TOP > Movie DVD・BD > News > Japanese Movies > 『ノルウェイの森』 松山ケンイチ インタビュー

『ノルウェイの森』 松山ケンイチ インタビュー

Wednesday, August 10th 2011

interview
松山ケンイチ


劇場公開時、「あの「ノルウェイの森」がビートルズを主題歌に映画化!」というニュースが大きな話題を呼んだ『ノルウェイの森』がいよいよ、6.22にBlu-ray&DVDでリリース!さらに『コンプリート・エディション』に収録されている「エクステンデット版」は、劇場公開時より約16分長く、より原作の内容が楽しめるトラン監督による別編集の本編。村上春樹原作の「ノルウェイの森」も含めた『ノルウェイの森』について、ワタナベ役を演じた松山ケンイチさんにいろいろとお伺いしました。そして、『ノルウェイの森』のテーマでもある「愛」について、本作を経た今感じていること・・・など、ご多忙の中、緊急で行われた合同インタビューをお楽しみ下さい。 INTERVIEW and TEXT: 長澤玲美

ワタナベみたいにどれだけ自分が愛を持って100%愛情を注いだとしても、救えないものは救えないし、叶えられるものも叶えられないっていうことを感じて、少しは大人になったかなっていう風に思いますね。


--- 6月22日にBlu-ray&DVDがリリースされますが、『コンプリート・エディション』には劇場公開時より約16分長い「エクステンデット版」が収録されています。このバージョンの印象はいかがですか?

松山ケンイチ(以下、松山) 僕は一番最初に観たのがこの「エクステンデット版」だったんですけど、劇場公開版とは全然違う印象ですね。この映画には間が重要な要素だった気がするんですけど、そういう間とか登場人物の関係性っていうものがもうちょっと描かれているのでより分かりやすくなってると思いますし、分かりやすくなったことでもう少し人物を深く見ることが出来るし、セリフもより感じ取ることが出来ると思うのですごくいいと思ってますね。このバージョンでは初公開なのでぜひ観て頂きたいです。


ノルウェイの森


--- 村上春樹さんの原作「ノルウェイの森」のワタナベ役を演じた今、村上春樹さんにお会いしたいというような思いはありますか?

松山 今、僕は26歳で、26歳の今でしか感じられていないというか、そのものでしかないんですけど、「ノルウェイの森」という文学作品は愛についての考え方や価値観というのがもっともっと深いと思うんですよね。だから、単純に「ノルウェイの森」のことを語りたいんじゃなくて、「映画としての『ノルウェイの森』はどうだったか?」ということだけはお聞きしたいですね。

--- 「ノルウェイの森」が出版された当時、文学部の特に男子学生がものすごく好きな作品だったんですが、松山さんはワタナベについてどう感じましたか?

松山 今の僕は26歳ではっきり「大人」って言えるんですけど、撮影していた当時は24歳で、大人かって言われたらそこまでではなくて、流されてしまう自分っていうのもあったんですよね。ワタナベは優しいし、包容力というか愛で包み込むモチベーションがすごく高くてまっすぐなんですけど、ワタナベが1つ大人になっていくように自分も一緒に大人になっていったような感じはしてますし、僕自身、そこはすごくワタナベに似ていたような気がしますね。


ノルウェイの森


--- 本作のサントラは、トラン・アン・ユン監督の熱烈なオファーからレディオヘッドジョニー・グリーンウッドが担当していますが、音楽の使われ方に関してはどのように感じましたか?

松山 そのシーン、そのシーンの感情というか、心の動きみたいなものが音楽で表現されているし、強調されている部分もたくさんあって、「痛み」みたいな部分を音楽から強く感じましたね。あとは音楽だけじゃなくて、カメラマンのマーク(・リー・ピンビン)さんの意見ももちろん反映されていると思うんですけど、トラン監督のやっていることは風景も色も人間以上に感情表現している感じで、全体が心の動きとして使われているような気がして、そういうところがすごいなって思いますね。例えば、ワタナベは何も感情を出していないんだけど、音楽や風景が痛々しかったりして、それが逆にワタナベ自身を描いているというか。そういう描写がすごくあったのですごいとも思いましたし、今まで観たことない撮影方法だなって思いましたね。

--- 今作に限らず、トラン監督の他の作品に対してもそう感じますか?

