「ベルリン・フィル・ラウンジ」第49号:メータ、祝ベルリン・フィル客演50周年
Saturday, October 1st 2011
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ベルリン・フィル関係ニュース
ズービン・メータ、祝ベルリン・フィル客演50周年ズービン・メータのベルリン・フィル・デビューは、1961年9月18日でした。2011年は、彼のデビュー50周年に当たります。彼は、9月29日〜10月2日にベルリン・フィルに客演しますが、これはデビュー半世紀を記念するものとなります。 デビュー時のプログラムは、フォン・アイネム「オーケストラ音楽」、シューマン「チェロ協奏曲」、マーラー「交響曲第1番」(「花の章」を含む)でしたが、今回の演奏会では、これがそのまま再現されます。なお当演奏会は、デジタル・コンサートホールでも中継される予定です(次回のDCH演奏会参照)。 今回共演するチェリストのヨハネス・モーザーは、1979年ミュンヘン生まれ。コンサート・ソプラノとして人気を博したイーディス・ウィーンズと、チェリストのカイ・モーザー(バイエルン放送響)の間に生まれたサラブレッドです。 この演奏会をDCHで聴く!
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(2011年9月18日) サー・サイモン・ラトルのマーラー・ツィクルスも、いよいよ佳境に到達します。今回上演される「交響曲第8番」は、大編成のオーケストラに加え、8人のソリスト、少年合唱を含む大合唱が必要とされることから、《一千人の交響曲》と呼ばれています。マーラー自身は、「これはこれまでの私の作品のなかで最大のものであり、内容も形式も独特なので、言葉で表現することができません。大宇宙が響き始める様子を想像してください。それは、もはや人間の声ではなく、運行する惑星であり、太陽です」と描写しています。 1910年秋、ミュンヘンでの初演は、マーラーの音楽家としての最大の成功となったもので、各界の著名人が集合したと言われます。プログラムの前半では、タリスの40声のモテット《我、御身よりほか望みなし》が演奏されますが、発想的にマーラーと通じるものがあり、ラトルのプログラミングの妙を感じさせます。 【演奏曲目】 タリス:《我、御身よりほか望みなし》 ロッティ:《十字架に付けられ》 マーラー:交響曲第8番変ホ長調 独唱:スーザン・ブロック、エリカ・スンネゴート、アンナ・プロハスカ、リッリ・パーシキヴィ、 ナタリー・シュトゥッツマン、ヨハン・ボータ、デイヴィッド・ウィルソン=ジョンソン、ジョン・レリエ 合唱:中部ドイツ放送合唱団(合唱指揮:ハワード・アーマン) ベルリン国立大聖堂少年合唱団(合唱指揮:カイ・ウーヴェ・イールカ) ベルリン放送合唱団(合唱指揮:サイモン・ハルシー) 指揮:サー・サイモン・ラトル この演奏会をDCHで聴く!2011年9月24日 ベルリン・フィルに定期的に登場するビシュコフの今回のプログラムは、ベリオにウォルトンという通好みな組み合わせです。ベリオは先人の作品を独自に改作するスタイルを打ち出しましたが、今回の《レンダリング》は、シューベルトの「交響曲第10番」のスケッチを土台にした作品です。一方セクエンツァは、ベリオのライフワークとも言える作品群で、14作が残されています。その第7番は、オーボエのための作品。今回は、ベルリン・フィルの名ソリスト、アルブレヒト・マイヤーが演奏しています。 ウォルトンの交響曲第1番は、1935年に完成された大作です。その作曲の背景には、インマ・フォン・デルンベルクという女性との激しい恋愛があると言われています。今シーズン、ベルリン・フィルはイギリス音楽をテーマのひとつとしていますが、これはそのスタートを飾るものです。 【演奏曲目】 ベリオ:オーケストラのための《レンダリング》 同:オーボエのための《セクエンツァZ》 ウォルトン:交響曲第1番変ロ短調 オーボエ:アルブレヒト・マイヤー 指揮:セミョン・ビシュコフ この演奏会をDCHで聴く!
