[シリーズ名盤] 日本のDUB

2011年6月23日 (木)

[シリーズ名盤] 日本のDUB

1980年代初頭、MUTE BEATという一つのバンドの結成。日本においてDUBの歴史はここからスタートする。手本となるようなモノが身近にない中、手探りでDUBという音楽を表現しようとしたその精神。日本のDUBのオリジネーターとして、このMUTE BEATは後のアーティスト達に多大な影響を与えた。当然、この時点では、大きなムーブメントではなかったが、DUBは地道に、しかし確実に、耳の早い音楽ファンを刺激し、シーンとして根付き始めた。その後、FISHMANSやAUDIO ACTIVEの登場により、DUBの手法はポップスやロックのリスナー等より多くの人たちにも届くようになる。

そんなDUBシーンが急速に発展を遂げたのは、90年代の終わり、AUDIO ATIVEのメンバーから派生したDRY & HEAVYの登場によるものが大きい。彼らの、DUBに対する徹底的なこだわりとポジティブなメッセージ、決してマイナーな音では終わらない姿勢は、日本の音楽業界にとって強烈なインパクトだった。DRY & HEAVYで初めてDUBというものを体験した人も多いのではないだろうか?
さらに同時多発的に、MUTE BEATのこだま和文は『REQUIEM DUB』を発表、LITTLE TEMPOの登場など、アンビエント的なアプローチも展開し、新たな流れ、拡がりを見せた。また、UAは『turbo』というアルバムの中で大胆にDUBの手法を取り入れた。このアルバムにはMUTE BEATの朝本浩文やLITTLE TEMPO、DRY & HEAVYの内田直之も参加している。改めてUAのセンス、フットワークの軽さに驚かされる。

2000年代に入ると、NYの老舗レゲエ・レーベル、WACKIE'Sでの活動を経て帰国したピアニカ奏者RAS TAKASHIによるDUB SENSEMANIAや、RAS DASHER率いるCULTIVATORなど数々の名盤がリリースされる。また、AUDIO ACTIVEが『SPACE DOLLS』の中で、THA BLUE HERBのBOSS THE MCをフィーチャーし、Shing02は『400』において、DRY & HEAVYの秋本武士のBASSフィーチャーするなど、HIP HOPとのリンクも広がっていく。秋本武士はGOTH-TRADとのユニットREBEL FAMILIAにてDUBの最も濃い部分を凝縮したかのようなサウンドを展開していく。そんな彼が、バンドとしてのDUBサウンドに回帰したTHE HEAVYMANNERSの1stアルバムをリリースしたのが2008年。

00年代の終わりには、CULTIVATORのRAS DASHERのプロデュースの元アルバムをリリースしたKILLA SISTA、長野の山奥、標高1200mのDUB、TENGAKU。アイヌの伝統とDUB、トンコリのサウンドがこだまするOKI DUB AINU BAND、大阪のDUBシーン「Tribe Called West」、同じく大阪から飛び出した新世代叙情派エレクトロ・ダブ・ユニット、あらかじめ決められた恋人たちへ、さらにSOUL DIMENSION、YOSSY THE LITTLE NOISE WEAVERなど、様々なアプローチでDUBを展開するアーティストが多く登場した。

そして2011年。日本のDUBは再び隆盛を極める!ここ数年は沈黙を続ける葉族の帝王AUDIO ACTIVEの中心人物MASAmatix、近年LIVE BANDとしての定評も高いLITTLE TEMPOがそれぞれアルバムをリリース。既にOKI DUB AINU BANDは『HIMALAYAN DUB』なる強力なアルバムをドロップし、あらかじめ決められた恋人たちへも俄然新しいアプローチでDUBサウンドを展開している。DRY & HEAVYも七尾"DRY"茂大(ドラム)と秋本"HEAVY"武士(ベース)のオリジナル・メンバー2人が約9年ぶりの再開を果たし、なんとBLACK SMOKERから12インチをリリースした。また発売を延期していた、THE HEAVYMANNERSの新作『SURVIVAL』の発売は7月20日に決定した。役者は揃った。2011年、再び煙たいDUBがクる!

