HMVインタビュー:Tyler, The Creator
2011年5月25日 (水)
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LA若手ヒップホップ集団OFWGKTA(Odd Future Wolf Gang Kill Them All/通称:オッド・フューチャー)のラッパー/プロデューサー/トラックメイカーでリーダー的存在、タイラー・ザ・クリエイター。
今や音楽シーンの寵児として世界中から注目を集めている彼に遂にインタビュー実現。
彼のツイッター上でのつぶやきや自身たちが上げている動画、メディアを通じての言動から察するに、これほどインタビューしにくい人物はいないだろうと思っておりましたが
やはり期待を裏切らず(?)、一問一答のようなあっさりしたものに。しかし、タイラーの素直で簡素な答えは逆にすがすがしく、
興味深いコメントも時折飛び出し、なかなか面白い内容になっていると思います。
インタビュー質問文:二木崇(D-ST.ENT)
構成:HMV
あのビデオを本当に好きな人間なんて、ひとりもいないと思うけど。
- --- 前作にあたるソロ『Bastard』、そしてOFWGKTAの発表済のアルバムについてそれぞれコメントして下さい。まず、『Bastard』。
-
ああ。えー・・・そうだな。俺のファースト・アルバム、あれはかなり気に入ってて。なんていうか、あの作品から、すべてが始まった、みたいな。
- --- 『The Odd Future Tape』、『Radical』については?
-
『Odd Future Tape』は、もう、ほんとにほんとの第一歩、みたいなもので。で、『Radical』は、他の連中の作ったビートに乗って、俺たちがラップしてるっていう。
- ---今振り返ってみて、最初の『〜Tape』は、たとえばプロダクションが粗かったとか、何か後悔は?
-
いや・・・あれはクールだよ。俺も好きな作品だし、あれ以外のやり方で作っていたとも思えないし。
- ---以前、インタースコープと契約したい、という夢がかつてあったと話してましたが、今回色んなレーベルのエグゼクティヴと話してみた感想は?
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連中は間抜けだよ。
- ---どういう点で?
-
とにかくバカ。俺からすればそうだね。頭はいいのかもしんないけど、要は間抜けっていう。なんにも分かっちゃいない。
- ---彼らは貴方たちを理解してないってこと?それとも、ビジネスを分かってないって意味?
-
音楽を分かってない、それに、俺のことも分かっちゃいない。誰も、俺については何ひとつ分かっちゃいないけどさ。
- ---またレッド・ディストリビューションと契約した理由はクリエイティヴ・コントロールを100%自分たちで持てるということから?
-
そう。
- ---他のオプションを検討したことは?
-
ノー。俺がやりたいと思った通りにやれない限り、俺は何もしない。
- --- 『Goblin』はいつ頃制作〜完成していたのですか?
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作り始めたのは2009年。12月26日。
- --- では、XLとの契約はその後?
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ああ。
- --- そのタイトルに込めたもの、コンセプトとは?
-
コンセプトはなし、ただ音楽があるだけ。
- --- タイトルについては?
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ただ、言葉として好きだから。
- --- また前作との大きな違いは?
-
あー・・・どうなんだろう? 2枚は違う作品だけど、なんなのか俺には分からない。とにかく、別の時期に作られた作品だっていう。それぞれ、違う時期のものだよ。
- --- プロダクションについては?
-
んー。2枚の音に違いはあるけど、大々的に変化したってわけじゃないし。どうなのかな。まあ、これといって『でかい』差はないと思う。
- --- 「Transylvania」という曲について詳しく教えてください。バンパイア、ドラキュラが出てきますが、これまでに読んだり、観たりして、影響を受けた作品は?
-
えー・・・『Blade』(ウェズリー・スナイプス主演のSFヴァンパイア・ホラー・シリーズ)は観たよ。あと・・・『Vampire In Brooklyn』(エディ・マーフィー主演、ウェス・クレイヴン監督のコメディ・ホラー。1995年)、そんくらい。
- --- ドラキュラやバンパイアには興味をそそられる?
