LINKIN PARKのあの日、あの時 7
2012年6月8日 (金)
2003年10月、LINKIN PARKは待望の再来日をはたした。21日の横浜アリーナ公演でキックオフし、以降22日に大阪城ホール、24日、25日、27日に日本武道館と3都市計5公演を行い、ものの見事に全公演ソールド・アウトとした。海外勢には今もなお“檜舞台”と見る向きが多い武道館を3公演ほぼ連続でやり、すべて売り切ったラウドでミクスチャーなロック・バンドは、間違いなく彼らが初めてだ。
自分が観たのは確か、東京初日公演だったと思う。当日は車移動で、ほど近くのところにくると、大勢の人たちが会場に向かい歩いていて、車窓からその光景を見ただけで十分アガッた(笑)。会場前にある駐車場に車をとめ、車外に出て目の前にそびえ立つ武道館を見上げたとき、さらに感極まった(笑)。夜空の下で、ライトアップされた武道館がとにかくよく映え、さらにその下のところに大勢のLINKIN PARKファンが群れを成していたのは、まさに“絶景”以外の何物でもなかった。そして、思った。「メジャー・デビューからたったの4年でもう武道館…早いな、早過ぎるな」と。そそくさと場内に入り、レコード会社の人たちとひと盛り上がりした後に2階席へ。しばし立ち止まり、ゆっくり360度見回すと、もうどこも人、人、人、また人で空席なんてものはなく、再びテンションが上がった(笑)。席に着き、少しすると客電が落ちた。その瞬間、大歓声が上がり、場内いっぱいに響きわたった。全員総立ちになるなか、ライヴ・パフォーマンスはスタートした。始終チェスター・ベニントン(vo)とマイク・シノダ(vo,g,key)が大観衆をひとつに束ね、バンドと“一枚岩状態”になってグイグイと引っ張っていき、何度も何度もクライマックスを作っていき、とてもホットで熱い空間ができていた。出張で日本に不在だったため初来日公演を見逃していただけに余計、感無量となった夜だった。その後、かなり上機嫌だったことも覚えている(笑)。
その翌日、開演前に武道館の楽屋で、マイク、ジョー・ハーン(dj,electronics)とデイヴ・“フェニックス”・ファレル(b)に対面取材した。昨晩のライヴが本人たち的にも手応えのあるものだったようで、すごくいい表情をしていたことが今なお薄らとだけど脳裏にある。
「とにかく日本にいくのを心待ちにしていたから、今とてもハッピーさ。今回は日本だけじゃなく、オーストラリアにもいくことができた。どちらの国でも楽しんでいるよ。大きな街でのライヴで、たくさんの人がきてくれる。まさに完璧だね」
とフェニックス。
ジョーが続いた。
「オレたち全員、日本が大好きだし、オレ個人としてはほかの誰よりも好きだから(笑)。特に日本のポップ・カルチャーや映画やアニメやマンガやオモチャに凝っているから。日本風バイオレンスもいいね。たとえばサムライ、ニンジャ。ぞっこんさ(笑)」
そして、マイクがこう言った。
「今回のツアーは前回より日程が緩めなぶん観光が多くできる(笑)。最高だね。実は昨日は京都で一日過ごすことができたんだ」
で、間髪入れずにマイクに訊いた。「日本人の血を半分引くマイクには古都・京都はどう映り、感じた?」と。すると、こういう答えが返ってきた。
「オレは日本人とのハーフだけど、ロサンゼルス近郊に生まれてからずっとそこに住んでいる。ロスにリトルトーキョーという日本人街があるけど、そこと京都や日本とでは全然違う。初来日時には馴染みのあるものに目がいったけど、なぜ自分がそうなるのかかが理解できなかった。それが両親のせいなのか、それともロスという土地柄なのか、それとも日本のもののせいなのかがわからなかった。そして、そういう違う物事を発見していくに従い、日本の伝統とか価値とかがオレの家族のなかにあり、それは父の育て方とかそういうことのなかにもあって、それをたどれば家族がどのように成り立っているのかも知ることができる、っていうことがわかったんだ。それって、とてもクールなことさ」
これは、マイクが来日するたびに自分が日本人の血を引いていることを徐々にだけどがしかし着実に自覚し、己のなかに“日本人としてのアイデンティティ”もある、ということを確認し始めたことを如実に物語っていた。マイクとブラッド・デルソン(g)が自主レーベル、Machine Shop Recordingsを設立したのが2002年。マイクのヒップホップ・ユニット、FORT MINORがここから2005年にデビュー作『THE RISING TIED』を発売した。この作品では、マイクが自分の生い立ちを初めてリリックにし、ラッピングした「Kenji」という楽曲が聴ける。このリリックも楽曲も、もしマイクが上記のような経験をせず、“日本人としての自分”にたどり着き、開眼してもいなかったら書かれることなく存在もしなかったものだと思う。マイクの熱烈なファンを自認する人なら絶対に聴いておきたい、とてもパーソナルな楽曲だ。
取材を無事に終えて3人にお礼を述べた後、ふと気づけばマイクはその場を足早に立ち去り、横の部屋に姿を消した。そろ〜りと後を追い(笑)、部屋を覗くと、マイクはパソコンを立ち上げていた。「なにすんの、これから?」と図々しく訊いたら、「ファンとチャットするんだ。今のこの時刻だと、時差的にアメリカ西海岸は夜11時だからちょうどいい時間なんだよね」とマイクは笑みを浮かべた。LINKIN PARKはインターネットなる“文明の利器”を最大限に駆使し、常に世界中のファンとコミュニケーションを図りつつつながりをタイトにし、強大かつ強固なファン・ベースを築いたことでも知られる。次回は彼らのそういう巧みなインターネット使いこなし術について書いてみたいと思う。
LINKIN PARK 最新作ニュース
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リンキン・パーク新作完成!
リック・ルービンとマイク・シノダの共同プロデュースによるニュー・アルバム『リヴィング・シングス』のリリースが6月に決定!
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LINKIN PARK 関連サイト
■■■ 有島博志プロフィール ■■■
80年代中盤よりフリーランスのロックジャーナリストとして活動。積極的な海外での取材や体験をもとにメタル、グランジ/オルタナティヴ・ロック、メロディック・パンク・ロックなどをいち早く日本に紹介した、いわゆるモダン/ラウドロック・シーンの立役者のひとり。2000年にGrindHouseを立ち上げ、ロック誌GrindHouse magazineを筆頭にラジオ、USEN、TVとさまざまなメディアを用い、今もっとも熱い音楽を発信し続けている。
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同時連載中の「あの日、あの時」シリーズ & GrindHouse × HMV
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