【インタビュー】フライド・プライド新作
2012年7月14日 (土)
これだけ多くのジャンルの音楽に出逢える時代にあって、ジャズユニット、フライド・プライド(以下フラプラ)の創る音楽には、リスナーの心を動かす強い個性が確かにあります。通算9枚目となる最新作『LIFE‐source of energy』から伝わってくるものは、タイトルそのままに躍動する“音の生命力”。
昨日より今日、今日より明日・・・・・・。常に新しい音楽の扉を開くフラプラのお二人(ヴォーカルShiho・ギター横田明紀男)に、本作に込めた想いについてお話を伺いました。
取材・文:鄭 美和
デフォルメやゲストを迎えるなどの音のアクサセリーは一切外した。歌とギターとパーカッション。デビュー当時の編成にして、3つのミニマムな条件の中でどれだけ自由に遊び尽くせるかっていうね。
-- 最新作『LIFE』が放つ熱量の高さに、一気に持っていかれました!
横田:“命そのまま”みたいなね。僕的には、1stアルバムみたいな作品を、あえて今作りたかったんだよね。 デフォルメやゲストを迎えるなどの音のアクサセリーは一切外した。歌とギターとパーカッション(斎藤 恵)。 デビュー当時の編成にして、3つのミニマムな条件の中でどれだけ自由に遊び尽くせるかっていうね。
-- 今でこそ、その編成は珍しくありませんが、11年前のフラプラデビュー当時は衝撃的でした。
横田:当時は方向性に迷いがあったけど、今、僕らにはブレない軸がある。その前提でシンプルな編成に臨むことで、勢いのある作品に仕上がったと思う。
-- 『LIFE‐source of energy』というタイトルも、これ以外にないと思わせるインパクトです。いつも通り名付け親はShihoさん?
Shiho:タイトルを考えるにあたって、やっぱりね……。昨年の影響はあります。震災以降、仙台のライブで、「SMILE」(前作収録曲)を歌わせてもらった時、「にっこり笑って たとえ胸が張り裂けそうでも 。きっと明日には、あなたのために輝く太陽の光を浴びるでしょう」という歌詞を説明したら、たくさんのお客さんが号泣しながら「フラプラは私にとって“元気の源”です」と言葉をかけて下さったんですね。その時、副題の“source of energy”という言葉が確立しました。リンクするように“LIFE”という主題が舞い降りてきて。「この作品がその人の人生の中で元気の源になってほしい」という気持ちを込めて付けました。
-- フラプラのものとなった、スパイスの効いたジャズ・スタンダードが聴けるのも魅力です。
Shiho:「フラプラはジャズ・スタンダードをやらなくていい。そもそもジャズじゃないから」って言われることも多くて(笑)、自分たちはそういうことは求められてないと避けているフシがあったの。でも、前作で思い切って向き合ってみたら「もっと聴きたい」っていう声をたくさん頂いて。 “今一番求められ、喜んでもらえる選曲”を意識して本作にも多めに入れました。
-- 本作『LIFE』からは「(音楽を、人生を)続けることを続けること」の大切さが、静かに、そして確かに伝わってくるのですが。
横田:うん。昨年は、震災を通して多くの人が本気で政治やナショナリズム、人との関わり方やメディアのあり方について考える1年だった。そんな中で僕らが決行したのは「THE PARTY-フライド・プライドと仲間たち」というライブツアー。内容は、フラプラがホスト役になって日野皓正さん(トランペット)、cobaさん(アコーディオン)、熊谷和徳君(タップダンス)などを迎えたツアーなんだけど、目的は、お客様から頂いた支援金で被災地の子供達に楽器を手渡すという、関係する最後のところまで自分たちで行うこと。震災に対しての携わり方は誰もが躊躇するし、実際心情的に無理なこともある。でも、このツアーを通して「僕らは、人と人とを繋げる音楽という使命の中で生かされている。それを否定しては絶対いけないし、続けていかなければいけない」という確信を得たんだ。その想いの強さは本作に表れていると思う。
-- 「THE PARTY」のようなツアーは、今後も続けていくのですか?
横田:形態は違えども、始めた以上は死ぬまでやり続けたい。5年10年ではない長いスパンで日本は混迷するわけだから。なんらかの形で続けることは、僕らだけじゃなく多くのミュージシャンの共通認識だろうね。
-- 大きな転機となった本作の中で、改めて“マイルストーン(指標)”的な楽曲を挙げるとすると?
横田:結果ライブ録りになった「クライ・ミー・ア・リヴァー」は色んな意味で強い。クリックが鳴ってからイントロもアレンジもアドリブで付けて。てらいも気負いもなく純粋にプレイすることの良さを再認識できた。レコーディングは、気力体力は充分でも、アレンジをある程度決めとかないとコクもなければキレもない薄〜いスープのようなテイストになるけど(笑)、コレは違った。あと、この曲のソロ・パートで聴かせるShihoの“呼吸感”には、一生真似できない、敵わない才能とも感じたね。
Shiho:「Shihoの歌がすごい良くなった」と、このアルバムでリーダー(横田)から初めて言われて。今まで一度も言われたことがないので(笑)、自分にとってすごく嬉しい一言だったな。
-- Shihoさんの歌といえば、「ドゥ・ユー・ノウ・ホワット・イット・ミーンズ・トゥ・ミス・ニューオリンズ」でのハイトーンボイスにも驚きが!年齢を重ねると低くなる声域の広がりがスゴイことに。
Shiho:普通の生活を重ねながら歌いたいので特別なトレーニングはしていないけれど、上はすごく広がっています。セッションさせて頂く機会の多い宇崎竜童さんや佐藤竹善さんからも高音だけの曲をやってみたら?とアドバイス頂いたことがあって。高音域で通したことによって、曲の可愛らしさを引き出せたかな。ピアノでも、使わない音を調律しないと出なくなるように、自分が得意なキーだけで歌っていると声域はどんどん狭くなる。自分が持っているものをもっと輝かせるためには、違うキーや自分とは違うカラーの歌……。“新しい音の扉”を開くことは本当に大切って思います。
-- “新しい音の扉”を開いた先に見えたものとは?
