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【インタビュー】矢沢永吉 −『Last Song』を語る−

2012年7月15日 (日)

8月1日2年ぶりとなるアルバム『Last Song』をリリースする矢沢永吉。物議をかもし出している意味深なタイトル。そして40周年という節目の年に発売されるこのアルバムにはどんな想いがこめられているのか?発売を控えた矢沢永吉本人にインタビューを行ってきました。


---  先日スカイツリーのこけら落としでライブをなされましたが、地上350mでのライブどんな感じでしたか?

矢沢永吉(以下矢沢):まずNHKさんのほうから、“矢沢さん “350mの上で、こけら落としだから、一番最初に歌うことになるんですけど、やりませんか?”と来ました。最初で歌うんだったら、意義あることだなって思うじゃないですか?僕でよかったらぜひやらせて下さいと言いました。それで「東京」を指定されて、あらためて自分の20年ぐらい前の曲ですが東京の夜景にぴったりだと思いました。その後もメールがいっぱい来ましたよ。いい曲だとは知ってましたけど、改めてああいう、クラッシーなアレンジで聴くと良いですね。夜景があまりにも綺麗で、すごかったって言われましたよ。もう一曲は好きな曲をやっていいと言われたので、全く対極の「IT’S UP TO YOU!」という、今回のアルバムからの1曲を入れたんですよ。それが凄く評判良かったですね。

---  気持ちよかったですか?

矢沢: やっぱり生放送ですからね。生放送というのは、僕はあんまり好きじゃないんですね。ステージは生の人間なんですよ。生・ライブ・矢沢 みたいなことで延々とやってきましたよ。でもテレビが苦手なんですよ。あのブラウン管で、10・9・8・7・・・って言ってるうちに、「えっ?ハァ、えっ??マジ??」と(笑)。変だね(笑)、同じ生なのに。電波で全国に飛んでるんだと思ったら、妙な感じ?ところが同じ生でも、ライブステージ、武道館でもどこでも、ライブは“行けーっ”という感じありますよ。でもテレビというものは苦手だね、生放送が。歌詞が飛ぶんじゃないかとか思うと、飛ぶんだよ(笑)。

---  ライブでしたら何万人のお客さんの前に立ってるのに不思議ですよね(笑)。それではアルバムについても、お話を聞かせてください。今年はキャロルでのデビューから40周年を迎えます。日本では40年間ロックを鳴らし続けている人はいないわけですが、あらためて現在の心境を教えてください。

矢沢: 僕にしてみたら、武道館とよく似てるんですよね。武道館が100回目になるときにね、“矢沢さん100回目です。100回目です。”って周りが言うわけですよ。あんまりみんなが言うから、そうなんだ、100回なんだ。で、なんでこんな100回、100回と言うのかなと思ったら、そうか誰もやった人がいないからなんだ、そうなのかと。それで僕も段々その気になって、“100回か、確かにかれこれ40年、30数年経ったんだ”となるじゃないですか。武道館100回のときは30〜7、8年の時ぐらいじゃないですか?もう今は117回ですからね。それと一緒ですよ。僕らバンドマンというのは、ツアーを街から街へと、そんなことばっかりやってましたからね。ツアー、ツアー。レコード、レコード。レコード出せば当然プロモーションでインタビュー、インタビュー。

それを街から街とやると必要なのは、お酒だよね(笑)?だって新幹線、ホテル、ホテル、タクシー・・・。こんなことばっかりでしょ。だから夜終わった後に、飲まないとやってられない時もありましたよ。酒とツアー、というような感じかな。そんなことをやってきたら、いよいよ40周年ですかと。自分の年もぱっと振り返ったら、62でしょ(笑)。もっと若いときは、明けても暮れてもこんなことが続いている中で、たまに寂しくなったり、こんなのでいいのかな?みたいな事を思うときありましたよ。人から見れば、いいな〜好きな歌うたって、それをビジネスにしてと見えるけれど、当人にしてみたら、何か同じことばかり繰り返して、これしか無いのかなみたいな時もありました。でも、どんな職業でもそうであって、このくらいの年になってきたら、そういうものを一個持てただけでも幸せだなと思うようになりましたね。

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Photo/Irwin Wong

ご存知のように、まだ現役でしょ?コレを記念して、今年も6万5千人ぐらい集めてやるんですけど、そこに集まる面子もそうそうたるスペシャルアクトの面子が集まりますよ。ここに参加するメンバーなんて、万単位ぐらい集められるバンドがみんな集まるんですよ。矢沢永吉の40周年といったら、幸せなことにロックというもので繋がってる。“矢沢永吉さん、ご苦労さん、俺たちなんでもやりますよ。”みたいなことを言ってくれて一同に集まることの素晴らしさ。そういういことも、ああいうことも考えてみたら、62でStill Rocksinger やってる、やれてる。うれしいなと思いますね。

---  僕の中でガルル3部作と勝手に呼んでますが、原点回帰的でストレートなロックという明確なコンセプトがあった『ROCK'N'ROLL』と『TWIST』ですが、『Last Song』のコンセプトとはどのようなものでしょう?

