Quantic インタビュー
Friday, July 22nd 2011
![]()
ファンク〜ジャズ〜ソウルを経て、極上の南米サウンドに辿り着いた
クァンティックによる世界中をめぐる音楽紀行。
10年間の活動の軌跡を振り返るベストアルバム 『The Best of Quantic』 のリリースを記念しての
オフィシャルインタビューを完全版でお届けいたします。
インタビュー : 大石始 (ライター / エディター / 選曲家)
- --- 2001年のファースト・アルバム 『The 5th Exotic』 から今年で10年になります。この10年間を振り返ってみていかがですか?
-
うーん... そうだなぁ。いい質問だね (笑) この10年は、とにかく早かった。誇りに思ってはいるよ。本当に沢山の音楽を作ってきたし、しかも種類も様々だしね。あとは…わからない (笑) 思うのはそれくらいだよ (笑) とにかく、沢山曲を作ってきたことだけは確か。あとは、色々な才能あるミュージシャン達とも共演してきたし、それは僕にとって特別なことだと思う。10年も活動してるから、入って来るメンバーもいれば、去るメンバーもいた。クァンティック・ソウル・オーケストラのうち二人のメンバーは他界してしまったしね。過ぎるのが早かったとはいえ、10年は長いから、変化はもちろんある。でも確実に前進してきたと思うよ。これからの前進のためにも必要な10年間だったと思うし、すごく充実してた。この先もより良くなっていくことを願うね。
- --- ここからはウィルの過去の活動を振り返らせてください。まず、 『The 5th Exotic』 であなたが目指していたものとは何だったのでしょう?
-
あの当時は、正直自分でも何をしてるかわかってなかったんだ。大学時代にレコードを作り始めたんだけど、日中は勉強してバイトにいって、夜家に帰ってきてからひたすら音楽を作ってた。テレビを見たいとも思わなかったし、他にやりたいと思う事もなかったんだ。シャッフルしたり、ループを作ったり... そのループ作りが段々曲作りになっていって、自分のお気に入りの曲が、5曲、10曲、15曲という具合にどんどん曲の量が増えていった。そんな時に <Tru Thoughs> に出会った... で、レコードにするだけの充分な量の曲があったから、彼らに “レコードにしてみないか?” って聞かれて、 “イエス” って答えたんだ。だから、目的とかゴールとか、そういったものは特になかったな。あのレコードは、アンオフィシャルだったから。あの時期は、ただただ曲を作ってただけだった。自分が好きな音楽とか、彼女が気に入りそうな音楽とか、友達が好むような音楽とか。パソコンで曲を作って、それをカセットにコピーして、車で聴いたり、人にあげたり... 例外もあるとは思うけど、音楽ってやっぱり誰かのために書くものだと思うんだ。音楽は“ギフト”なんだよ。人から人へ与えられるものなんだ。僕が作った曲の数は、皆の予想を遥かに越えてるよ(笑)リリースされてない曲もたくさんあるからね。
- --- 当時のイギリスの音楽シーンは意識していましたか?
-
もちろん。 <Ninja Tune> も大きかったし、ドラムンベースも... まぁ商業化されてはいたけど、どこにいってもかかってたね。音楽シーンには、自ら関わっていた方だと思う。レコードショップにいって、曲を聴きまくって、最新のレコードをチェックしたりもしてたからね。DJもしてたからレコードはたくさん持ってたし、シーン全体に興味をもってたんだ。
- --- また、あなたはいくつもの名義を使い分けていますが、それぞれのプロジェクトのコンセプト / テーマを教えてください。まずQuantic Soul Orchestra。
-
このプロジェクトの一番最初の作品は 『スーパー8』 で、当時のコンセプトは、オールドスクールだった。ファンク・ミュージックに対する新しい興味だね。ジェームズ・ブラウンとか、そういった昔のファンク・ミュージックを沢山取入れてるんだ。沢山のバンドが既にそういった音楽をやってはいたけど、僕はオールド・ファンクだけじゃなく、それを取入れた何か新しいものを作りたかった。自分達だけのファンクを作ってみようってことになって、とりあえずやってみることにしたんだ。それを踏まえたコンセプトは、ドラム・サウンドをビッグにすること。あとは生演奏だね。最初のコンセプトは、生演奏であることはもちろん、昔の音楽スタイルを残したまま、それを新しいスタイルで演奏することだった。今は、それがもっと様々な方向に広がっているけどね。
- --- The Limp Twinsは?
-
大学時代に友達のラス・ポーターと始めたプロジェクトがこれなんだ。彼とは15歳くらいの時から知り合いなんだけど、大学で結構長い時間を一緒に過ごして、音楽を作ったり、演奏するようになった。二人とも音楽作りに興味があったし、ポーターはピアノやオルガンが弾けたんだ。僕たちはDJもしてたんだけど、ある時二人とも自己で足を怪我してしまって... 足を引きずって歩かないと (=Limp) いけなくなって (笑) で、ジョークでこの名前を使ってDJしてたんだ (笑) これもさっきの話と同じで、趣味で音楽を作ってたらリリースするのに充分な量の曲が出来上がって、たまたまCDになったんだよ。これは、ひと夏のプロジェクトって感じかな。僕たちは、よく車の後ろにオルガンを積んでドライブして、部屋に座ってレコーディングしてた。ナイーブで若かったんだ。レコードにはその初々しさが反映されてると思うよ。
- --- Flowering Infernoはどうでしょう?
-
これは、カリに越してきてから始めたプロジェクト。ここへ来てから、色んな音楽をカリビアン・ミュージックと繋ぎ合わせることに興味を持ち始めてね。レゲエやダブをコロンビアの音楽と結合してみようと思ったんだ。キューバとジャマイカのコラボ、とでもいうかな。イギリス系で英語を話すアングロ系と、スペイン語を話すラテン系が一緒になるって、実は今までになかったんじゃないかって思ったんだよ。サルサ + レゲエ & ダブとかね。このラテン・ダブっぽいプロジェクトは、これからも続けて行くつもりだよ。
- --- Combo Barbaroは?
-
これはライブ・プロジェクトで... 基本的にはクァンティック・ソウル・オーケストラの要素がベースになってるんだ。あのプロジェクトが、名前を変えたって感じかな。コロンビアに越してきてから、オーケストラではプレイできなくなって... コンボの意味は、オーケストラよりももっと小さい演奏することなんだ。ロケーションも小さくなったし、コンボでもっとバラエティのある音楽を演奏しようと思って出来たのがこのプロジェクト。バラードとか、サルサとかね。あとは、ボサノバとか、そういった音楽もこのプロジェクトでは演奏してる。僕自身もコンボでやるっていうコンセプトは気に入ってるんだ。
- --- そもそも、このように名義を使い分けるのはどうしてなのでしょうか。
-
リフレッシュのためさ。新鮮な気分をずっと保っていたいんだ。僕は作品を常に面白いものにしたいタイプなんだ。家の家具なんかも、しょっちゅう場所を変えて模様替えする。そういう性格なんだろうね。壁の色とかもすぐ変えちゃうし。すぐ退屈してしまうんだよ。退屈したり興味が薄れてきたら名前を変えるんだ。そのおかげで、音楽に新鮮さをもたせることができるし、興味や意欲を持ち続けることができるんだ。
- --- また、あなたはこれまでさまざまなヴォーカリストとコラボレーションを重ねてきました。ヴォーカリストをプロデュースする際、もっとも大切にしていることとは?
-
そうだなぁ、なんだろう... レコーディング・セッションの時の快適さかな?ヴォーカリストに心地よさを感じてもらうこと。そうすれば、心をオープンにできると思うんだ。あとは、ひとつのタイプの音楽に対して様々なやり方を試すこと。色々試して、しっくりくるものを決めるんだ。その中でも、最初のテープはいつもセーブすることにしてる。一番最初って、必ずといっていいほど面白いものが出て来るんだよね。でも何よりも、素晴らしいシンガーばかりで本当に助かってるんだ。ニディアにしろアリスにしろ、ハイレベルで才能がある。だから、僕は本当に運がよくて、ヴォーカリストで苦労したことがないんだ。
(次項へ続きます)
-