次回のDCH演奏会
(日本時間10月3日午前3時) マーラーは、1896年3月にベルリン・フィルに客演し、自作の交響曲第1番をベルリン初演しました。この作品は、1889年に《巨人》という題名の交響詩として初演されましたが、ここでマーラーは、初めて「交響曲」の名称を与えています。その際元々の第2楽章であった「花の章」は、完全に省略されることになりました。この楽章は、1960年代に再発見され、しばしばコンサートでも取り上げられています。今回の演奏会でも、「花の章」を含んだヴァージョンが演奏されます。 なおこの演奏会は、ズービン・メータのベルリン・フィル客演50周年を祝うものです(本号冒頭記事参照)。 【演奏曲目】 フォン・アイネム:オーケストラ音楽 シューマン:チェロ協奏曲イ短調 マーラー:交響曲第1番ニ長調《巨人》(「花の章」付き) チェロ:ヨハネス・モーザー 指揮:ズービン・メータ 放送日時:10月3日(月)午前3時(日本時間・生中継) この演奏会をDCHで聴く! ハイティンクのキャンセルで、ヴァルチュハがベルリン・フィル代役デビュー!(日本時間10月9日午前3時) 当コンサートは、ベルナルド・ハイティンクの指揮で予定されていましたが、急病により、スロヴァキアの若手指揮者ユライ・ヴァルチュハが登場することになりました。プログラムは、ベートーヴェンの《英雄》から、チャイコフスキーの「交響曲第1番」に変更されます。ニコライ・ズナイダー独奏のシベリウス「ヴァイオリン協奏曲」は予定通りです。 ヴァルチュハは、1976年生まれの35歳。ドイツでは、ミュンヘン・フィルへの登場で注目を集め、バイエルン国立歌劇場にもデビューを果たしています。2009年からは、トリノRAI国立交響楽団の首席指揮者に迎えられています。 【演奏曲目】 シベリウス:ヴァイオリン協奏曲ニ短調 チャイコフスキー:交響曲第1番ト短調《冬の日の幻想》 ヴァイオリン:ニコライ・ズナイダー 指揮:ユライ・ヴァルチュハ 放送日時:10月9日(日)午前3時(日本時間・生中継) この演奏会をDCHで聴く!
アーティスト・インタビュー
「私はカラヤンの姿を見ただけで、緊張してしまいました」 聞き手:サラ・ウィリス (2010年10月23日) 【演奏曲目】 メシアン:《忘れられた捧げもの》 プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番 ベルリオーズ:幻想交響曲 ピアノ:イェフィム・ブロンフマン 指揮:ヤニック・ネゼ=セガン 前回に続き、ヤニック・ネゼ=セガンとイェフィム・ブロンフマンのインタビューをお届けします。この対話の面白さは、ネゼ=セガンとブロンフマンのキャラクターの違いでしょう。後輩である前者が先輩の後者に気をつかって、いろいろと話を向けますが、ブロンフマンは泰然自若。自分の調子を崩すことなく、辛口のユーモアを聞かせます。ブロンフマンがなかなか面白い人柄だということが分かり、微笑を誘います。 サラ・ウィリス 「プロコフィエフにフランス音楽からの影響が表われている、というお話ですが、今回のプログラムは、他はフランスものですね」 ヤニック・ネゼ=セガン 「そうです」 ウィリス 「ブロンフマンさんには、次回ベルリンに来られる時にはぜひ弾いていただきたいものですが…」 イェフィム・ブロンフマン 「メシアンの作品のピアノ版のことですか?」 ウィリス 「ええ、 《忘れられた捧げもの》です(「これで正しいかしら?」といった調子でLes Offrandes oubliéesとフランス語で発音する)」 ネゼ=セガン 「トレビアンな発音です(笑)。初期のメシアンの作品には、素晴らしい前奏曲があります。そこにはドビュッシーとの深いつながりがあり、それがやがて明らかなメシアン自身の作風へと移行していきます。ドビュッシーからの影響というのは、初期の作品では見逃せないものです。