2011年8月12日 (金)


3年ぶりとなるフルアルバム『BIRTHDAY』を発売するsgt.。sgt.史上最も壮大、コンセプチュアルで圧倒的なスケールに満ちたアルバムを作り上げた彼らにインタビューを行いました。
- -- 久々のアルバム『BIRTHDAY』聴かせてもらいました。壮大ですごい内容ですよね。アルバムの制作に入ったのはいつぐらいだったんですか?
明石 興司 (以下 明石) 去年の夏ぐらいかな、カナダに行く前には新曲を作りつつ、アルバムの構想をねったりして。こういうの(アルバム)を出したいって言ったのが11月か12月ぐらい。
大野 カナダから帰ってきたぐらいかね。
明石 それから年明けて曲を練り直してレコーディング日程を決めた感じですね。なのでほぼ1年かかってますね。
- -- タイトルの『BIRTHDAY』っていうのはいつぐらいに決まったんですが?
明石 これはもう土壇場ですね。
大野 均(以下 大野) レコーディング終わるよってぐらいだよね。ミックスもそろそろ終わりますけどみたいな時に。
明石 ここ最近、アルバムタイトルは大野が考えてます。一応アルバムのコンセプトは伝えてあるので、色々自分なりに消化をしてもらって考えてもらいました。。
大野 でもまあ自分で聴いた感じ?こうなってたらいいよねって、コンセプトありきですけどね。
明石 どういう意味なの?(笑)
大野 説明は難しいんですけど・・・。もう一回生まれるみたいなイメージですかね・・・、はいっ(笑)
明石 え〜っ!(笑)
- -- はじめのコンセプトっていうのはどういう感じで伝えてたんですか?
明石 はじめは物語を作ってて、それに合わせて曲を作っていこうって。作品の中のコンセプトを一回物語として作ってしまって、それに沿って曲も作っていったんですね。そのコンセプトっていうのは一個でかいのがどーんとあるんです。
- -- それは秘密?
明石 そうです(笑)。聴いてからのお楽しみで。なのでそれを含めての『BIRTHDAY』なんじゃないかと。。。違った??
大野 そうです。
- -- 大野君からタイトルが発表されたときのみんなの反応はどうでした?
大野 メンバーの連絡用の掲示板でぱぱっと書いたんですけど、リアクションはそんな悪くなかった気がする。他にも候補があって“BEGINNING”とか考えてたんですけど、“BEGINNING”はHawaiian6の『Beginnings』っていうアルバムがあったのでやめました(笑)。
- -- はじまり、スタートといったイメージなんですかね? 1曲目が逆回転から始まって赤ちゃん声が聞こえてくる。アレはタイトルが決まってから作ったんですか?
明石 構想が元々あって、ちょっと変更はしたんですけど、構想内容の一つみたいな感じで、ゲスト参加してくれてます。
- -- えっ?
大野 旅団のメンバーのお子さんを、隠し録りして作りました(笑)
- -- アレを聴いて僕はなんか輪廻転生みたいのをイメージしました。アルバムを通して聴いた後にまた1曲目に戻ってくるみたいな。
明石 なるほど〜。今回、ブックレットに絵がのってるのでそれを見ながら聴いてもらえるとまたおもしろいかもしれないです。
- -- アートワークもいいですよね。ジャケットも描かれた末吉さん。この方はどうやって知り合ったんですか?
明石 描いてくれる人を探してる中で、マネージャーが見つけてきてくれて。
K(マネージャー) たまたま東急ハンズで展示会やってて(笑)。それが今年のはじめぐらいで、すごいいい作品だなって思ってて、でもその時は全然それだけで。それでバンドと新作のアートワークの打ち合わせしたときに、あの時の絵を思い出したんですよ。今回のコンセプトに合うと思って、また東急ハンズ行って、あの時のあの絵の作者教えてくださいって店員さんに聞いて。それで名前聞いて、HPからコンタクトしたんです。それから音聴いてもらったら、向こうも気に入ってくれて、ぜひって。
- -- もともとの知り合いというわけではなかったんですね。
明石 もう全然。他に色々出し合って話し合いましたよ。
- -- 末吉さんの作品を見たときどうでした?
明石 やさしいんだけど、力強さがあるんですよね。樹の絵が特にがすごい気に入って。これは末吉さんにお願いしようと。
- -- 末吉さんの作品をHPで見たとき、僕は意外でしたね。すごいファンシーな感じがして。でも実際こうやってアルバム聴きながら、アートワーク見るとすごいしっくりきますね。
明石 優しい感じがありますからね。でも僕のコンセプトとすごい合致したので末吉さんに決めました。
- -- 楽曲に付いても聞きたいんですが、難しそうな曲が多いですけど、苦労した曲ってあります?
大野 う〜ん結構全部じゃない(笑)? 特に7曲目の第二次世界大戦(「Zweiter Weltkrieg」)とか結構大変でした。苦労っていうか、練習した(笑)。「cosgoda」は結構勢いでガッといくんで。最初の勢いを殺さないように、で疲れます(笑)。「ライマンアルファの森」は自分では結構好きですね。曲としてすごい好き。今までない感じでいくと「アラベスク」とか今までない感じで、いいんじゃないかと。通して聴いてほしいですね。
- -- 明石君は?
