町田町蔵×広田玲央名 『エンドレス・ワルツ』
2013年1月30日 (水)
R-15指定!初DVD化!90's!町田町蔵と広田玲央名が阿部薫と鈴木いづみを演じる!
わずか29才でこの世を去った実在の天才的サックス・プレイヤー阿部薫と女優でありエキセントリックな小説で一部で熱狂的な支持を得ていた鈴木いづみの過激な愛憎をセクシー女優 広田玲央名と音楽、俳優、近年は芥川賞作家としても多才な町田町蔵(町田康)が実在の人物を演じ、濃密度に描く。
第31回女流文学賞を受賞した稲葉真弓の同名小説を『キャタピラー』(2010)、『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(2007)の若松孝二監督が自らの青春をフィールドワークとして70年代の新宿を鮮烈に描き出した。
音楽ファンは灰野敬二、フェダインの出演も見どころ!
STORY
殺したいほど、愛したい。
1973年、新宿の片隅でイヅミとカオルは宿命的に出会う。天才的アルトサックス奏者と言われたカオルは、酒とクスリを浴びるように飲み、イヅミのすべてを求めた。2 人は結婚、新婚生活を始めるが、カオルはクスリをやめず、毎日のように激しく喧嘩し、そして愛欲を貪った。2人の挑発的で自虐的な愛は激しくぶつかり合い、時に互いを傷つけ合う。やがて娘が生まれ、平穏な家庭を築いたように見えたが、創作の意見の違いと自分の音を探しあぐねるカオルの嫉妬がエスカレートし、宿命的な結末を迎えていく・・・。
STAFF&CAST
出演:広田玲央名、町田町蔵(町田康)
相楽晴子、佐野史郎、室田日出男、古尾谷雅人、灰野敬二
原作:稲葉真弓
監督:若松孝二
脚本:新間章正/出口出
製作協力:若松プロダクション
製作:松竹株式会社
『エンドレス・ワルツ』を観て・・・
鈴木いづみの本が文遊社から狂ったように!出版されている。わたしもそのほぼを所有しており、彼女の文章、もっと言うとアラーキー他に撮られているあの被写体としての雰囲気、佇まいに生理的に惹かれる。そんな彼女が選んだ男が阿部薫ということでもさらに彼女がワカッテイルと思うわけで(男選び、女選びというのはその人のセンスが最もあらわれるものだと思う、芸術やファッションを選ぶよりもはるかに)。
彼らが生きていたら2009年が生誕60年、「ラブ・オブ・スピード」と題された特集本などにも記載があるが、本作と同タイトルの原作、稲葉真弓による「エンドレス・ワルツ」に対し、若松監督は「薫といづみのことを知ってるだけ彼女にしゃべったが、原作は誰にも渡さないで欲しい。誰にも阿部薫を撮らせたくなかった」と語っている。さらに映画化されることになった本作へは松竹が出資、若松監督作の中でもお金をかけた作品であり、「俺の最高の映画だと思っている。セットを組んだのもこの映画だけ」と熱く。そんな若松監督にとって薫役のキャスティングは特に!重要だったはずで、「本当に薫と見間違えるほどだった」という町田町蔵(町田康)!を、そして、いづみ役に広田玲央名!を抜擢し、映画化したということが嬉々として書かれているわけで・・・そんなの観たいに決まってる!でも、本作は劇場公開後はレンタルビデオのみで発売はなかったので、どうしても観たい人は中古市場で高騰していた価格を支払ってでもビデオを手に入れていたようだが、そんな本作がやっと!DVDになるのだ。ああ、ナントいう朗報☆
早速拝見させて頂いたが、もうこの2人のキャスティングカップルが最高にお似合い過ぎて終始うっとりした。町田町蔵、超かっこいいッ!!広田玲央名、超かわいいッ!!もう、きゃあきゃあした。2人のセックスシーンはもちろんムードがあってよかったし、シャワーシーンで町蔵が玲央名のバックから○○なシーンもよかったし・・・ウイスキー飲んで酔っ払ってる演技に思わず笑わされてたら、急に「女の方が体が柔らかいからよく切れそう」なんて話を始めて、あの有名な!「いづみ、足の小指切断事件」シーンを再現したりする。玲央名がキッチンにしゃがみこんで足の小指を包丁で本当にざくっとした後、「『ひまわり』って映画みたいに大きなオムライス作るわ」なんておどけながら卵割ってみたり・・・と本作における好きなシーンを挙げていくのはキリがなく、観て頂いた時の悦びが半減するのでこのあたりにさせて頂くが、灰野敬二や渋さ知らズの不破大輔が出演しているというのもちょっと興味深いので音楽ファンはこのパートについても楽しみに注視して頂きたい。
うーん、阿部薫、鈴木いづみのファンだったら、こんな映画化もよかったんじゃないでしょうか?個人的には舌っ足らず女優(桃井かおり、藤谷美和子、薬師丸ひろ子など)の声とか雰囲気がアンニュイなムードを愛しているので、鈴木いづみを広田玲央名が演じているというだけで結構満足してしまっている(だって、あんなにキュートなんですもの)。こういう雰囲気を醸し出せる女優というのはゼッタイ!に演技を超えた何かがあるからであって、そういうものを形成するのはジッセイカツが大いに影響するというもの(例えば、どれだけ主観を持っているかとか、どれだけ男に愛されているかとか)、そういう女が映画の中で魅惑的に輝くのはもうむしろ、日常がいい女なのであるというようなことになるわけで。
ここで一気に話が飛ぶが、本作に使用された楽曲や引用された文献なども記しているので(鑑賞中にがんばってメモ☆)、気になった方はぜひご参考に。
最後に阿部薫と鈴木いづみの詩を引用して↓
ぼくは誰よりも速くなりたい
寒さよりも、一人よりも、地球、アンドロメダよりも
どこにいる、どこにいる、罪は
阿部薫
速度が問題なのだ。
人生の絶対量は、はじめから決まっているという気がする。
細く長くか太く短くか、(中略)どのくらいのはやさで生きるか?
鈴木いづみ
この文章、全くまとまってませんが・・・人間の思考なんてそういうものなんじゃないかなあと。『愛の新世界』に痺れた方にもご満足頂ける映画!なのではないかとそう強く思う冬の雪の日。
TEXT: 長澤玲美
挿入曲・ライブ演奏・劇中歌・引用句
【挿入曲】 阿部薫
「またの日の夢物語」、「光輝く忍耐」 (モダンミュージック)
「LIVE AT 騒 Vol.1〜Vol.10」 (ディスクユニオン)
【ライブ演奏】
不失者(「灰野敬二トリオ」) 「警告の表出」
FDAYIEN(フェダイン) 「DAVADAVA」
【劇中歌】
「想い出のセレナーデ」
「セーラー服を脱がさないで」
【引用句】 鈴木いづみ
「いつだってティータイム」、「声のない日々」、「女と女の世界」
アルチュール・ランボー 「地獄の季節」
L.F.セリーヌ 「夜の果ての旅」
アントナン・アルトー 「ヴァン・ゴッホ」
関連リンク
※表示のポイント倍率は、
ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。
ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。
エンドレス・ワルツ
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鈴木いづみ×阿部薫 「ラブ・オブ・スピード」他
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鈴木いづみ
田原総一朗の遺言 〜ピンク女優作家 鈴木いづみ〜
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