MARILYN MANSONのあの日、あの時2
Friday, April 20th 2012

MARILYN MANSONとしてのメジャー・デビュー作『PORTRAIT OF AN AMERICAN FAMILY』は、本国アメリカでNothing/Interscope Recordsより'94年7月19日に発売された。
ここでは、当時のことや後々わかったことを混在させて書く。当時はまだ、現在のようにインターネットは普及していなかった。よってUSロック・シーンの動向を掴むには、日本のレコード会社より伝えられる情報と、現地のロック雑誌に掲載される記事や小ネタを頼りにし、それらからなにかを読み解くしかしか手立てのない時代だった。日本のレコード会社は早々と『PORTRAIT OF AN AMERICAN FAMILY』の日本盤化見送りを決めた。現地の主たるロック雑誌も、頭っからMARILYN MANSONを大きく取り扱っていたところはなかったと記憶する。バンドの知名度がその頃はまだ、MARILYN MANSON & THE SPOOKY KIDSとしての、活動基盤を置いていたフロリダ州を中心とする南部方面に限定されていたローカルなものだったことが伺える。なにを隠そう、自分が初めてMARILYN MANSONの名を知ったのも、そうした現地のCDショップやTシャツ屋の店頭ディスプレイで、だった。
ロサンゼルスの目抜き通りのひとつ、ハリウッド・ブールヴァードと、ハイランド・アヴェニューが交差した角っこに昔、ちっちゃなCDショップがあった。ロサンゼルスを訪れるたびに必ずと言っていいほど覗いていたショップだったけど(現在閉店)、そこで偶然『PORTRAIT OF AN AMERICAN FAMILY』が目に留まり、手にとった。「MARILYN MANSON? どこのどちらさま? それにしてもなにこのジャケ、趣味悪っ!」っていうのが第一印象だった。だけどなんかソソられ、気にもなり、その場で購入した。USED CD、つまり中古盤で8〜9ドルぐらいだったと思う(笑)。
ワタシとMARILYN MANSON
当時ヘヴィ系音楽を知らなかった私に、強烈なMARILYN MANSONファンの友人が「いろんなバンドが入っているサントラでMARILYN MANSONも聴いてみて」と貸してくれたのが『SPAWN THE ALBUM』で、そのなかの1曲「Long Hard Road Out Of Hell」(SNEAKER PIMPSとのコラボ)に一発でやられました。それからMARILYN MANSONのCDを買うようになり、2枚目『ANTICHRIST SUPERSTAR』(‘96年)収録の「The Beautiful People」は今でも大好きな曲です。彼にしかできない、あの世界観や強烈なカリスマ性には本当に憧れます。新作『BORN VILLAIN』で、どんな世界観を聴かせてくれるのか楽しみです。『PORTRAIT OF AN AMERICAN FAMILY』の日本盤化見送りがあっさりと決まった理由は、しごくシンプルなものだった。「この音楽はなんていうジャンル? なんだかわかりにくそうな音楽なんで、日本には根づかないでしょ」――。当時、こういう憂き目に遭ったのは、なにもMARILYN MANSONだけではない。ご存知のとおり、90年代初頭を皮切りに、USロック・シーンからはまるで堰を切ったかのように、それまでにあまりなかったようなスタイルのロックを演るバンドたちが相次いでデビューした。日本のレコード会社はその対応に困り果て、洋楽ロック専門誌はそうしたアーティスト、音楽を見事にスルーした。今考えれば、あのときこういう音楽、アーティストをきちんと理解し、好きになる人たちが我が国の音楽業界には圧倒的に少なかったんだと思う。自分も『PORTRAIT OF AN AMERICAN FAMILY』の第一聴時は「この音楽はオルタナティヴ・ロック/グランジではないと思うけど、かと言ってメタルでもない、さて?」と完全に“ジャンルくくり”の仕事目線で聴いた(笑)。ただ、延々と繰り広げられるオドロオドロしく、陰鬱で退廃的で屈折した世界観は、こういうのが好きな人にはけっこう響くのでは?と思えた。
今改めて聴き直してもやはり、『PORTRAIT OF AN AMERICAN FAMILY』は非常に特殊で特化した作品だと思う。当時、こういうタイプのロックを演るアーティストは、メジャー域ではMARILYN MANSONしかいなかった。プロデュースはNINE INCH NAILSのトレント・レズナーとマンソンの共同作業。マンソン、そしてデイジー・バーコヴィッツ(g)、トゥイギー・ラミレズ(b)、サラ・リー・ルーカス(ds)、マドンナ・ウェイン・ゲイシー(key)という布陣で制作されたかのようにクレジットはされている。が、しかし、実際にベースをプレイしたのは前任ギジェット・ゲイン。“重度のドラッグ癖”により作品完成後に解雇され、トゥイギーが招かれた。サラも実はプレイしておらず、NINE INCH NAILS人脈のひとり、チャーリー・クラウザーによるドラム・マシーンでのテイクが使われている。また、当時デイジーのバンドへの貢献度は大きく、収録曲のほとんどの曲作りに参加した。CDブックレット中面には、マンソンがMARILYN MANSON & THE SPOOKY KIDS時代からこだわり、描き続けてきた“マンソン・ワールド全開のわりとポップなイラスト”が散りばめられている。
