あれから1年半経つ今こそ伝えたい

Thursday, September 6th 2012

サニーサイドから届いた復興支援CD。「HOME」をテーマに書き下ろし曲中心でグレッチェン・パーラートらが参加。収益は住宅建築支援団体に。

Gretchen Parlato(vo)
Becca Stevens(vo)
Claudia Acuña(vo)
Taylor Eigsti(p)
Adam Rogers(g)
Ben Williams(b)
Johnathan Blake(ds)
etc...

＊上段左より
グレッチェン・パーラート、クラウディア・アクーニャ、ベッカ・スティーヴンス
テイラー・エイグスティ、アダム・ロジャース、サシャル・ヴァサンダニ
ジョナサン・ブレイク & ベン・ウィリアムス、サシャル・ヴァサンダニ & テイラー・エイグスティ、ベッカ・スティーヴンス & グレッチェン・パーラート

2011年3月11日、日本を襲った大災害に世界は大きな衝撃を受けました。ミュージシャン達も、果たして「自分に一体何が出来るのか？」という自問自答を繰り返し、様々な行動を起こし、多くの人々を勇気づけてくれたのは周知の通りです。

ジャズ・シーンにおいても、震災直後にLAの豪華ミュージシャンを動かし、震災支援CD「ジャズ・フォー・ジャパン」が直ちに録音され、多くの人々から賛同を得た事は、ジャズの持つパワーがまだまだ衰えていないことを証明したとも言えるでしょう。

その後も震災支援作品はリリースされてきましたが、約1年半経過したこの秋、心のこもった新たな支援プロジェクトによる作品が届けられます。

発起人は、ＮＹにあるパフォーミングアートセンター「ジャズ・ギャラリー」のプログラミング・ディレクターである在米日本人、サカイリリオさん。故郷より遠く離れたNYで震災のニュースを知った彼女が、自身の仕事を通じて知り合ったジャズ・ミュージシャン達に、音楽を通じて日本のために何かできないか？と提案した所、声を掛けた皆も同じ考えを持っていた。との事で、本CDの為だけのオリジナル曲を書いてほしいと言う依頼にも多くのミュージシャンから快諾を得る事ができました。

レコーディング及びリリースまでのプロセス、全てが寄付金と、賛同者達による無償の協力で賄われたため、CDの発表までには時間がかかりました。が、この時間差こそ、現在、アメリカでほぼ忘れ去られている東日本大震災の甚大な被害の現状を改めて知らしめるのには良い機会となったのではないか？との事です。

参加ミュージシャン他、本作に関わる方たちによる、日本語での“ガンバレ・ニッポン”と言うメッセージから始まる、実に印象的幕開け。曲は、アビー・リンカーンのカバー曲M-5 を除いては、全てが書き下ろしのオリジナル曲で構成されています。被災者達が受けた恐怖と絶望に対する共感と励ましと共に、失われた美しい東北の自然の風景に思いを馳せるもの、「Home」という場所に対する思い、また不確かながらに未来を語るもの・・。描く世界はミュージシャンそれぞれですが、その違いこそが巨大な現実そのものであり、同時に、どの曲も、選ばれた言葉が、柔らかなメロディやアレンジ、また歌声と呼応して、アーティストの繊細な思いを描きだします。クライマックスとなるサシャル・ヴァサンダニが書き下ろし、自ら歌う「DOVES」は、“3.11以降”の日本人の感覚、心情を直接揺さぶる曲。その美しいメロディーと共に、被災された方々への痛烈な思いを内包させた傑作ナンバー。そして、そこに幕開けと呼応する“ガンバレ・ニッポン”」の言葉がかぶるラストは、決して安易でない希望や願いが力強く響いています。

当初は被災された方々にこのCD をプレゼントする。と言う意向でしたが、この傑作CD をより有効に活かすために一般販売し、収益金を、世界100カ国で住宅建築支援を行っている自立支援型NGO団体、ハビタット・フォー・ヒューマニティ・ジャパンhttp://www.habitatjp.org/に寄付する事となりました。

我々日本人も、今一度、この未曾有の大災害について考える機会がこのCDである、とも言えるのではないでしょうか。今もなお復興に向け尽力する人々、深い傷から立ち上がろうとする人々。すべての方々に平穏が訪れますように。本作は、そんな願いと優しさに溢れた作品に仕上がっています。

プロデューサー、サカイリ・リオさんから日本のオーディエンスへのメッセージ

「HOME - Gift of Music」は、今の私の精一杯の励ましの気持ちを形にしたものです。悲しい気持ちになった時、落ち込んで立ち上がれない時、先が全く見えなくて途方にくれている時にこのCD がほんの少しでも明かりを灯すことができたら嬉しく思います。

レコーディング当日は、参加者のみんなの協力のお陰で全てが驚くほどスムーズに運びました。リハーサル無しで、全ての曲を1ー２テイクで終了の上、その場に居合わせたミュージシャン達から出たアイディアで曲を形づくって行く場面があるなど、正に皆でつくったCD と言えます。また、一番の仲良しのグレッチェン・パーラートは、初めてCD をプロデュースする私をサポートする為に、朝の９時から夜中の１時の終了時までスタジオでずっと付き添ってくれました。発起人は私ですが、このプロジェクトは参加してくれた皆の協力で完成した共同作品です。

収録曲と参加ミュージシャン

1 GAMBARE NIPPON
In order of appearance : Rio Sakairi, Johnathan Blake, Muna Blake, Johna Blake, Albert Neufville, Joyce Neufville, Gretchen Parlato, Sachal Vasandani, Becca Stevens, Ben Williams

2 IF IT WAS
Words and Music By Alan Hampton
Alan Hampton(vo & g ), Gretchen Parlato(vo), Dayna Stephens(ts), Taylor Eigsti(p)

3 COMING HOME
Words and Music By Becca Stevens
Becca Stevens(vo)

4 HOME
Words and Music By John Ellis
John Ellis(vo), Ryan Scott(g), Danton Boller(b), Bill Campbell(ds), Becca Stevens(background vo)

5 THE MUSIC IS THE MAGIC
Words and Music By Abbey Lincoln
Claudia Acuña(vo), Adam Rogers(g), Ben Williams(b), Johnathan Blake(ds)

6 TILLERY Winter & Spring
Music by Becca Stevens
Winter and February Thaw text by Jane Tyson Clement
Spring by Becca Stevens
Becca Stevens(vo, g), Gretchen Parlato(vo, perc), Chris Tordini(b, vo, perc)

7 FEAR NOT THE FALLWords and Music By Doug Wamble
Doug Wamble(vo, g)

8 LEAVES REBIRTH
Words and Music by Leron Thomas
Leron Thomas(vo), Gretchen Parlato(vo), Adam Rogers(g), Taylor Eigsti(p), Ben Williams(b), Johnathan Blake(ds)

9 DOVES
Words and Music by Sachal Vasandani
Sachal Vasandani(vo) , Gretchen Parlato(vo), Becca Stevens(vo), Adam Rogers(g), Taylor Eigsti(p), Ben Williams(b), Johnathan Blake(ds)