矢沢: まず、この作り方の手法みたいなものは、本当に『ROCK'N'ROLL』から始まったんだと思いますよ。どういう事かと言ったら、僕はご存知のように、新しい扉的なことはバンバン開けていきました。僕らロックやってる連中からすると、やっぱルーツと言ったら海の向こうのサウンドに憧れていくじゃないですか。洋楽ですよね。だから、そっちのほうに行きたいと思ったら、誰よりも早く行ったし、向こうの世界的なミュージシャンともやるし、洋楽一辺倒になって、走りもしたでしょ?だけど途中で、洋楽一辺倒じゃダメなんだって事に気づくんですよ。それはなんなのかな?洋楽一辺倒で行くと、ただの憧れの、ただの物まねでしかないんじゃないの?だけどもっとこう、もっと自分のものといったらそれはひょっとしたら、もっとアジアなのか、日本なのか、そういうものが前提の上での“矢沢永吉音楽”じゃないのか?みたいなところにまた行くんですよね。だけど、こだわって向こうに行ったり、色んな事やったこと、新しい扉を開けようともがいたことは、全部僕の中のストックになってますよね。経験になってるでしょ。ということが今回のようなコンセプトにいけたんだと思いますよ。それは『ROCK'N'ROLL』から手法は始まってるんだけど、よりいっそう極めたのがこの『Last Song』だと思います。

例えば、以前の僕っていうのはやっぱり、きっちり、かっちり、綺麗に作る。でもそれは違うんだと。もうちょっとルーズで揺れてて、がさついてる音楽でいいんじゃないか。それこそもっと揺れ感、がさつき感が色気にもなったり、直球感にもなったりして。気付いたらリスナーは、もうちょっと身近にある音楽で口ずさみたくなるような。そこを目指したわけですね。それが『ROCK'N'ROLL』から始まったといっても過言ではなくて、三部作の中でやっと、思いっきり、きっちりかっちり作らないんだってのを実行出来た作品ですねコレは(笑)。出来栄えがどうだったかっていうと、僕はちょっと僕の歴代の中でも5本の指に入るアルバムが出来たんじゃないかと思いますけどね。そういう “いい加減さ”いい意味の自由みたいな、さらにうれしいのは“矢沢さんこれには愛がありますよね”と言うのねみんな。“LOVE”を感じますね〜と言われたときには、すごいぴったりでうれしい言葉でしたね。だから大きく言えば、このアルバムのコンセプトは『ROCK'N'ROLL』からすでに始まっていたんですが、よりいっそう極めたところにきてるかなと。まさに矢沢永吉の、グル〜っと一周したからこそ出せるサウンドですよね。

---  『ROCK'N'ROLL』『TWIST』は1年間のスパンで出されましたが、今作の制作期間っていうのはどのくらいだったんでしょうか?

矢沢: これもまた面白い話でしてね、そこもまた今回の『Last Song』ならではと言っていいのが、出来たのは1ヵ月半ぐらいで出来てるんですよ、仮ミックスぐらいまでは。そこから2ヶ月から3ヶ月かけてず〜っと聴いてたんですよ。聴いてはベース下げる、上げる、リヴァーブ緩める、きつくする、ヴォーカルを上げる、下げる・・・、そればかり。聴いてばかりいましたね2ヵ月半。それで、もうダメだ、納品間に合わないってことで、 “わかったもういい、これで僕は納得したから、プレス入ってください”ということで手放しました。

だから本当はそうあるべきだと思いますよ。どのアーティストのアルバムも。出来てすぐ納品するんじゃなくて、できたらじっくり聴くんだね。聴く期間が1〜2ヶ月あったほうがいいと思うけど。家で聴く、車の中で聴く。どこでも聴く、聴いているうちに、ヴォーカルでかいなとか、もうチョイ下げたほうがかっこいいだろうなとか、ここドラムのフィルちょっとおしたほうがいいなとか。そういうところばかり、ずっとずっと聴いてメモして・・・、protoolsっていいじゃないですか(笑)。ちょっといじって、また聴いてみる。というようなことですので、出来あがったのが今から4日、5日前ですよ。だから全部では5〜6ヶ月かかってます。5〜6ヶ月かかってるけど、実際1ヵ月半から2ヶ月で出来てるんですよ。あと3ヶ月は聴いてるんですよね(笑)。ずっと聴いてました。

---  その作り方は今回が初ですか?

