「ベルリン・フィル・ラウンジ」第54号:ゲルギエフ、バーンスタインを語る(第2回)
Thursday, January 12th 2012
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ベルリン・フィル関係ニュース
ベルリン・フィル・メディア、マーケティング部長トビアス・メラーより新年のご挨拶「ベルリン・フィル・ラウンジ」の読者の皆様に、新年のご挨拶を申し上げます。昨年はデジタル・コンサートホール(DCH)にとりましても、飛躍の年でした。内容の充実化を促進し、これまで以上に多彩な内容を実現できましたが、おかげさまで利用者の数も大きく成長。とりわけ日本のユーザーの増加は、目を見張るばかりです。皆様のベルリン・フィルへの高い関心を、大変嬉しく思っております。 今シーズンの後半は、サー・サイモン・ラトルの2つの演奏会形式オペラ(《カルメン》、《ワルキューレ》)、ラトルのブルックナー「交響曲第9番」4楽章補筆版、アバドのシューマン&ベルク、ティーレマンのブルックナー《ロマンティック》、チャイコフスキー《悲愴》、メータのブルックナー「交響曲第8番」、ドゥダメルの《ツァラトゥストラ》、ヤンソンスの《新世界》、小澤征爾のチャイコフスキー「交響曲第5番」と、魅力的な演奏会が目白押しです。ベルリン・フィルの演奏を、皆様にさらに便利に、ハイクオリティで体験していただけるよう、今後も努力してまいります。 また「ベルリン・フィル・ラウンジ」も、今後リニューアルや新企画を通して、ベルリンからの情報をホットにお伝えしてゆきたいと考えております。 2012年が皆様にとって素晴らしい年となり、多くの音楽的ハイライトをもたらすことを心から願っております。 トビアス・メラー
最新のDCHアーカイブ映像
(2011年12月17日) 【演奏曲目】 ヤナーチェク:歌劇《利口な雌狐の物語》から最終場面 マーラー:《大地の歌》 バス・バリトン:ジェラルド・フィンリー メゾソプラノ:アンネ・ソフィー・フォン・オッター テノール:ステュアート・スケルトン 指揮:サー・サイモン・ラトル 昨シーズンより進められてきたサー・サイモン・ラトルとベルリンフィルのマーラー・ツィクルスが、《大地の歌》で完結しました。この演奏会では、ジェラルド・フィンリー、ステュアート・スケルトン、アンネ・ゾフィー・フォン・オッターの有名ソリストが参加し、極めて豪華なフィナーレとなっています。 スウェーデン出身のメゾ、フォン・オッターは、1983年のデビュー以来、オペラ、宗教曲、歌曲のすべてで高い評価を受けてきました。マーラーの歌曲では、アバドやブーレーズとも共演を重ねていますが、《大地の歌》のCD録音はまだ存在しません。その意味でも、貴重な機会と言えます。またラトルは、これまでこの作品はバリトン版で演奏することが多く、メゾによる上演は、ベルリンでも初めて。この側面からも、興味深い内容です。 この演奏会をDCHで聴く!(2011年12月23日) 【演奏曲目】 ドビュッシー:フルート・ソロのための《シランクス》 プーランク:グロリア ベリオ:《セクエンツァT》 プロコフィエフ:交響曲第5番変ロ長調 フルート:エマニュエル・パユ 指揮:ニコラ・ルイゾッティ 2011年最後の定期演奏会は、東京交響楽団の首席客演指揮者として日本でもおなじみのニコラ・ルイゾッティが指揮しました。彼は、2007年12月にドヴォルザークのレクイエムでベルリン・フィルにデビュー。今回が、2回目の客演となります。また当コンサートでは、エマニュエル・パユが20世紀を代表する無伴奏フルート作品を演奏しています。 この演奏会をDCHで聴く!