2011年 このDUBを聴く。

THE HEAVYMANNERS

THE HEAVYMANNERS 『SURVIVAL』
THE HEAVYMANNERS
[2011年07月20日 発売]


DRY&HEAVY、REBEL FAMILIA...と日本のDUB史、レベルミュージック史に確かな足跡を残し続けるベーシスト秋本“HEAVY”武士氏率いるTHE HEAVYMANNERSが、名盤『THE HEAVYMANNERS』以来、約3年ぶりに新作『SURVIVAL』をリリースする。もうそれだけで脳味噌ガツンの事件ですよね。全14曲中4曲で今最も熱い言葉を吐くラッパーの一人、RUMIをフィーチャー。THE HEAVYMANNERSの最近のLIVEでも既に披露しており、その邂逅の必然は証明済みだ。また、30 周年で俄然盛り上がるOh-U からはSamia Farahが参加。より凶暴に襲ってくるサウンドに酔いしれろ!更には先日急逝した二木崇氏に捧げるDUBも収録されている。(発売延期されていたのはおそらくこの楽曲を追加収録する為)どこまでも熱く人間臭いDUBが響き続ける。

MUTE BEAT

MUTE BEAT 『GLADDY meets MUTE BEAT』
MUTE BEAT
[2011年07月06日 発売]


日本のDUBオリジネーター MUTE BEAT 関連のリリース3タイトル、7月6日発売!!!激レア音源収録の新編集BEST盤、実質的なファースト・アルバム『STILL ECHO』のボートラ付き再発、そして最大のトピックがコレ!87年、青山スパイラルホールで行われた、ジャマイカ最高峰の鍵盤奏者GLADDYことGLADSTONE ANDERSONとMUTE BEATのライブ・セッションが奇跡のDVD化!こんな映像が残っていたとは・・・!このロスト映像を“宝”と呼ばずに何と呼ぶ?当時の様子に思いを馳せてきた僕のようなMUTE BEAT後追い世代にとって、嬉しすぎる作品。また当時のMUTE BEATを知るとんがった大人にとっても格別な作品でしょう。それにしても、オーガスタス・パブロやローランド・アルフォンソ、そしてこのグラディーというこの共演暦。改めてMUTE BEATって凄かったんだなぁ。

MASAmatix from AUDIO ACTIVE

MASAmatix from AUDIO ACTIVE 『MOVIN'』
MASAmatix from AUDIO ACTIVE
[2011年06月15日 発売]
【先着特典】 MIX CD


2011年、まずはコレ!ここ数年は沈黙を続ける葉族の帝王AUDIO ACTIVEの中心人物MASAmatixの1stソロアルバムのリリースです!昨年の朝霧JAMでは俄然踊らされました!そう今回の作品はダンスミュージックということにフォーカスして制作されてます。ロックの文脈で語られる事の多いAUDIO ACTIVEと比較するとREGGAE/DUBが色濃く打ち出された印象。更に様々なダンスミュージックの要素がミクスチャーされて、スペーシーでサイケデリックな世界にトバしてくれます。冒頭でLikkle Maiのヴォーカルがキた時点でトラウマが蘇る感じですね。さらに元MELONMAN斉藤巧のラップやiccieのトロンボーンもフィーチャー。MASAmatixによる最新サウンドトリップを是非!

LITTLE TEMPO

LITTLE TEMPO 『太陽の花嫁』
LITTLE TEMPO
[2011年06月22日 発売]


ここ数年LIVEバンドとしての定評も増すばかりのLITTLE TEMPO『山と海』以来3 年振りとなるNEW アルバムリリース決定!!根底にはREGGAE/DUB、アティチュードはパンク、さらにオーガニックなゆるさも纏い、もちろん最大の魅力スティールパン全開のトロピカルサウンド!血沸き肉踊るお祭り騒ぎと、ほっこりまったりの同居。9 人のメンバーそれぞれが演奏を楽しんでいる事がありありと伝わる極上リトテンオリジナルサウンドで昇天!どこまでもハイになっちゃってください。今作は、リトテンのアルバムでは初といっていい本格的な打ち込みのトラック(4 曲)も導入されちゃってます!何はともあれ“夏”はリトテンという事で宜しいんじゃないでしょうか?

OKI DUB AINU BAND

OKI DUB AINU BAND 『HIMALAYAN DUB』
OKI DUB AINU BAND
[発売中]


このタイトル『HIMALAYAN DUB』!この時点でノックアウトですね。この作品はOKI DUB AINU BANDのダブワイザーである内田直之とOKI自身のダブ対決盤!前作『SAKHALIN ROCK』で、アイヌとレゲエという全くのオリジナルサウンドをもって、トんでもない高みに到達したOKI DUB AINU BANDが遂にエベレスト級のDUBを完成させちゃいましたというお話。台湾〜ネパールでライヴを行うことでさらに拡大したOKI DUB AINU BANDの世界観で覚醒せよ!