矢沢:  『ROCK'N'ROLL』からはそのきらいはあったんです。きらいはあったけど、徹底的にこの手法の作り方をやったのは、今回ですね、この『Last Song』です。だから今僕は改めて、作り手として思うことは、作りました、はい、納品しました、こんなのはありえない。作りました、ゆっくり1カ月聴いておこうかなというのがあったら、『ROCK'N'ROLL』『TWIST』もう一ランク面白いことになったのかなとは今思ってますけど、それはあくまでも作り手のことであって、リスナーはもう十分、『ROCK'N'ROLL』が出て『TWIST』が出て、今回のがある。今回の『Last Song』は非常に揺れ感がありますでしょ?ゆらゆら、“♪パパドゥントゥ、パパドゥントゥ、パーン”みたいな。これは相当、若いリスナーの人達にも聴いてもらったら、中々喜んでもらえるんじゃないかと思いますけどね。

---  ルーズな感じがかっこいいです。

矢沢:  そうそうルーズ感ね。そこに行きたかったんですよ。

---  若いミュージシャンの作品はかっちり作ってるものが多いので、こういったルーズな雰囲気というのはやろうと思ってもできるものじゃないし、新鮮に映るんじゃないでしょうかね。

矢沢:  だからね、みんな探してるんですよ。僕だってかっちり、きっちりをずっとやって、洋楽をやって、何をやって。“これじゃないんだよ、洋楽じゃないだよ”っていう壁にぶつかったり、“このかっちりさが問題なんだよ”って思ったり。

---  ただそこを通過してるからこそ、出来るんですよね。

矢沢: そう。それは伊達に40年こだわってませんよ。だからグルーっと廻ってこの辺が出せるんですよね。

---  行ったり来たりがあって。

矢沢: そう、行ったり来たりね。だから今、若手のバンドがかっちり作るなんて言われましたけど、いいんじゃないんですか?“かっちりじゃないんだよ”っていうところにまた行くんですよ(笑)。“ルーズって何?”みたいな。これも面白いもので、ルーズなものが、最後までルーズなままでいたら、ただのつまらないルーズになるんだけど、かっちりきっちりを経て、かっちりじゃないんだってとこでいったルーズっていうのは、なんか新しいルーズだよね。

---  始めっからルーズだったら、ただの下手くそになっちゃいますもんね。

矢沢:ただの下手くそだよね(笑)。まぁ、そんなことも考えながら、この『Last Song』は完成したかな。この間別のインタビューで“矢沢さん、聴かせてもらいました。いいアルバムですね〜”って言った後に、“矢沢さんをずっと見てまして、色んな新しい扉的なものをいっぱい開けてきましたよね。面白いことやってきた人だなと思ってきました。これまで十分やってきたから、これからは徐々に徐々に閉じていくのかなと思ってました。でもこのアルバム聴かせてもらったときに、またやるよ!と思いましたよ。”と言ってもらったときは、褒め言葉をもらったと思いました。

---  とっぴな行動とかではなく、それを作品で出せるっていうのが、すごいと思います。

矢沢: だから最近、ちょっとニヤニヤしてますよ(笑)。いい意味で年もこの位になってきますとね、ただがむしゃらに“いくぞ、いくぞ”じゃなくて、今は行くんだけれども、行くけれども、ちょっと“ニヤっと笑って行こうか”みたいなところが加わってきましたね。

---  少し前に、1年間休んだっていうのもちょっと影響していたりしますか?

矢沢: あるでしょうね。ただひたすらに、走ればいいってものじゃないよなみたいなのも、そのとき得たんじゃないですかね。あまりにも自分は走ってきたからね。

---  そういったところが今作にも表れているんでしょうね。

矢沢: 愛を感じるなんていうのもそういうところじゃないですかね?ロックなんだけれども、最初の1,2,3,4の流れなんてビンビンくるんだけど、愛を感じるんだって言うんですよね。

---  「BUDDY」に出て来る、キャロルを思わせるような歌詞とかも。

矢沢: いいよね(笑)。

---  ぐっと来るんですよね。

矢沢: もうあの革ジャンどこいっちゃったのかな?みたいな。別れた道は違ったけれど、それが良かったか、悪かったかなんて、もうどうでもいいよね?って、それよりもGood Luck、達者で行こうぜって。

---  泣きそうです。

矢沢: これはどのジャンルにも、どの人達にも当てはまるようなところがありますよね。

---  自分に置き換えてみたりして。

矢沢: そういった意味じゃ、作詞家も、共に同じ気持ちになってこのアルバムに挑んだような気がしますね。

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Photo/Irwin Wong


---  詞に関しては、注文みたいなものは出されたりするんですか?