これからのDCH演奏会
バレンボイムがエルガーの《ゲロンティアスの夢》に挑戦!(日本時間1月15 日午前4時) 【演奏曲目】 エルガー:オラトリオ《ゲロンティアスの夢》 メゾソプラノ:アンナ・ラーソン テノール:イアン・ストーレイ バス:クヮンチュル・ユン 指揮:ダニエル・バレンボイム ベルリン国立歌劇場の音楽総監督ダニエル・バレンボイムは、ベルリン・フィルにも頻繁に客演しています。今回の演奏会では、イギリスの作曲家エドワード・エルガーのオラトリオ《ゲロンティアスの夢》が取り上げられます。エルガーが43歳の時の1900年に完成したこの作品は、死への恐れと神による魂の救済を、カトリック教徒として熱烈な信仰の力でまとめ上げた大作です。 放送日時:2012年1月15日(日)午前4時(日本時間・生中継) この演奏会をDCHで聴く!
ブンデスユーゲント管の演奏会が無料で中継!(日本時間1月16日午前4時) 【演奏曲目】 グラナート:《インソムニウム(夢のイメージ)》 マーラー:交響曲第5番 ブンデス・ユーゲント管弦楽団 指揮:マルクス・シュテンツ ブンデスユーゲント管弦楽団は、ドイツの国立青少年オーケストラとして、すでに長い伝統を誇っています。14歳から19歳の若い器楽奏者により構成されるこの団体からは、ザビーネ・マイヤーやタベア・ツィンマーマンといったソリスト、ベルリン・フィルの約20名のメンバー(現団員)が巣立っています。グスタフ・マーラー・ユーゲント管と並んで、ドイツ語圏を代表する団体と言えるに違いありません。今回のコンサートは、ライブ中継が無料でご覧いただけます(アーカイブへのアップ予定はありません)。 指揮者のマルクス・シュテンツは、ケルン市の音楽総監督を務める中堅。ブンデスユーゲント管とは初共演となります。若者たちと数週間のリハーサルを行なった後、ドイツを中心にツアーを敢行。ベルリンでは、マーラーの「交響曲第5番」、グラナートの《インソムニウム》を演奏します。後者は、2010年にティーレマン指揮ミュンヘン・フィルで初演された作品です。 放送日時:1月16日(月)午前4時(日本時間・生中継) この演奏会をDCHで聴く!
ソヒエフがリスト「ピアノ協奏曲第1番」でベレゾフスキーと共演(日本時間1月22日午前4時) 【演奏曲目】 ルーセル:《バッカスとアリアーヌ》第2組曲 リスト:ピアノ協奏曲第1番変ホ長調 ベリオ:《セクエンツァI》 ラフマニノフ:交響的舞曲 ピアノ:ボリス・ベレゾフスキー ヴィオラ:アミハイ・グロシュ 指揮:トゥガン・ソヒエフ 2010年のデビュー以来、2度目のベルリン・フィル登場となるトゥガン・ソヒエフ。今回の客演では、リスト、ベリオ、ラフマニノフ、ルーセルの作品を演奏します。彼は、来シーズンよりベルリン・ドイツ交響楽団の首席指揮者に任命されており、今一番期待されている若手指揮者のひとりと言えます。ソリストには、ロシアのボリス・ベレゾフスキーが登場。またベリオの《セクエンツァI》は、ベルリン・フィルの首席ヴィオラ奏者アミハイ・グロシュが演奏します。 放送日時:1月22日(日)午前4時(日本時間・生中継) この演奏会をDCHで聴く!
レイトナイト第3弾は、HK・グルーバーが登場!(日本時間1月22日午前6時30分) 【演奏曲目】 ヴァイル:《光のなかのベルリン》 《オイル・ミュージック》 ベリオ:《セクエンツァX》 HK・グルーバー:《フランケンシュタイン!》 ヴォーカル:HK・グルーバー トランペット:ガボール・タルケヴィ 指揮:サー・サイモン・ラトル レイトナイト・シリーズ第3弾は、HK・グルーバーが登場します。グルーバーは、オーストリアの作曲家・シャンソン歌手で、現代音楽と軽音楽を融合する独自のスタイルで高く評価されている存在です。ドイツ語圏では極めてポピュラーで、マックス・ラーベのパラスト・オーケストラや、アンサンブル・モデル等ともCD録音を行なっています(写真:HK・グルーバー© Georg Andergrub)。 放送日時:1月22日(日)午前6時30分(日本時間・生中継) この演奏会をDCHで聴く!