あらかじめ決められた恋人たちへ

あらかじめ決められた恋人たちへ 『CALLING』
あらかじめ決められた恋人たちへ
[発売中]


あら恋、バンド編成での作品をリリース。オーガスタス・パブロばりにマイナーキーを鳴らす鍵盤ハーモニカが奏でる旋律は叙情的で、静かに且つ激しく心を揺さぶる。更にレゲエやダンスミュージック、ポストロック等、“酩酊”という共通のキーワードを持つサウンドを独自解釈したリズム構築でぶっ飛ばされ、挙句のDUB処理!!!聴く者の感情に激しく訴える悦楽/酩酊/REBEL MUSIC!!!!DUBの新しい可能性を予感させる名盤が登場!

日本のDUB名盤選

日本のDUB、チェックすべき名盤をまとめてみました。やたらと廃盤も多いのですが、参考までに。


『No.0 Virgin Dub』
MUTE BEAT


85年リリース。
伝説のカセットのCD化!

『STILL ECHO』
MUTE BEAT


1stALリリース以前。
12インチ3枚をCDに

『FLOWER』
※廃盤
MUTE BEAT

1st.アルバム

『LOVER'S ROCK』
※廃盤
MUTE BEAT

2nd.アルバム

『Tokyo Space Cowboys』
AUDIO ACTIVE


葉族の歴史の始まり
 
 

『HAPPY HAPPER』
AUDIO ACTIVE


このタイトルがトラウマになる程、名盤
 
 

『MELT.1』
AUDIO ACTIVE


キメ聴き用
「MELT」シリーズ!
 
 

『Back To The Stoned Age』
AUDIO ACTIVE


活動10周年にして圧倒的な存在感
 

『SPACE DOLLS』
※廃盤
AUDIO ACTIVE

BOSS THE MCをフィーチャーした伝説の楽曲も収録!

『ONE PUNCH』
DRY & HEAVY


90年代後半、日本のDUB史に刻まれた名盤!
 

『FULL CONTACT』
DRY & HEAVY


このトラジャケっ!
 
 

『FROM CREATION』
DRY & HEAVY


ドラヘビは全部持ってないと…
 

『REBEL FAMILIA』
REBEL FAMILIA


秋本”HEAVY”武士 x GOTH TRAD
 

『SOLIDARITY』
REBEL FAMILIA


ILL-BOSSTINO,Shing02らとの狂宴盤

『Requiem Dub』
※廃盤
こだま和文

深いトコロを刺激するトランペット

『IN THE STUDIO』
※廃盤
Kodama and The Dub Station Band

こだま和文ルーツ回帰!

『more』
Kodama and The Dub Station Band


音の洪水と鳥肌モノのDubwise

『98.12.28男達の別れ』
FISHMANS


僕はこのLIVE盤押しです。

『THE HEAVYMANNERS』
THE HEAVYMANNERS


08年遂に投下!
文句なしの名盤。

『Ron Riddim』
※廃盤
LITTLE TEMPO

当時はアンビエントなDUBを展開。

『KEDACO SOUNDS』※廃盤
LITTLE TEMPO

KEDACOは一部で流行語に・・・

『Musical Brain Food』
LITTLE TEMPO


この作品でイロイロなものが開いた・・・

『山と海』
 
LITTLE TEMPO


トロピカルDUB決定盤。
 

『真夏のワイワイ祭りスペシャル!!』
LITTLE TEMPO


ワイワイ祭りマジ楽しいんで。

『Break Out From Babylon』※廃盤
CULTIVATOR

日本のDUB
隠れ?名盤。

『Voice Of Love』
CULTIVATOR


最もヤバイDUB名盤の1つ。
 

『Melodious Riddim』


日本のDUBを語る上で外せないDVD。
 

『From Far East』
KILLA SISTA


女の子3人によるぶっといDUB。
 

『Red Eye Creation』
TENGAKU DUB


標高1200mのDUB。
 
 

『WONDERFUL』
DUBSENSEMANIA


盤に刻まれた
WACKIE'Sの刻印。

『サハリン ロック』
OKI DUB AINU BAND


更なる高みを目指す
北方DUB

『turbo』※廃盤
UA

これはDUBですよね