-

- The Best Of Quantic
Quantic - 2011年07月23日発売
-

-

- Cartagena!
Various - 2011年発売
-

-

- Announcement To Answer
Quantic - 2006年発売
-

-

- Pushin On
Quantic Soul Orchestra - 2005年発売
-

-

- Mishaps Happening
Quantic - 2004年発売
-

-

- Stampede
Quantic Soul Orchestra - 2003年発売
-

-

- Apricot Morning
Quantic - 2002年発売
-

-

- The 5th Exotic
Quantic - 2001年発売
-

-

- GLOCAL BEATS
監修: 大石始 / 吉本秀純 - ゼロ年代以降のボーダレスな音楽を集めた
世界初のガイド本!
2011年発売

クァンティック Quantic
バンドのリーダーであるウィル・ホランドは、今年レーベル創立10周年を迎える<トゥルー・ソウツ>に所属のイギリス人プロデューサー / ミュージシャンであり、熱心なレコード・コレクターとしても知られる。Quantic名義のソロ・プロジェクトや、ライブ・バンドとしても絶賛されるThe Quantic Soul Orchestraを含む様々な名義からリリースされた幅広い作品群は、これまでにトータルで10万枚以上のセールスを記録している。特にNickodemusとのコラボレーション作品 『Mi Swing Es Tropical』 は、2007年のiPodのCMに起用され、Quanticの知名度の飛躍的に高めた。
彼は、コロンビアに眠る素晴らしい音楽を自らの手で掘り出したいという情熱に突き動かされ、2007年にコロンビア第三の主要都市、カリ (Cali) に移住。以来往年の名ミュージシャン達と共に “新しい” 音楽を生み出し続けている。世界中を旅するミュージシャン / DJとして、メインストリームの動きにとらわれず、自身の音楽を追究し、尽きることのない創作欲を満たす最適の環境、それこそがコロンビアであった。