松山 「痛み」に関しては前作のジョシュ・ハートネットイ・ビョンホン木村拓哉さんが出ていた『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』でもあって、その「痛み」の表現方法は『ノルウェイの森』とは似てはいないんですけど、トラン監督の世界観、共通するものっていうのは、質感も含めてあるような感じはしますね。


ノルウェイの森


--- 記憶に残っている印象的なシーンがありましたらお聞かせ下さい。

松山 緑とのショートケーキの話の下りと屋上のシーンで「私を取る時は私だけをとってね」って言っているシーンがすごく好きですね。長いバージョンの「エクステンデット版」になると、その屋上のシーンの直前に2人が喫茶店の中で世間話してるシーンがあるんですね。あれは外で言ってるんですけど、その前は中で話をしてたりして。あの流れがすごく好きなので、ぜひ観て頂きたいなって思いますね。

※ショートケーキの下り

ワタナベ 「君にとって、愛ってなに?」
緑 「たとえば今私があなたに向かって、苺のショートケーキが食べたいって言うとするでしょ。そしたらあなたは何もかも放り出して、走ってそれを買いに行って、そしてハアハアしながら戻って来て、それを私に差し出すの。そしたら私は『ふん、もうこんなものなんていらなくなっちゃったわよ』って言って、それを窓の外に放り投げるの。私が求めているのはそういうものなのよ」
ワタナベ 「そんなの愛とは何の関係もないような気がするけどね」
緑 「あるの!私は相手の人にこう言ってほしいのよ。『わかったよ、緑。僕が悪かった。僕はロバみたいに馬鹿で無神経だった。お詫びに何か別のものを買いに行ってあげよう。何がいい?チョコレートムース、それともチーズケーキ?』」
ワタナベ 「するとどうなるの?」
緑 「愛してあげるの」

一部、抜粋



ノルウェイの森


--- ワタナベという役は「受身の人間だ」という風にインタビューでおっしゃっていましたが、相手と受け答えをする時に常に正解を探しているような目の動きがすごく印象的でした。それは意識されてやっていたのか、役作りの上で自然にそういう風になったのか、その点について監督とお話されましたか?

松山 目の動き、仕草の細かいところでも監督は演出をしていましたね。撮影では実践してみて、今撮ったものをみんなでモニターで観て、「この目の動きがワタナベっぽくない」とか「この目の動きが邪魔だ」とか「でも、その後の表情はよかった」とかそういう風に細かく演出されました。細かいところからも人の品性みたいなものを感じるだろうし、繊細さというか危うさみたいなところ、ふわふわした感じというのも監督が演出していましたね。

--- セリフに関することですが、監督は「もうちょっとしゃべり口調にしたい」というのを松山さんが「出来れば原作に近いセリフ回しで」という風に主張されたそうですが、それはどういった考えからですか?

松山 原作でも「ワタナベくんのしゃべり方は特徴あるね」っていう風に緑は言っているし、単語の選び方自体がワタナベの特徴でもあるような気はしていたのでそれをあまり変えたくなかったんですよね。その言葉の選び方で時代感っていうものも表現出来ますし。だから、「それで一度やらせて頂きたいんですけど」っていう風なことは提案させて頂きましたね。

--- 実際にしゃべってみて、やりづらさはなかったですか?

松山 それはなかったですね。ある意味「時代劇」だし、そういうつもりでやっていたので、自分の中ではあまり違和感はなかったです。

--- そのしゃべり口調からワタナベのある性格の一面が見えてきたりということはありましたか?

松山 言葉からでも繊細さが感じられますよね。感情をそのまま言葉に乗っけずに一歩引いてるところがあるんですよね。冷静とはちょっと違うんですけど、冷めてるというか、あんまり近くなりたくないというか。それはワタナベがキズキの死から積極的に人とコミュニケーションするのをやめてしまっている部分があるってところもあるんですけど。


ノルウェイの森


--- 共演の女優さんについても伺いたいのですが、直子役の菊地凛子さん、緑役の水原希子さん、レイコ役の霧島れいかさん、それぞれの印象はいかがでしたか?

松山 凛子さんは本当にモチベーションが高い役者さんですね。直子は外ではなくて、自分の内面の奥深いところまで見つめていかなければいけないので、それってすごく苦しいことだと思うんですけど、ちゃんとやり切ってるということで本当に精神力の強い女優さんだなあと思っています。水原さんはお芝居が初めてだったので、技術的なところで至らないところももちろんあったんですけど、素直に表現出来るからそれがすごく緑らしくもあったし、監督の演出もあって、原作とはちょっと違う緑が出来上がったというか、原作よりももっと包容力がある緑になったなっていう風に僕は思ってますね。それは水原さんにしか出来ないなあと。霧島さんが演じたレイコは、原作では何であの施設に入ることになったかとかそういう描写もあったんですけど、直子と緑のところではないまた違った場所にいて、愛というものと向き合っている人として出ているような気がしますね。

--- 実際の松山さんなら、どの女性を選びますか?

