THE OFFSPRINGのあの日、あの時 3
Wednesday, June 13th 2012

「うわっ、スンゲッ〜!」と驚くことしきりで、背筋に冷たいものが走るときすらある。アメリカで新たなロック・ムーヴメントが勢いよく地上に噴き上がり、そこいらじゅうのものを次々と巻き込んでいくさまを目の当たりにし、肌で感じたとき、自分は必ずやそうなった。その勢い、パワー、エネルギーたるや尋常ではなく、その巨大とも言えるスケール感を全身に浴び、ただただ尻込みするしかなかった。そして「このムーヴメントは一生続くかも」と錯覚もさせられた。ロック大国アメリカのすごさのひとつはまさにここにあり、ムーヴメント化した、もしくはトレンド化した音楽で一気に広範囲にわたって染まる。'91年秋に勃発したグランジ/オルタナティヴ・ロックのときも、'96年秋よりグインッと頭をもたげたヘヴィ/ミクスチャー・ロックのときも、そうだった。そしてTHE OFFSPRING、GREEN DAYが主導・先導したパンク・ロック・リバイバル・ムーヴメントも同様だった。
同ムーヴメントに火を点け、先に走ったのはTHE OFFSPRINGより少し前に名盤『DOOKIE』('94年)を発売したGREEN DAYだったが、ムーヴメントをより大きく、強いものとする“中押し”をしたのが3枚目『SMASH』で、Epitaph Recordsより'94年4月に発売された(日本盤化は'94年11月)。お馴染みトム・ウィルソンのプロデュース(が、しかし、彼とのタッグはこの作品で最後に。なにかが原因となり、両者の関係がこじれた、と後に言われた)。「Come Out And Play」「Self Esteem」「Gotta Get Away」といったシングル・カットされた楽曲をはじめ、「Bad Habit」「Genocide」「Something To Believe In」「It'll Be A Long Time」「What Happened To You?」などの名曲、佳曲の数々が雨あられ状態で聴ける“オフスプ節”を完全確立した名盤中の名盤だ。誰かに「THE OFFSPRINGのどの作品が一番好き?」と訊かれたら、自分は迷うことなくこの作品を挙げる。彼らを楽しみ、そして親しむ上では絶対に欠かせない作品であり、メロディック・パンク・ロック、そしてロックなる音楽が大好物ながら未聴という人は、絶対に聴くべきだ。また、「What Happened To You?」は、後の'95年8月にEpitaphより発売されるRANCIDの3枚目『…AND OUT COME THE WOLVES』収録曲「Time Bomb」とともに、パンク・ロック・リバイバルの枝分かれ的動きとなったスカ・パンク・ブームも引き起こしている。
この作品がUS発売されて少しした頃、特にロサンゼルスを訪れると、そこいらじゅうでGREEN DAYとともにTHE OFFSPRINGが鳴っていた。MTVを観ればシングル楽曲のPVが日に何度も流れ、ラジオでロック・ステーションを聴けば同様にシングル楽曲が何回もかかっていた。カフェに入ればまた聴けて、日本人観光客の間では“ロサンゼルスの竹下通り”との異名をとったメルローズ・アヴェニューを歩けば、何軒ものショップから漏れ聴こえてきた。正直「もうわかったから」と思ったほどだった(笑)。グランジ/オルタナティヴ・ロックが猛威を振るったときのNIRVANA、PEARL JAMなどがそうだったように、普通の生活のなかにTHE OFFSPRINGもGREEN DAYもあった。そういったことから改めて、「アメリカでは本当の意味でロックが社会に根づいている」と痛感させられた。
ここまで読んでいただければわかってもらえるだろう、この作品はTHE OFFSPRINGにとって最大級の成功作となり、またそれまでインティー・レーベルが発売してきた数多の作品群においてもっとも高セールスをマークした作品となった。THE OFFSPRING人気、景気はアッと言う間にイギリス/ヨーロッパ、そして日本などに飛び火し、世界12ヵ国のチャートでトップ5入りを果たした。今日までにワールドワイドで1,200万枚も売り上げるという天文学的な数字を叩き出している。本国では600万枚以上売れ、マルチ・プラチナ・ディスクに認定された。ちなみに、日本盤化されたときは堂々洋楽チャート1位を奪取している。
このウルトラ大ヒットにより莫大な収入を得た彼らは、1stアルバム『THE OFFSPRING』の権利を発売元だったNemesis Recordsより買い上げた。デクスター・ホーランド(vo,g)とグレッグ・K(b,vo)は自主レーベル、Nitro Recordsを立ち上げ、設立第一弾作品としてその『THE OFFSPRING』をリイシューした(後にグレッグは経営から手を引く)。その後AFI、THE VANDALS、GUTTERMOUTH、JUGHEAD'S REVENGE、T.S.O.L.などと次々と契約していき、EpitaphやNOFXのファット・マイク(vo,b)が始めたFat Wreck Chordsとともにパンク・ロック専門レーベルとしてムーヴメント隆盛に貢献した。かつて一度だけNitroのオフィスを訪れたことがある。次作となる『IXNAY ON THE HOMBRE』('97年)発売直前の現地対面取材場所として指定されたためだ。前回書いたEpitaphのオフィスほどではなかったものの、わりとこじんまりとしていて、なかは明るく、そして小奇麗だったことを覚えている。
先述したとおり、『SMASH』の日本盤化は本国で大ヒットしているさなかに実現した。「忙しくて時間が割けない」の一点張りで、なかなか取材することができず、けっこう大変な思いをした。次回はその話をしよう。
THE OFFSPRING関連タイトル!
BAD RELIGIONは結成33年を誇る大ベテランで、当然今なお現役。長く彼らの音楽を聴き、青春を謳歌してきた人たちにとっての“名盤”はたぶん、3枚目『SUFFER』('88年)、5枚目『AGAINST THE GRAIN』('90年)、6枚目『GENERATOR』('92年)だろう。もちろん、それは事実なのだけど、この『RECIPE FOR HATE』も“名盤”の誉れ高く、かつ彼らの名や音楽をそれまで以上に広げた商業的成功作だ。USチャートのHeatseekersに初登場14位で飛び込むなどの初チャート・イン作品でもあった。潤いのあるグレッグ・グラフィン(vo)の声色、主に2分台というもろパンク・ロックな楽曲、シンガロング必至な美麗コーラスがときにミッドテンポで心地よく、またときに疾走するスタイルは彼ら独自のもの。なかでも「American Jesus」は珠玉の名曲。彼らの代表曲中の代表曲で、パンク・ロック・リバイバル・ムーヴメント席巻に大貢献した。
THE OFFSPRING 最新作ニュース
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OFFSPRING ニューアルバム!
オフスプリングの4年ぶりのニューアルバム!タイトルトラック「Days Go By」や痛快な「Cruising California (Bumpin' In My Trunk)」はもう聴きました?
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■■■ 有島博志プロフィール ■■■
80年代中盤よりフリーランスのロックジャーナリストとして活動。積極的な海外での取材や体験をもとにメタル、グランジ/オルタナティヴ・ロック、メロディック・パンク・ロックなどをいち早く日本に紹介した、いわゆるモダン/ラウドロック・シーンの立役者のひとり。2000年にGrindHouseを立ち上げ、ロック誌GrindHouse magazineを筆頭にラジオ、USEN、TVとさまざまなメディアを用い、今もっとも熱い音楽を発信し続けている。
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同時連載中の「あの日、あの時」シリーズ & GrindHouse × HMV
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オフスプ節全開の大傑作
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関連タイトル
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