Shiho:「異なるものをとりいれないと革命は起きない」ということ。フラプラはセッションライブもよく行って、展開の見えない曲をわざとやってみる。恐くても知らない扉を開けるのは楽しいし、開けなくなったら終わりだとも思う。自分のスタイルはあって当然だけど、自分の中から出てくるものって限られている。誰かによって影響を受けて変化するのって、すごく素敵だし豊かなことだと思います。
-- そんなShihoさんが選ぶ本作での“マイルストーン”楽曲は?
Shiho:歌詞的な内容を重視したら「イーズ・オン・ダウン・ザ・ロード」が、この作品の中での“source of energy”かな。大好きなミュージカル映画『The Wiz』でマイケル・ジャンが歌っている最高にハッピーな曲で、今の日本に必要な歌だと思う。「勇気をなくして、自分なんかどうして生まれたのだろうと思う日もあるけど前向きにがんばろう。笑い方を忘れてしまったのなら私たちが教えてあげる」というハイライト部分の歌詞を、ブルース調のイントロ部分に持ってきて自分達らしいアレンジに仕上げました。
-- 横田さんの作る切なさこみ上げるオリジナル楽曲が今回も2曲収録。「シーザーズ・ドリーム」のメロディーは心に染みます。
Shiho:「シーザーズ・ドリーム」は、サックスプレイヤーの矢野沙織ちゃんが「私のライブでも演っていいですか」と言ってくれて、ミュージシャン冥利に尽きます。いつも素晴らしい詩を付けてくれる福田美環子さんの独創的で哲学的な詩の世界観も感じてほしいな。
-- そして、ラスト収録曲は宮城県民謡(!)の「大漁唄い込み」。この曲を入れた意図を知りたいです。
Shiho:“新しい曲との出会い”だから、です。人との出会いもそうだけど、私にとっては新しい音楽との出会いが要。セッション以外でも多くの気づきを下さるcobaさんが宮城でチャリティコンサートを開いた時に、現地のおじいさんやおばあさんたちがこの「大漁唄い込み」を聞いてすごく喜んでくれたそうなんです。「そこにいる人が喜んでくれることがやるのが一番」というcobaさんの言葉は真実。この曲を録るのはcobaさんと一緒じゃないと意味が無いと思って、参加して頂きました。
横田:そう。意図じゃないんだよね。もちろん、この曲を通して伝えたい復興への強い希望は根底にあるけれど、一方的な過剰な善意や思い入れでもない。僕たちのやってる音楽の“景色感”を共感してもらいたいというシンプルな気持ちで録ったんだ。英語の歌詞も付けて感傷的すぎない僕ららしいニュアンスも感じてほしい。
-- 最後に、最新作『LIFE‐source of energy』を楽しみにしているファンへのメッセージをお願いします!
横田:自分のギターでいえば、スタイルだったり音に対するこだわりが、客観的に聴いて一番顕著に出ている作品だと思う。等身大の僕らのリアルな“呼吸感”を感じてもらえれば嬉しいです。
Shiho:これまでのフラプラ作品コレクションを大切に聴いてくれてるファンの方々にも、初めて私たちの音に出会ってくれた方々にも、この作品が一番好き。ベスト!って思って頂けたら幸せです。
Fried Pride 『LIFE』
収録曲
- 01. サマータイム
- 02. シーザーズ・ドリーム
- 03. クライ・ミー・ア・リヴァー
- 04. イーズ・オン・ダウン・ザ・ロード
- 05. テイク5
- 06. ジャスト・フレンズ
- 07. ドゥ・ユー・ノウ・ホワット・イット・ミーンズ・トゥ・ミス・ニューオーリンズ
- 08. ウォーク・ディス・ウェイ
- 09. フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン
- 10. 悪夢
- 11. 9 TO 5 (モーニング・トレイン)
- 12. ラ・ヴィダ・ロサ
- 13. 大漁唄い込み
[関連リンク]
Fried Pride 今後のライヴ・スケジュール
Fried Pride Tour2012 LIFE−source of energy■ 7月22日(日)下関・JazzClub BILLIE
■ 7月28日(土)岡山・MO;GLA
■ 8月5日(日)静岡・BLUE NOTE 1988
■ 8月9日(木)金沢・MOKKIRIYA
■ 8月21日(火)水戸・B2(ビーセカンド)
■ 8月22日(水)いわき・Bar Queen
■ 8月24日(金)仙台・darwin
■ 8月25日(土)盛岡・すぺいん倶楽部
■ 8月26日(日)秋田・The Cat Walk
■ 8月28日(火)八戸・FLAT
■ 9月1日(土)広島・juke
■ 9月11日(火)熊本・ぺいあのプラス
■ 9月14日(金)名古屋・Blue Note NAGOYA
■ 9月19日(水)大阪・Billboard-Live OSAKA
■ 9月20日(木)大阪・Billboard-Live OSAKA
■ 9月22日(土)旭川・A Evans
■ 9月23日(日)幕別・百年記念ホール
■ 9月25日(火)札幌・cube garden
■ 9月26日(水)函館・金森ホール
⇒ ローソン・チケット
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ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。
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