松山 僕はまあ・・・緑ですね(笑)。

--- 監督とのいろいろな話し合いの中でちょっとした食い違いのようなものはありましたか?

松山 言葉が分からない部分があるので、そういう細かいニュアンスはプロデューサーさんを挟んでコミュニケーションしていきましたけど、それでもよく分からなかったら実際にやってみて、監督がどう思うかっていうことですね。でも、現場はわりとスムーズに行ったような気がしますね。

--- 先ほどある意味、「時代劇」とおっしゃっていましたが、監督もスタッフの方も日本人ではないという点で70年安保が単に背景であって、距離感があるように感じたのですが、演じる側として、国籍や安保の背景などに対してどのように距離を取られましたか?

松山 今回の作品自体、安保から離れているので、僕はそこは意識してはいなかったんですね。ただ外国の方が撮る風景だったり、カメラワークというものが日本人のカメラマンさんでは表現出来ない部分というか、中から見ている人では分からなかったところが外から見ることで、「新しい日本の風景」として出ていたような気がしますね。今まで使ったことのない場所を使っていたのがすごくおもしろい試みだなあと。でも、それはちょっと悔しいというか・・・外国の方にそこまで圧倒的な画を見せられたっていうのは意外というかびっくりしたところでしたけどね。

--- 少し異国情緒があるといいますか、どこか架空のアジアの国のような印象がありました。

松山 兵庫県の砥峰高原なんかは本当に何で今まで映画に使われてこなかったんだろうって思うくらい美しくて素晴らしい場所でしたね。だから、日本にはまだまだ知らない景色がたくさんあるんだなって思います。


ノルウェイの森


--- 「深く愛すること 強く生きること」というのがキャッチコピーになっていますが、松山さん自身がこの映画のキャッチを付けるとしたらいかがですか?

松山 いやあ、難しいですねえ(笑)。でも、このキャッチコピーは映画の宣伝の一環で一般の方から応募したこともあったんですよね。それで候補を見させて頂いてたんですけど、その中に「人類みなワタナベ」っていうのがあったんですよ(笑)。それが的を得てるなあって思ったので、ここで使わせて頂きたいですね(笑)。

--- 松山さん自身も「ワタナベ」と(笑)。

松山 そうですね、ワタナベを通過しているという感じですかね。

--- 本作は原作ももちろんそうですが、様々な愛が重層的に絡み合っている物語だと思うのですが、26歳の松山さんが新たに愛について感じたこと、発見したことというのはありますか?

松山 ワタナベみたいにどれだけ自分が愛を持って100%愛情を注いだとしても、救えないものは救えないし、叶えられるものも叶えられない、それはしょうがないというか。愛はかければかけた分だけ見返りがあるというか、何かが返ってくるというものではないっていうようなことを感じましたし、純粋でストレートであればいいっていう愛だけではないっていうことを感じて、少しは大人になったかなっていう風に思いますね。

--- そう感じられるようになったことは大きいですか?

松山 大きいですね。僕は『ノルウェイの森』を経る前は愛し方は1つしかない、100%注ぐっていうストレートなものしかなかったような気がするんですけど、この映画、原作を通してそういう風に感じることが出来たし、今改めてそういう風に思ってみても、原作を読んでも、また違った愛に対しての気付きがあるだろうし、僕が30歳になっても40歳になっても、無限に『ノルウェイの森』が気付かせてくれるような深さを持った作品だなって思ってますね。(しみじみと)いやあ、「ノルウェイの森」は深いですよ!だから、今でもこんなに読まれてるし、売れ続けてるんだろうなっていう風には思いますけどね。


ノルウェイの森


--- 最後にヴェネチア国際映画祭に参加された感想をお聞かせ下さい。

松山 行けたことはすごく光栄でしたし、ぜひまた行きたいなって思うんですけど、外国の方は日本の俳優のことがよく分からないので、キズキとワタナベの区別が付かなかったりするんですよね。それは僕らがヨーロッパ人を見ても顔の区別がはっきり分からないのと一緒のことなんですけど。だから、そういうところで文化の違いっていうものをすごく感じたし、観る目線の違いっていうのも気付けたのでおもしろかったですし、有意義でしたね。でも、今度はちゃんと顔の区別がはっきりする役で行きたいですね(笑)。

--- そういう機会も楽しみにしておりますね。

松山 ありがとうございます。僕もいろんな違う文化の方達に自分達の映画を観てどう感じるのかを聞くのがすごく楽しみですし、観客の方と一緒に映画を観る機会っていうのは海外の映画祭とかじゃないとなかなかないので、またぜひ体験したいなと思います。

(おわり)



快挙!『ノルウェイの森』中国本土劇場公開決定!公開を祝し、上海国際映画祭にてプレミア上映!松山ケンイチが授賞式のプレゼンターも!