もともとの作品タイトルは『THE MANSON FAMILY ALBUM』だった。さすがに発売に際し、『PORTRAIT OF AN AMERICAN FAMILY』に変更を余儀なくされた、というエピソードが残っている。改めて言うまでもなく、マンソンはアメリカ犯罪史上にいまだ強く名を残す70年代の連続殺人犯としてあまりに有名なチャールズ・マンソンの絶大な影響下にある。「My Monkey」にはいくつものチャールズの肉声がサンプリングされているほどだ。ほかに児童小説から歌詞を引用したり、映画やTVドラマでのセリフをサンプリングしたり、とUSカルチャーの要素が多く盛り込まれた作品でもある。後日マンソンはこの作品についてこう語った。
MANSON’S SINGLE COVER GALLERY
『PORTRAIT OF AN AMERICAN FAMILY』からの2ndシングル。インナースリーヴ裏側にはマンソンの全裸写真が使われた。アンダーヘアもろ見えで、当時はタトゥーが今よりだいぶ少なかったことがわかる。残念ながらCDは絶版。「もちろん、MARILYN MANSONとしてのデビュー作だから、自分にとってはとても意義のある作品さ。だけどロリ・モシマンのプロデュースとその音像が気に入らず、トレントと作り直すなど紆余曲折のあった作品でもある。テーマは“アメリカ社会の虚飾”さ」
先行シングル『GET YOUR GUNN』がUSシングル・チャートで最高位11位をマーク。その直後に『PORTRAIT OF AN AMERICAN FAMILY』発売、そして2ndシングル『LUNCHBOX』が同最高位5位まで上がるなど、MARILYN MANSONの名や音楽は、徐々にだけどしかし着実に広まっていった。そうした環境、状況をさらに推し進めたのが、NINE INCH NAILSのSelf Destruct Tourへの同行だった…。
MARILYN MANSON 関連タイトル!
チャールズ・マンソンとともに、トレント・レズナーの存在も、マンソン自身にとってとても大きい。チャールズを“精神的指導者”とするなら、トレントはマンソン自身やMARILYN MANSONを音楽的に、またキャラクター的に世に押し上げ、広めた“最大の貢献者”と言っていい。トレントがプロデュースにかかわったことから『PORTRAIT OF AN AMERICAN FAMILY』に“トレント風味”が出てある意味当然なのだけど、この頃はトレントとマンソンが音楽的にある部分同じ方向を向いていたことがわかる。まさに蜜月時代だった(笑)。今作『BROKEN』はNINE INCH NAILSの2ndリリースとなったEP。デビュー作『PRETTY HATE MACHINE』(‘89年)に続いて人気、評価を微動にしないものとした作品で、USロック・シーンの構造変化をさらに推進した作品でもある。今聴いても十分新鮮で、めちゃくちゃカッコいい!インダストリアル・ミュージック/ゴシック・ロックという音楽を象徴する1枚だ。
MARILYN MANSON 最新作ニュース
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MARILYN MANSON 関連サイト
MARILYN MANSON 公式サイト
MARILYN MANSON 日本公式サイト(Victor Entertainment)
■■■ 有島博志プロフィール ■■■
80年代中盤よりフリーランスのロックジャーナリストとして活動。積極的な海外での取材や体験をもとにメタル、グランジ/オルタナティヴ・ロック、メロディック・パンク・ロックなどをいち早く日本に紹介した、いわゆるモダン/ラウドロック・シーンの立役者のひとり。2000年にGrindHouseを立ち上げ、ロック誌GrindHouse magazineを筆頭にラジオ、USEN、TVとさまざまなメディアを用い、今もっとも熱い音楽を発信し続けている。
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同時連載中の「あの日、あの時」シリーズ & GrindHouse × HMV
Alternative & PunkLatest Items / Tickets Information
for Bronze / Gold / Platinum Stage.
新作!(輸入盤)
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Born Villain
Marilyn Manson
Price (tax incl.):
¥1,804
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新作!(国内盤)
Born Villain
Marilyn Manson
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メジャーデビュー作(1994)
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Portrait Of An American Family
Marilyn Manson
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関連作
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Broken
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関連作
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Pretty Hate Machine: 2010 Remaster
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