上原ひろみもグラミーに

Wednesday, February 16th 2011

スタンリー・クラーク・バンドに上原ひろみがゲスト参加した形で、エレクトリックを中心としたクロスオ−ヴァー・サウンド。RTF曲やひろみ新曲も。



上原ひろみ『ジャズ・イン・ザ・ガーデン』に参加させ、その後のツアーも行った、スタンリー・クラークとレニー・ホワイトのひろみへの溺愛ぶりはハンパなものではなかったと推測します。ジャズ/フュージョンの歴史の中で、常に革新サウンドとプレイをリードしてきた、この二人の巨匠が、アグレッシヴなサウンドで自身のピアノ・スタイルを現在進行形で驚異的なスピードのもと進化させているひろみに大きな期待と注目を寄せるのは、ある意味必然かもしれません。

さて、スタンリー・クラークと上原ひろみのコラボ第2弾となる本作は、スタンリーのバンドにひろみがゲスト参加したものです。

まず、サウンド全体像は、エレクトリックがメインとなり、スタンリーのアレンビッグを駆使したド迫力のベースが全編で炸裂です。「I Wanna Play For You」、「Bass Folk Song No10」などで往年のファンク・サウンドが再演。そして「Bass Folk Song No.6」ではアコースティック・ベースを聴かせます。

そして上原ひろみ参加は、リターン・トゥ・フォーエヴァーの「No Mystery」と、同じくRTFの「How Is The Weather Up There?」、スタンリーのオリジナル「Larry Has Traveled 11 Miles」、ビッグ・バンド仕立てにした「Sonny Rollins」、そしてひろみ書きおろし新曲「Labyrinth」と「Somewhere」。全曲アコースティック・ピアノでのプレイとなっています。複雑な構成の中、物怖じしないピアノ・プレイは流石と言えるでしょう。「Somewhere」は上原ひろみの『プレイス・トゥ・ビー』収録曲で、スタンリーのアコースティック・ベースとひろみのピアノによる美しいデュオ・チューンとなっています。

本作は、ひろみとの共同作業というよりは、あくまでスタンリー・クラーク・バンドとしての新作であり、彼の圧巻のベース・プレイとドラマチックかつ超絶なエレクトリック・サウンドを中心に、ひろみが色を添えるという内容となっています。

いずれにしろ、スタンリーのパワーとアクティヴな創作姿勢には圧倒される、超ポジティヴで攻める姿勢のアルバムとなっています。このパワーは、きっとひろみからも少なからず刺激を受けていることを思わせます。

収録曲

• 01.Soldier
• 02.Fulani
• 03.Here's Why Tears Dry
• 04.I Wanna Play For You Too
• 05.Bass Folk Song No.10
• 06.No Mystery
• 07.How Is the Weather Up There?
• 08.Larry Has Traveled 11miles and Waited a Lifetime for the Return of Vishnu's Report
• 09.Labyrinth
• 10.Sonny Rollins
• 11.Bass Folk Song No.6 ＜Mo Anam Cara＞
• 12.Somewhere (日本盤ボーナス・トラック)

パーソネル

スタンリー・クラーク (el-b,g)　ルスラン (syn,el-p)　ロナルド・ブルナーJr. (ds)

＜ベリー・スペシャル・ゲスト＞
上原ひろみ (p)

＜スペシャル・ゲスト＞
シェリル・ベンティーン (Vo)　チャールズ・アルトゥラ (el-g)　アーマンド・サバル・レコ (el-b)　ボブ・シェパード (ts, ss)　ロブ・ベイコン (el-g)　ロレンツォ・ダン (b-syn) ★プロデュース：レニー・ホワイト、スタンリー・クラーク ★2010年3月ロサンジェルスにて録音