ノルウェイの森』に中国本土での劇場公開に対する認可が当局より下り、現地配給会社Huayuによる中国全土での劇場公開が決定!中国本土においては外国映画の劇場公開が未だに完全自由化されておらず、ハリウッド映画を含め年間で50本程度の認可枠の中で作品が選定、劇場公開されるという狭き門。日本映画では、アニメーションを除くと年間1-3本程度の公開本数であり、その大半がファミリー向け中心の娯楽作であることを鑑みると、本作の劇場公開の許可が下りたのは快挙!

さらには劇場公開許可を受け、急遽上海国際映画祭(6/11-6/19開催)での中国本土プレミア上映も決定!トラン・アン・ユン監督に加え、上映決定を受け、松山ケンイチも緊急参加が決定!現地では本作上映時の舞台挨拶の他、松山氏はクロージング・セレモニーの授賞式でプレゼンターも務める予定。


『コンプリート・エディション』には劇場公開時より約16分長い「エクステンデット版」を収録!


『ノルウェイの森:コンプリート・エディション:3枚組:Blu-ray』

3枚組(本編ディスクBD1枚+特典ディスクDVD1枚+エクステンデット版本編ディスクBD1枚)

【封入特典】
・ハードカバーケース
・ブックレット(8P予定)

【DISC1】(本編BDディスク)
劇場公開オリジナル版本編:約134分

【DISC2】(特典映像DVD:約120分)※Disc2はDVDです。
●メイキングその1<キャスト編>(約43分)
松山ケンイチ、菊地凛子、水原希子、玉山鉄二、高良健吾、霧島れいか、初音映莉子
●メイキングその2<撮影編>(約28分) 
●イベント映像集(約40分)
ヴェネチア映画祭、ジャパンプレミア記者会見、ジャパンプレミア舞台挨拶、劇場初日舞台挨拶、台湾プロモーション
●未公開カット集
●プロモーション映像集(特報・予告編・TVスポット等)

※Disc2の特典映像は、『スペシャル・エディション』のDisc2特典映像と同一内容となります。

【Disc3】(Blu-ray)
エクステンデット版本編(150分)

※劇場公開オリジナル版の本編より16分長く、より原作の内容が楽しめる、監督による別編集の本編エクステンデッド版(150分)収録!


『ノルウェイの森: スペシャル・エディション:2枚組:DVD』

2枚組(本編ディスクDVD1枚+特典ディスクDVD1枚)

【DISC1】(本編DVDディスク)
劇場公開オリジナル版本編:約134分

【DISC2】(特典映像DVD:約120分)
●メイキングその1<キャスト編>(約43分)
松山ケンイチ、菊地凛子、水原希子、玉山鉄二、高良健吾、霧島れいか、初音映莉子
●メイキングその2<撮影編>(約28分) 
●イベント映像集(約40分)
ヴェネチア映画祭、ジャパンプレミア記者会見、ジャパンプレミア舞台挨拶、劇場初日舞台挨拶、台湾プロモーション
●未公開カット集
●プロモーション映像集(特報・予告編・TVスポット等)

※内容はすべて予定です。商品仕様・特典等は変更になる場合がありますので予めご了承下さい。


監督:トランアン・ユン
原作:村上春樹 「ノルウェイの森」(講談社)

音楽:ジョニー・グリーンウッド
主題歌:ビートルズノルウェーの森

出演:松山ケンイチ菊地凛子水原希子高良健吾玉山鉄二霧島れいか初音映莉子柄本時生糸井重里細野晴臣高橋幸宏

© 2010 「ノルウェイの森」村上春樹/アスミック・エース、フジテレビジョン

profile

松山ケンイチ (まつやまけんいち)

1985年3月5日青森県生まれ。「New Style Audition」でグランプリを受賞してモデルデビュー。映画デビューは2003年の「アカルイミライ」(黒澤清監督)。役に入り込む演技力には定評があり、特に『デスノート』(金子修平監督)のL役の演技で脚光を浴びる。以降、多数の映画に出演し、その度に全く異なる顔を見せてきている。今、映画監督が最も一緒に仕事をしてみたい、若手演技派俳優の代表格である。今後も現在公開中の『マイ・バック・ページ』、『うさぎドロップ』(8.20公開)、『僕達急行 A列車で行こう』(H12.春公開予定)と公開待機作も多数。また、NHK大河ドラマ「平清盛」では平清盛役が決定している。

Japanese MoviesLatest Items / Tickets Information