-
うん。なんていうか、尊敬してるってのに近い。なんかこう、連中はクールだからさ。
- --- でも、悪役ですよね。
-
ああ。けど、きっと、ほんとはすごくいい連中なんだよ。邪悪な連中じゃあないんだ。ドラキュラ伯爵なんて、すごくナイスな人だったしね。(と、傍らのキーボードを軽く弾き始める)・・・俺の知る限りでは。
- --- 「Yonkers」のPVの反響は予測してた? カニエ・ウェストらに絶賛されたわけですが。
-
あのビデオを本当に好きな人間なんて、ひとりもいないと思うけど。
- --- 反響の大きさについてはどう?
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いや、予想してなかった。
- --- ショッキングな内容だから、反響はあると思いませんでした?
-
そうかも。けど、別にそこまでショッキングじゃないって。俺にとってはね。あれは、ビデオを作った奴から出てきたものだから。
- --- じゃあ、首を吊るとか、ビデオのコンセプトは貴方のものではなく、彼のものなの?
-
いや、俺のコンセプトだよ。
- --- ?
-
だから(苦笑)、三人称で話してるだけだって(自らを『The Guy』に置き換えている)。
- --- ああ、なるほど。でも、「悪趣味だ」「最悪のビデオ」みたいな反応が生まれることは、ある程度予期していたでしょう?
-
うん。
- --- と同時に、逆の反応、ポジティヴな賞賛の声も大いにあったわけですが。
-
ああ!だけど、他人の意見なんて、別に気にしてないから、俺は。連中が気に入ろうが、気に入らなかろうが、俺にはどうだっていいこと。 まあ、もっと多くの人間が嫌うだろう、そう思ってはいたけどね。
- --- この曲はどんな精神状態の時に生まれたものですか?リリックについても説明して。
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あのリリックは・・・1曲の最初から最後まで、俺が自分自身と反駁し合ってるっていう。 だから、基本的には、俺が何か言うんだけど、でも、すぐそれを自分自身で打ち消すっていう。自己矛盾、撞着語法みたいなことをやってる。
- --- いわば、貴方の中にもうひとりいる別の貴方が、常に貴方を観察していて、その両者が衝突している、みたいな?
-
そう。ぶつかり合ってる。俺自身と、俺がなりたいと思う人間、そのふたつの間の衝突だね。
- --- それが、なぜ首吊りで終わるんですか?
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それは・・・分かんない。ただ、俺としては、あのエンディングはクールに見えるなって思えて。
- --- ゴキブリを食べる場面はどうですか。
分かんない。ただ、クールだなって思えたから。
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- Goblin
Tyler The Creator - 2011年5月10日発売
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- Goblin (Deluxe Edition)
Tyler The Creator - 2011年5月17日発売
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- ブレイド3
- 2005年12月発売

巷を賑わす西海岸最狂若手ラップ集団OFWGKTA(Odd Future Wolf Gang Kill Them All=通称オッド・フューチャー)を率いるリーダー的存在のラッパー/ プロデューサー/トラックメイカー。現在20歳。先行シングル「ヨンカーズ」 の過激なビデオが、カニエ・ウェストの「2011年最高のビデオだ」というツイ ートをきっかけに話題を呼び、約1,000万回再生される。音楽界以 外からも熱い注目を集める、今最も過激でヤバいMC。 暴力的でエキセントリックなリリックが物議を醸すがツイッター、SNS、音楽界、 ファンション界、アーティスト等が大絶賛!OFWGKTAとしてビルボード誌3/11 号の表紙を飾り、スケート・ブランドのシュプリームを常に着用する誰も無視 できない若干20歳の超期待の新人ラッパー。世界デビューアルバム『ゴブリン』は 全米チャート初登場5位を獲得(R&B/Hip-Hop1位、インディー1位、RAP2位)。
OFWGKTA、サマーソニック 2011出演!
日時: 東京8月13日(土)大阪8月14日(日)
More Info: サマーソニック公式サイト http://www.summersonic.com/2011
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