ミラバッシ”改名”トリオの新録ライヴ

Wednesday, November 17th 2010

親日ぶりが沸点に達した、欧州最高峰ピアノトリオによるライヴ盤

　欧州諸国のみならず、ここ日本でも不動の人気を誇るピアニスト、ジョバンニ・ミラバッシ。かなりの日本びいき（2005年のアルバム『Prima O Poi』では、宮崎駿監督作品『ハウルの動く城』のテーマ曲を取り上げたりと、もともとのマンガ／アニメ好きを入り口として日本文化にもかなり通じているそうです）ということもあって、2004年以降は毎年わが国のファンの前に姿を現してくれていますが、実に7年連続となった今年は、4月21〜23日ブルーノート東京にて ”スペシャル” な来日公演が行なわれました。

　2009年3月の前回来日時においては「ジョバンニ・ミラバッシ・トリオ」と、あくまでミラバッシをメインに据えたオーソドックスなトリオ名で登場していたのですが、なんと今回は「ミラバッシ、レンジ & パーカー・トリオ」という各メンバーの名をしっかりと連ねた三頭名での再登場。2008年の『Terra Furiosa』、昨年の『Out Of Tracks: 新世紀』を制作する過程で着実に理想的なものに近付きつつあった、ジョバンニ・ミラバッシ（p）、ジャンルカ・レンジ（b）、レオン・パーカー（ds）、三者のバランス関係。それがひとつの頂点を迎えたということを、この”改名”は意味しているのではないでしょうか。

　ここ数年の彼らトリオのライヴを実際ご覧になられた方は、その饒舌で語彙豊富な「対話」に完全に魅了されていることでしょう。ミラバッシのピアノは主たる旋律を快活に弾き出しながらも決して ”独りよがり” になることはなく、また、業師ジャンルカ・レンジのベース、レオン・パーカーのドラムは、ボトムを支えるだけという ”お役所仕事” 的な伴奏に終始することなく、全体のアンサンブルやハーモニーに目配せしながら、時に優雅に時に激しくと、表情豊かでイマジネイション溢れた、まさしくピアノトリオならではの世界を堪能させてくれます。

　この3日間の公演はすべてライヴ・レコーディングされ、その中から選りすぐられた全8曲（＋1）がこのたび新録ライヴ・アルバム『Live At Bluenote Tokyo』として登場します。新曲を中心に繰り広げられた3日間のパフォーマンス。「もしライヴ・アルバムを作る機会があれば、ぜひブルーノ ート東京でレコーディングしたい」と、前回公演後に語っていただけあり、各自気合の入り方も格別。

　実際のセットリストは、『Out Of Tracks: 新世紀』にも収録されたコルトレーン「Impression」とスタンダードの「Alone Together」を除くすべてが新たに書き下ろされたオリジナル曲で構成されました。しかも、レンジ、パーカーが積極的にコンポジションに参加している曲も多山あるということで、本作『Live At Bluenote Tokyo』にかける並々ならぬ意気込みと、このトリオが今まさに新たなるステージに突入せんとしていることをうかがわせてくれます。

　世界中で「欧州ピアノトリオ最高峰」と謳われ、さらにミラバッシ自身も「これまでで最高の3人」と自負する黄金のトリオ。三者のスリリングなせめぎ合い、心地よい調和のもとに構築されたその世界をたっぷりとお愉しみください！ 輸入盤は11月27日、日本盤は12月22日のリリースが予定されております。

新春Blue Note TOKYO 公演決定！

2011年2月28日（月） - 3月1日（火）
Blue Note TOKYO
[1st] Open 5:30p.m.／Start 7:00p.m.
[2nd] Open 8:45p.m.／Start 9:30p.m.　
￥7,350（税込）
Jam Session会員予約受付開始日：2011年1月11日（火）
一般予約受付開始日：2011年1月26日（水）