ただ、今回の 《忘れられた捧げ物》 では、ドビュッシー的側面は後退しています。ストラヴィンスキーとの繋がりのほうが顕著で、ドラマティックな地獄の格闘が存在します。特に3部構成中の第2部は、リズミカルな側面が《春の祭典》 を思い起こさせます」 ウィリス 「私はベルリオーズとも共通するように感じました」 ネゼ=セガン 「今日のプログラムの各曲がリンクし合っている、というのは面白いですね。例えばプロコフィエフのコンチェルトにあるヴァイオリンのフラジョレットは、メシアンを連想させるのです。ロシア人とフランス人の作曲家は、色彩感や過剰さへの感覚という点で共通するものがあります。オーケストラを爆発させる方法においても似ていますね。もちろんマーラーやシュトラウスも爆発的ですが、それは別のあり方なので、より色彩感覚に結びついた音の作り方だと思います。例えばメシアンでは、最初の弦のフレーズは、なんとも悲しげなのですが、それは終りでは宗教的な法悦へと変化してゆきます」 ウィリス 「メシアンでは、すべてが宗教的ですが…」 ネゼ=セガン 「でもここでは、鳥ではないですね(笑)」 ブロンフマン 「そのようなフランスとロシアの繋がりは、理解できます。ピョートル大帝以降、ロシアの文化には、多くのヨーロッパの文化が入って来ているからです。それは音楽だけでなく、建築や、また言語についても同様です。18世紀のロシアの貴族はフランス語を話していたのをご存知ですか?」 ネゼ=セガン 「ええ、知っています」 ブロンフマン 「そういったことから、ロシア音楽とフランス音楽の繋がりが理解できるんです。ムソルグスキーの 《展覧会の絵》 がラヴェルによりオーケストレーションされたことも、少しも不思議ではありません」 ネゼ=セガン 「もちろんです。例えばバレエ・リュスがフランス文化に与えた影響など、典型的です。フランスとロシアの作曲家が、パリでこのバレエ団のために作曲し、お互いに技を競いました」 ウィリス 「ベルリオーズについてはどうでしょう?」 ネゼ=セガン 「まさにそこに至るスタート地点ですね」 ウィリス 「学生時代から幻想交響曲 を知っていますが、この曲を聴くたびに、何て新しい曲だろう、と思うのです。ベートーヴェンの 交響曲第9番からたった6年後の作品なのですが」 ウィリス 「この作品が初演された時、人々は憤慨して野次ったり、ホールから出て行ったりしたとか…」 ネゼ=セガン 「どの作品が本当に成功したかは、その後演奏され続けたかによりますね」 ブロンフマン 「ベルリオーズは、ピアノ曲を書いていませんね」 ネゼ=セガン 「それについては残念に思います。ベルリオーズのオーケストラ作品を、誰もピアノ用に編曲しようとはしませんでした」 ウィリス 「幻想交響曲を2台ピアノ用に編曲したら、面白いと思いますが」 ブロンフマン 「ベルリオーズとショパンは同じ時期にパリに暮らしていました。私は、この2人はお互いをあまり好きではなかったと思うんです。作品が全く異なりますから。一方はピアノ曲ばかりを書き、一方はオーケストラ作品ばかり。リストもその時期にパリにいました。この時期のパリの社会がどんなに魅力的だったか、どのような交流があったのかと思うと、興味をそそられます」 ウィリス 「ところでおふたりは、次はニューヨークで共演されるのですよね」 ブロンフマン 「私は来週はフランクフルトです。ニューヨークでの共演は、12月になります」 ウィリス 「ネゼ=セガンさんはどのようなご予定ですか」 ネゼ=セガン 「メットで《ドン・カルロ》 のリハーサルが始まります。公演後、ブロンフマンさんと食事をご一緒できるかもしれません」 ブロンフマン 「メットの舞台裏は大騒ぎですね。あそこには、行ってもちょっと困るというか…」 ネゼ=セガン 「ブロンフマンさんが来ても、誰も気がつかないんですか」 ブロンフマン 「公演後は放って置かれます(苦笑)」 ネゼ=セガン 「でもお会いできることを楽しみにしてますよ(笑)。