アーティスト・インタビュー
「バーンスタインが泥酔しないように、私がすすんでボトルを空けました」 聞き手:ヴィルフリート・シュトレーレ (ベルリン・フィル ソロ・ヴィオラ奏者) (2010年12月22日) 【演奏曲目】 シチェドリン:交響的ディプティク ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番ニ短調 ムソルグスキー(ラヴェル編曲):《展覧会の絵》 ピアノ:デニス・マツーエフ 指揮:ヴァレリー・ゲルギエフ 前回に引き続き、ゲルギエフのインタビューをご紹介します。第1回は、ムラヴィンスキーとカラヤンの話題でしたが、今回はゲルギエフは、バーンスタインとの思い出について語っています。バーンスタインとゲルギエフ、というのはなかなか意外なつながりですが、1988年にバーンスタインがソ連を訪れた際に出会ったことが語られています。バーンスタインのエピソードには、お酒とタバコがつきものですが、彼が飲みすぎてへべれけにならないように、ゲルギエフが率先してボトルを空けた、というくだりは微笑を誘います。 ゲルギエフ 「指揮者というのは、テクニック以上に、大きなパーソナリティを持っていなければならないと思います。指揮者特有の響きとは、その人の人格の問題だからです。先ほどお話したムラヴィンスキーがそうでしたし、カラヤンもそうでした。彼らのサウンドというものがあるのです。例えばシカゴ響も、ショルティが振った時と別の人が振った時とでは、響きがまったく違っていました。バトンという以上に、ショルティの個性が、あの独特の響きを生み出したのです」 シュトレーレ 「バーンスタインもそうですね。彼もものすごいエネルギーを発散していました」 ゲルギエフ 「バーンスタインは、私の指揮者としての人生に、大きな影響を与えた人物です。しょっちゅう煙草を吸っていました。お酒も好きでしたね。ワイン等の軽いものではなく、ウィスキーを浴びるように飲んでいました」 シュトレーレ 「私もバーンスタインの大酒飲みは体験しています。彼は、生涯ただ1回だけベルリン・フィルを指揮しました。1回しか来られなかったのは、やはりカラヤンがいたからでしょうか。私はマネージメントの背景はよく分かりませんが、カラヤンとバーンスタインは決して敵同士ではありませんでした。良く理解し合っていたと思います。 それでその時は、マーラーの交響曲第9番が演奏されました。ベルリンの聴衆にとっても、バーンスタインの登場は大事件で、大きな期待が寄せられました。そのコンサートのあと、我々はアメリカ大使館に招待されたのですが、煙草とウィスキーがしっかり用意されていたのです。彼はピアノでビートルズを弾いたりしていました。煙草も、100本以上吸っていたんじゃないですか。朝の5時まで、そんな調子で過ごしていました」 しかし、それぞれの演奏に存在意義があります。バーンスタインのショスタコーヴィチも、ムラヴィンスキーのそれも、さらに言えばカラヤンのそれも、すべてが彼らの個性を反映した、聴くに値する演奏だったのです」 シュトレーレ 「バーンスタインは、ちょっと極端でしたね」 ゲルギエフ 「でもバーンスタインは、ショスタコーヴィチがすごく好きだったのですよ。私はこの時、彼と多くの作曲家について話をしました。弦のヴィブラートの付け方や、アーティキュレーションをどうするか、といった問題です。本当に勉強になりました。もちろん煙草を吸いながら、お酒を飲みながらです。彼になるべく飲ませないように、私が先に飲んで、ボトルを空けるようにしていました。彼が酔っ払ったら、せっかくの貴重な話が聞けませんから。私の世代は、ラッキーな世代でした。こうした巨匠たちと、一緒に話をして、アドヴァイスを受けることができたからです。今だったら、このクラスの人々は、リハーサルに来て練習し、後は帰ってしまうだけでしょう。一緒に時間を持つことができたのは、財産だと思っています。 同じような思い出は、ベルリン・フィルとの初めてのリハーサルでもあります。曲は、チャイコフスキーの《悲愴》でした。私はちょっと体を動かし過ぎで、フラフラとしながら振っていたんです。すると、誰かが突然、私の足をバシっと叩くんですね。カラヤンでした。バーンスタインは大振りで、指揮台の上で踊っているような感じでしたが、カラヤンは、指揮者たるものは真っ直ぐ立って振るべし、というこだわりを持っていたのです。びっくりして下を見ると、カラヤンが“真っ直ぐ立て!”という眼差しで見ていました。腕を直立させて、“こう立つのだ”と示したのです。彼はこの時、いつものスウェットとジャンパーを着て、ヴィオラ・セクションに座っていました。この一件の後、私は演奏会までずっと、“ちゃんと姿勢を正さなければ”ということばかり考えていました。カラヤンをがっかりさせたくなかったですからね(笑)」(第3部に続く) この演奏会をDCHで聴く!
