のギターに導かれ、ジョン・クレイトン=ジェフ・ハミルトン・ビッグバンドのダイナミックなアンサンブルに乗ってスウィングしまくる冒頭「Jingle Bells」から早くもヒートアップ。ピアノ・ソロ、スキャットを交えながら盛り上り大会へと突入するあたりは卒倒必至のかっこよさ。スモール・コンボによる「The Christmas Song」、「White Christmas」では、彼女の細かい息づかいにたっぷりと酔いしれる。
オスカー・ピーターソンとの共演で注目されていた頃に吹き込まれた、アカペラ・ジャズ・コーラスによるクリスマス・アルバムの金字塔。粋なアレンジ、美しいハーモニー、重厚なコーラス、シャープなリズム感、全てが完璧。「Have Yourself A Merry Little Christmas」以外は、古くから伝わるおなじみの賛美歌やトラッドなどが並ぶということもあり、コマーシャライズされていない厳かな雰囲気にもあずかれる。とはいえ、ただ単にしんみりしているわけではなく、「Deck The Halls(ひいらぎ飾れ)」など、聖なる喜びを爆発させるハッピー・チューンも満載。
アカペラつながりでもう一枚。世界最高峰のジャズ・コーラス・グループ、マンハッタン・トランスファー、デビューから約30年で意外にもこれが初となる全編アカペラによるクリスマス・アルバム。エンターテイメント性を全面に出して、聖夜をゴージャスにスウィングさせる点からも、シンガーズ・アンリミテッドとはまた別の魅力が満載。円熟のコーラス・ワークは、甘くムーディな「I'll Be Home For Christmas」でどうぞ。彼らにはもう一枚、トニー・ベネットらがゲスト参加している『Christmas Album』(1992年)というクリスマス作品もある。
松尾明トリオを従えて、セクシーさだけでなく、時として少女のようなな可愛らしさも魅せるクリスマス・アルバム。映画のスクリーンの中のMAYA、小説のヒロインのMAYA、恋人に夢中なMAYA・・・まるで女優のように曲ごとで変化をみせる。「I'll Be Seeing You」ではキュートな語りも。コンセプトが「一人でクリスマスを過ごす人にも聴いてもらえるクリスマス・アルバム」ということで、音と詞、両方を大切にして歌う中にどこか儚くしみじみとした風情が漂っているのも、ブルージーな彩を放つ彼女ならではの深み。
5曲入りミニ・アルバム『Let It Snow』(2003年)に次ぐ2作目のクリスマス・アルバム。プロデュースは、デヴィッド・フォスター。ここ数年のジャズ・ヴォーカル聖夜企画盤では最もポピュラーな一枚に挙げられるのではないだろうか。「White Christmas」では、シャナイア・トゥエインと、「Mis Deseos/Feliz Navidad」ではタリアとのムーディなデュエットを披露。また、「Jingle Bell」、「Blue Christmas」といった古典から、マライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス」までカヴァー曲のレンジも幅広く、新世代ジャズ・シンガーならではのフットワークの軽さもスマートに見せつける。オリジナル新曲「Cold December Night」も収録されている。
メル・トーメ/ボブ・ウェルズ作で、ナット・キング・コールによって初めて吹き込まれた不朽の名作「The Christmas Song」を皮切りに、「The First Noel」、「Joy to The World」、「Silent Night」・・・めくるめくクリスマス・ソング・クラシックのオンパレードに、得も言われぬ幸福度はうなぎ上り。ビング・クロスビーのアルバムと共に「一家に一枚」常備しておきたい。2005年には、愛娘ナタリーとの時空を超えたデュエット版「Christmas Song」などが収録されたニューヴァージョンもリリースされたが、現在は残念ながら廃盤となっている。
老いて尚色気ムンムン。トニー・ベネットが、カウント・ベイシー・ビッグバンドやモンティ・アレキサンダー(p)の最高にスウィンギーな演奏を背にシャウトする、ダンサンブルなエンターテイメント・クリスマス・ジャズの本丸盤。「I'll Be Home For Christmas」、「My Favorite Things」、「Winter Wonderland」、「Santa Claus Is Coming To Town」、いずれも底抜けにスウィングし、どこまでもゴキゲンに歌い上げる。イタリア男子の美学ここにあり。バラードもフェロモン出まくり、腰砕け必至のメロウネス充満。トゥーツ・シールマンス(harmonica)、アンディ・シュナイツァー(ts)らもゲスト参加。
1993年の『When My Heart Finds Christmas』以来10年ぶりにリリースされたクリスマス・アルバムの第2弾。歌/ピアノだけでなく、本作ではビッグバンド・アレンジとコンダクトまでをもやってのけてしまった、コニックのマルチな才能が爆発した一枚。セカンドライン・リズムに乗ってスウィングする「Frosty The Snowman」、ドロっとしたブルースに変貌を遂げた「Silver Bells」、再びセカンドラインでドライブするファンク・チューン「Santa Claus Is Coming To Town」など、ニューオリンズ・テイスト(LA録音ではあるが・・・)が要所で味わえる。「I'll Be Home For Christmas」のようなスローも、歌に滋味深さが出てきた分聴きごたえあり。