明石 そうですね全曲大変でしたね(笑)。まとめるというか、オチと聴かせどころの、使い方と持っていき方とか、大変でしたね。
- -- 音数もすごいじゃない、今までにも増して、この辺も苦労しましたか?
明石 そうなんですよ。どうしても(音を)増やしたいところがでてきちゃって、ゲストプレイヤーにお願いしたんです。でもその分ふったら、かえってきてくれるから。そこは本当にゲストの方が歩み寄ってくれましたね。ヴォーカルのkim君とかも歌詞から考えてくれて。
- -- 歌詞も話し合いながら決めたんですか?
明石 そうです。構想を伝えて、こういう感じの内容で一回書いてほしいって、で書いてもらったのをまた見て、問題なかったんで。でも実は当日に回数が合わなかったんですよ(笑)。僕らは先にRECしてて、kim君にいざのせてもらう時に、ここの回数長くない?って(笑)。まずいかなと思ったんですけど、歌詞をちょっとリピートを増やしてうまいことやってくれて、そうしたら逆にそこがよくなって(笑)。
- -- ヴォーカルが入ってる曲をやるのは初じゃない?どうでしたやってみて?
明石 いや〜大成功かなと、僕は(笑)。
- -- インストバンドであのクオリティ、ただヴォーカルがのってるだけじゃなくて、構成とかも考えられてて、どうやって作ってのかと思いました。
大野 kimさんにお任せ?
明石 ラップのテンポとか指定はしてて、早い感じ。回すところと延ばすところ、あとは彼なりの消化で。それから切るところとかも伝えてて、そこはうまいこと、ヴァイオリンの入るところとか。ヴァイオリンを生かさないとダメなバンドなんで(笑)。
- -- 曲名も大野君が考えてるんですか?
大野 曲名はわりとバラバラですよ。
明石 みんなで話し合ってコンセプトに沿って考えながら決めていきます。7曲目なんてドイツ語で“第二次世界大戦”って意味なんですけど読み方が難しいんですよ(笑)。※読み仮名:ツヴァイター・ヴェルトクリーク
- -- なんでドイツ語にしようと思ったんですか?
明石 第二次世界大戦で検索したらそれがでてきて。6曲目が7曲目のプロローグ的な感じになってるんですけど、それがヒトラーの演説をつかってるんですよ。ヒトラーを皮肉るんじゃないですけど、そういう事実を7曲目で昇華してやろうっていうのがあって。だから第二次世界大戦、ドイツ語で表記したんですよ。
- -- そして8曲目に繋がっていくと。曲はこの順番で作っていったりしたんでしょうか?
明石 う〜ん順々ではないですね。曲の部分でできてなかったりして、この最後の部分がとか。最後の曲(「君は夢をみている夢が君をみている」)なんか特にそうですね。
大野 これセッションだよね。
明石 僕がベースの打ち込みを作ってきて、それで伝えて。ちょうど僕がスタジオに遅れるときだったんで、ちょっと先にセッションやっといてくれって言ってたんですよ。
大野 いや、その時はねベースもなかったよ。
明石 そうだ(笑)。
大野 BPM指定されて、このタイムでジャンベとヴァイオリンでセッションをしといて欲しいって言われて。
明石 でも詳細は成井に伝えてたんだけど。
大野 俺は聞いてないし、成井さん俺にも言わないからね(笑)。
明石 まあやっといてくれと(笑)。で、それをまた回収して、それにあわせてまたスタジオ入って、あわせて作ったんですけど。そのセッションが想像以上だったんで、面白いと思ったんですよね。
- -- ヴァイオリンのメロが印象的ですよね。
明石 ポップで。エンディング的な感じにしたかったんで、それを成井さんが汲んでくれて、ポップにしてくれた。大変でしたね?
大野 いや、でも面白かったよね、今までやったことない作り方だったから。
明石 ベースラインは本編も打ち込みでちゃんと作って、僕はアコギ弾いてます。
- -- ヴァイオリンの成井さんは福島出身っていうこともありますし、震災の影響っていうのは作品に表れていたりしますか?
明石 成井は“私はやることをやるだけだ”って言っていて、強くなった気がします。家族のこととか地元のこととかを思いつつも、私が出来ることはよい作品を作って世に出したいと、早く作りたいと、3月すぎてからいつも以上に意欲的でしたね。そういうのは音に出てるんじゃないですかね。本人今いないですけど(笑)。
- -- 今は福島に戻ってるんですよね?バンドとしての結束が強まったみたいのはありますか?
大野 う〜ん、肩組んでガってやる感じではないんですけど、信頼してるので、向こうは福島での生活があるし、僕らはこちらでの生活があるし、集まったときにしっかりやるというかね。僕はそう思ってます。
- -- もともとsgt.はそういう感じですよね。放任主義というか(笑) みんな好きにやってるんだけど、sgt.として集まるとその結束感みたいなものはものすごい強い。そういうのも影響してるのか、今回のアルバムは、スケールの大きさ、完成度とsgt.の最高傑作だと思います。あえて聞きますが今後のsgt.目標はありますか?