ドイツ発最新音楽ニュース
本コーナーでは、ドイツおよび欧米の音楽シーンから、最新の情報をお届けします。ティーレマンのザルツブルク・イースター音楽祭での予定発表 2013年以降のザルツブルク・イースター音楽祭の演目骨子が発表された。それによると、クリスティアン・ティーレマンが芸術監督に就任する2013年には、《パルジファル》が上演される。演出は、ミヒャエル・シュルツが担当。歌手は、ヨハン・ボータ(パルジファル)、ヴォルフガング・コッホ(アンフォルタス)、スティーヴン・ミリング(グルネマンツ)が決定している。オーケストラは、この年から彼が首席指揮者を務めるドレスデン・シュターツカペレが担当する。 また、2014年は《アラベラ》が新制作。さらに2015年には、《カヴァレリア・ルスティカーナ》と《道化師》が予定されているという。ドイツもののスペシャリストとして知られるティーレマンとしては意外な選曲だが、《カヴァレリア・ルスティカーナ》は「復活祭を舞台としており、演出もシチリア特有の式典を取り入れたものになる」と発表されている(写真:©Matthias Creutziger)。 コンヴィチュニーがライプツィヒ・オペラの首席演出家職を退任 ペーター・コンヴィチュニーが、ライプツィヒ・オペラの首席演出家のポストを、自らの希望で辞任した。同劇場インテンダントのウルフ・シルマーは、「本人の意向に従い」、2012年1月1日付けで契約を解除したという。コンヴィチュニーは、2008年の夏より6年間の予定で、同職に就任。2014年の夏までの長い契約であった。退任の理由は、発表されていない。 2013年のウィーン・フィル・ニューイヤー・コンサートは、再びヴェルザー=メスト 2013年のウィーン・フィル・ニューイヤー・コンサートの指揮が、フランツ・ヴェルザー=メストに決定した。ヴェルザー=メストは、2011年の同演奏会を指揮しているが、1年の空白のみでのカムバックは、快挙と見なされている。 ウィーン・フィルの楽団長クレメンス・ヘルスベルクによれば、ヴェルザー=メストの再招待は、「2011年のニューイヤーの優れた結果と同時に、ウィーン・フィルの演奏会やウィーン国立歌劇場(ヴェルザー=メストは音楽総監督)での実績を鑑みた結果」であるという。 100人の指揮者が史上最大の指揮者を選出。トップはカルロス・クライバー イタリアの専門誌『クラシック・ヴォイス』が指揮者約100人対し、「史上最高の指揮者は誰か」というアンケートを行なった。その結果第1位に輝いたのは、カルロス・クライバーであるという。順位は、第1位:クライバー、第2位:バーンスタイン、第3位:カラヤン、第4位:トスカニーニ、第5位:フルトヴェングラー、第6位:アバド、第7位:ミトロプーロス、第8位:アーノンクール、第9位:ワルター、第10位:マーラーであった。 アンケートは、イタリア国内外の200人の指揮者に対して行なわれ、そのうち104人の指揮者から返答があったという。約50%の返答率は、極めて高いと考えられる。イタリア人指揮者が多く上がっているのは当然だが、カラヤンとバーンスタインの位置や、アーノンクールの入選、さらに誰も演奏を聴いたことがないマーラーのランク入りは、大変興味深い。 ©2012 Berlin Phil Media GmbH, all rights reserved. |

ベルリン・フィル・メディア、マーケティング部長トビアス・メラーより新年のご挨拶