Giovanni Mirabassi(p)
ジョヴァンニ・ミラバッシ（ピアノ）
Gianluca Renzi(b)
ジャンルカ・レンジ（ベース）
Lukmil Perez(ds)
ルクミル・ペレス

問：ブルーノート東京 tel.03-5485-0088

Photo / Great The Kabukicho 日本のマンガやアニメの大ファンというミラバッシ。宮崎アニメほか、高畑勲（武元哲）や今敏作品にも精通しているらしい

プロフィール

　1970年5月4日、イタリア中部ウンブリア州のペルージャ生まれのジョバンニ・ミラバッシ。弁護士の父親がピアノやギターなど楽器をたしなみ、気力旺盛なレコード・コレクターだったため、小さい頃からジャンルの線引きなしに音楽を聴きあさった。3人兄弟の次兄で、クラリネット奏者の長兄ガブリエルもジャズ系のレコーディング・アーティストとして活躍中。3歳でピアノを弾き始め、10歳でジャズに開眼しても独学を堅持。オスカー・ピーターソンやビル・エヴァンスらを範にするうち、母国を代表するエンリコ・ピエラヌンツィのピアノに強い影響を受けた。17歳でチェット・ベイカーと共演する厚遇を受け、19歳でスティーヴ・グロスマンとも共演。22歳でイタリア音楽界に見切りをつけパリに渡った。

　そこで生まれて初めて師事したピアニストが、イタリアからフランスに渡って大成した名匠アルド・チッコリーニだった。ウェイターや夜警のアルバイトをしながら自身のグループでパリのジャズ界に参入し、フラヴィオ・ボルトやステファノ・ディ・バティスタら同郷の仲間と出会うと、96年にアルバムを初レコーディング。するとこれが、国際ジャズ・コンペのグランド・プライズに輝くことではずみをつける。ソロ・デビューは99年、ピアノ・トリオでオリジナルばかり演じた『Architectures』で。続いて2001年にソロ・ピアノによる反戦歌、革命歌集『Avanti!』で、フランス・ジャズ界最高の栄誉であるジャンゴ・ラインハルト賞の「最優秀新人賞」を獲得。アルバムのセールスは2万枚を超えた。そこから、ピアノ・ソロやトリオのほか、フラヴィオ・ボルトとの変則トリオによる意欲的な試みを続け、2004年11月に、現在のトリオを率いて初来日。日本では、澤野工房による丹誠な支援によって知名度も人気も急上昇。シャンソンやカンツォーネの名曲を弾いたピアノ・ソロ・アルバム『Cantopiano』の反響も手伝って、高い評価を不動のものにしてきた。

　来日メンバーと同トリオによる初録音は、2008年1月発表の『Terra Furiosa』。翌年発表の『Out Of Tracks： 新世紀』も同じ顔ぶれによる録音だが、「インプレッションズ」や「アローン・トゥゲザー」など名物スタンダードに初挑戦。豪放な解釈と華麗な表現手法でアイデンティティを吹き込んだ。同年3月にはブルーノート東京公演のほかソロ・コンサートも行ない、約1年ぶりとなる2010年4月の来日公演では、アルバム・リリースを前提にしたライヴ・レコーディングが行なわれた。

　ベースのジャンルカ・レンジは、1975年生まれ。パオリーニョ・ダ・ラ・ポルタ、マーク・ジョンソン、パレ・ダニエルソンに奏法を習ったという技巧派。ドラムのレオン・パーカーは、1965年生まれで、ジャッキー・テラソン・トリオやチャーリー・ハンターとのデュオで活躍したり、デューイ・レッドマンの『Choices』に参加するなど、90年代のニューヨーク・ジャズ・シーンで最も新鮮なビートを刻んだひとり。近年はヨーロッパを中心に演奏し、最小限のドラム・セットをフルに使った多彩なプレイでジャズ・ファンを魅了している。


Giovanni Mirabassi オフィシャルサイト
Blue Note TOKYO オフィシャルサイト

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