明石 次はまたすごい違う世界を創ろうと考えているところです。これはこれでやりきった感はあるんですけど、僕としてはまた違うことを、やりたいことがsgt.であるので次の作品に向けれたらと思います。
大野 僕はツアーをがんばります(笑) 安全な事故のないツアーにしたいです。
明石 ・・・えっ、それだけ?
大野 社会人として当然じゃないですか。僕も明石君も結婚しましたし。
明石 (さえぎるように)ツアーは、いかにこの作品を肌で感じられるか。アルバムはアルバムで聴いて楽しめるようになってるんですけど、それを生で観たらとんでもないことになるのでぜひ観に来て欲しいです。
- -- 壮大なアルバムに仕上がりましたが、今回のツアーでも再現するのでしょうか?それともアルバムとライブは別物と考えてますか?
明石 基本的にはこの音源を再現したいというこでツアーをやると。でも全曲出来るか・・・(笑)。半分はできるはず。
大野 できたっけ(笑)?
明石 2、3、5、6・・・。
大野 うんうん・・・5はまあできるか、6はインタールード的なやつでしょ。・・・ちょっときついかな(笑)
明石 (笑)。大丈夫です!
大野 考えてます!ご期待アレ!ってことで(笑)。
- -- ツアーにはkim君も参加するんですか?
明石 ・・・ファイナルは。いや、他も一応kim君もいます・・・オケで(笑)。これも大野の案なんですけど・・・。
大野 モニターをステージに組んで、あらかじめkim君を撮っておいてそれを流す。というのを構想中です。
- -- hide方式ですね。
大野 そうです(笑)
- -- あの曲は聴きたいですもんね。
明石 なので色々仕込んでます。
- -- それでは最後にHMV ONLINEをごらんの皆様に一言お願いします!
大野 がんばって作りました。久々のフルアルバムなので、僕らの世界を楽しんでくれたらと思います。
明石 ぜひ聴いてください!(笑)
- -- 今日はどうもありがとうございました!
明石・大野 ありがとうございました!
- 新譜 sgt. 『BIRTHDAY』
- フルアルバムとしては前々作「Stylus Fantastics」以来、実に3年振りとなるsgt.の最高傑作が遂に完成! 2009年のミニアルバム「capatal of gravity」発表後、2010年にかけ精力的なライブ活動を続け、初の海外進出となるカナダツアーも決行。今年に入り楽曲制作に突入し生み出した全9曲。 sgt.特有でもある楽曲のストーリー性はいつも以上に増し、全体を通しコンセプチュアルな内容となっている。更にそのサウンド/物語と連動したジャケット・アートワークを新進気鋭の絵描き/イラストレーター“末吉陽子”が各曲のイメージに合わせた書下しを含む全7編のイラストを全16Pのブックレットに掲載!そして今作のゲストにはレーベルメイトでもあるuhnellysのkimを迎え、バンド初の試みとなるボーカル曲を収録し、前回に続き、kowloonやホテルニュートーキョーのメンバーでもあり、toeのサポートでもある中村圭作がグランドピアノ、キーボードで全面サポートし楽曲に彩りを加えて頂いております!!また音楽家でもあり執筆家でもあるMASの大谷能生もサックスで参加。同じくMASからは外間正巳がトランペットで参加。


『BIRTHDAY』
2011年08月17日発売
[収録曲]
01. 古ぼけた絵本
02. cosgoda
03. ライマンアルファの森
04. アラベスク
05. 221B Baker
06. breathless
07. Zweiter Weltkrieg
08. あなたはわたし
09. きみは夢をみている夢がきみをみている
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- Capital of gravity
sgt. - 2010年08月17日発売
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- Stylus Fantasticus
sgt. - 2008年9月10日発売
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- Sggmt!!
Sgt. / Good Music! - 2006年11月15日発売
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- Perception Of Causality
LITE - 2005年11月02日発売
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sgt.
99年結成。2003年より現在のメンバー編成にて活動開始。映画音楽的な手法にロック、ジャズ、ノイズ、エモ、即興といったサウンドが融合したマルチ・インストゥルメンタルバンド。国内外のアーティストのツアーサポートや各地のフェスに出演、また、自主企画「生命」の開催などライブを中心に音楽活動しており、ゲストプレイヤーやVJの参加などライブの演出に力を入れている。昨年には初の海外ツアーにカナダへ行くなど海外への活動範囲を広げている。
- 関連サイト(外部サイト)
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BIRTHDAY RELEASE TOUR
09月18日(日)@大阪 unagidani SUNSUI
09月23日(金)@金沢 social
09月24日(土)@京都 WHOOPEE'S
09月25日(日)@名古屋 新栄 Lounge VIO
10月15日(土)@広島 MUGEN5610
10月08日(土)@山形 Sandinista
10月09日(日)@仙台 BIRDLAND
10月10日(月)@福島 club SONIC iwaki
10月22日(土)@東京 渋谷 O-nest
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