矢沢: 例えばsong11「LAST SONG」の山川啓介さんに詞を書いてもらうのは、20年ぶりぐらいでしたが、もう僕はこの人しかいないと思っていましたから。タイトルは「LAST SONG」と決まってました。電話して、「山川さん、1曲、1本狙いで山川さんに詩を書いてもらいたい。」「自分ももう62歳になるんだけど、矢沢永吉の「My Way」みたいな詞を書いてくれないですかね?タイトルは「LAST SONG」」と言ったら、「分かりました。謹んで書かせてください。」と言って下さいました。そして歌詞が来ました。“子供のときの少年の俺が、今の俺に言うと、まだLAST SONGは・・・、まだ旅を続けろ”と。あれ山川さんの気持ちが入ってるよね。なぜかと言ったら、やっぱり、山川啓介さん、ちあき(哲也)もそうだし、西岡恭蔵なんかもそうだったけど、矢沢永吉応援団の隊長みたいなものだからね、みんな。だから20年ぶりかもしれないけど、山川さんが思う矢沢永吉、まだ旅を続けて欲しい、という思いをそこに入れたんじゃないですかね。僕もほろっとしましたよ。歌い終わった後に。ファンは、これがリリースされた後、一番目から聴いて、最後の「LAST SONG」に来た時にはほろってくるんじゃないですか。

---  ファンの方も、色々振り返ってみたりするんじゃないですかね。

矢沢: そうですね。ファンからしたら、このアルバムたまらないじゃない(笑)?コレ相当売れると思いますけどね(笑)。HMVさんにもたくさん売ってもらいたいと思いますので(笑)!

---  もちろんです!!それではこの「LAST SONG」の先にあるものとは何でしょう?

矢沢: 40周年を記念して、日産(スタジアム)でもやるんですが、これから1年、2年、3年足せば・・・、とこの先やってる人がいないんですよね。現役としてですよ。だからどうやって僕がフェードアウト、スローダウンしていくのかをみんな見てると思うんだよね、若いロックバンドたちが。やっぱり、矢沢さんかっこいい年のとり方してるよねと言われるような、閉じ方をしなきゃいけないのかなと。それですよ。人間はみんな閉じていくんだけど、閉じ方が渋いよなといわれるようにしたいですよね。

---  最後にこのインタビューを読んでくれた方にメッセージをお願いします。

矢沢: もう、相当数のアルバムを作ってきた中で、試行錯誤がありながら、何回かのターニングポイントが僕の中でありまして、ここにまた来れるということのうれしさ。この『Last Song』というアルバムを作れたっていうことが、ものすごい嬉しいですね。僕は今まですと、出来上がったアルバムは大体聴かないんですよ、もう終わったという事で。それが、完成した今でも、毎晩自宅でヴォリュームガンガンで聴いて、自分で踊ってるんですよ(笑)。そんなアルバムなのでみなさん聴いてください。ヨロシク!



全国のローソン、HMVで配布されている「月刊HMV」8月号(※)で、矢沢永吉さんの撮りおろし写真(@HMVルミネエスト新宿)&『Last Song』評をチェック!

※2012年7月15日配布開始、8月14日配布終了。なくなり次第終了となります。







動画コメント&「IT'S UP TO YOU!」PV


new album 【初回限定盤】(CD+T-shirt)


 矢沢永吉 『Last Song』
8月1日発売

[収録楽曲]
01. IT'S UP TO YOU!
02. 翼を広げて
03. 夢がひとつ
04. BUDDY
05. パニック
06. 「あ.な.た...。」
07. JAMMIN' ALL NIGHT
08. Mr.ビビルラッシー
09. 吠えろこの街に
10. サンキュー My Lady
11. LAST SONG



特製オリジナルTシャツ


スペシャルBOXパッケージに特製オリジナルTシャツを封入
サイズ:フリーサイズ、着丈:71cm 身幅:53cm 肩幅:50cm 袖丈:22cm



【通常盤】(CDのみ)

Last Song

8月1日発売



HMV オリジナル特典決定!

矢沢永吉×HMV ミニジャケットキーホルダー


※画像はイメージです
※特典の有無は必ず商品詳細ページをご確認ください

ここから始まった!

TWIST

2010年6月9日発売



ROCK'N'ROLL

2009年8月5日発売







矢沢永吉 | EIKICHI YAZAWA

1949年9月14日広島生まれ。

矢沢永吉 official site

矢沢永吉 40th ANNIVERSARY LIVE「BLUE SKY」

【出演者】(登場順)
マキシマム ザ ホルモン / The Birthday / ギターウルフ / 怒髪天 / ザ・クロマニヨンズ / 矢沢永吉