実は私たち、初共演なんです」 ウィリス 「お互いに感触はいかがでしたか」 ブロンフマン 「ご一緒に演奏できるのはとっても楽しいです」 ネゼ=セガン 「オーケストラ、ブロンフマンさんと初共演させていただいて、光栄に思っています。最初からとってもいいフィーリングでしたし、このまま本番に向かって盛り上げていきたいですね」 ウィリス 「あまり言いたくないんですが、ブロンフマンさんがベルリン・フィルでデビューされたとき、 ネゼ=セガンさんはまだ9歳だったんですよ(笑)」 ブロンフマン 「そりゃあ、私は老人ですから(笑)」 ウィリス 「そんなことはないですよ(笑)。音楽をやっていると、若いままでいられます」 ブロンフマン 「私が初めてベルリンに来たとき、空港で荷物が出てくるのを待っていたら、目の前にカラヤンがいたんです。これは忘れられません。私は緊張してしまいました。指揮をしていたわけではないのに、ただそこにいただけでとても緊張したんです」 ウィリス 「今は、ブロンフマンさんが私たちを緊張させるんですよ」 ブロンフマン 「参ったな。あなたは冗談が上手いですね(笑)」 この演奏会をDCHで聴く!
ドイツ発最新音楽ニュース
EMIがHJ・リンと契約 韓国出身でフランス在住のピアニスト、HJ・リンがEMIと専属契約を結ぶことになった。最初のプロジェクトは、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集。2012年に秋に、DVD付きで発売されるという。リンは、32のソナタを「永遠に女性的なるもの」、「互いに衝突する極端なもの」、「運命」といったテーマごとに分類して録音する予定(写真:©Matt Hennek)。 テツラフが、オンディーヌと契約 クリスティアン・テツラフが、オンディーヌと長期契約した。最初のアルバムは、メンデルスゾーンとシューマンのコンチェルトで、11月に発売される。共演は、パーヴォ・ヤルヴィとHR交響楽団である。また2012年秋、2013年春には、シューマンとモーツァルトの室内楽作品がリリースされる。ここでの共演は、ラルス・フォークトの予定である。 キーシンがオーストラリアの調律師協会とトラブル エフゲニー・キーシンがオーストラリアでイギリスの調律師を起用したことが、大きな問題となっている。『ザ・オーストラリアン』紙によると、キーシンは、ブリスベンでのコンサートのためにオーストラリアの調律師を使うことを拒み、イギリスから調律師を呼び寄せたという。これがオーストラリアの調律師たちの間で反感を呼び、プロテストが起こっている。 問題となった楽器は、先頃の洪水で被害を受けた1975年製のスタンウェイDモデル。あるオーストラリアの調律師は、修復されたその楽器を見て、「わが国の調律師と違う修理・調整が行なわれたわけではない」と論じている。オーストラリア・ピアノ技師調律師協会は、正式なプロテストを行なうために、文化省と会談する予定という。 アラーニャとロンバールが喧嘩別れ パリ・オペラ座の《ファウスト》のリハーサルで、ロベルト・アラーニャ(テノール)とアラン・ロンバール(指揮)の意見が衝突し、ロンバールが降板することになった。劇場当局によると、ロンバールに圧力を掛けたということはなく、彼は来シーズン以降に別のプロダクションで再び登場するという。代役には、アラーニャとすでに《ファウスト》で共演しているアラン・アルティノグルが入ることになった。 次号の「ベルリン・フィル・ラウンジ」は、2011年10月14日(金)発行を予定しています。 ©2011 Berlin Phil Media GmbH, all rights reserved. |

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